サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

些細なこと

2020年04月15日 | サカタだよ

取材や撮影であっちこっち行くのが好きなんですね。毎日のように編集部にいくのが億劫なのは

どこか他のところへ出かけて些細なことに感興をおぼえたい。ただそれだけなのかもしれません。

その場かぎりで忘れてしまうようなこと。ある日スタジオにいくと20年以上ずっと変わらなかった

コーヒーのカップが三角錐の白いプラスチックから紙コップに変わっていました。たぶんコストが

いくらか安いんでしょうね。それとも環境に配慮したのか……しかし紙パルプだって無尽蔵にある

わけじゃないから、森林破壊のことを想像するとプラスチックより環境に悪いかもしれません……

プラスチックそのまんま海に流したりしなければ。

取材や撮影に出向いたところで些細なことや、余計なことを気にしていると生きている実感がわく。

決まりきったことをしてると飽きるんですね。取手と牛久の間の佐貫という駅からバスで20分ほど

のところにある流通経済大学まで、生まれて初めていったとき、佐貫駅前に横断幕が張られていて、

「祝・龍ヶ崎市駅に駅名改称」みたいなことが記されていました。初めて降り立った土地の名前が

もうすぐ変わってしまう……まだ、ちゃんと覚えてないのに今度くるとき違う駅名に変わっている

と思うと、どんどん地上から居場所がなくなるような切なさを感じます。取材や撮影をしながらも

そのことがずっと頭にあると、聞いた話がなぜか記憶によく残るから不思議です。

深川スポーツセンターというところに生まれて初めていったとき、門前仲町から5分かそこら歩いて

ライターさん・カメラマンさんと現地集合し、仕事を終えるとカメラマンさんは門前仲町のほうへ。

ぼくとライターさんは月島まで歩いて有楽町線で編集部に戻ることにしました。月島の駅の前には、

たかさごという有名な肉屋さんがあり、ローストビーフや焼き豚などがおいしいと評判です。数年前

ロケで通りかかったときは行列ができていたし、ロケ中で買えなかったけど今は編集部に戻るだけ。

「買っちゃう?」

「買っちゃいましょうか!」

素通りしかけた店に戻り、ぼくはローストビーフの薄切りを何枚か、ライターさんは焼き豚を十数枚、

晩酌のおともに買いました。最寄り駅から編集部に向かう途中、行列のできるラーメン屋さんがあり、

いくらおいしくても並んでまで入りたくないと見解が一致。しばらくして、

「焼き豚のほうが絶対おいしいと思いますよ」

と、行列のできるラーメンより自分たちの買った肉のほうがおいしい的なフォローをぼくが入れると、

ライターさんはギョッとした顔で

「どうして?」

と聞きます。なんだろうこのリアクション……食べられないラーメンより食べられる肉のほうがいい

と見解が一致するかと思ったのに、ラーメンのほうがいいのかな? と考えてたら、ライターさんが

「だから焼き豚も買ったほうがいいんじゃない? って聞いたのに」

「ああっ、そうじゃなくてラーメンより肉がいいっていったんです」

「何だ、ローストビーフより焼き豚がいいっていったのかと思った」

「それだと急に『焼き豚をよこせ!』と迫るみたいで怖いですよね」

「オレの焼き豚を差し出さなきゃいけないかと思うと恐怖だね……」

「ぼくはローストビーフのほうがいいから焼き豚に手は出しません」

その夜ビール飲みながら食べたローストビーフは素敵においしくて、「焼き豚のほうが絶対おいしい

と思いますよ」と歩きながら突如いいだした編集者に焼き豚を狙われていると感じたライターさんの

胸中を想像すると、こういう些細なサスペンスが面白いんだよなあと、ビールが進みました。

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