A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1210 『フランシス・ベイコン : 対談』

2016-07-31 22:42:18 | 書物
タイトル:フランシス・ベイコン : 対談ミシェル・アルシャンボー
別書名:Francis Bacon : Entretiens avec Michel Archimbaud
著者:ミシェル・アルシャンボー
訳者:五十嵐賢一
装幀:CANARIA VOICE DESIGN
発行:東京 : 三元社
発行日:1998.1
形態:140p, 図版4枚 ; 21cm
注記:年譜: p132-134
   参考文献: p135
内容:
今世紀もっともセンセーショナルな作品を残した画家ベイコンの、はからずも死去直前に行われた対談。本書の対談テクストに、D・シルベスターらベイコン研究者によるインタヴューや親しい人々の証言を対照させ、最新のベイコン研究の情報を網羅した詳細な訳注を付加。ベイコンの主要作品とともに、ピカソをはじめその作品創造に影響を与えた絵画・写真をあわせて収録。

目次

口絵
対談についてのノート
謝辞
対談1
対談2
対談3
年譜
参考文献
訳者あとがき

購入日:2016年7月29日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 嶋春香展(2016年8月2日〜8月14日、Gallery PARC)の参考文献として購入。タイトルが「MEET / MEAT」と題されていて、「肉」といえばフランシス・ベイコンの絵画を思い出す。ベイコンの本で有名なのはデイヴィッド・シルヴェスターの『肉への慈悲―フランシス・ベイコン・インタヴュー』だが、こちらは古書でも値段が高く、買うのに躊躇する。幸い図書館で所蔵していたが、本書は例によって京都府・市の図書館に所蔵がなく購入。


未読日記1209 『言葉からの触手』

2016-07-30 23:58:48 | 書物
タイトル:言葉からの触手 
シリーズ名:河出文庫
著者:吉本隆明
カバーデザイン:菊地信義
カバーフォーマット:佐々木暁
発行:東京 : 河出書房新社
発行日:2003.12新装版(1995.8初版)
形態:132p ; 15cm
内容:
「この断片集は、言ってみれば生命が現在と出会う境界の周辺をめぐって分析をすすめている。そしてこのばあい境界を出会いの場にしているのは言葉だとみなされている」(あとがきより)
——戦後最大の詩人にして思想家・吉本隆明の現時点で最新の詩業。"「戦後詩」の夢の実現”と評され、詩人=思想家としての核心を示す思索の孤高なる結晶。

目次

1 気づき・概念・生命
2 筆記・凝視・病態
3 言語・食物・摂取
4 書物・倒像・不在
5 思い違い・二極化・逃避
6 言葉・曲率・自由
7 超概念・視線・像
8 思考・身体・死
9 力・流れ・線分
10 抽象・媒介・解体
11 考える・読む・現在する
12 噂する・触れる・左翼する
13 映像・現実・遊び
14 意味・像・運命
15 権力・極・層
16 指導・従属・不関
あとがき
解説 吉本ばなな

購入日:2016年7月27日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 嶋春香展(Gallery PARC)の参考文献として購入。嶋春香はこれまで筆致(Touch=さわる、触れる、手触り、関わりを持つ)をテーマにして絵画を制作してきたという。そこで、思い出したのが「触手」という言葉をタイトルにもつ本書であった。本書を知ったのは、昨年に岐阜・frontにて開催された「something is beyond: vol. 1 伊藤正人」であった。会場で伊藤正人氏が選書した本が並べられており、その中に本書が含まれていたのである。どれも魅力的な本が並んでおり、いつか読もうと書名を控えておいたが、1年後にようやく読むことができそうだ。内容は、絵画とは関係がないが、座標軸として異なる視点は持っていたい。


未読日記1208 『きみを嫌いな奴はクズだよ』

2016-07-29 23:38:00 | 書物
タイトル:きみを嫌いな奴はクズだよ (現代歌人シリーズ12)
シリーズ名:現代歌人シリーズ ; 12
著者:木下龍也
装幀:佐々木俊
発行:福岡 : 書肆侃侃房
発行日:2016.5
形態:138p ; 19cm
内容:
この歌集は余白ばかりで、言葉が寂しそうだ。
それならいっそ俺に下さい。
曲を付けて音楽にしてしまいたい。
それ程に素晴らしい。
   ―― クリープハイプ 尾崎世界観

目次
旧作の夜  
有名税  
ひとりで踊れ  
きみを嫌いな奴はクズだよ  
無色の虹  
理想の墜落場所  
小道具の月  
雲の待合室  
僕の身体はきっと君にふれるためだけにある  
六角形の回廊  
おまえを忘れない
あとがき

購入日:2016年7月27日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 職場に届いた『小原流挿花』2016年7月号をめくっていたら、本書の書評が載っていた。興味深いタイトルなので書評を読んだら、これまでの歌集とかなり異なる短歌のようで興味が湧いた。職場では嫌われているので、さっそく仕事帰りに購入。短歌は石川啄木ぐらいしか読んだことがなかったが、本書は疾走感と孤独感がないまぜになった可笑しみに満ちていて、おもしろかった。短歌って、こんなに自由なのか。すばらしい。本書を嫌いな奴はクズだ!



未読日記1207 『TOKYO WONDER SITE ANNUAL REPORT 2015』

2016-07-28 23:21:03 | 書物
タイトル:トーキョーワンダーサイトアニュアル 2015
タイトル別名:TOKYO WONDER SITE ANNUAL REPORT 2015
       トーキョーワンダーサイトで開く可能性の扉:Meets TWS
監修:今村有策
編集:一般社団法人ノマドプロダクション(橋本誠|及位友美|佐藤恵美|高橋尚子)
   トーキョーワンダーサイト(伊藤まゆみ|市川亜木子|藤井宏水)
翻訳:アンドレアス・シュトゥールマン、アンドリュー・マークル
撮影:加藤健、川久保ジョイ、河田浩明、近藤愛助、須田俊哉(bloomy)、高橋健治、ただ(ゆかい)、一般社団法人ノマドプロダクション、トーキョーワンダーサイト
デザイン:岡部正裕(株式会社ボイズ)
発行:東京 : 東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト
発行日:2016.7
形態:159p ; 21cm
内容:
Meets TWS
ドキュメント
レビュー
施設案内

頂いた日:2016年7月27日
 トーキョーワンダーサイトよりご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。
アニュアルレポートというと硬い内容が多いが、本書は雑誌風にデザインされてわかりやすく、読みやすい。また、公募や展覧会の審査員によるレビューが掲載されているのもが何よりいい。会場配布テキストは、見に行かれなかった時には参照することができないので、書籍に収録されるのはとてもすばらしい。
ちなみに、本書はトーキョーワンダーサイトのウェブサイトでダウンロードできる。

未読日記1206 『増補版 ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論』

2016-07-27 19:41:09 | 書物
タイトル:ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論
タイトル別名:Gerhard Richter Texte : Schriften und Interviews
著者:ゲルハルト・リヒターほか
訳者:清水穣
企画:ワコウ・ワークス・オブ・アート
アートディレクション:秋田寛
デザイン:アキタ・デザイン・カン 森田恭行、小田嶋亮
発行:京都 : 淡交社
発行日:2005.8
形態:279p ; 22cm
注記:原著の抄訳
   初訳初版 (1996年刊) に新たなインタヴューや図版を加え、再編集したもの
内容:
ロバート・ストアほか最新の対談とカラー図版を収録した完全リニューアル版!
不滅の絵画とは—世界最高峰の画家が語る芸術論

ゲルハルト・リヒター。
1932年旧東ドイツ、ドレスデン生まれ。1961年西ドイツに移住。現代美術にもっとも影響力をもち、世界最高峰と評される現代ドイツを代表する画家。

1993年〜94年、大規模な個展がドイツ美術センター、パリ市立近代美術館などを国際巡回。その後も、ニューヨーク近代美術館での回顧展(2002年)をはじめ、毎年世界の有名美術館で個展が開かれる。2005年、日本初の回顧展開催(金沢21世紀美術館、川村記念美術館)。

リヒターの作風は、写真を描いたフォト・ペインティングから抽象絵画、鏡から色パネルまで多岐にわたるが、その問題意識は一貫して写真性と光をめぐっている。写真性と光は絵画とどのように関わりあうのか、本書はその40年分のドキュメントでもある。

本書は、1996年刊行の『ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論』に、新たなインタヴューと1996年のノート、および本文で言及されている作品図版を加え、再編成された。
[新収録]
ロバート・ストアによるインタヴュー(2001年)
ヤン・トルン=プリッカーによるインタヴュー(2004年)
ヤン・トルン=プリッカーとの対話『WAR CUT』をめぐって(2004年)
ベンジャミン・ブクローによるインタヴュー(2005年)

目次

作品 1966〜2004
第1章 インタヴュー 1972〜1993
 ペーター・ザーガーによるインタヴュー(1972年)
 アミーネ・ハーゼによるインタヴュー(1977年)
 ベンジャミン・ブクローによるインタヴュー(1986年)
 ヤン・トルン=プリッカーとの対談(1989年)連作《1977年10月18日》をめぐって
 ヨナス・シュトルスフェによるインタヴュー(1991年)
 ハンス=ウルリッヒ・オブリストによるインタヴュー(1993年)(抄録)
第2章 インタヴュー 2001〜2005
 ロバート・ストアによるインタヴュー(2001年)(抄録)
 ヤン・トルン=プリッカーとの対話(2004年)
 ヤン・トルン=プリッカーによるインタヴュー(2004年5月)『WAR CUT』をめぐって
 ベンジャミン・ブクローによるインタヴュー(2005年1月11日)(抄録)
第3章 ノート1962〜1992

訳者あとがき

購入日:2016年7月27日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 嶋春香展(Gallery PARC)の参考文献として購入。嶋が写真をもとに絵画を描くことから、ゲルハルト・リヒターにインタヴューをまとめた本書を思い出した。旧版は実家にあったが、増補版が出ているので京都府・市の図書館で探したが、1996年の旧版しか所蔵していない。仕方なく、古書で探して購入。

memorandum 334 自分の時間

2016-07-26 23:22:20 | ことば
 仕事や家庭に、自分の時間がとられることは絶対にない。人生における有意義な時間の過ごし方とは、仕事と家族に多くの時間を当てることを言うのだ。元来、他のものが奪うことができないから、「生きている」という固有の自分の時間がある。仕事をしている時と、家族といる時が、共に一番有意義な自分の時間の使い方だとわかれば、人生の諸問題に種々の光明が見えてくる。私もほとんど一日中、会社で時を過ごしているので、以前、人からよく自分の時間があるのかと質問を受けた。あるもないも、すべて自分の時間である。仕事や他者のために費やしている時間も、すべて自分の時間なのだ。
執行草舟『生くる』講談社、2010年、173頁。


私は「仕事や他者のための費やしている時間」こそ自分の時間だと思っていた。どうやら一般的には違うらしい。
勤め人ならば週に5日8時間仕事をする。それも自分の時間であることは間違いない。だから、どう過ごすのか、どういう人間と関わって生きるのか考えてきた。
とはいえ、職場の上司・同僚や学校の先輩・同級生・後輩などは自分では選べないから、人間関係の出会いのミスマッチが起こりえることはあるが。

memorandum 333 作用反作用の法則

2016-07-25 21:32:13 | ことば
我々が生きるこの世には作用反作用の法則がある。つまり、我々が人生において、何かを成し遂げようとすれば、必ず反対側からは、それをさせまいとする同等の力がかかってくる。一般的に、これを壁と言っている。これは必ず来る。もともと、この世界の成り立ちの物理的真実だから、この反作用があって当たり前なのだ。なければ、この世ではないことになってしまう。このような当たり前のことを、我々はいつでも壁として悩んでいる。
 なぜ悩むのか。それは、この反作用がない世界があると思っているからに他ならない。もしあるとすれば、それこそ天国もどきの絵空事である。あえて断言する。そのような世界は決してない。

執行草舟『生くる』講談社、2010年、157-8頁。


「壁」があると感じるのは、何かを成し遂げようとする力の反作用である。つまり、作用していると思えば、少しは動いているということか。

memorandum 332 自信

2016-07-24 23:39:30 | ことば
 自信とは自ら持つものではなく、他者から与えられる一つの評価基準を言う。自分が持つものではなく、他人が持つ思いなのだ。
 この他人が感ずるものであったことが、現代では忘れ去られている。自信とは、何事かに一途に向かっている人、または何事かを成し遂げた人に対して、あの人には自信がある、と他人が勝手に思う気持なのだ。

執行草舟『生くる』講談社、2010年、135頁。


自信は持たず、ひたむきに生きること。自信を持たないほど、生きるのが軽くなる。

著者の論は以下に続く。

「もともと、自信を持つことなどは誰にもできない。また持つ必要もない。大切なことは、他者から見て自信のある生き方をすることにある。目の前に置かれた状況に全身全霊ぶつかっていく。その結果、次々と展開される事態に対して、どんどん体当たりしてぶつかっていく。後を振り返らずに、前進する。現在が如何に納得できず、自分の考えと違っていても、一切かまわずぶち当たって、より良いと思われる方向に向かっていく。」
上掲書、135-136頁。

「失敗したら、次には失敗しまいと思って進む。成功したら、成功の中にある不満足な点を見つけ出して改革していく。何が起こっても、自信など持たずに進んでいく。初めから自信など持たなければ、決して自信喪失はない。いかなる不満があっても、乗り越えればよい。乗り越えられなければ、次に乗り越えようと思う。前進前進、改革改革、創意創意、工夫工夫。いつでも今が出発である。目の前の現状にとにかく立ち向かう。あとは人生が解決してくれる。これを続けていれば、自分のことを自信がある人だと、他者が見てくれる。自信など持とうとしなければ、この生き方は誰にでもできる。
 自信を持とうとしている人は、本当は他人を羨んでいるのだ。他人と比較して、自分をえらいものだと思いたがっている。つまり、卑屈なのだ。ただ一途に、ひたむきに生きようとするものにとって、最も障害となるのが他人との比較である。比較が傲慢と卑屈を生む。ひたむきな生き方は、自分に与えられた環境を全面的に受け入れれば、誰にでもできる。自信などまるっきり必要ない。それどころか邪魔でしかない。そんなもののために、如何に多くの人が足踏みしているか。 
 自信のような、馬鹿げた観念に縛られていなければ人生はどんどん前進できる。自分は決して縛られてはならない。縛られなければ、結果として、他者から見て自信のある人生となる。人生にとって最も大切なひたむきさが、自信を持てば失われてしまう。」
上掲書、136頁。



memorandum 331 生計

2016-07-23 21:58:34 | ことば
生計というのは、稼ぐことより、むしろ消費の問題なのです。何を必要として生きたいのかを知ることなのです。
マルセル・デュシャン、ピエール・カバンヌ『デュシャンは語る (ちくま学芸文庫)』岩佐鉄男・小林康夫訳、筑摩書房、1999年、173頁。


生計というと稼ぐ手段・方法・職業を考えてしまう。私は何をしたいのか、何で生計を立てていくべきかと。
それも大事ではあるが、何を必要としているのか、何を消費したいのかを知ることも生計であると考えるべきだろう。

memorandum 330 呼吸

2016-07-22 23:50:45 | ことば
仕事をしたいと思っていたのかもしれませんが、私には途方も無い怠惰が根底にあるのです。働くことよりも生きること、呼吸することのほうが好きなのです。私がしてきた仕事が、将来、社会的な観点からみて、何か重要性を持ちうるとは考えられない。だから、こう言ってよければ、私の芸術とは生きることなのかもしれません。各一瞬、各一回の呼吸が、どこにも描きこまれていず、視覚的でも頭脳的でもない作品になっている。それはある種の恒常的な幸福感です。
マルセル・デュシャン、ピエール・カバンヌ『デュシャンは語る (ちくま学芸文庫)』岩佐鉄男・小林康夫訳、筑摩書房、1999年、148頁。


私も怠惰な人間なので、働くより呼吸することの方が好きである。芸術家は、生きることが芸術になるからいい。