A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

ほんとう

2006-06-25 13:31:09 | 美術
写真の作品の花材は、ひまわりとモンステラです。モンステラの語源はモンスターからきているようです。実に不思議なカタチをしています。



「人は百年もたたないうちに死んでしまう。長寿を得たものも、確実に死んでいく。かたちのあるものは、滅びをむかえ、集まったものは散り散りになっていく。空に生まれ、空に死んでいく。人は皆、わたしもあなたも、この現象世界の中のどこにも、羽根を休める足場をみいだすことのできないまま、宙に舞いつづける蜂のようなものだ。財産も、家族も、肉親の愛情も、死のときにはなんの役にもたたない。あなたはそれをすべて捨てて旅立つのだ。だから、わたしたちが生きているうちにすべきことは、自分の心を成熟にむかわせるだけなのだ。そのことの重要さが、誰にも訪れる死の時に、わかる」(p.50 『三万年の死の教え チベット『死者の書』の世界』中沢新一、角川文庫、1996年


「心の流れが、とだえないから、生命には再生があるから、人は世界にたいして、ほんとうに優しくなれるのだ」(p.59 同上)


「誕生の時には、あなたが泣き、
 全世界は喜びに沸く。
 死ぬときには、全世界が泣き、
 あなたは喜びにあふれる。
 かくのごとく、生きることだ。

 さあ、行こう」
(p.67 同上)


2006-06-02 00:03:06 | 美術
私は遅い晩ご飯を家の居間でとっていた。すると、隣の部屋で眠っていた祖母がなにやら起きだし、杖をついて歩いて来た。祖母は、そのまま私のいるテーブルのそばを通り過ぎ、玄関の方へ行く。そして、玄関のドアを開けようとするではないか。

私は、高齢になる祖母の体調を気づかい、また深夜になぜ玄関を開けようとするのか訝しく思い、祖母になぜ玄関を開けようとするのか問いただした。
すると、祖母はこう答えた。

「外で玄関を開けてくれという声がした」と。

そんな声は、私には聞こえない。
祖母に、そんな声は聞こえず、また家人の者はすべて帰宅していることを伝え、念のため玄関の引き戸を開けてみたが、当然人はいない。たが、祖母は納得がいかないようであった。だが、しぶしぶ玄関を開けようとするのをあきらめ、部屋へと引き返していった。

私には聞こえなかったが、祖母には「声」が聞こえたのだ。
家の玄関の引き戸を開けてくれという声が。
私はいま、その「声」の存在が気になっている。
なぜなら、その「声」の存在を感じたからだ。