A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1105 『星野暁[土と手の間から]』

2015-10-31 23:54:27 | 書物
タイトル:星野暁[土と手の間から]
別書名:Satoru Hoshino "between clay and hand"
編集:現代美術艸居
写真:中川忠明
デザイン:大向デザイン事務所
発行 : [京都] : 現代美術艸居
発行日:2015.9
形態:23p ; 30 cm
形態:展覧会カタログ
    タイトルは表紙より
    会期・会場: 2015年9月25日-10月11日:現代美術艸居
    英文併記
内容:
「作品の背景」星野暁
図版
略歴

頂いた日:2015年10月31日
 アートコートギャラリーにて星野曉展〈 Black Horse in the Dark ― 始原の知覚 〉を拝見した際、ギャラリーよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
  星野暁の作品をまとまって見たのは初めてだったが、この展覧会はすばらしかった。壁面を使用した大規模な作品は台風の目のようにも見え、気流のような風が空間に満ちていた。ひさびさに力強さ、熱量溢れる作品に接した。
 頂いた本書の展示は残念ながら終了していたが、こちらも見れなかったが悔やまれるくらい、興味深い作品ばかりであった。私は陶芸というより彫刻として見ていて、メダルド・ロッソや大森博之、そして峯村敏明が提唱した「かたまり彫刻」のことを想起した。

未読日記1104 『ラインズ』

2015-10-30 23:34:07 | 書物
タイトル:ラインズ 線の文化史
タイトル別名:Lines : a brief history
著者:ティム・インゴルド
訳者:工藤晋
装幀:松田行正+杉本聖士
発行:東京 : 左右社
発行日:2014.6
形態:267, viiip ; 20cm
注記:解説: 管啓次郎
    文献一覧: 巻末pi-viii
    原著(Routledge, 2007)の全訳
内容:
面白いことはすべて、道の途中で起こる。あなたがどこにいようと、そこからどこかもっと先に行けるのだから。 ティム・インゴルド

彼が全著作において試みているのは、私たちが〈生き生きと生きている〉というこの現実を、あたかも〈生き生きしていない〉かのように捉えさせる論理や概念から救出すること、これに尽きる。
柳澤田実さん 図書新聞2014年9月6日号より

目次
日本語版への序文
謝辞
序論
第1章 言語・音楽・表記法
第2章 軌跡・糸・表面
第3章 上に向かう・横断する・沿って進む
第4章 系譜的ライン
第5章 線描・記述・カリグラフィー
第6章 直線になったライン
人類学の詩的想像力 訳者あとがき 工藤晋
さわやかな人類学へ 解説に代えて 菅啓次郎
文献一覧

購入日:2015年10月29日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 発売時に興味を魅かれたものの今に至ったが、近々愛知県美術館にて開催中の「コレクション企画 線の美学」展を見るための予習として購入。
 まず、装幀が美しい。フォントも紙もすばらしい。本を開いた状態がこんなに美しい本は久しぶり。文章に添えられている挿絵もおもしろく、パラパラと見ているだけで、想像力が刺激される。肝心の中身はというと、複雑・広範な内容を扱っていること、訳が硬いこともあって、「さわやか」とは言い難い。バルトみたいに断章形式だったら違うのだろうが。またいつか再読を試みたい。

未読日記1103 『神の発明』

2015-10-29 23:07:53 | 書物
タイトル:神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 (講談社選書メチエ)
シリーズ名:講談社選書メチエ, 271 . カイエ・ソバージュ ; 4
著者:中沢新一
装幀:山岸義明
発行:東京 : 講談社
発行日:2003.6
形態:208p ; 19cm
内容:
内部視覚、瞑想、夢の時間(ドリーム・タイム)……。「宗教的思考」の根源はどこにあるのか?精霊(スピリット)が超越を生む。高神から唯一神へ。〈精神の考古学〉が、神々の基本構造をあざやかに解き明かす。

目次
はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について
序章 スピリットが明かす神(ゴッド)の秘密
第一章 脳の森の朝
第二章 はじめての「超越」
第三章 神(ゴッド)にならなかったグレートスピリット
第四章 自然史としての神(ゴッド)の出現
第五章 神々の基本構造(1)――メビウス縫合型
第六章 神々の基本構造(2)――トーラス型
第七章 高神から唯一神へ
第八章 心の巨大爬虫類
第九章 未来のスピリット
索引

購入日:2015年10月29日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 カイエ・ソバージュ第4巻。第5巻は実家にあるので、いちおう全巻揃った。あとは読むだけ。
 本書の神の発明、宗教の誕生をめぐるテーマも興味深いが、絵画の起源が人間の内部視覚で見た光のパターンに基づいているという説はおもしろい意見である。

未読日記1102 『東北画は可能か?』

2015-10-28 23:06:43 | 書物
タイトル:東北画は可能か? : 2009-
監修:三瀬夏之介、鴻崎正武
編集:チーム篇舟
デザイン:山なし+チーム篇舟
発行:[山形] : 東北芸術工科大学
発行日:2015.10
形態:49, 49p : 挿図 ; 30cm
内容:
左開き
はじめに
東北八重山景
方舟計画
東北山水
盛花の宴
妖怪絵図 陰陽
さかずぎごと
しきおり絵詞
奥羽六泉郷~未知の奥へ~
山海遊廻記
the gleeman
12号
山形肘折道中/肘折八景/ひじおり歳時絵巻
東北画は可能か?に寄せて
 「「ヴァナキュラー絵画」は可能か?」小崎哲哉
 「東北画は可能か、という問い」赤坂憲雄
ARTZONE展示風景
喜多方展示風景
山形ビエンナーレ2014展示風景
編集後記
東北画は可能か?ヴィジュアルガイド

右開き
東北画とは何か?
 「「東北」から/「東北」へ」三瀬夏之介
 「自分にとっての[東北の血」」鴻崎正武
東北八重山景
方舟計画
東北山水
盛花の宴
妖怪絵図 陰陽
さかずきごと
しきおり絵画
奥羽六泉郷~未知の奥へ~
STP×東北画は可能か?
山海遊廻記
the gleeman
共同制作の描き手たち
それぞれの東北画(12号)
ピックアップ東北画(12号)
ひじおりの灯と東北画
東北画からみた喜多方とアートシーン
アートゾーン
東北画と青森
東北画は可能か?〈其の一〉
第15回岡本太郎現代芸術賞展
東北画×音楽
山形ビエンナーレ2014
東北画語録

頂いた日:2015年10月28日
 三瀬夏之介さんよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 本書は、三瀬夏之介氏が勤務する東北芸術工科大学の教員、学生が中心となって行っている「東北画は可能か?」プロジェクトをまとめたアーカイブブック。観音開きで左側が図版中心、右側が文章を中心にまとめている。
 私は関西在住ということもあり、残念ながらこれまで本プロジェクトに接する機会はあまりなかった。このたび本書を開いて、これほど多様な活動をしていることに驚いた。「東北画」といってしまえば、「東北」のことで終わってしまうかもしれないが、「地方」のこと、「絵画(画)」のことなどへと広げていける問いであろう。

「東北画は可能か?」については以下のホームページをご参照ください。
http://www.tohokuga.com/

ただいま展覧会も開催中です。

第4回都美セレクショングループ展
「東北画は可能か?-地方之国構想博物館-」 
会期:2015年11月26日(木)~12月6日(日)(会期中休館日なし)
時間:9:30~17:30 但し、金曜日(11月27日、12月4日)は20時まで
会場:東京都美術館 ギャラリーB

「東北画は可能か?-地方之国現代美術館-」
T-Art Gallery (京都品川区東品川2-6-10)
寺田倉庫本社ビル2Fギャラリースペース
会期:2015年11月28日(土)~12月11日(金)
月曜休廊/入場無料

memorandum 190 意味

2015-10-26 23:06:18 | ことば
 われわれは、自分の存在に意味を与えてくれる人生の目的のみならず、苦しみに意味を与えてくれるものも必要としている。何のために生きるのかと同じくらい、何のために苦しむのかを知りたがっている。
エリック・ホッファー『魂の錬金術―エリック・ホッファー全アフォリズム集 』中本義彦訳、作品社、2003年、192頁。

何のためと考えてしまうことに意味がありそうだ。

未読日記1101 『奈良名所むかし案内』

2015-10-22 23:57:42 | 書物
タイトル:奈良名所むかし案内 絵とき「大和名所図会」
著者:本渡章
装釘:濱崎実幸
発行:大阪 : 創元社
発行日:2007.9
形態:214p ; 21cm
注記:参考文献: p208-209
内容:
遷都千三百年、悠久の歴史力と奈良人の暮らしがわかる本。
江戸時代の大ヒット旅行書シリーズ「大和名所図会」から場面を厳選し、絵ときスタイルという独自の趣向で古今の習俗や人間模様を活写する案内書。南都の寺、飛鳥の名所から四季の行楽地、修験の峰々や水辺、そして奈良人の暮らしや生業も題材にし、江戸期の奈良と現代をつなぐ生活文化や歴史・地理がわかる全三十景の名所が登場。

目次
前口上 江戸時代の名所絵から悠久の大和が見える

第一章 南都の大寺
 第一景 法隆寺「聖徳太子の江戸時代の評判」
 第二景 東大寺「裸の大仏、江戸中期に復興」
 第三景 興福寺「中世大和の主となった寺」
 第四景 元興寺「日本初の本格寺院」
  閑話一 南都七大寺と飛鳥三大寺――仏都の名所風景
 第五景 唐招提寺「鑑真が伝えた『戒』とは何か」
 第六景 薬師寺「図会が予見? 薬師寺論争の結末」
 第七景 当麻寺「当麻曼陀羅と極楽浄土への憧れ」
 第八景 西大寺「平城京最大の寺院の三題噺」
  閑話二 仏都の神社――春日若宮おん祭りは誰がはじめた?

第二章 飛鳥そして万葉
 第一景 天香具山「天から降りてきた香具山」
 第二景 飛鳥社「飛鳥と明日香の物語」
 第三景 多武峰「死せる鎌足、朝廷を走らす」
  閑話三 万葉か新古今か――名所を歌う六百二十余首
 第四景 鬼の厠と肉几・益田岩船「いとおほけなき鬼の巨石」
 第五景 初瀬「隠口の霊地、美しき初瀬」
 第六景 三輪社「三輪山の神は酒の神」
  閑話四 飛鳥川と佐保川――水辺の名所にそれぞれの春

第三章 神仙境の風景
 第一景 宮滝「貝原益軒が見た岩飛びの名所」
 第二景 山上嶽の役行者「山上嶽は修験道の聖地」
 第三景 葛城山「在家の信者も山上登拝」
  閑話五 花匂う修験の峰々――桜、梅、つつじ、山吹、咲きほこる
 第四景 久米寺と久米仙人「空から落ちた仙人のその後」
 第五景 塗部仙女と押阪の値「仙薬を食べた人々」
 第六景 雷丘の栖軽「神をしのぐ人間があらわれた時代」
  閑話六 壺坂寺と信貴山――霊験談のふたつのかたち

第四章 大和旅情
 第一景 さらし場「天下の名品、奈良晒の技」
 第二景 吉野の筏流し「筏流しは音無川から眺めよ」
 第三景 飛火野・春日野「蛍狩りの名所はかつての狼煙台」
  閑話七 女性をいきいきと描く――旅姿や働く姿、くつろぐ姿も
 第四景 龍田の紅葉「百二十一の歌に詠まれた名所」
 第五景 吉野の花見「吉野の桜と芭蕉の沈黙」
 第六景 新春風景「町人の世の春を歌う」
  閑話八 名所絵の枠を越えて――庶民の風俗を描く
 第七景 五條里の駅「宿場町の諸人往来風景」
 第八景 奈良坂・般若寺「駕籠と『平家物語』をむすぶ縁」
 第九景 木綿とりと勧進比丘尼「木綿農家の門口で」
 第十景 旅の夕立「江戸時代の旅人百景」
  閑話九 描き分けの妙――見開きの迫力・小景の味わい

あとがき
参考文献
現在地一覧
さくいん

購入日:2015年10月22日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 はならぁとアラウンドは無事に終わったが、参考文献として購入。
 奈良の五條で街歩きをするにあたって、江戸時代の詩画帖「五條十八景」を題材として取り上げることになった。そこで、当時の奈良の風景や旅について調べたところ、「大和名所図会」の存在を知った。研究向きの大部な本も刊行されているが、そちらは図書館を利用し、簡易に内容把握するために手頃な本がないかしらべたところ本書を見つけた。だが、9月に見たときには新刊は絶版、古本は高額な値段がついていたため、その時はあきらめ図書館ですますことになった。さらに後、11月にはならぁとアラウンドについての成果発表展示や年末に発表予定もあり、もし手に入れられるのならばと思いあらためて調べところ古本の値段が下がっていたので購入。