A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

彼方からの手紙011 on the contour line

2010-02-28 23:39:29 | 美術
受け取り日:2010年2月23日頃(失念中)
内容:
三田健志展
Takeshi MITA
2010年3月1日(月)―3月6日(土) 日曜・祝日休廊
11:00-19:00 最終日-17:00
養清堂画廊 
THE YOSEIDO GALLERY
東京都中央区銀座5-5-15

写真のように見えたとしても養清堂画廊なので、版画です。
気づいたらもう3月とは驚きです。




Recording Words 075 自分を決めない

2010-02-27 22:04:30 | ことば
僕はゴールをもたないし、執着もしない。
こうでなきゃいけないというかたちを
自分ではいっさいもたない。

ただ、スッとして、
そのアクシデントを許容するということの美学が好きです。

自由であるということは、細胞しか鍛えていないということです。
何をするためにその筋肉を鍛えるかじゃなくて、
単に「鍛えている」ということです。

そうすれば、どんなゴールにでも行ける。

どのゴールだなどと決めたくない。
僕はこういうデザイナーであるなんてことは絶対決めない。

偏って肥大した筋肉がきらいです。

(深澤直人『デザインの輪郭』TOTO出版、2005年、p.282-283)

自分が本来引用したかったのは上から5行目までなのだが、あえて全文を引用させて頂いた。深澤氏はテキストを読むと矛盾したことを言っていると思うのだが、そこは才能あるデザイナーだから何を言っても許される。

とはいえ、私も執着やゴールをもたないようにしている。だが、考えようによっては、すべてに執着を感じ、すべてをゴールだと考えることにする。矛盾している。だが、こうでなきゃいけない自分なんてないのだから、それでいいのである。そう、自分の中に起こる感情の「アクシデント」も許容したい。

許容、受容、受動、感応の美学。
などと書くと、どこからかお叱りの声が聞こえそうである・・。


未読日記376 「アンドゥ」

2010-02-26 23:44:41 | 書物
タイトル:アンドゥ UN DEUX
絵&デザイン:渡邉良重(DRAFT co.,ltd.
文:高山なおみ
編集:熊谷新子
協力:D-BROS(DRAFT co.,ltd.)、植原亮輔、井上真由美、岩永和也
印刷・製本:コーハン株式会社
発行:株式会社リトルモア
発行日:2008年4月20日
内容:
[仕様]A4ヨコ/56ページ/上製/天綴じ

ふたりの心が織りなすちいさな永遠。真珠のような名作
(本書添付のシールより)

頂いた日:2010年2月24日
頂いた場所:バンブー
知人あるいは先輩あるいは同志あるいは元同僚の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます(余談ですが、最近、たくさんの方から本を頂いてばかりです。皆さまの本のセレクトに時にニヤリとし、そういうことかと膝を叩いたり、1冊1冊に込められた思いや気持ちに触れ、ただただ心に留めて頂いたことに感謝と驚きと喜びを感じます。この場を借りて心より感謝申し上げます)。

さて、本書は料理研究家として有名な高山なおみ氏が物語を書き、DRAFTの渡邉良重氏が絵を描いた絵本。まず、本を開いて驚くのが造本です。表紙を開くとページの真ん中に切れ目があるのです。つまり、読者は左右それぞれのページを交互にめくって物語を読み進めていくのです。うまく記述できているかわかりませんが、通常の本が左(右)から右(左)にページを「めくる」とするならば、本書は上にページを「まくる」ことになるのです。これは、本の見開きという形式を緻密に、そして大胆に造本(デザイン)として結実させた大人のための絵本だと思います。さらに、短いながらも想像力豊かな言葉が散りばめられ、物語がページを「めくる/まくる」行為のあいだから立ち上る味わい深い傑作なのです。
また、「薄べったいすべすべの便箋」のような茶色い紙が紙好きとしてはたまりません。誤解を招くかもしれませんが、紙に「触れる」ことがこんなにフェティッシュな身体性を感じさせるとは思いませんでした。何か新しい扉を開かせられたような気分です。

ちなみに、DRAFTは個人的に学生時代から好きなデザインカンパニーでした。奥付を見て本書にも関わっていることを知りましたが、いい仕事をしています。

彼方からの手紙010 ainigma

2010-02-25 23:44:52 | 美術
受け取り日:2010年2月19日
内容:
田中明子展“ainigma”
2010年2月26日(金)―3月9日(火)
平日 12:00 - 18:30
土曜・祝日 11:00 - 18:30
水曜・日曜 定休
作家URL http://tanakaakiko.nobody.jp/
art gallery closet
東京都港区西麻布2-11-10 霞町ビル3F
TEL:03-5469-0355

「ainigma」とは謎めいた言葉、なぞなぞという意味だそうである。謎は解けないだろうが、謎をかけられに出かけてみよう。



Recording Words 074 「意固地」とは何か?

2010-02-23 22:25:54 | ことば
最短の道とは、可能な限り一直線な道ではなく、最も好便な風がわれわれの帆をはらませてくれる道である、――船乗りの教えはこう語る。そしてこの教えに従わないこと、それが意固地というものだ。ここでは、性格の堅固さが愚かさによって汚されている。
(フリードリッヒ・ニーチェ『ニーチェ全集6 人間的、あまりに人間的Ⅱ』中島義生訳、筑摩書房/ちくま学芸文庫、1994年、p.320)

この「言葉」こそ、船乗りの教えのようなものかもしれません。私がそんな船乗りになれる日が来るのかはわかりませんが、教えには従いたいものです。
私たちの進む道に「最も好便な風」が吹きますように!


未読日記375 「歩きたくなる京都地図本」

2010-02-21 23:10:59 | 書物
タイトル:歩きたくなる京都地図本
表紙デザイン:太田賀司彦(wax inc.)
本文デザイン:太田賀司彦/所 雅子
マップデザイン:宮本雅文/石田由祐/北 尚子/佐藤加奈子/富田朋美/林 雅信
取材・文:烏帽子真理/神吉直人/鈴木裕介/曽束政昭/早川卓馬/伏見裕紀/古都真由美/吉田志帆/李 宗和/株式会社のぞみ(藤田功博/枡谷雄一郎/加藤寛匡/本多和憲)
撮影:有本真紀/大島拓也/香西ジュン/瀧本加奈子/田村和成/中西一朗/橋本正樹/株式会社のぞみ(枡谷雄一郎)
校閲:小原美砂
編集:辻村 碧/井鍋 槙
編集アシスタント:岩城敬子/宮田まなみ
広告担当:戸田裕介/宮浦尚美
販売担当:濱田正博/米谷大紀
編集・発行:㈱京阪神エルマガジン社
印刷:大日本印刷株式会社
発行日:2008年8月1日第2刷(2007年10月1日初版発行)
内容:
見やすい地図×親切なガイド=最強の京都案内
軽い!見やすい!書き込める!地元人が案内する、新しくなった地図本です。
河原町、祇園、錦市場などの繁華街から、金閣寺、嵐山などの観光地まで、全41エリア。
甘味にお土産…と、コラムもますます充実!
(表紙より)

頂いた日:2010年2月20日
頂いた場所:artdish
知人より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
孤独な都市散歩者にとって、意外とあると便利なのがこの手のガイドブックだったりします。パラパラ見ていると、タイトル通り歩きたくなります。例えば、烏丸御池で喫茶店を探すにも、なかなか土地勘がないためにうまく見つけられないものです。そんなとき、こんな1冊があれば、気になる店の2、3軒は見つけることができるでしょう。そう、街へと入っていく導入にはちょうどいいと思います。
しかし、いつまでもこのような本に頼っていてはいけません。子どもが3輪車から2輪の自転車に乗れるように、散歩においても補助輪なしで都市を巡りたいものです。その時、京都はどんな顔を見せるのでしょうか。
ちなみに、ギャラリーめぐりをしたい方には本書はまったく役に立ちません。同じ京阪神エルマガジン社から出ている『京阪神アートブック』やウェブの「カロンズネット」を見るといいでせう。


彼方からの手紙009 「鈴虫の国のジャスミンさん」

2010-02-20 21:53:21 | 美術
受け取り日:2010年2月18日
差出人:酒井一有氏
内容:
酒井一有作品展「鈴虫の国のジャスミンさん」
2010年3月1日(月)~3月8日(月)
11:00~18:00(初日は12:00から、最終日は17:00閉館)
GALLERY F.ROUTE
横須賀市上町2-1
tel/fax 046-825-0888

これまで数多のDMを頂いてきたが、これほど変わった「手紙」もない。封筒の表面には展覧会案内が印字されてあるだけで、画像はない。中にはL判サイズの写真1枚、A4テキスト1枚が同封されているだけである。写真はご覧のように日陰になった壁に長方形した板状の黒いボード(?)が立てかけてあるだけの写真である。これが作品なのかどうかもわからないし、それを問うことも意味のないことかもしれない。ね、ジャスミンさん!

ちなみに、鈴虫の国のジャスミンさんからDMが届いたわけではない。
この和むようなタイトルからはどのような展示内容なのかわからないが、同封の「テキスト(手紙)」によれば「ポスカのマジックで描画をした無印のボード数点と、展示のための短いテキスト」が並べられるようである。
ご存じない方のために付け加えれば、酒井一有の書くテキストはジャスミンのように魅力的であることは間違いない。
お出かけの際は、花ではなく、クッキーの折詰めを持って出かけてほしい。
きっと喜んでくれると思う。



Recording Words 073 賞讃を受ける者に

2010-02-18 20:57:17 | ことば
君が他人から賞讃されているうちは、まあ、いつも信じたまえ、君はまだ君自身の軌道の上に立たず、他人の軌道の上に立っているのだと。
(フリードリッヒ・ニーチェ『ニーチェ全集6 人間的、あまりに人間的Ⅱ』中島義生訳、筑摩書房/ちくま学芸文庫、1994年、p.229)

賞讃されてはいませんが、気をつけたいものです。

未読日記374 「めがねや主人のペンキ塗り」

2010-02-17 22:38:35 | 書物
タイトル:めがねや主人のペンキ塗り 中村裕太
撮影:表 恒匡
発行:2010年
内容
図版4点
「明るいタイル―中村裕太論―」林田新(表象文化論)
作家略歴

頂いた日:2010年2月8日
昨年、neutron tokyoにて開催された「中村裕太:めがねや主人のペンキ塗り」展(2009年10月7日―10月25日)会期後に発行された展覧会リーフレット。会期中、希望者は住所を書けば郵送すると書かれてあったので、私も記入したのだろう。

展示を振り返ると、床一面に敷き詰められた白タイルが鮮烈な印象を残すインスタレーションだった。こうして展示が終わってしばらくしてからリーフレットが届いたりすると、見た時の記憶が蘇って、脳が活性化するかもしれない。忘れることも大事だが、思い出すことも大切だ。

Recording Words 072 清潔好き

2010-02-16 23:25:41 | ことば
子供のうちに清潔好きの感覚を、それが情熱となるほどまでに焚きつけるべきである。後日それは、たえず新しく姿をかえながら高まってゆき、ほとんどすべての美徳にゆきつく。そして最後にはそれは、あらゆる才能の補正として、清潔、節度、温厚、品性のいわば光の面紗(ヴェール)のように見えてくる、―幸福を身にたずさえ、幸福を身のまわりにひろめるものとして。
(フリードリッヒ・ニーチェ『ニーチェ全集6 人間的、あまりに人間的Ⅱ』中島義生訳、筑摩書房/ちくま学芸文庫、1994年、p.199-200)

残念ながら清潔好きの感覚が身につかなかったせいで、片付けが追いつかない。