A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1344 『アンフォルメルとは何か? 』

2017-08-31 23:59:15 | 書物
タイトル:アンフォルメルとは何か? : 20世紀フランス絵画の挑戦
タイトル別名:Postwar abstract painting in France and art informel
編集:ブリヂストン美術館
執筆:島田紀夫、新畑泰秀
参考文献:小林未央子、新畑泰秀
編集協力:遠山真佐美、古山真里奈
翻訳:スタンレー・N. アンダソン
表紙デザイン・デザイン監修:丸山和広(亀山社中)
本文デザイン制作・印刷:野毛印刷社
発行:[東京] : ブリヂストン美術館
発行日:c2011
形態:191p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2011年4月29日-7月6日:ブリヂストン美術館
   英文併記
   主催: ブリヂストン美術館
   主要参考文献: p176-180
   作品リスト: p182-189
   付: 特別出品作品図版1枚
内容:
「「アンフォルメルとは何か?」展に寄せて」島田紀夫
「戦後フランスの抽象絵画とアンフォルメル」新畑泰秀
カタログ
1 抽象絵画の萌芽と展開
 コラム:「冷たい抽象」と「熱い抽象」あるいは「抒情的抽象」
2 「不定形な」絵画の登場——フォートリエ、デュビュッフェ、ヴォルス
 ジャン・フォートリエ
 ジャン・デュビュッフェ
 ヴォルス
3 戦後フランス絵画の抽象的傾向と「アンフォルメルの芸術」
 コラム:アンフォルメル
 コラム:タシスム
 コラム:アンフォルメルと同時代のヨーロッパの動向——コブラと空間主義
 コラム:ブリヂストン美術館とアンフォルメル
主要参考文献
作品リスト

購入日:2017年8月30日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 田中真吾展「Expect The Unexpected」(eN arts)の参考文献として購入。
 論文、資料が充実しており、日本における「アンフォルメル」の基本文献といえる。

未読日記1343 『リルケ時祷詩集』

2017-08-30 23:05:45 | 書物
タイトル:時祷詩集
タイトル別名:Das Stunden=Buch
シリーズ名:彌生選書, 1
著者:ライナー・マリア・リルケ
訳者:尾崎喜八
発行:東京 : 彌生書房
発行日:1959.5
形態:240p ; 19cm
内容:
僧院生活の書
巡礼の書
貧困と死の書

購入日:2017年8月30日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 東京・ギャラリーカメリアにて開催された石塚雅子展「彼方」(8月22日(火)~9月3日(日))を拝見した際、会場に置かれていたのが本書だった。詩集好きなので、興味を惹かれて手に取ったところすばらしい詩集だった。作品の「光」と呼応するように、リルケの言葉が反響し、彼方に思いを馳せる。

memorandum 551 「これ、やって」

2017-08-29 23:56:54 | ことば
われわれ凡人が「ほんとうにしたいこと」や「自分の天職」で勘違いすることはまず不可避である、と。そう申し上げてよろしいかと思います。そんな「内面の声」に耳を傾ける暇があったら、まわりの人からの「これ、やって」というリクエストににこやかに応じたほうがいい。たいていの場合、自分の能力適正についての自己評価よりは、まわりの人の外部評価のほうが正確なんです。「これ、やって」というのは「あなたの例外的な潜在能力はこの分野で発揮される」という先行判断を含意しています。そういう言葉には素直に従ったほうがいい。

内田樹『街場のメディア論』光文社(光文社新書)、2010年、27頁。

まわりの人からの「これ、やって」にしたがって生きて今に至る。
自分の才能は、自分ではなく他人が決めることだと思っている。逆に言えば、人が私に「これ、やって」と言わなくなった日、私の才能は終わったということかもしれない。それはそれで来る日に新たな能力が育っているのかもしれない。


memorandum 550 道を切り開いたらなあかんですね。

2017-08-28 23:20:55 | ことば
 ヒップホップはこうやとかああやとか、おっさんも、俺らぐらいの年のやつも、みんなヒップホップ・ラブが強すぎてそう言っちゃうけど、ハタチの子にヒップホップなんか、わかるわけないじゃないですか。その見方がおかしいんですよね。そういう子らを育てたらな俺はあかんと思うし、道を切り開いたらなあかんですね。俺らがバカっと道を開けて、そこにどんどん行け行けつって入らせたるぐらいの穴を作ったる気のあるラッパーが、いま日本にいないと思うんです。そんな若い子があったら引き上げるから、俺すぐ。俺んち住めって。俺の街に住んだらいいって。メシも食えるから大丈夫やって。

ANARCHY、都築響一『ヒップホップの詩人たち』新潮社、2013年、473頁。

ヒップホップ界同様に、美術界も後進を育て、道をつくる「気のある」アーティストや美術関係者は日本にはいない。そもそもアートを志向する「若い子」がいるかどうか。妬みや嫉みばかりでは、いよいよ終りである。

memorandum 549 ぜんぜん恥じることない

2017-08-27 06:36:54 | ことば
当時からいっしょにやってて、いまでも食えないやつ、いっぱいいます。でも、それもヒップホップやと俺思うんですよね。売れてるやつだけがヒップホップじゃなくて、別に土方やってラップやってるやつでも、カッコええやつなんかなんぼでもいるし、それを俺は恥じたらあかんと思てるんです。その、いまの現状を。俺、若いやつとかにもみんな言うけど……ラップで売れることは夢じゃないですか。それに向かってることがヒップホップやから、土方やってようがぜんぜん恥じることないって。それがいつか土方やめれるときが来るって信じてやるのが俺はヒップホップやと思うんですよね。

ANARCHY、都築響一『ヒップホップの詩人たち』新潮社、2013年、472頁。

「ヒップホップ」を他の言葉に置き換えても同じだろう。
売れることは実は重要ではなく、現状や自分を信じること、恥じないことの方が重要である。



memorandum 548 ただ普通なだけ

2017-08-26 23:02:56 | ことば
 マリファナ売ってどうのこうのとかってラップしてるひとたちもいるけど、そんなのいちばん楽な道じゃんって、俺いつも思うんですよ。悪いことしか表現できないなら、悪い人にしか届かないっていうか。
 ただ普通なだけじゃ、それはそれでつまらないし、悪いことを経験した上でっていうのはもちろんあるんですけど。普通の生活をして、普通の人の目線で、普通の気持ちじゃないと、普通のひとに届かないって思うんですよね。


ZONE THE DARKNESS、都築響一『ヒップホップの詩人たち』新潮社、2013年、174頁。

「普通」でいることは意外とむずかしい。

memorandum 546 日本の博物館

2017-08-24 23:47:35 | ことば
日本の博物館は、市民に開くことを目的としてつくられたものではなかったのである。その最大の目的は、近代国家としての象徴(シンボル)であり、そのために、どちらかといえば、モノを管理して収める空間としての側面が強い施設だった。(・・)その結果、日本の博物館は、開くべき先としての明確な送り手像をもたないままつくられた。
村田麻里子『思想としてのミュージアム ものと空間のメディア論』人文書院、2014年、170頁。

日本の博物館とは、当初は来館者となるべき階層がいない中で、政府の政策を直接的に反映する行政的組織としてつくられ、のちに社会構造の変化に伴い初めてそこを利用できる階層が生まれた、ということになる。つまり、欧米のミュージアムとは逆の順序と構造になっていることが、その最大の特徴なのである。
同上、171頁。

 日本の博物館は、明治期には近代国家の象徴として、戦前・戦中には帝国の象徴(シンボル)とプロパガンダ装置として、そして戦後は民主主義と、「もはや戦後ではない」経済大国の象徴として機能してきた。しかし、地方の豊かさが証明されてしまったあと、博物館はそのメッセージを失い、行政にとって積極的に支える理由をなくしたのである。「貴重な文化財の保護」や「市民の教育」というメッセージだけでは、予算を投入する論理としてはもはや弱いと行政が判断したいま、日本の博物館というメディアは、新たな意味とメッセージを必要としている。それは、もはや行政のメッセージではない。それぞれの館が個別に発するメッセージであり、高度な消費社会(に生きる私たち)に向けて放たれるメッセージである。
同上、225頁。

根源からミュージアムとは何かを問う名著。
京都市美術館のリニューアルをめぐる問題を見ると、つくづく日本のミュージアムは箱物行政だと思い知らされる。
この国のミュージアムのほとんどは、来館者や市民に向けて「メッセージ」を発していない。
学芸員や職員数の少なさも、メッセージを発する気がないから不要なのであり、「モノを管理して収める空間」であればいいと運営者は考えているのである。欧米のミュージアムのように3ケタの職員数とはいかないとは言われるが、3ケタを超える職員がいるから、それだけ出来ることも多く、関係も広がり、多様な来館者層に向けてメッセージを発することができ、人々が訪れるのである。




未読日記1342 『アンフォルム―無形なものの事典』

2017-08-23 23:24:25 | 書物
タイトル:アンフォルム―無形なものの事典
タイトル別名:Formless : a user's guide
       L'informe : mode d'emploi
シリーズ名:芸術論叢書, 第1回配本
著者:イヴ=アラン・ボワ, ロザリンド・E・クラウス
訳者:加治屋健司, 近藤學, 高桑和巳
造本設計:深山大智+大橋泉之
発行:東京 : 月曜社
発行日:2014.9第3刷(2011.1第1刷)
形態:315p, 図版viiip ; 19cm
注記:フランス語タイトルは凡例による
内容:
モダンアートにおける〈無形なもの〉の過去・現在・未来をAからZまでのキーワードで読み解く事典。
美を解体し形を逸脱する、異質なるものたちの諸領域を横断し、芸術理論の新地平を切り拓く論争的マニフェスト。

目次

はじめに
序論 「アンフォルム」の使用価値
低級唯物論
 場 Abattoir
 低級唯物論 Base Materialism
 死骸 Cadaver
 弁証法 Dialectic
 エントロピー Entropy
 形象 Figure

水平性
 ゲシュタルト Gestalt
 水平性 Horizontality
 等方性 Isotropy
 痛ましい遊戯 Jeu Lugubre
 キッチュ Kitsch 
 液体語〔リクイッド・ワーズ〕 Liquid Words 

パルス
 「カメラ〔モトゥール〕!」 “Moteur!”  
 否……アンフォルメルへの No to... the Informel
 否……ヨーゼフ・ボイスへの No to... Joseph Beuys
 オランピア Olympia
 部分対象 Part Object
 パルス Pulse 

エントロピー
 特性(のない) Qualities (Without)
 光線銃 Ray Guns 
 カバの発汗 Sweats of the Hippo
 閾穴 Threshole 
 不気味なもの Uncanny
 非常に遅い Very Slow 
 水洗便所 Water Closet 
 Xは現場の印 X Marks the Spot 
 ヨーヨー Yo-yo 
 場末 Zone 
結論 アンフォルムの運命
翻訳者あとがき

購入日:2017年8月22日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 田中真吾展「Expect The Unexpected」(eN arts)の参考文献として購入。
いまの日本ではアンフォルム旋風が再び来ている気がするのだが、という予測を立てて、読んでみる。


未読日記1341 『The top floor : Gallery² 1981-1986』

2017-08-22 23:31:44 | 書物
タイトル:The top floor : Gallery² 1981-1986
タイトル別名:The top floor : Gallery Gallery
編集:ザ・トップ・フロアー実行委員会
   浅井伸一、草間喆雄、新道弘之、戸矢崎満雄、三橋遵
協力:小林尚美、川嶋啓子
デザイン:戸矢崎満雄+畠健太郎
発行:[出版地不明] : ザ・トップ・フロアー実行委員会
発行日:2006.7
形態:143p ; 21cm
注記:タイトルは奥付より
   [2]は上つき文字
   本文は日本語
   作家リスト: p[138]-139
内容:
「はじめの「ギャラリーギャラリー」」浅井伸一
01 伸一・正和・喆雄
02 森豪男
03 小林正和
04 小林尚美
05 草間喆雄
06 浅井伸一
06 Wayne Springer
08 扇千花
09 小林正和
10 金子素子
11 青野卓司
12 草間喆雄
13 松原つとむ
14 浅井伸一
15 田中千世子
16 Leo Hobaika
17 伸一・正和・喆雄
18 吉田晃良
19 小林尚美
20 Suzan Marie Johnson
21 小林正和
22 Ann Flaten Pixley
23 Sheila Hicks
24 浅井伸一
25 ひろいのぶこ
26 中川真木
27 Margrit Andres
28 Ann Veronica Janssens
29 Lisa Rehsteiner
30 安藤卓美
31 川嶋啓子
32 Daniele Cochard
33 山本篤子
34 Charles N. Hilger
35 田中千世子
36 Maryan Geluk
37 扇千花
38 戸矢崎満雄
39 青野卓司
40 草間喆雄
41 三橋遵
42 新道弘之
43 小宮直美
44 山本典子
45 高橋正
46 田中千世子
47 小林尚美
48 堀川成巳
49 戸矢崎満雄
50 川島紘一
51 細野尚志
52 三橋遵
53 田中千世子
「無人ギャラリーの頃」藤慶之
座談会 2006.1.29 at G² 川嶋啓子(chairman)、三橋遵、小林尚美、戸矢崎満雄、浅井伸一、草間喆雄
「黙って見つめる愉悦・ガラス越しの対話」太田垣實
「小林正和は同志だった」森豪男
「小林のこと」新道弘之
作家リスト
「おわりに」戸矢崎満雄

頂いた日:2017年8月20日
 京都・ギャラリーギャラリーにて「扇千花展」を拝見した際にご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 本書は、ギャラリーギャラリーの1981〜1986年の記録集。この間はエレベーターもライトもスタッフもアーティストも常駐しない無人ギャラリーとして始まった。このギャラリーを始めたのは小林正和、草間喆雄、浅井伸一の3名の作家である。本書には、53の展覧会の会場写真と作家のハンドメイドで制作されたDM画像が掲載されている。今見ても清新でエネルギッシュ溢れる作品群に時代と人の熱気を感じる。このようなオルタナティブな場所が生まれるのは京都ならではか。そのエネルギーは、今のギャラリーギャラリーにも継続している。