タイトル:アートは心のためにある:UBSアートコレクションより
編集:片岡真実/町野加代子/越田環/佐々木瞳/小山田洋子/鈴木幸太[森美術館]
デザイン制作:秋山伸/堤あやこ[schtucco]
発行:
森美術館
発行日:2008年2月2日
金額:2500円
内容:
「ごあいさつ」マーク・ブランソン(UBS証券会社 前チーフ・エグゼクティヴ・オフィサー、現グローバル・ウェルス・マネジメント&ビジネス・バンキング チーフ・フィナンシャル・オフィサー)
「われわれは世界とどう繋がっているのか?」片岡真実(森美術館シニア・キュレーター)
「森佳子(森美術館理事長)インタビュー:アートコレクションをつくるということ」聞き手:南條史生(森美術館館長)
「「みんな自分の物語がある」UBSアートコレクションにおけるアジアの物語性」ピー・リー[皮力](UBSアートコレクション・キュレーター)
「「心を突き動かすイメージ」UBSアートコレクションの歴史とこれから」ジョアン・バーンスタイン(UBSアートコレクション・キュレーター)
図版/作家・作品解説
作品リスト、主要参考文献
購入日:2008年3月30日(入手日:2008年4月26日)
購入店:
森アーツセンターミュージアムショップ
購入理由:
東京・森美術館において開催された<アートは心のためにある:UBSアートコレクションより>(2008年2月2日-4月6日)の展覧会カタログ。
出品作家のリストを見るとよく見かける名前が多いのであまり期待していなかったのだが、予想以上に楽しめた快心の展覧会。雨降る日曜の夜間に疲労のたまった状態で行き、けっしてコンディションはよくなかった。だが、見終わった後はエネルギーが充填されたような、なにか肩の力が抜けたような気分になっていた。まさに「アートは心のためにある」を身をもって実感した展覧会だった。
その日、コンディションがよくなかった私の状態を一気にシフトチェンジしてくれた作品はツァオ・フェイのヴィデオ作品≪ユートピアは誰のもの≫(2006)であった。この作品に出会うことができたことで、疲れが吹き飛んでしまったのだ。照明器具メーカーのデジタル工場を舞台に、無機質に動く機械、機械のように働く人々・・働く彼(彼女)らの夢を淡々と浮き上がらせていく20分の映像作品。フィックス・ワンカットワンショットにクローズアップ、バックにはミニマルな音楽が流れるシンプルだが、心に電灯を灯すような美光な映像体験だった。
さらに、続く写真セクションのオリヴォ・バルビエーリ、トーマス・フレヒトナー、アンドレアス・グルスキー、ダグ・ホール、カンディダ・へーファー、ウォルター・ニーダーマイヤー、トーマス・シュトゥルートらのベッヒャー系写真の充実ぶりがのどの乾きを癒す水のように染み透り、体内環境正常化を促進してくれた。
アリギエロ・ボエッティ、ギリェルモ・クイトカ、チン・ガの地図をモチーフとした作品は刺戟を与えてくれたし、日本ではほとんど見る機会がないブライス・マーデン(!!)も忘れられない。
観覧後、ツァオ・フェイという私とほとんど同世代のこの作家のことを知りたくなり、出版物を探したが見当たらない。カタログを見てみるとなんと品切れで予約後に後日発送とのこと。その日の興奮から衝動的に購入してしまったが、このような現代美術の展覧会カタログが売り切れるとは考えられない事態である。UBSにこの売上がいくのかどうかわからないが、よいコレクションを続けてほしいものである。