A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記455 「アクリラート別冊2010」

2010-11-30 23:56:23 | 書物
タイトル:アクリラート別冊2010
編集:倉田妙子
発行:ホルベイン工業株式会社
発行日:2010年7月1日
定価:1000円
内容:
A5判、94ページ

ごあいさつ
第23回奨学者(五十音順)
麻生知子、飯沼知寿子、伊藤雅恵、瓜生剛、門田光雅、加納明日香、榊貴美、佐藤和栄、白石綾子、鈴木健二、俵萌子、寺島みどり、西川茂、廣沢美波、福井直子、藤井俊治、保坂毅、三橋灯、山下美幸、和出伸一
第23回奨学者の作品
第23回奨学者のレポート
 「この一年のこと」麻生知子
 「見る者と見られる者と」飯沼知寿子
 「2009年の制作」伊藤雅恵
 「「侵蝕する光景」と「内在する景色」」瓜生剛
 「泥喰(どろはみ)の絵画」門田光雅
 「わすれたいわすれたくない」加納明日香
 「作品」榊貴美
 「遍在する自己を繋ぐ回路」佐藤和栄
 「制作について」白石綾子
 「絵が在ることについて」鈴木健二
 「なぜ描くか ということなど」俵萌子
 「見えていた風景のこと」寺島みどり
 「inviolable」西川茂
 「夢日記 9月25日」廣沢美波
 「キラキラした記憶と作品」福井直子
 「油の匂いや甘い臭いと」藤井俊治
 「素材について」保坂毅
 「制作について」三橋灯
 「2009年、ブービー賞」山下美幸
 「接続に失敗しました」和出伸一

頂いた日:2010年11月3日
場所:Shonandai MY Gallery
「三橋灯展―Dreamer―」(2010年11月1日~11月8日)を拝見した際、ギャラリーの方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 本書は、ホルベイン工業株式会社が毎年行っている画材の無償提供を行う「ホルベイン・スカラシップ」奨学者の1年間の成果を作品とレポートによってまとめたカタログである。このような作家への支援事業は今後もぜひ継続してほしい取り組みである。
 昨今の現代美術は映像や写真がフォーカスされることは多いが、本書を見ると、絵画で充実した仕事を行っている作家がいることがよくわかる。本書に掲載されている作家たちの実作品をどれだけ見れるかわからないが、機会があれば見てみたい。


散歩のとき何か食べたくなったのだ12 鎌倉まめや

2010-11-29 23:17:08 | たべもの
購入日:2010年11月3日
商品名:落花生甘納豆
購入店:鎌倉まめや エキスト鎌倉店
鎌倉に行くと、鎌倉まめやの試食をつまんでしまう。今回は、甘納豆を見かけて衝動買い。
 甘納豆と言えば、八代目桂文楽の『明烏』が有名である。「朝の甘味はおつだね。これで濃い宇治茶かなんか入れてね。思い残すこと、さらになし」というセリフが浮かんでくる。文楽の甘納豆を食べる仕草は有名で、指についた砂糖の触感まで伝わってくるようである。この噺が高座にかかると、売店の甘納豆が売れたというエピソードもうなずける。
 久しぶりに食べる甘納豆の食感は懐かしい味がした。文楽の落語に思いを馳せつつ、また落語を聞きたくなる晩秋の一日であった。


こちらは、「焼いも豆」
サクサクした豆の食感と芋風味が絶妙で、つい手がのびる。

Art Stroll:2010年11月3日(水)

2010-11-28 23:49:20 | 美術
・岡崎和郎展:補遺の庭
OKAZAKI KAZUO : Garden of Supplemetns
2010年9月11日(土)~11月3日(水・祝)
神奈川県立近代美術館 鎌倉

・福田尚代展
Fukuda Naoyo Exhibition
2010年11月1日(月)~11月13日(土)
gallery福果

・鈴木清写真展:百の階梯、千の来歴
Suzuki Kiyoshi : Hundred Steps and Thousand Stories
2010年10月29日(金)~12月19日(日)
東京国立近代美術館

・円山応挙―空間の創造
MARUYAMA OKYO : Revealing Painting’s Depths
2010年10月9日(土)~11月28日(日)
三井記念美術館

・没後120年 ゴッホ展:こうして私はゴッホになった
Vincent van Gogh : The Adventure of Becoming an Artist
2010年10月1日(金)~12月20日(月)
国立新美術館

・三橋灯展:Dreamer
MITSUHASHI AKARI : Dreamer
2010年11月1日(月)~11月8日(月)
Shonandai MY Gallery

・門間由佳展:無限億の泉
MOMMA YUKA : Fountain of infinite hundred million
2010年11月1日(月)~11月8日(月)
Shonandai MY Gallery

・ネイチャー・センス展 吉岡徳仁・篠田太郎・栗林隆
SENSING NATURE
2010年7月24日(土)~11月7日(日)
森美術館

・MAM PROJECT 012 トロマラマ
MAM PROJECT 012 TROMARAMA
2010年7月24日(土)~11月7日(日)
森美術館ギャラリー1

東京遠征最終日。1日に美術館5館回ったのは初めて。やろうと思えば回れるものである。

未読日記454 「ポイケド・ジャナイ」

2010-11-27 23:19:29 | 書物
タイトル:TAMA VIVANT Ⅱ 2010 ポイケド・ジャナイ
デザイン:菅谷夏織、寺澤由樹、堂園翔矢、中川佳帆里
企画・制作:阿久津真葵、石丸郁乃、今井理沙、小野真利江、加藤龍一郎、北澤京、佐々木香織、清水朋代、鈴木諒一、陶山和、武田若水、寺澤知実、平林拓也、藤江里沙子、星野育美、細道航、吉野春佳
海老塚耕一
三田健志、渡邉悠子
印刷:ハシモトコーポレーション
発行:多摩美術大学美術学部芸術学科 構想計画設計 TAMA VIVANT Ⅱ 2010企画室
発行日:2010年9月17日
内容:
A4判、36ページ

下記の展覧会図録
<TAMA VIVANT Ⅱ 2010 ポイケド・ジャナイ>
多摩美術大学展
2010年9月17日(金)~10月1日(金)多摩美術大学八王子キャンパス内絵画東棟ギャラリー、情報デザイン・芸術学棟ギャラリー
パルテノン多摩展
2010年10月26日(火)~10月29日(金)多摩市立複合文化施設パルテノン多摩特別展示室
代官山 Sedona展
2010年11月1日(月)~11月7日(日)ラ・フェンテ代官山1階 Sedona催事場

ごあいさつ
TAMA VIVANT Ⅱ 2010によせて「かれら・かのじょたちのTAMA VIVANT Ⅱ」海老塚耕一

奥村昂子(テキスト/略歴/図版)
「浮遊する糸の集積」加藤龍一郎
フジモトアヤ(テキスト「next party」/略歴/図版)
「笑ったっていいんだよ」石丸郁乃
前田千絵子(テキスト/略歴/図版)
「万華鏡のような世界で」小野真利江
村上郁(テキスト/略歴/図版)
「一つの物が、」寺澤知実
森末由美子(テキスト/略歴/図版)
「愉快な話がしたい」鈴木諒一
柳井信乃(テキスト/略歴/図版)
「思い出話を少し」藤井里沙子
関連講座「あそびじゅつ」
「君と私が見る世界」阿久津真葵
TAMA VIVANTの足跡
出品目録
謝辞

頂いた日:2010年11月2日
場所:ラ・フェンテ代官山1階 Sedona催事場
展覧会場受付で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 「TAMA VIVANT」は1984年から多摩美術大学美術学部芸術学科で開催されている現代美術のアニュアル展。学生が主体となって企画・制作が行われているという点では、最も歴史あるアニュアル展かもしれない。
 通算27回目の今展は「ポイケド・ジャナイ」というサブタイトルが付されている。一見しただけでは何のことかわからないが、「~ぽいけど・~じゃない」と意味だという。わかりやすのは、森末由美子の作品だろうか。森末の作品は「塩ぽいけど、塩じゃない」「歯ブラシぼいけど、歯ブラシじゃない」作品だからだ。類似とその否定。美術作品が持つ世界への参照を示唆すると同時に、再現やイリュージョンに留まらない世界観への省察を促すトリッキーにして、ユーモアのあるタイトルである。
 個人的に気になったのは村上郁の『invisible cities』(2008、ミクストメディア)であった。細い金属棒の上に球状の水で満たされたガラス容器があり、その中に絵はがきが沈められているのである。ちょうど夏に細馬宏通著『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし』(青土社、2001年)を読み、高麗美術館では「「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗」展を見たこともあり、絵はがきが気になっていたときであった。まさか絵はがきを使用した現代美術作品があるとは発見であった。しっかりと調べれば絵はがき現代美術史を研究することができたりするかもしれない。
 余談だが(受付の方にも聞いてしまったのだが)、なぜ3会場での開催なのだろうか。しかも巡回先は八王子、多摩、代官山であり、出品作品は3会場とも同じである(なぜ、アキバタマビ21でやらないのだろう?)。それぞれ特色ある(癖のある?)会場のため、異なる展示空間になるのは想像できるが、裏コンセプトのようなものがあったのだろうか。巡回先ごとに少し展示が異なるなど変化があると、3会場回る人もいたりするかもしれない。かといって、来年度は5会場で開催とかになったりすると、作家や学生スタッフは大変そうだ。
 我ままを言えば、ぜひ、今度は京都や関西圏にも巡回してほしい。京都は美大が多く、それぞれの大学が校内外にギャラリーを所有しているので、連携してはいかがだろうか。

Art Stroll:2010年11月2日(火)

2010-11-26 23:18:44 | 美術
・北城貴子:Spiral Light Sprinkle
Takako Hojo : Spiral Light Sprinkle
2010年11月2日(火)~11月28日(日)
ART FRONT GALLERY

・TAMA VIVANT Ⅱ 2010:ポイケド・ジャナイ
奥村昂子・フジモトアヤ・前田千絵子・村上郁・森末由美子・柳井信乃
2010年11月1日(月)~11月7日(日)
ラ・フェンテ代官山1F Sedona催事場

・隅田川:江戸が愛した風景
2010年9月22日(水)~11月14日(日)
江戸東京博物館 1階展示室

・ヴィック・ムニーズ:Pictures of Paper
Vik Muniz : Pictures of Paper
2010年10月22日(金)~11月20日(土)
nca|nichido contemporary art

・今井敏夫展
2010年10月30日(土)~11月3日(水)
Gallery 156

・石井博康
Hiroyasu ISHII
2010年10月25日(月)~11月6日(土)
Gallery 58

・橋本トモコ+湯川雅紀
2010年10月12日(火)~11月5日(金)
GALLERY TERASHITA

Art Stroll:2010年11月1日(月)

2010-11-25 23:15:15 | 美術
・ULTRA003
November side2010年11月1日(月)~11月3日(水)
スパイラル

・三瀬夏之介展:だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる
2010年11月1日(月)~11月30日(火)
第一生命ギャラリー

・三木陽子展:現実と地続きのファンタジー
Miki Yoko : “PET SHOP” installation of ceramics
2010年10月8日(金)~11月4日(木)
INAXガレリアセラミカ

・田中真悟展:踪跡
TANAKA Shingo
2010年11月1日(月)~11月24日(水)
INAXギャラリー2

未読日記453 「パノラマ地図セレクション」

2010-11-24 23:46:52 | 書物
タイトル:パノラマ地図セレクション―吉田初三郎の世界―
編集・発行:堺市博物館
印刷:協和印刷株式会社
発行日:2010年9月5日
定価:200円
内容:
堺市博物館にて開催された平成22年度特別展「描かれた近代の景観―パノラマ地図にみる都市と観光―」(会期:平成22年9月5日~11月7日)に関連して出版された冊子。
A4横判、カラー、38ページ

「はじめに」中西進(堺市博物館長)
目次・表紙図版について・凡例
北海道地方
東北地方
関東甲信越地方
東海地方
トピックス1
関西地方
トピックス2
中国四国地方
九州地方
歴史的海外領土
掲載図版一覧
参考文献・協力者一覧

購入日:2010年10月31日
購入店:堺市博物館
購入理由:
 地図と絵画の相関関係について調べているうちに大正から昭和初めにかけてパノラマ地図(観光鳥瞰図)を制作した吉田初三郎を知ることとなった。初三郎の作品は、ただの地図というには風景画的で、時に描写地点からは見えないはずの場所でさえ1つの空間に描き込んでしまう想像力に驚倒される作品である。だが、絵画というには説明的、地理的なその作品は、絵画と地図の間にある地図/絵図であろう。ここには、風景を記述しようとする地理的欲望と絵画的欲望がせめぎ合っている。それは、純粋美術と商業美術、絵画と地図の境界を越えたまなざしによって成された作品ではないだろうか。そう、初三郎のパノラマ地図は絵画、地図という領域が未成熟であった「近代」という時代が産み落とした「風景画」なのだ。
 その初三郎作品を多く収蔵しているのが堺市博物館である。本書は先頃開催された「描かれた近代の景観―パノラマ地図にみる都市と観光―」展に際し刊行された吉田初三郎の「パノラマ地図セレクション」である。本展の特徴は、初三郎の原画作品が中心に展示されていることだろう。初三郎作品の多くは観光案内地図のため、印刷物が多い。だが、そもそも初三郎は関西美術院で鹿子木孟郎のもとで油絵を学んでいた画家であり、パノラマ地図についても初三郎ないしは工房の助手たちによって、本画が制作されていた。本展ではこれまであまり見る機会のなかった原画を中心に、知られざるパノラマ地図の作品群を見ることができる。
 これまでも吉田初三郎の展覧会はたびたび開催され、合わせて図録も刊行されてきた。だが、1999年に堺市博物館で行われた初三郎再評価となった展覧会図録は完売のため入手が難しいのが現状であった。まずは本書の刊行を喜びたい。こうして資料が増えるのは望ましいかぎりだが、文献資料が復刻ないしは再録されるとなおいい。初三郎自身による文献や資料は大正か戦前刊行のものがほとんどで、入手や閲覧が難しい。根強いファンが多くいることもあるので、吉田初三郎全集を刊行してはどうだろうか。

 近年、3D映画の流行からか、絵画においても立体感や遠近法、パノラマ、俯瞰図、鳥瞰図といったキーワードが注目をあびているように思われる。円山応挙のメガネ絵、浮世絵前史の浮絵など、日本には近世から西洋の遠近法とはことなる遠近感、パースペクティブが存在し、それが豊かな絵画空間を形成してきた。昨年にはだまし絵の展覧会が開催されたことも記憶に新しい。来月には初三郎以前に奇抜な鳥瞰図を描いていた浮世絵師・五雲亭貞秀の展覧会が神戸市立博物館で開催される。このように近世~近代における視覚表象を絵画と地図の関わりから検証することで、日本における絵画のイリュージョン、風景表現の展開が西洋の遠近法受容とは異なるものとして見えてくる。その「地図」はどんなパノラマを描き出すのか。今後も調べていきたい。


Art Stroll:2010年10月31日(日)

2010-11-23 23:29:02 | 美術
・住吉さん 住吉大社1800年の歴史と美術
Sumiyossan ! : The Arts of Sumiyoshi Grand Shirne through the Ages
2010年10月9日(土)~11月28日(日)
大阪市立美術館

・描かれた近代の景観―パノラマ地図にみる都市と観光―
Depicted Landscape of the Modern Ages : Panoramic Views of Cities and Tourism
2010年9月5日(日)~11月7日(日)
堺市博物館

・鉄道芸術祭 vol.0
2010年10月16日(土)~12月25日(土)
京阪電車なにわ橋駅アートエリアB1


Art Stroll:2010年10月29日(金)

2010-11-22 23:47:23 | 美術
・栗本夏樹:装飾するかたち
Natsuki Kurimoto Exhibition
2010年10月22日(金)~11月3日(水)
アートスペース感

・奈良絵本・絵巻の宇宙展
2010年8月28日(土)~11月7日(日)
思文閣美術館

・閨秀の孫娘:谷澤紗和子・フジタマ・宮田雪乃・寄神くり
2010年10月29日(金)~11月14日(日)
思文閣会館3F特設会場

・芦田尚美+山本亜希:一服二福
2010年10月19日(火)~10月31日(日)
アートライフみつはし

・表恒匡・中村裕太:裏山とタイル
2010年10月19日(火)~10月31日(日)
ギャラリー揺

・岡田真季人展:旅のスケッチと帰り道の地図
Makito Okada : The Sketches of Travel and the Return Map
2010年10月26日(火)~11月7日(日)
ギャラリー恵風

・吉田真紀子展
2010年10月26日(火)~10月31日(日)
ギャラリー恵風2F

Recording Words 025 値打

2010-11-21 23:22:44 | ことば
そりゃあ、理屈をいえば、貧乏だからといって、何も引け目を感じなくてもいいはずだ。人間の本当の値打は、いうまでもなく、その人の着物や住居や食物にあるわけじゃあない。どんなに立派な着物を着、豪勢な邸に住んで見たところで、馬鹿な奴は馬鹿な奴、下等な人間は下等な人間で、人間としての値打がそのためにあがりはしないし、高潔な心をもち、立派な見識を持っている人なら、たとえ貧乏していたってやっぱり尊敬すべき偉い人だ。だから、自分の人間としての値打に本当の自信をもっている人だったら、境遇がちっとやそっとどうなっても、ちゃんと落着いて生きていられるはずなんだ。僕たちも、人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、――また、たとえ豊かな暮しをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打にしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。貧しいことに引け目を感じるようなうちは、まだまだ人間としてダメなんだ。
(吉野源三郎『君たちはどう生きるか (岩波文庫)』岩波書店、1982年、pp129-130)

情けないほどの貧乏暮し。だんだん精神も貧しくなっていっている気がする。
なんの値打もない人間として終わりたい。

 余談だが、本書は子ども(子どもの心を持った大人も含む)へのクリスマスプレゼントに最適な1冊ではないだろうか。聖なる夜に「君たちはどう生きるか」を問うこと。道徳的、倫理的なエピソードが詰まった本書を読むと、この世界を少し愛おしく感じられることだろう。それは聖なる夜にこそ喚起されるべき感情ではないだろうか。
 なお、今回の引用と合わせてお勧めしたいのは、ディケンズの『クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)
』である。貧しさの中にあるモラル、人間性とは何かを考えることができるだろう。
 ついでにモラルと利己的個人との共存を考察したアダム・スミス『道徳感情論〈上〉 (岩波文庫)
』を読むと、倫理についてより広い関心が得られるだろう。なお、岩波文庫版の翻訳がまともな読者には読むことができないほどの日本語訳なので、新訳の出版を強く望む。