A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 325 容器

2016-07-04 22:55:07 | ことば
「たとえ君が空っぽの容器だったとしても、それでいいじゃない」とエリは言った。「もしそうだとしても、君はとても素敵な、心を惹かれる容器だよ。自分自身が何であるかなんて、そんなことは本当には誰にもわかりはしない。そう思わない? それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に」
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋、2013、323頁.

自分のことはわからない。私は空っぽでいいと思って生きてきた。だが、「美しいかたちの入れ物」「誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器」にはなれていない。むしろ人から忌避、嫌悪されてばかりだ。