タイトル:
絵画で綴る哲学と倫理学―西洋思想のイコノロジー
著者:門屋秀一
カバーデザイン:田川デザイン事務所
カバー印刷:イチダ写真製版
発行:京都 :
晃洋書房
発行日:2009.7
形態:xvi, 186p, 図版 [6] p ; 20cm
注記:参考文献: 章末
内容:
本書は、絵画や美学の見識と同時に哲学の教養・知識がなければとてもできない仕事であり、これまでほとんど未到の分野・方法である。そして難解といわれる哲学の諸理論・諸思想を非常に簡潔明瞭な筆致でもって、まことに手際よく説明し記述している。読み物としても大変すぐれたものである。
本書が読者の理解を得て、教養としての哲学を学びたいと思う若者が多く出現することを願うところである。
有福孝岳(京都大学名誉教授)
それではソクラテスは何も欲しがらなかったのか?
彼が欲しがっていたものは唯一つ、
それが「知(ソフィア)」だった。
その営みこそが哲学(フィロソフィア)。
目次
本書刊行に寄せて
はじめに
第1章 ソクラテスの無知の知―道徳哲学のはじまり―
1 求める唯―のもの、知恵―快楽、名誉、富、権力に無関心だったソクラテス―
2 無知の知―デルフォイの巫女の言葉から知者探しへ―
3 ソクラテスによる道徳哲学あるいは倫理学の始まり
第2章 ソクラテスの道徳的正義
1 ソクラテスと悪妻クサンテイッペ
2 毒杯を仰いだソクラテス
3 正義の図像的表現
4 古代から現代にいたる「正義」とは?
5 革新者ソクラテスの道徳的正義とは?
第3章 プラトン的愛としての哲学
1 本当の愛とは知恵への愛である―プラトニック・ラブ―
2 神聖愛と世俗愛
第4章 プラトンにおける善のイデア
1 感覚の背後には何があるのか?―プラトンによるイデア論の完成
2 イデアを知りうる魂―プラトンの想起説―
3 日本の霊魂説
4 洞窟の比喩と魂の教育
5 美しい物から美のイデア、そして善のイデアへ
第5章 プラトンにおける道徳と芸術
1 プラトンの絵画模倣論
2 プラトンの詩人追放論
第6章 倫理学の確立―アリストテレス(1)―
1 理想主義と現実主義―プラトンとアリストテレス―
2 美術に見る現実主義と理想主義
3 倫理学の位置づけと原理
4 倫理学から政治学へ
第7章 善と幸福―アリストテレス(2)―
1 プラトンにおける正義の報酬としての幸福
2 キリスト教における最後の審判と七つの大罪
3 アリストテレスの幸福とは?
4 三種類の善
第8章 中庸の徳―アリストテレス(3)―
1 状態としての徳とは何か?
2 中庸の徳としての勇気
3 中庸の徳としての勇気と節制
4 アリストテレスの正義
第9章 近代的自我の発見―デカルト―
1 コギト・エルゴ・スム(われ思う、ゆえにわれあり)
2 近代的自我の発見
3 感覚的なものは疑わしい
4 単純で普遍的なものですら欺かれた結果である
5 蜜蝋はどこにある?
6 三種類の観念 idea
7 物体の観念はどこから?
8 神の観念からの神の存在証明
9 存在論的な神の証明
10 神の認識から何が生まれるのか?
第10章 幸福と善意志―カント(1)―
1 幸福に満ちた黄金時代
2 最初の女性パンドラとエヴァ
3 カントの幸福批判―幸福の原理による行為―
4 絶対的善と相対的善―善意志と幸福―
5 カントの厳格主義と絶対的な善
6 プラトンによる道徳と法律の起源の説明
7 カントにおける適法性から道徳性への意向
第11章 道徳法則と定言命法―カント(2)―
1 モーセの十戒
2 定言命法と仮言命法
3 シラーの寸鉄詩
第12章 道徳性から人倫性へ―ヘーゲル―
1 法律か倫理か?―適法性か道徳性か?―
2 カントの形式主義への批判
3 カント的道徳的意志から人倫的意志へ―客観的精神の弁証法的発展―
跋
頂いた日:2012年10月25日
場所:京都市内某所
大学院の後輩より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
とはいえ、私は哲学は門外漢なのだが・・。