A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 575 限界

2017-10-31 22:14:03 | ことば
 些か教訓的な物言いをすれば、大人とは大人の限界を教える者にほかならず、親や教師もまた親や教師としての限界を教える者でなければならない。さもないと、子供の問う行為が際限なく答えを要求することでしかなくなってしまうからである。大人や教師による答えの終わりなき供給が、むしろ子供を大人に答えを要求する者の地位に固定してしまうのであり、延いては大人になるということがおのれの問題の探索者になるということであることをも完全に見失わせることになってしまうのである。というのも問題は他者に求めて得られるものではなく、ただ二重に専心するより他にないものなのだから。二重と言ったのは、問題の探索に関する専心が同時に問題そのものへの専心でもありうるからである。親の限界や教師の限界を知る時、子供は大人になる決意をするのだが、時を同じくして、彼らは親や教師に聞いても得られないものを得ようと問題の探索を始めたり、問題に独力で専心し始める。

澤野雅樹『不毛論 役に立つことのみじめさ』青土社、2001年、27頁。

大人になるとは限界を知ること。

memorandum 574 不安

2017-10-30 23:44:55 | ことば
われわれは、不安にとりかこまれていることをよく知っているし、またそれについてのべつ聞かされているから、絵画——衰退した——がキャンヴァスのなかで力を込めて不安を描いてみても、それに感動したりしない。

藤枝晃雄『現代美術の展開』美術出版社、1977年、26頁。

絵画は希望であってほしい。

memorandum 573 無償の労力

2017-10-29 23:33:29 | ことば
僕は、無償の労力こそが美に近い部分もあるなと思ってるんです。だって、美術が人類に必要かというと、よくわからないじゃないですか。進化心理学的には、生存に有用だというものではない。自然環境で生存するには、本質的に芸術も文学も要らないものではないですか。その「無意味さ」こそが芸術の本質であり、それはきっと、人類にとって何かの本質に触れていると思う。

藤田直哉編・著『地域アート 美学/制度/日本』堀之内出版、2016年、419-421頁。

無償な存在であること。人間と同じく芸術も存在の「無意味さ」が本質かもしれない。

未読日記1376 『絵画における真理 下』

2017-10-28 23:54:25 | 書物
タイトル:絵画における真理
タイトル別名:La vérité en peinture
シリーズ名:叢書・ウニベルシタス, 591
著者:ジャック・デリダ
訳者:阿部宏慈
カバーカット:ヴァレリオ・アダミ
発行:東京 : 法政大学出版局
発行日:1998.7
形態:384p ; 20cm
注記:原著 (Paris : Flammarion, 1978) の全訳
内容:
カルトゥーシュ
返却〔もろもろの復元〕、ポワンチュールにおける真理の
訳註
訳者あとがき

購入日:2017年10月24日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 内海聖史展テキストのための参考文献として購入。

未読日記1375 『絵画における真理 上』

2017-10-27 23:14:44 | 書物
タイトル:絵画における真理
タイトル別名:La vérité en peinture
シリーズ名:叢書・ウニベルシタス, 590
著者:ジャック・デリダ
訳者:高橋允昭, 阿部宏慈
カバーカット:ヴァレリオ・アダミ
発行:東京 : 法政大学出版局
発行日:1997.12
形態:314p ; 20cm
注記:原著 (Paris : Flammarion, 1978) の全訳
内容:
パス=パルトゥー
パレルゴン
 1 レンム
 2 パレルゴン
 3 純粋な切断の<なしに>
 4 巨大なるもの
+R(おまけに)
訳者あとがき

購入日:2017年10月24日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 内海聖史展テキストのための参考文献として購入。内海絵画を「パレルゴン」の観点から読み解くことはできないかと思いつき、ひとまず手にしてみる。

【ご案内】京都芸術センター通信(明倫art)2017年11月号(vol.210)

2017-10-26 22:47:55 | お知らせ
京都芸術センター通信(明倫art)2017年11月号(vol.210)にて田中真吾個展『Expect The Unexpected』(eN arts)のレビュー「ミニマルアンフォルメル」を寄稿させて頂きました。
ネットで読めますので、ご興味お時間ございましたら、お目通し頂けると幸いです。

京都芸術センター通信(明倫art)2017年11月号(vol.210)
http://www.kac.or.jp/22248/

未読日記1374 『映画 あるいは20世紀の思考装置』

2017-10-25 23:18:19 | 書物
タイトル:映画 : あるいは20世紀の思考装置
著者:越後谷卓司
企画:愛知県文化情報センター
装丁:設楽知昭
デザイン・印刷:方文社
発行:名古屋 : 愛知芸術文化センター企画事業実行委員会
発行日:2000.3
形態:557p ; 19cm
注記:参考文献: p528-531
   年表 『映像メディアの進展と表現の展開』: p532-556
内容:
第一章 様々な映画史
第二章 1920年代 ジャン・ルノワールと前衛映画の時代
第三章 1960年代 アンダーグラウンド映画の時代
第四章 1980年代 ビデオアートの時代、およびそれ以降
第五章 フィルム/身体/アート
第六章 制作の現場/映像をめぐる環境
あとがき
初出一覧
参考文献
〈付録〉年表:映像メディアの進展と表現の展開

購入日:2017年10月22日
購入店:NADiff 愛知
購入理由:
 ナディッフ愛知の閉店セールで見かけて購入。越後谷卓司氏のお名前はよく拝見しているが著書を出されていたとは知らなかった。ISBNもついてなく、入手困難な本かもしれない。内容は、ジャン・ルノワールからビデオアートまで幅広く映画史を縦断する内容。最近、シネフィル熱が再熱してきたところなので映画鑑賞の参考に読みたい。

未読日記1373 『REAR no.40』

2017-10-24 22:47:52 | 書物
タイトル:REAR : 芸術批評誌リア : 芸術/批評/ドキュメント
卷号:第40号「万博から国際芸術祭へ ―あいち発/あいち脱/あいち超―」」
編集:馬場駿吉、高橋綾子、増田千恵、森竹舞、村石桃子、若山満大、大石彩乃
デザイン:田端昌良(ゲラーデ舎)
発行:名古屋 : リア制作室
発行日:2017.10
形態:174p ; 21cm
内容:
○特集【万博から国際芸術祭へ ―あいち発/あいち脱/あいち超―】

・芸術監督が振り返る「あいちトリエンナーレ」  鼎談:建畠 晢×五十嵐太郎×港 千尋
・アート・イベントと地域戦略  尾関利勝
・万博以降のまちづくり  古橋敬一
・あいちの10年:都市と会場  武藤 隆
・あいちと事務局とわたし  清澤暁子
・愛知でアートの仕事をする  内藤美和
・あいちの10年:まちをアートでひらく  吉田有里
・はじまりとつづき  工藤千愛子
・アート格差があるのではないか  海上宏美
・決定的なアートの体験へ  大島寛之
・映画館から遠く離れて  大橋雅之
・隣の愛知へ  金井 直
・ヨソ者による中京圏この10年  三井知行
・「観る・つくる」を超えて―新しい出会いのためのアートエデュケーション  フジマツ
・あいちの10年:2005-2016:現代音楽とプロデュース  水野みか子
・あいちの音楽・パフォーミングアーツをめぐる状況  寺井尚行
・夢中の先に見えたもの  天野めぐみ
・あいちの10年:あいちトリエンナーレと国際展  飯田志保子
・アートと文化人類学―あいちトリエンナーレ2016から―  佐々木重洋
・ラウラの鳥―アートイベントの10年  黒野有一郎
・美術館の現状と課題:あいちの場合  栗田秀法
・新聞メディアの現場から見たこの十年  井上昇治
・トリエンナーレって、何か目指すものなの?  ボギー鈴木
・ブランディングとしての国際展――あいちモデルと未来の観客  対談:拝戸雅彦×藤川 哲
・作家アンケート  青田真也/阿部大介/今村 哲/大﨑のぶゆき/小栗沙弥子/加藤マンヤ/城戸 保/久米亮子/斉と公平太/佐藤克久/杉戸 洋/鈴木孝幸/染谷亜里可/髙橋伸行/田島秀彦/徳重道朗/登山博文/櫃田珠実/文谷有佳里/山城大督/山本富章/吉本作次/米山より子/渡辺泰幸

【批評】
・抽象と具体  尾崎信一郎
・ピエール・シェフェール――ミュジック・コンクレートへの道  水野みか子
・サイエンス・フィクションのヴィジョンに関する覚書:ロンドン・バービカンのSF展  奥畑 豊
・〈追悼〉日本実験映画史における松本俊夫  阪本裕文

【レビュー】
・MAT Exhibition vol. 5 絵画の何か Part2  塩津青夏
・異郷のモダニズム 満州写真全史  若山満大
・ローザス2017に共振する ローザス『ファーズ―FASE』/ローザス&イクトゥス『時の渦―Vortex Temporum』  天野一夫
・スタンディング・ポイントI 「寺内曜子」展/ 「寺内曜子の赤と青」  児島 薫
・Drawing Life/加藤K・栗木清美・松村かおり  西田雅希
・IAMAS ARTIST FILE #05 前林明次「場所をつくる旅」  高橋綾子
・平成28年度学校連携展「上諏訪中学校+源馬菜穂 ―わたしの風景―」  田中由紀子
・APMoA Project, ARCH vol. 20 梅津庸一「未遂の花粉」/波止場 vol.9 梅津庸一×佐藤克久「ネオ受験絵画とモダンフラジャイルペインティングにみる日本の現代美術家の苦悩」/パープルームのオプティカルファサード/パープルーム予備校生のゲル/梅津庸一展「病気になった絵画、あるいは在宅介護と恋模様」  鈴木俊晴
・名古屋市東山動植物園開園80周年記念事業 中村裕太 タイル植物園 熱帯植物の観察術  貴家映子
・アーティストインレジデンス「まちとsynergism」成果展  中村史子
・髙木大地 Narrative Grids/髙木大地 Pattern, Quiet, Repeat, Simple  林 卓行
・山下拓也個展「YEBISU ART LABO」  副田一穂
・清須ゆかりの作家 黒蕨壮彫刻展 木によるリアリティと情念  高橋秀治
・彫刻のアロンジェ―物理的限界を超えて  石崎 尚
・「小野冬黄|展開」/「ぺパクラ展」  横山由季子
・平川祐樹 “Shadow of Film”  越後谷卓司
・不可視のかたち 豊嶋康子  豊嶋康子展  服部浩之
・名古屋造形大学主催展覧会「black, color」  野中祐美子

○トピックス

○バックナンバー

購入日:2017年10月22日
購入店:NADiff 愛知
購入理由:
 ナディッフ愛知の閉店セールで見かけて購入。毎号買っているが、今号は「箕面の森アートウォーク2017」記録集テキストの参考文献としても使えそう。


未読日記1372 『REAR no.13』

2017-10-23 23:50:04 | 書物
タイトル:REAR : 芸術批評誌リア : 芸術/批評/ドキュメント
卷号:第13号「惑う批評メディアの今」
編集・制作:馬場駿吉、高橋綾子、井上昇治、山本さつき、武藤隆、佐藤友美、浜辺由美、増田千恵、安田恵美、樽谷孝子、林清英
デザイン:夫馬孝
発行:名古屋 : リア制作室
発行日:2006.4
形態:82p ; 21cm
内容:
○特集「惑う批評メディアの今」
•〈座談〉:「美術批評とメディア-批評の機能から」 千葉成夫×光田由里×土屋誠一
•〈チャート&コラム〉「名古屋の批評メディア」
•1970年代名古屋の現代美術批評 中村英樹
•「漆黒の馬」 鈴木敏春
•「裸眼」 三頭谷鷹史
•「スリッパとコオロギ」 丹羽誠次郎
•〈インタビュー〉:福住治夫
•『芸術/批評』のこれから 藤枝晃雄
•芸術批評誌diatxt. 森口まどか
•啓蒙的合理性と文化的嗜好 高島直之
•〈インタビュー〉:会田誠 「批評から逃れたい病」
•〈メールインタビュー〉:山本育夫
•批評メディアの過去•現在‐『テオリア』からWEBまで 彦坂尚尚嘉
•芸術の山 山小屋 藤田六郎
•個人としての「批評的」対決を 清田友則+宮田優子
•福岡におけるアート情報•批評メディア 宮本初音
•新聞と美術の断絶‐なぜ今、「リア」なのか 井上昇治

○批評
•もの派‐再考 現代美術の古典化? 拝戸雅彦
•優れたコレクションを創ることは難しい 山田諭
•第6回見世物学会総会記念 大御披露目 見聞記 森本悟郎
•〈レポート〉:追悼イベント:水谷勇夫の心宇宙 磯村みさき
•ドラコーン・フェスティバルを終わって 馬場駿吉

○レビュー
•七里圭「ホッテントットエプロン‐スケッチ‐」  平野勇治
•セントラル愛知交響楽団特別演奏会 和洋融合の響き 小沢優子
•《タナトスA-バッキンガムスタジアム》観戦記 青木正弘
•吉原治良展 山脇一夫
•藤城凡子「ラブレター」「木村直道+遊びの美術」展 高橋綾子
•加納光於展 馬場駿吉
•土から生み出す形 造形の軌跡 加藤清之展 服部文考
•イー・ヨンヒ展 永見隆幸
•山登りの黙示録 井出日出志 Recent Works2003-2005 日沖隆
•染谷亜里可展 金井直
•オルタナティヴ・パラダイス~もうひとつの楽園 外舘和子
•赤塚祐二展 中村和雄
•生川晴子「てのひらの虚空」 山本さつき
•八木一夫 大長智広
•今こそ陰影礼賛 篠原猛史展 刃物やいとう
•第3回豊橋トリエンナーレ 星野眞吾賞展 藤田一人
•Independent イメージと形式‐2005 石崎勝基
•20世紀デザインの異才 ジャン・プルーヴェ 武藤隆
•デジタルアート・ライブパフォーマンス 涌井隆
•額田宣彦「追加」 飯田志保子
•「初期ビデオアート再考」 越後谷卓司
•登山博文展 神山亮子
•絵画の内と外 山崎千恵展 井上昇治
前号訂正
トピックス
バックナンバー
定期購読案内
編集後記

購入日:2017年10月22日
購入店:NADiff 愛知
購入理由:
 ナディッフ愛知の閉店セールで見かけて購入。名古屋の批評メディアの記事が興味深い。



未読日記1371 『橋本倫展「宇宙の忘却」』

2017-10-22 23:00:55 | 書物
タイトル:橋本倫展『宇宙の忘却』
別書名:橋本倫 = Hashimoto Osamu
デザイン・編集 : mysm編集室
発行:大阪 : プラスワイギャラリー
発行日:2017.9
形態:1枚 : 挿図 ; 30×42cm (折りたたみ30×21cm)
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2017年4月8日-29日:プラスワイギャラリー
   タイトルは奥付による
   略歴・出品リストあり
内容:
図版
「瞑想の場としての絵画」橋本倫
略歴
出品リスト

頂いた日:2017年10月20日
 大阪・+Y Galleryにて開催された「北辻良央「全版画―Ⅰ」 1976 - 1988」展を拝見した際にご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
本書は4月に開催された橋本倫展のカタログ。関東時代はなびす画廊などでしばしば作品を拝見させていただいていたが、関西移住以後はなかなかまとまって見れる機会がなかった。この度の展示で久しぶりに作品を拝見したが、すばらしかった。カタログに収録にされた橋本氏のテキストにも深く共感。瞑想の場としての絵画は、展覧会という空間でしか味わえない。