A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記919 『独居老人スタイル』

2014-09-27 23:50:22 | 書物
タイトル:独居老人スタイル (単行本)
著者:都築響一
デザイン:倉地亜紀子
カバー絵:川上四郎
カバー裏作品:荻野ユキ子
表紙:2012年3月11日 15:00 福島県相馬郡新地町釣師浜
発行:東京 : 筑摩書房
発行日:2013.12
形態:351p ; 21cm
内容:
ひとりで生きて、なにが悪い!
独居老人=哀れな晩年? いわれなき偏見をぶち壊す大先輩たちのマイクロ・ニルヴァーナ。
あえてひとりで暮らすこと。あえて空気を読まないこと。
それは、縮みゆくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルだ。

いま、世の中でいちばん情けない種族は「独居老人」ということになっている。
でも、独居老人って、そんなに憐れむべき存在だろうか。
これまでずいぶん一人暮らしの、ものすごく元気な老人たちに出会ってきた。
だれもたいして裕福ではなかったけれど、小さな部屋で、好きなものに埋もれて、
ストレスもなく、煩わしい人間関係もなく、もちろん将来への不安もなく――
ようするに毎日をものすごく楽しそうに暮らしてる、
年齢だけちょっと多めの元気な若者なのだった。
カネなんかなくても、家族なんかなくても、好きなように暮らせばいいじゃないか。
どこのだれにも気兼ねなく。
あえて独居老人でいること。そして、あえて空気を読まないこと。
それは縮みゆく、老いていくこの国で生きのびるための、
きわめて有効なスタイルかもしれないのだ。

まえがき
片付けるってのは、消極的なことですよ。―秋山祐徳太子(アーティスト)
早く壁にぶち当たりたいんです。―首くくり栲象(アクショニスト)
タバコと寿司屋と焼肉屋があれば、どこでもいいの!―鈴木惇子(スナック・ママ)
絵描きになるには毎日、家に居ればいいんだ。―美濃瓢吾(画家)
同年代の友達なんて、つまんないからひとりもいない!―水原和美(輸入用品雑貨店経営)
手伝ってくれるひとなんて、だれもいないんだよ。―田村修司(本宮映画劇場館主)
絵は病気なんですよ、つい飲んでしまうように、つい描いてしまう。―戸谷誠(画家)
なんにもしないでいられたら、それでいいんです。―ダダカン(アーティスト/ハプナー)
退屈しないよ、頭の中が休んでるヒマないからね―荻野ユキ子(早稲田松竹映画劇場お掃除担当)
やめちゃうのは学があるからだよ、学問がないから続いているの、それだけ。―新太郎(流し)
24時間ぜんぶ、自分のために使えるんやもん。―礒村遜彦(舶来居酒屋いそむら・主人)
電子書籍は野菜を直販するようなもんや、きたないけど売ってるんや―川崎ゆきお(漫画家)
歩くって、止まるのが少ないって書くんです。―プッチャリン(道化師)
彼氏はいるわよ、飲み友達ね。―坂東三奈鶴(日本舞踊家)
台本なんかいらねえ、ぶっつけ本番でやっちゃうもん。―三代目長谷川栄八郎(津軽三味線奏者/民謡歌手)
ようするに好きなんだね、女性が。―川上四郎(日曜画家)
あとがき

購入日:2014年9月27日
購入店:Gallery Nomart
購入理由:
 大阪・NOMARTの25周年記念イベントvol.1「Favorite Books(59名の“Favorite”展)」(2014年8月2日~8月30日)にて予約・購入した1冊。

 この展覧会は、アート、音楽、デザインなどさまざまな領域で活躍するクリエイターが「好きな一冊」を選び、その本をイメージしたブックカバーや自身の創造を加えた“Favorite Book”を制作・出品するというもの。
 私は田中恒子さん(アートラバー)の出品蔵書から本書を購入。田中さんは蔵書に展覧会チラシをカバーとして付ける習慣があるようで、それぞれの本とチラシの組み合わせを楽しまれているとか(おかんアートか?)。それはそれとして、私の関心はカバーではなく、読みたかった本書に安値がつけられていたので即決購入。田中さんを老人というには失礼だが、高齢の方の蔵書から老人についての本を購入するのもおもしろいものである。
 ところで、購入後、チラシカバーがセロテープで固定されているのには驚いた。6~7か所ほど貼られていたので、保存上、セロテープはすべてはがさせて頂いた。あしからず。


『独居老人スタイル』田中恒子カバーバージョン
チラシは、阪急メンズ大阪にて開催された「ドレッシング・グリーン」(2014.4.1~4.8)。


未読日記918 『1995年』

2014-09-25 23:19:39 | 書物
タイトル:1995年 (ちくま新書)
著者:速水健朗
装幀:間村俊一
発行:東京 : 筑摩書房(ちくま新書, 1038)
発行日:2013.11
形態:222p ; 18cm
注記:年表-1995年の主な出来事: p215-218
    参考文献: p219-222
内容:
1995年とは地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災という二大事件の起きた年だ。またウィンドウズ95の発売などでインターネット元年と呼ばれ、“失われた20年”と呼ばれる経済停滞が始まり、戦後初の社会党政権の時代でもある。戦後50年にあたる1995年は、ここから現代が始まった「戦後史の転機」といわれている。この1995年に、何が終わり、何が始まったのか。その全貌を解く衝撃の現代史!

目次
はじめに
第1章 政治―ポスト55年体制の誕生
第2章 経済―失われた20年の始まり
第3章 国際情勢―紛争とグローバル化の時代
第4章 テクノロジー―インターネット社会への転換
第5章 消費・文化―オカルトと自己喪失の世界
第6章 事件・メディア―大震災とオウム事件のあいだ
あとがき
年表――1995年の主な出来事
参考文献

購入日:2014年9月25日
購入店:大垣書店 烏丸三条店 
購入理由:
 つくるビルゼミの参考文献として当日に思いついて購入。当初は図書館にあると思っていたが蔵書になく、古本屋を探しても見つからず、結局、新刊で買うことにしたが、よく行くジュンク堂で見つからず、大垣書店で購入。だが、購入したもののほとんど使わなかったが・・。

未読日記917 『年表昭和・平成史 : 1926-2011』

2014-09-24 23:40:58 | 書物
タイトル:年表 昭和・平成史 1926-2011 (岩波ブックレット)
編者:中村政則、森武麿
編集協力:半澤健市、内藤大海
装丁:副田高行
表紙イラスト:藤原ヒロコ
発行:東京 : 岩波書店(岩波ブックレット, No. 844)
発行日:2012.7
形態:94p ; 21cm
内容:
戦争から高度成長、そして東日本大震災まで
時代の動きが一目で分かる

激動の「昭和」64年間と「平成」15年までの政治・経済・社会の主要な出来事を、1年1頁でコンパクトにまとめて定評のあった『年表昭和史増補版』に、2011年までを加え、新たに『年表昭和・平成史』とした。戦争から高度成長、そして東日本大震災まで、時代の動きが一目で分かる。

目次
はしがき
1926‐1945
1945‐1959
1960‐1972
1973‐1989
1989‐2011

購入日:2014年9月22日
購入店:ジュンク堂書店 京都朝日会館店
購入理由:
 9月25日のつくるビルゼミ「年表をつくる」の参考文献として購入。自分の年表を作成してみたら、とてもおもしろかった。年表のおもしろさにあらためて気づく。

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未読日記916 『不穏の書、断章』

2014-09-23 23:54:06 | 書物
タイトル:新編 不穏の書、断章 (平凡社ライブラリー)
タイトル別名:Livro do desassossego e outros fragmentos
著者:フェルナンド・ペソア
訳者:澤田直
装幀:中垣信夫
カバー図版:Miguel Yeco(署名を除く)
発行:東京 : 平凡社(平凡社ライブラリー, 780)
発行日:2013.1
形態:371p ; 16cm
注記:『不穏の書、断章』(思潮社, 2000年刊)の増補改訂
    「ベルナルド・ソアレス」は著者の異名
    「断章」出典一覧: p[88]
    訳者による『不穏の書』解題: p327-339
    参考文献: p356-358
    巻末エッセイ:「引用を待っている断言の束」(池澤夏樹)
内容:
私はなぜ あらゆる人 あらゆる場ではないのか?
(アルヴァロ・デ・カンポス)
複数の別人格で書いたポルトガル詩人・作家の作品群。旧版を大増補!

「フェルナンド・ペソアの書くものは、実名と異名と呼びうる二つの作品のカテゴリーに属している。……異名による作品は作者の人格の外にある。」――
別の名と別の人格をもつ書き手たちの作品群が、ペソアという文学の場で、劇的な空間を開いている。20世紀の巨匠たちの列に最後に加わったポルトガル詩人、ソアレス名義『不穏の書』と、本人名義と複数の異名者の断章を旧版を大きく増補・改訂した新編集で。

フェルナンド・ペソアへのオマージュ
断章
ベルナルド・ソアレス著『不穏の書』

『不穏の書』解題
訳者あとがき
平凡社ライブラリー版 訳者あとがき
巻末エッセイ「引用を待っている断言の束」池澤夏樹

購入日:2014年9月22日
購入店:ジュンク堂書店 京都朝日会館店
購入理由:
 最近、アーティストの丹羽康博さんとお話したとき、ペソアの名前が出て、その時はペソアの話にならなかったのだが、ペソアは前から読みたいと思っていた。詩評を書き終り、原稿を提出した後だったが、たまたま書店で思い出し購入。ページを開くと、断章のページの冒頭が「詩と詩人について」とあり、なぜこれをもっと早く読まなかったのか後悔した。以前からアフォリズムは好きだが、ペソアの断章も落雁の食感のように、読んだ言葉の塊がすっと溶けていく。

未読日記915 『「4分33秒」論』

2014-09-21 23:40:20 | 書物
タイトル:「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)
著者:佐々木敦
デザイン:戸塚泰雄(nu)
編集:大久保潤
宣伝営業:菅村博和(Pヴァイン)
発行:東京 : Pヴァイン, 東京 : 日販アイ・ピー・エス (発売)
発行日:2014.6
形態:254p ; 20cm
注記:佐々木敦主宰の私塾「BRAINZ」の一環として、「『4分33秒』を/から考える」と題して行われた全5回の講義 (2008年3月-7月) をもとに構成・加筆したもの
内容:
『4分33秒』を/から考えた15時間――そして「音楽」の「原理」へと直面する
脱・「音響」の美学

一日目 『4分33秒』とは何をするのか
ニ日目 「無為という行為」と「時空間の設定」
三日目 『4分33秒』をめぐる言説
四日目 『4分33秒』以後の音楽
五日目 「聴取」から遠く離れて
六年後の補講、あるいは長いあとがき

購入日:2014年9月20日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 書き終った詩評にジョン・ケージの『4分33秒』のことを触れたが、果たして『4分33秒』とは何なのか目を通しておきたく購入。とても刺激的、知的な評論として楽しめる1冊。


未読日記914 『愛。ただ愛』

2014-09-20 23:11:54 | 書物
タイトル:愛。ただ愛
写真:いくしゅん
発行:大阪 : FUKUGAN GALLERY
発行年:2014
形態:30p ; 21×30cm
購入日:2014年9月20日
購入店:FUKUGAN GALLERY
購入理由:
 「いくしゅん:愛。ただ愛」展にて購入したいくしゅんの写真集。いくしゅんは2012年のLIXILギャラリーでの個展でのとてつもない写真に圧倒されて以来、注目している写真家の1人。今展も笑いと辛辣さが混ざり合う決定的瞬間を捉え、「愛」としか言えない世界の断面を開示する。スライドショーのなかのシリーズで電車内のスナップショットはよくぞ撮った快作。ブログも強烈におもしろい。

未読日記913 『夜露死苦現代詩』

2014-09-15 23:11:56 | 書物
タイトル:夜露死苦現代詩 (ちくま文庫)
著者:都築響一
カバー写真:都築響一
カバーデザイン:坂哲二
発行:東京 : 筑摩書房(ちくま文庫, [つ-9-7])
発行年:2010.4
形態:391p ; 15cm
注記:2006年8月新潮社より刊行
    巻号はブックジャケットによる
内容:
詩は死んでなんかいない。ストリートという生きた時間が流れる場所で、詩人とは一生呼ばれない人たちが、現代詩だなんてまわりも本人も思ってもいないまま、言葉の直球勝負を挑んでくる……寝たきり老人の独語、死刑囚の俳句、エロサイトのコピー、暴走族の特攻服、エミネムから相田みつをまで。文庫化にあたり谷川俊太郎との対談、作詞家・吉岡治のインタビューを含む長いあとがきを増補。

目次
第1章 痴呆系 あるいは胡桃の城の山頭火
第2章 点取占い あるいはショウユ味のシュールレアリスム
第3章 木花開耶姫の末裔たち あるいは湯に煙るお色気五七五
第4章 池袋母子餓死日記 あるいは遺書という暗楽詩
第5章 死刑囚の俳句 あるいは塀の中の芭蕉たち
第6章 玉置宏の話芸 あるいは分速360字のトーキング・ポエトリー
第7章 32種類の『夢は夜ひらく』 あるいは無限連鎖のモノローグ
第8章 仏恥義理で愛羅武勇 あるいは暴走する刺繍の詩集
第9章 最大の印税が最高の賞賛である あるいはヒップホップする現代詩
第10章 あらかじめ答えられたクイズ あるいは反省と感謝のループ
第11章 少年よ、いざつむえ あるいは輝ける言葉のサラダ
第12章 肉筆のアクション・ライティング あるいはインターネットのエロ事師たち
第13章 アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック あるいは箱の中の見えない詩人たち
第14章 人生に必要なことは、みんな湯呑みから教わった あるいは詠み人知らずの説教詩
第15章 ヒトが生んでヒトが驚く あるいは見世物小屋の口上詩
第16章 肉体言語としてのラップ・ミュージック あるいは渋谷の街の即興歌人
第17章 相田みつを美術館訪問記 あとがきにかえて
付録対談 愛羅武現代詩 谷川俊太郎×都築響一
文庫版あとがきにかえて 演歌というポエトリー・リーディング

購入日:2014年9月14日
購入店:ON READING
購入理由:
 詩評の参考文献として購入。締切も間近なのだが、たまたま書棚で見つけ、なにかアイデアをひらめくか一度目を通したかった。
 一読してとてもおもしろかった。第4章の「池袋母子餓死日記」には驚愕した。ただ、都築氏のカウンターカルチャー、サブカルチャーへの愛着はわかるが、現代詩や現代美術を野次ったり、否定しても、もはやかつての権威は失われている。なぜそこまで敵対視するのか解せなかった。本書で取り上げられている「現代詩」がエンタテインメントとして人気を博しているのでそれで十分だと思うのだが、やはりアカデミックな評価を求めるのだろうか。

未読日記912 『守一のいる場所』

2014-09-14 23:09:07 | 書物
タイトル:守一のいる場所 熊谷守一
著者:熊谷守一
企画・監修:熊谷守一展実行委員会、廣江泰孝(岐阜県美術館)
特別協力:岐阜新聞・岐阜放送
編集・制作:鹿山芳明(求龍堂)
デザイン:近藤正之(求龍堂)
編集協力:松岡未紗(岐阜県美術館)
発行:東京 : 求龍堂
発行日:2014.9
形態:237p ; 30cm
注記:展覧会カタログ
    "「守一の居る場所 熊谷守一展」の公式図録兼書籍として刊行"--奥付
    会期・会場: 2014年9月5日-10月19日:岐阜県美術館
    主催: 熊谷守一展実行委員会(岐阜県美術館、岐阜新聞・岐阜放送、日本経済新聞社)
    作品・資料目録: p216-235
    熊谷守一に関する主な資料および情報: p236-237
    年譜・文献あり
    著者の肖像あり
    おもに図
内容:
そこに在っても無くてもよいもの。描いても描かなくてもよいもの。でも、それでも絵になってゆくもの。その愛しい存在が帰る場所。(本書より)

「守一のいる場所」廣江泰孝
図版
 生い立ち
「《轢死》と《蝋燭》の暗色化について」松岡未紗
 守一の死生観―生と死の間で
 無形の描線―輪郭線の秘密
 いのちのかたち
 墨絵―水墨淡彩の世界
 守一の書
 オイルパステル
 塑像

「木村定三と熊谷守一」石崎尚
資料
作品・資料目録
熊谷守一に関する主な資料および情報

購入日:2014年9月14日
購入店:岐阜県美術館
購入理由:
 熊谷守一の最大規模、最多出品数の回顧展公式図録。470点ほどの出品点数に驚くが、熊谷守一は小品が多いゆえだろう。だが、小さいからといって作品が「小さい」わけではない。後年の《あぢさい》などを見れば、離れてみてたときに色が際立ち、空間的な広がりさえ感じさせるのである。これは画集や図録ではわからない。実作を見ることの醍醐味であろう。
 また、現代作家との色彩や色面構成などの比較参照としてもヒントをもらえた有益な展覧会であった。これはいつか書いてみたい。