サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

秘密基地

2020年07月29日 | サカタだよ

転校するまで毎日のように仲よく遊んだ友達の中でも、とくに気が合う2人のうち団地の3階に住んでる子が家出をするから手伝ってほしいというのでパン屋の息子と3人で隠れ場所を作ったことがある。

 

団地の1階の郵便受けの奥の物置き場のようなところに深緑色した鉄の扉がある。それが開くのだ。中に入ると縁の下のような低い空間が広がっている。団地の土台らしい。小学生が腰を曲げ、膝と手をついて通れるぐらいの高さなので、大人は入ってこない。中学生もこないだろう。団地の子が座布団を家から持ってきて敷いた。懐中電灯もある。パン屋の子が持ってきた菓子パンと薄いジュースのようなものを飲み食いしながら、ぼくが持ってきたマンガを読んで寝転がった。3人だけの秘密基地だ。

 

悲しげな音楽が夕方5時に放送されて団地の下の秘密基地にも届いた。そろそろ家に帰る時間だ。パン屋の子は「また明日ね」といって帰った。団地の子はどうするのだろう。家出するというのは本当だろうか。この場所は物珍しくて遊ぶには適してるけど、もしも一晩ここで寝たらどうなるか考えると、あまりいい気持ちはしない。

 

すぐに帰るのも薄情な気がして、もうしばらくいることにした。「どうして家出しようと思ったの?」「……………………」「まあいいよ」「………………」団地の子が無言になってしまったので、もう何度も読み返して頭にだいたい入ってるマンガをまた途中からめくって読んだ。団地の子も読んだ。薄暗いところで黙って2人寝転がってマンガを読むのが、だんだん気味悪くなったので帰ろうと思った。

 

座布団とマンガはそこに置いておくとして、懐中電灯を持って物置き場の深緑色した鉄の扉のところまで這って行った。団地の子もついて来たので家出するのは断念したのかもしれない。いざとなったら淋しくなったというより、あの場所に一晩ひとりでいるのが気味悪くなったんだろう。それはそうだと思う。ここへはまた明日、パン屋の子と3人で学校帰りに来ればいい。「また来ようね」と言って鉄の扉を押したら、開かない。ガチャガチャ音がするから、鍵がかかってるかも。

 

パン屋の子が鍵をかけるとは思えないから、大人が夕方やったのか。しまった。団地の子は「いいよ戻ろう」という。家出続行。ぼくは帰りたいけど、大きな声で助けを呼んだり物音を立てて大人を呼ぶのは気が引けた。団地の子につきあって座布団のところまで戻り、ごろりと横になった。少し眠ったことを覚えている。

 

それから後のことがよく思い出せない。結局、扉が開いて親に呼ばれたから出て行ったんじゃないだろうか。いまにして思えばパン屋の子が場所を教えたんだろう。いつも3人で遊んでることはバレてるわけだし、帰りが遅いから団地の子の親かうちの親がパン屋の親に電話でもしたんじゃないか。パン屋の子も親たちと一緒に扉の外にいた。どのくらい遅くなったか知らないが、あまり叱られなかった気がする。

 

それが最初の家出だった。自分の意志ではなく巻き込まれ型の出来事だったが、大ごとにならず救出されたし面白かった。「もう団地の下に入っちゃダメ」といわれたが、秘密基地にはその後も遊びに行った。やがて転校になったので、もう40年ぐらい行ってないけど今どうなってるんだろう? 先日、電車を乗り継いで訪ねてみたらパン屋はヨガスタジオに変わっていて、団地は更地になっていた。秘密基地は団地ごと跡形もなく消えてしまい、実際あったのかどうか定かでなくなってしまった。

 

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2021の東京2020へ

2020年07月22日 | サカタだよ

本当だったら今週末ぐらいから東京2020オリンピックが開催される予定でしたが、3月24日でしたか延期が決まったのは。新型コロナウイルスの感染拡大に目をつぶって開催しようと無理したあげくに、オリンピックを取り逃がしてから4月7日に緊急事態宣言が出たけど、すでに意味がなかったので基準が曖昧なまま5月下旬から徐々に解除されたんですよね。それから2か月……来年の7月にオリンピックを開催できると思ってる人、どれぐらいの割合で存在するのでしょう?

東京オリンピック・パラリンピックのボランティアに応募した人たちの待遇はそのまんま国がこれから若者たちを犠牲にしていく意志表示だよ

なんてことを、昨年12月22日に心配してつぶやいてましたが、ボランティアが猛暑の中ひどい扱いを受ける心配は当面なくなりました。来年も大丈夫ではないかと思う半面、仮に開催されたら応募した人たち、甘んじて使役に耐えるのでしょうか。

オリンピックも裏金で招致、カジノも裏金で誘致して、裏金がなければ動かない寄生虫ばかりだよ

暮れも押し詰まる12月26日には、そんなことを心配しています。今年に入って明らかになったように、マスクを1世帯に2枚ずつ押しつける際も裏金を中抜きされて滞り、和牛券とかに批判が集まって現金ということに変わった特別定額給付金も裏金を中抜きされて滞り、とにかくこの国の政策には寄生虫が群がることが明らかになりました。オリンピック招致のときから、そんなことだろうとは思っていましたが。

青島幸男は都知事になって公約通り都市博を中止たんだから「公約実現ゼロ!」でおなじみの小池百合子にはせめてオリンピックだけでも中止して欲しかったよ

年が明けて1月7日には、こんなことをつぶやいています。7月に任期が切れてさよならするにしてもオリンピックは予定通り開催されるかもと思ってたから、まさか春節を境に新型コロナウイルスが猛威を振るってオリンピックが飛ぶとは予想しなかったし、実績のない小池百合子がコロナ対策でマスコミに露出して息を吹き返すとは……禍福はあざなえる縄の如しですね、もちろん悪い意味で。

オリンピックは半世紀以上も昔の成功パターンだから今の時代に合ってないのに前例を踏襲するしか脳がない、つきつめて物を考えない人たちが危険な兆候に目をつぶって強引に押し進め、あらゆる犠牲を厭わないのだから結果が思いやられるよ

1月11日の時点ではコロナ禍が水面下でしたが、2月に新型コロナウイルスの危機に直面してから一層この傾向が強まりましたね。中止などありえない、延期などありえない、予定通り何が何でも開催すると言い張る人ばかりで、冷静な疑問を呈したら猛攻撃が待っていた。しかし無理なことは無理だった。

どうしてもフジテレビの前で五輪のトライアスロンやらせたい人たちがトイレ臭する海にアサリ入り土砂を60,000,000円かけて投入した結果、大量のアサリの死臭がトイレ臭と混ざり合って大変なことにならないといいね

いまにして思えばこの6千万円も無駄なお金でした。アベノマスクの無駄っぷりに比べるとケタは小さいけど、やることの無意味さがすごい。こんなことばかりやって、寄生虫が裏金を中抜きする。景気なんかよくなるわけないです。

水際で食い止めゴッコしてみたり、上陸してないから国内感染ではないとヘリクツこねてる間にも、陸走るタクシー運転手が感染してたわけだから蔓延してると見るべきかも……というそばから死者も出たしね

2月13日にもなると、すでに市内感染の広がりが明らかになりました。それでも拘留するダイヤモンド・プリンセス号の乗客や乗員に見当違いな扱いをしていた。あれが失策だったという認識がないから以後も有効な措置がとれない。平気で嘘ばかりついて反省しない以上あたりまえ。

新型コロナウイルスの対応のまずさは、福島の原発がアンダーコントロールだと私が保証しますって安倍首相が嘘ついてオリンピック招致したときから既定路線のようなものだよ

2月25日には東京オリンピック中止すべきだし安倍首相は辞任すべきだと思っていました。じつはもっと前から思っていましたが。辞任したら当然ながら逮捕です。それを恐れて、1月に閣議決定した黒川検事長の定年延長を法的に整備するため、5月には検事長定年延長法案をコロナ対策そっちのけでゴリ押しぶちかましましたね。ツイッターで猛反対されて廃案になりましたが、賭けマージャンが週刊誌でリークされると知って取り下げた説もあります。取り巻きがくずばかりですがすがしい。

パンデミック・オリンピック2020

東京オリンピック・パンデミック

このまま突き進んだら結局そういうことになると、2月29日に心配してつぶやきました。外出の自粛要請が出て、自粛と要請は矛盾だろうと誰もが首をかしげるかと思いきや、意外にすんなり受け入れられて学校は長い休みになり、美術館は閉鎖され、ライブは中止、ジムも休業、みじめな生活がはじまりました。

冷静になって考えるとコロナの影響でオリンピックが中止になれば猛暑で倒れたり死ぬ人が減るからコロナ様様だよ

そういう一面はたしかにあります。来年7月に先延ばしするより、しっかりコロナ対策すると覚悟をきめてオリンピックは中止にしたほうが平和だと思いますけどね。無理に開けば平和の祭典が平和を損なうことになります。開いても誰もこないし、無観客試合どころか無選手試合になってしまう。それとも日本人だけで競い合う、1940年の幻の東京オリンピック(興亜国民動員大会)みたいになるか。

2011年に起きた原発メルトダウンの非常事態宣言がまだ解除されてないのに新型コロナウイルスの非常事態宣言を出して行政府の長はどうしたいんだろう? あの…まさにWの非常事態宣言のなかにおいて2020年の東京オリンピック・パラリンピックをいわば中止にしたいのかな、それならどうぞどうぞだよ

3月7日につぶやきました。「ここ1~2週間が瀬戸際」と2月の終わりに言い出して、2週間たつと「ここ1~2週間が瀬戸際」とまたいって、緊急事態宣言もありうると匂わせたまま何にもいわなくなったから、3月20日・21日・22日の三連休には「もう瀬戸際は終わったんだろう」とみんな思って花見がてら行楽しました。それで24日にオリンピック延期が決まったから、「なんか手を打たなきゃコロナやばいかも」ということで緊急事態宣言が4月7日に出される流れです。

大政翼賛会が「非常事態宣言ヲ発令スヘシ、但シ五輪ハコレヲ護持スヘシ」と国内を管制しても国外が認めないよ

センバツ甲子園が中止になった経緯から学ぶべき教訓は、「どうやら無観客試合をしても儲からない」とオリンピックに群がる金の亡者どもが同時並行的に理解したから五輪1年延期または2年延期論がほぼ同タイミングで拡散したこと……選手のピークが1年も2年も続かないことを金の亡者どもは一顧だにしないこと、etc…

仮に1年2年延期したら代表選考に勝ち残ってる選手たち来年再来年オリンピックに出られるだろうか、他にもっと実力ある選手がいても? 選考やり直しで落選した選手のこれまでの努力は? 今年オリンピック出場後に引退を考えてる人々は来年再来年まで心身が保つのか? 権益が延びる人たちは棚ぼた

マネー・ファーストぶりがひどすぎて、選手の取材とかしてると気の毒で気の毒で腹が立ちます。スポーツ選手にはいい人も多いけどオリンピック関係者は大嫌い。

専門家の意見も聞かずに思いつきで出された自粛要請はオリンピックのために国民を犠牲にするということだよ

すでに東京オリンピックは国ぐるみの「おもてなし詐欺」ボッタクリ事件の様相だよ

災害時に何も手を打たないで被災者を切り捨て、マスクやトイレットペーパーの品切れを解決する能力もなく検査もしない補償もしない政府にはオリンピック中止のリスクヘッジなどできるはずなかったし、コロナの蔓延が明らかになっても対策を講じるはずなく、食糧不足になったら一般的な国民は死ぬだけだよ

まだまだこれからですよ、危ないのは。自粛警察という言葉は5月になって流行りましたが、いま振り返ると3月の例の三連休には自粛警察がネットでボランティア活動をすでに始めていました。K-1と聖火リレーの扱いの違いが恣意的だった。

さいたまスーパーアリーナでK-1みた人は1万人、宮城の聖火に押し寄せた人は5万人以上……コロナ対策でK-1批判するよりオリンピック批判すべきだよ

あらゆるイベントに自粛を迫り、スポーツも自粛だしジムも自粛なのにオリンピックだけ通常通りやろうとするのって、やっぱりおかしいですよね。

悪いことは言わないから2020年の東京オリンピック・パラリンピックは返上すべきだって2013年からずっと口を酸っぱくして訴えてるんだよ

口を酸っぱくして訴えてきた7年間をたどれるリンク、下のほうに貼っておくので興味があったら見てください。あっけなく延期になって、このままだと来年の開催も立ち消えになりそうだから、ちょっと拍子抜けしているところです。

オリンピックに人間軽視という競技があれば日本は確実に金メダルだよ

3月24日に某オリンピック代表選手に取材をしたら、延期なのか中止なのか予定通り開催するのか決めずにズルズル引き延ばされているのがツライといってました。ピークをいつに設定して練習すればいいか、わからないからです。その晩、延期が決定しました。どれくらい延期するのか、その時点では明確にされませんでした。一事が万事こんな感じで、人間軽視は世界の中心で輝いています。(何か国かすでに、今年7月開催なら危険だから選手をオリンピックに派遣しないと発表していて人間重視ぶりを示しました)

遅々としてマスクも検査も行き渡らないこの状況を見てるとね、ワクチンなり治療法なりが1年以内にもし確立されたとしても全然みんなに行き渡らないから1年後オリンピックなんか開催できないと思うよ

マスクについて先月は6億枚、今月は7億枚の増産体制を整えたと官邸が名言したのに結局ぜんぜん行き渡らないので、4月にアベノマスクを各戸に2枚ずつスピード感をもって郵送すると発表したわけですが、5月になっても東京都の一部にしか配達されず、他の46道府県には秋までかかって届くかどうか。ゴミや髪の毛が混入したりカビが生えたり、そんな行政能力しかなくて残念だと思っていると、そこにも裏金を中抜きする寄生虫が蔓延していた。コロナより恐ろしい。

東京都は新型コロナウイルス感染者の確認数を1日ごとに小出しに記録更新させてるけど東京オリンピック延期が決まるまで抑えに抑えて発表してたから不自然じゃないよう辻褄を合わせるのに必死だよ、外出自粛の要請はそのために都民と近隣の県民を利用してるだけのお話さ

これが3月29日で、オリンピック延期決定から緊急事態宣言までの数日間の話です。みるみる感染者数が増加して、いままで隠蔽してたのかって伸び率でした。緊急事態宣言が解除される前は、これまた極端に感染者数が減少しましたね。検査数をはっきり言わないから、まるで本当に感染者が減ったかのようでした。

森友の件で官僚を自死させた行政の長は猛暑のオリンピックで人が死ぬのを1年先に延ばした代償にコロナで自粛を強要して官僚ではなく民間の自己破産や自死を量産するよ

補償なき自粛要請……諸外国が速やかに国民への補償を支給したことを当然わかってなきゃおかしいんだけど、日本がいちばん手厚いという意見をカンニングしながら述べた総理は諸外国の状況、本当に知らないみたいです。驚きました。国のトップがネトウヨ程度の認識しかない。

行きあたりばったりで日露戦争に勝ったことが日本の滅びにつながっていまもオリンピック禍やコロナ禍の行きあたりばったりが横行してるけど、新聞が批判を差し控えるのも日露戦争から変わらない……そうなったのは批判する新聞を買う人が日露を境にいなくなったからで、これは先祖代々の自業自得だよ

見たいことしか見ないし、見たくないことを指摘されると非国民として誹謗中傷する。いまに始まったことじゃないので、これが前世紀から培われた国民性なのでしょう。八甲田山、インパール、東京2020オリンピック、新型コロナウイルス。おなじ轍ばかり。

おかしな校則に縛られて生徒が生徒を取り締まるバカらしさを10代の頃に眺めながら、大人になったらこんな茶番とおさらばできると思ってたけど、東京オリンピックとコロナに対する世間の反応を見たら中高生といっしょだね

コロナ感染が日本中に広まったのは東京オリンピックを予定通り7月に開催しようと一致団結して2月・3月まで粘った人たちのせいだから同じ口でステイホームを称揚するのを見ると黙って自粛してろと思うよ

それでもオリンピックだけは金のために開催しようと必死だよ、金は Gold じゃなくて Money のほうね

寄生虫を肥え太らせるだけだから延期じゃなくて中止にしたらいい、というよりもう廃止にしたらいいんじゃないだろうか。時代が変わったんだから。ここまでが、今年5月までのつぶやきです。長くなったので6月、7月のつぶやきは眠らせます。さて、2021年の7月には東京2020オリンピック(名称変更なし)が予定通り開催されるか、されないか? いずれ振り返る機会があるかもしれないし、ないかもしれません。

関連記事:  いよいよ2020

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はつ恋の失敗

2020年07月19日 | サカタだよ

人通りのないシャッター街のうす暗いところで目立たないように店を開いている本屋さんに迷い込んだ私は、がらんとした店内でひとりきりレジのおじさんと目が合ってしまい、何も買わずに店を出ることができなくなったので新潮文庫のツルゲーネフ『はつ恋』をしかたなく購入したのでした。

学生のころに読んでべつに何とも思わなかったその小説をあらためて買ったのは安いから(本体価格400円+消費税40円)にすぎず、ちっとも興味なかったけど買っちゃったから読みました。16歳のウラジミールが、21歳のジナイーダに恋する時点でそんなもん、うまくいくわけなかろうもん。

35ページの第7章を読み始めると「きっか□□時に」と文字がつぶれており、つぎの行でも「不思議な目□□□□をじろりと見る」と文字がつぶれているのでした。「じろりと見る」の「見」も消えかけています。これは何だ? どういうんだ? と引っかかった私は、すぐに奥付を見ました。

奥付とは本の奥(最後のページ)にある、こういうのです。昭和二十七年に初版が出て、昭和六十二年に版がつぶれるか何かして改版で七十三刷、それから令和元年の百四刷まで年1回ぐらいのペースで増刷してる。その間にまた版がつぶれて読めなくなったか。

それにしては他の字がつぶれてないし、いまどき活版でもないだろうから活字がつぶれることもなさそう。刷版にゴミでもついたか? はつ恋の行方より印刷ミスのことに興味を強く引かれたので、同じツルゲーネフ『はつ恋』の令和元年百四刷が全部□□□って読めなくなってるか、本屋さんへ確認しに行きます。

最寄りの書店にツルゲーネフ『はつ恋』がなかったので、しかたなく区立図書館に行ってみると平成二十年の百一刷があり、ちゃんと該当箇所が読めました。「きっかり八時に」「不思議な目でわたしをじろりと」と書いてあります。読めてしまえば、どうということはない。しかし発見もあります。

つまり、百一刷の時点では字がつぶれてなかったこと、年1回ぐらい定期的に増刷してたわけではなく昭和の終わり平成の初めごろは年に数回だったのが最近は10年ほどで3回しか増刷してないこと……以上があきらかになりました。ツルゲーネフだんだん読まれなくなってるんですね。

いよいよ百四刷を確かめねばと思い、神田の三省堂に行ってみると令和元年百四刷がありました。書店で本の写真を撮るのは差し障りがあるので、わざわざ購入して家で撮影したのがこれです。「きっかり八時に」も「わたしをじろりと見る」もつぶれてない。いや、「きっかり八時に」は消えかけ。百四刷でやはり何らかのトラブルがあり、そこに程度の違いがある以上は無事なのも、ひどいのも、世の中に出回って読まれるのを待ってる。そういう状態であることが何となく察せられました。

関連記事:   奥付の鑑賞

 

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電話ボックスから

2020年07月15日 | サカタだよ

電話ボックスを最後に使ったのはいつだろう。携帯電話を手に入れる前後だとしたら四半世紀ぐらい昔かもしれない。近ごろは見かけることも少なくなった。探せばあるんだろうけど必要としてないから目に入らず、この世から消えてなくなったのではないか? という気がしなくもない。

そんな電話ボックスのかたわらに支柱があって、金属の支柱を左手で握り、右手ですぐそばの地面をさわると痺れる感覚があった。小学校3年生か、4年生ぐらいの頃のことで、公衆電話のボックスの中で通話をした経験があったかどうかわからないがビリビリ痺れる遊びだけは毎日のようにしていた。

どうして痺れるのかわからなかった。左手から右手に電気が流れるのか、右手から左手に電気が流れるのか。支柱または電話ボックスから漏電してるかもしれないと思いながら、脳を含む上半身の痺れに身を任せるのが面白くて、友達のケンジくんと放課後ずっと痺れて遊んだ。

それがいけなかったのかもしれない。奇妙なことが起きた。電気が充填されたせいか手で触れなくても物を動かすことができるように、いつのまにかなっていた。テレビで怪しい人が女性をイスに座らせて、自分の両腕をグルグル糸車のように回すと女性の両腕がだんだん持ち上がってきた。それと同じことを、ハンガーにかけた服に対してできるようになった。

袖が持ち上がり、こちらに伸びてくると信じてハンガーにかけた服の前でグルグル糸車のように腕を回すと、まるで糸で引いたように衣服の袖が持ち上がった。引っ張る手ごたえを感じた。ケンジくんに手本を示して、試しに同じことをやってもらったらケンジくんも服の袖を引き上げることができた。

手を触れないで物を動かす能力。どういう原理かわからないが、ぼくもケンジくんもできる。電話ボックスから(あるいは金属の支柱から)パワーを得たのかもしれない。この力を伸ばすともっと何かに役立てられるかもしれないが、そうすることは危険な気がして力を封印することにした。

いまも同じことができるかどうかわからない。封印した力をぼくが使ったことはないが、転校したケンジくんは何かのときにパワーを使ったかもしれない。忘れていたパワーのことを思い出したのは、新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出て何もすることがなく退屈だったときのこと。

試してみて袖が持ち上がったら怖いから、まだやっていない。やりかたは覚えているので、その気になればいつでも試せるんだけど、持ち上がらなかったら残念なので試す気になれない。持ち上がってほしいのか持ち上がらないでほしいのか自分でもわからなくなってきた。

そのうち気が向いたら試してみて、袖が持ち上がらなかったときは電話ボックスのそばにある金属の支柱を左手でつかみ、右手で地面に触ってビリビリ痺れることでパワーを充填すればいいと思っている。実は呪文もあるのだが、それは危険なのでここに書くことができない。

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もう済んだことPart2

2020年07月08日 | サカタだよ

だいたい1か月前の6月10日になんとなく更新した「もう済んだこと」より、さらに1か月ほど

時間をさかのぼる、とっくの昔に済んだことです。日付でいうと3月10日……いまにして思えば

新型コロナウイルスのおかげで外国人モデルを撮影できなくなる前の、自分にとって最後のロケ

になりました。神奈川県某所のジムで18時までに筋トレ撮影を終えるべく、13時までに到着して

セッティングやメイク・着替えなどを行い、14時から撮影すれば10ページどうにか撮れるかな?

という時間の読みでした。

正午前に編集部を出発したロケバスは順調に神奈川県某所へ向かっていました。ところが大師を過ぎた

あたりでピタッと車両が動かなくなったのです。反対車線は東京に向けてスイスイ流れてます。これは

事故渋滞かな? スマホで検索してみると、やっぱりそうみたいで「最大29分の遅れ」と出ています。

それぐらいなら何とかなるかな? と思ったのが甘かった。

雨も降ってきました。ロケはジムだから天気は関係ないとはいえ、30分ほど同じ景色を眺めながら

雨が強くなるのを見つめていると何とも憂鬱です。そろそろ30分かなと思って道路状況をチェック

したら、さらに最大59分の遅れが見込まれるとのこと。なぜ29分とか59分と刻むんだろう。いや、

それより先ほどの「最大29分」より3倍の遅れが見込まれるとは。

モデルが退屈して寝てしまいました。先刻、Traffic Jam…と片言の英語で伝えたら、フランス人

だけど気さくに「わかってる」みたいな顔してたものの、さすがに疲れた様子。まあ寝ててもらう

として、到着が1時間半かそれ以上も遅れると撮影のタイムリミットの18時までに終わらなくなる

かも。場所もモデルも時間に制約あるから、スタートがズルズル遅れると挽回するのが大変になる。

といって焦ると10ページ分、カット割を間違えて「つながらない」撮影になるのも困る……2時間、

3時間の遅れになったらアウトだな! なんて考えてたらクルマが流れ出し、結局15時から18時の

3時間で10ページ間違えることなく撮影しましたとさ。

 

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ありそでなかった

2020年07月01日 | サカタだよ

最近からいものを口にしてばかりなので、あまいものを食べてバランスとったつもりが、そんなバランスなかった。

 

運動不足でうずく筋肉にごほうびを与えようとジムにやってきたが、そんな筋肉なかった。

 

膝に爆弾を抱えて走るわけにもいかず、かといって運動しないとストレスが溜まるのでバイクを漕ぎにきてみたが、そんな爆弾もストレスもなかった。

 

コウモリを食べたのが原因じゃなくて、開発中のウイルス兵器が漏れて拡散したせいで世界中たいへんな騒ぎだけど隠蔽と買収の結果そんなウイルス兵器なかった。あくまでコウモリ食ったやつのおかげでオリンピックが延期になった。

 

ぼくには叔父の愛人の娘の友達の従兄弟がいて春に熱が出て病院で検査を希望したのに受けさせてもらえず自宅で死亡して、どういう忖度によるのか新型コロナウイルスではなく普通の肺炎として処理されて悔しい思いをしたが、そんな叔父の愛人の娘の友達の従兄弟いなかった。

 

ここにジャーナリストがいるのを知らずに浅いジャーナリスト論を語る輩がいるのでスマホで写真を撮ったけど、ここにいるのはジャーナリストじゃなかった。ファッションエディターだった。それも違った。面白おかしいことが好きなだけの、おっちょこちょいのすっとこどっこいだった。

 

2020年4月1日、補償なき自粛要請でずーっと家にいることに飽きてきたけど自分の家じゃなかった。愛人の家だった。それも違った。じゃあ何なのかは企業秘密!

 

体力と功名心は異常にあるから東京オリンピックで必ずメダルを獲ろうと胸に誓って厳しい練習に耐えて耐えて耐え抜いたのに、そんな東京オリンピックも体力も功名心も厳しい練習もなかった。

 

仕事に嫌気が差したので近くのカフェでカプチーノ頼んで桜の花とハート描いてある汁をズズズと吸い込む……そんなどうでもいい午後もまた掛け替えのない時間だったって悟りそうになったけど、そんな悟りなかった。日陰の桜は持ちがいいのを見て、外出を自粛しカフェにも行かず花見もしない人ほど長生きならどんなにいいかと思ったけど、そんな理屈が通る状況では最早なかった。

 

ひきこもりが編集仮面かぶって飛び回るような仕事ばかりやってきたから全部ストップしたら仮面を脱いで元のひきこもりに戻ればいいやと思ったけど、そんな仮面なかった。自分の顔になってた。

 

緊急事態宣言が出される前日も当日も、何も変わらなかった。感染リスク大と目の敵にされた居酒屋はどこも閑古鳥で、人と人の間が2mどころか5mはあいており、そんな感染リスクなかった。通勤電車はあいかわらず超満員で濃厚接触が止まらず、居酒屋にでもいるほうがまだ安全だった。

 

おい! ゴールドジムまで休業したら、これから先この筋肉どこで鍛えろっていうんだい? と緊急事態宣言の下で自問自答しても、そんな筋肉なかった。

 

取材して記事を書くのが好きなだけのニセ編集者をずっと続けてたら他のことが一切できない廃人いっちょう上がり……と新型コロナウイルス感染者の出た勤務先からロックアウトされた日に自分自身をイメージしてみたが、ニセ廃人に過ぎなかった。変な俳句ひねるニセ俳人でもあった。たとえば
 
 コロナかな 来るなといわれ 重症化
 
 オリンピック パンデミックで 五輪終
 
 ウイルスが 株安まねく アベノミス
 
 高輪の ゲートウェイから Get Away!
 
 サクラサク 雪は舞い散る サクラチル
 
 散る桜 ながめて思う 散る日本
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