A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 436 絵画とは

2017-01-31 23:38:30 | ことば
 絵画とは、思想を普遍的な形にして表現することである。いわば証拠の提出である。われわれの人生、われわれをとりまく環境についての研究である。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、126頁。

そんな絵画が見たい。

未読日記1272 『この世界の在り方——思考/芸術』

2017-01-30 22:34:39 | 書物
タイトル:この世界の在り方——思考/芸術
別タイトル:The State of this World: Thought and the Arts
シリーズ名:art trip vol.2
編集:芦屋市立美術博物館
撮影:表恒匡
デザイン:吉村麻紀
発行:芦屋市立美術博物館
形態:43p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2016年12月10日-2017年2月12日:芦屋市立美術博物館
内容:
ごあいさつ
〈図版〉
河口龍夫
伊藤存
小沢裕子
前谷康太郎

「この世界の在り方 思考/芸術」をめぐって 河口龍夫
役に立たない立ち方 伊藤存
《私》をずらす 小沢裕子
この世界の在り方 思考/芸術 前谷康太郎

後記 世界の在り方へ 大槻晃実

主要参考文献
作家略歴
作品解説
出品リスト
謝辞

頂いた日:2017年1月30日
 発行元よりご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。
 偶然なのか映画「この世界の片隅に」が同時期に公開され、本展も「この世界の」までタイトルが被っている。この世界ブームの到来か。もっとも本展は、「現実は、見えているものだけが全てではなく、見えていない世界も確かに存在しているという事実」を主題とした形而上的な内容である。河口龍夫のスケール感のある作品、前谷康太郎の火の神秘感と不可思議さに特に魅せられた。
 本カタログは、昨今の現代美術のカタログとしては珍しく参考文献がまとめられているのが特筆に値する。残念ながら、私が以前に前谷康太郎氏に出品していただいた展覧会「光路」は展覧会歴にも載らず、その際に書いたテキストは参考文献にさえ記載されない事実に、参考文献は「見えているものだけが全てではなく、見えていない」文献もあると言いたくもなる。


【ご報告】Drawing-Exposed essence 2017「ガ○ダムを描く」展

2017-01-29 23:29:55 | お知らせ
おかげさまで28日にグループ展Drawing-Exposed essence 2017 「ガ○ダムを描く」展が無事終了いたしました。厳しい寒さのなか、またご多忙のところご来場頂きました方々に心よりお礼申し上げます。

■Drawing-Exposed essence 2017「ガ○ダムを描く」展
出品作家:大田原桜子・岡田美紀・田岡和也・冨倉崇嗣・平田剛志・松本良太
会期:2017年1月23日(月)~1月28日(土)※日曜日・休廊
開催時間:11時~19時(土曜日は11時~17時)
開催場所:Oギャラリーeyes【大阪府大阪市北区西天満4-10-18石之ビル3F】
TEL/FAX:06-6316-7703
主催:Oギャラリーeyes(有限会社オーギャラリー)
企画:東邦フランチェスカ http://tohofrancesca.wixsite.com/toho-francesca 

OギャラリーeyesのHPにて、展覧会の画像、動画をご覧頂けます。ご興味ございましたら、ご高覧ください。
https://youtu.be/L511IJ_Rvxs

http://www2.osk.3web.ne.jp/~oeyes/














memorandum 435 人生と芸術

2017-01-28 20:44:36 | ことば
 人生と芸術は切り離せない。どんな画家も、たとえ当人が望んだとしても、「純粋な美」を表現した線を引くことはできない。なぜなら、一本の線を人間の感情と切り離すことはできないからだ。われわれは自分の感情を切り捨てたいと願うべきではないし、たとえそうしたくても、それは不可能だ。
 それどころか、線が美しいと感じられるのは、自分たちと関係する時だけである。人によって感じる部分は異なり、それによって感動したり、冷淡なままだったりする。人を感動させるものが、その人にとっては美しい。概して、人間的な線は万人の胸を打つものである。

ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、121頁。

一本の線は、人を感動させ、関係を作り出す。

未読日記1271 『クラーナハ展 : 500年後の誘惑』

2017-01-27 23:07:33 | 書物
タイトル:クラーナハ展 : 500年後の誘惑
別書名:Lucas Cranach the elder : 500 years of the power of temptation
責任編集:グイド・メスリング、福元崇志
編集:国立西洋美術館、飯塚隆、福元崇志、ウィーン美術史美術館、TBSテレビ
翻訳:新藤淳、福元崇志、伊藤麻衣、杉山あかね、岩谷秋美、梅村尚幸、クリストファー・スティーブンス、ナタニエル・ブロッタス
編集補助:龍 真未、梅村尚幸
編集協力:岩田高明
デザイン:梯 耕治
発行:TBSテレビ
発行日:c2016
形態:284p : 挿図 ; 31cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2016年10月15日-2017年1月15日:国立西洋美術館, 2017年1月28日-4月16日:国立国際美術館
   主催: 国立西洋美術館, ウィーン美術史美術館, TBS [ほか]
   関連年譜: p258-259
   参考文献: p274-279
   出品リスト: p280-284
内容:
ごあいさつ 主催者
ごあいさつ ザビーネ・ハーク(ウィーン美術史美術館総館長)
メッセージ フーベルト・ハイッス(オーストリア共和国次期大使)

クラーナハ——ヴィッテンベルクから世界へ[グイド・メスリング]
肉欲の誘惑と道徳の戒め——クラーナハの裸体像[エルケ・アンナ・ヴェルナー]

カタログ
1.蛇の紋章とともに——宮廷画家としてのクラーナハ
2.時代の相貌——肖像画家としてのクラーナハ
3.グラフィズムの実像——版画家としてのクラーナハ
4.時を超えるアンビヴァレンス——裸体表現の諸相
5.誘惑する絵——「女のちから」というテーマ系
6.宗教改革の「顔」たち——ルターを超えて

クラーナハ、その誘惑のアナクロニー[新藤淳]
飼い慣らされた非合理——ヨーセフ・ボイスによるクラーナハ[福元崇志]

関連年譜
参考文献
出品リスト

頂いた日:2017年1月27日
 国立国際美術館にて開催された「クラーナハ展 : 500年後の誘惑」内覧会にて頂きました。ありがとうございます。
展覧会は国立西洋美術館で見て、とてもおもしろかったので大阪会場で再見。画面に漂う神秘感に魅惑された。現代作家に与えた影響も頷ける。だが、大阪会場では出品数が少なくなり、会場の展示、照明に違和感があった。西美の方は空間が小さく、天井が低かったことが、クラーナハの小さい作品を見るにはフィットしていたのかもしれない。



memorandum 434 考えることなしに、

2017-01-26 23:28:47 | ことば
 考えることなしに、人はどこへも行けない。自分のしていることについて考える時間もないほど忙しさに追われている人びとは、いくらがんばっても無駄な努力である。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、118頁。

忙しくても、考える時間だけは持ちたい。

memorandum 433 作品を送りだすなら

2017-01-25 18:35:33 | ことば
 絵具や石のような永久的な素材でできた作品を送りだすなら、それは記録する価値のあるものでなければならない。世界の万物をその目で見て、人生のすべてに関心を注いだ人間の作品でなければならない。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、115頁。

素材も関心も時間に耐えられる作品であってほしい。

memorandum 432 画家の動機

2017-01-24 23:31:58 | ことば
 画家の動機が本当に強いとき、作品が深い熟考のすえに生まれるとき、画家が自分のしていることの重要性を信じているとき、その作品は世界に波紋を起こす。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、113頁。

言うまでもなく、ここでの「画家」とは、「芸術家」でもいいし、あらゆる職種に入れ替え可能だろう。

memorandum 431 展覧会にあまり魅力を感じない理由

2017-01-23 23:59:26 | ことば
 大方の人びとが絵の展覧会にあまり魅力を感じない理由の一つは、ほとんどの絵が独りよがりのアイデアをもとに自己満足なやり方で作られていて、見る人の想像力を刺激しないからである。強烈な関心から生まれない絵は、強烈な関心を呼び起こすこともできない。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、112頁。

展覧会全般に言える話ではないだろうか。私たち鑑賞者は想像力を刺激されたいのだ。目の前の作品に関心を持ちたいのだ。

memorandum 430 美術鑑賞を

2017-01-22 23:58:39 | ことば
 美術鑑賞をたんなる暇つぶしの娯楽と見なしてはいけない。美を理解することは、そのために努力することだ。それは偉大で、魅力にあふれた行為である。一点の絵画を楽しむのはそこから喚起される快感だけでなく、制作に用いられた構図の新たな秩序を理解する歓びでもある。
ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、111頁。

美術鑑賞は、歓びあふれる行為である。