A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

Recording Words 105 勉強

2010-06-29 23:42:16 | ことば
食欲なくして食べることが健康に害あるごとく、欲望を伴わぬ勉強は記憶をそこない、記憶したことを保存しない。
(杉浦明平訳『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1』岩波書店、1954年、p.35)

食事には食欲を、勉強には知識欲を、好奇心を持ちたい・・
食べ物と同じで贅肉はいらないが、筋肉はつけたい

散歩のとき何か食べたくなったのだ1

2010-06-27 23:36:20 | たべもの
品名:シュークリーム
購入日:2010年6月21日
購入店:手作りパン工房 coneruya(京都市中京区千本丸太町西に300m)

雑事を片づけて家路へと帰る途中で見つけた1店。今まで何度も通っていたはずなのに、小さなお店のため気がつかなかった。だが、小さな店内にはたくさんの種類のパンが販売されており、充実したパン選びができた。食パンにいたっては1枚から販売もしているらしく、庶民的、細やかな選択肢がうれしい。

いくつか購入したが、写真はシュークリーム。シュー生地をレジに持って行くと、その場で中にカスタードクリームを入れてくれた。小さなお店だからこそできる気の利いた販売方法に感激した。全体的に値段もリーズナブルで、すばらしい店だと思う(本当は秘密にしておきたいくらいだ)。
シュークリームはその後、美味しく頂いた。しかし、久しぶりに食べたら、なんだかノスタルジックな気分になった。人は年間にシュークリームをいくつ食べるのだろうか・・。こんどはベーグルを買いに行きたい。

未読日記420 「没後50年 鹿子木孟郎展」

2010-06-25 22:12:07 | 書物
タイトル:没後50年 鹿子木孟郎展
編集:三重県立美術館(荒屋鋪透・中谷伸生)、神奈川県立近代美術館(原田光)、京都国立近代美術館(島田康寛)、岡山県立美術館(宮本高明・妹尾克己)
制作:大塚巧藝社
発行:三重県立美術館神奈川県立近代美術館京都国立近代美術館岡山県立美術館
発行日:1990年
内容:
三重県立美術館(1990年9月29日~11月4日)、神奈川県立近代美術館(1990年11月10日~12月24日)、京都国立近代美術館(1991年2月26日~3月24日)、岡山県立美術館(1991年4月3日~5月6日)において開催された「没後50年 鹿子木孟郎展」の図録。

ごあいさつ
「鹿子木孟郎展に際して」河北倫明(美術評論家)
「19世紀後半のフランスの美術教育――国立美術学校と私立画塾――」高階秀爾(東京大学教授)
「鹿子木孟郎と日本近代」陰里鐵郎(三重県立美術館長)
カタログ
「洋行以前の鹿子木孟郎」宮本高明(岡山県立美術館学芸員)
「イポールの鹿子木孟郎――作品《ノルマンディーの浜》を巡って」荒屋鋪透(三重県立美術館学芸員)
「水彩画論争と鹿子木孟郎」原田光(神奈川県立近代美術館学芸員)
「主題をとおして見た鹿子木孟郎の芸術」島田康寛(京都国立近代美術館主任研究官)
出品作品一覧
鹿子木孟郎年譜
鹿子木孟郎文献抄
Takeshiro Kanokogui – 1874-1941

購入日:2010年6月6日
購入店:町家古本はんのき
購入理由:
 ANEWAL Galleryの方より教えて頂き訪ねた「町家古本はんのき」で購入。
なぜ、鹿子木孟郎なのかというと、大正から昭和20年代にかけて日本各地の鳥瞰図を描いた吉田初三郎のことを調べていたところ、初三郎の師が鹿子木であることがわかり、本書を探していたのである。しかし、展覧会が1990年開催と時間がたっているためか、先日訪れた三重と京都の美術館では図録販売はなされておらず、関西の図書館では納品もされておらず見ることができなかった。これでは東京に行った時か、少し値段は張るがネットで買うか・・・と迷っているときだったので偶然に感謝したい。
 その鹿子木孟郎だが、まったく興味関心さえ持たれていない画家かもしれない。実際、私が一部の京都の大学院生、研究者の方に鹿子木のことを話してもノーリアクションであった(美術史系ではないから当然かもしれないが・・)。おそらく見たことのない人が多いだろうし、見たとしても特色もない近代日本の洋画で片づけられてしまう画家であろう
 それはともかく、私は吉田初三郎の描く鳥瞰図に鹿子木孟郎の影響があると考えている。例えば、初三郎がダイナミックに描き出す山々の風景や崖の岩肌を見ると、渓流や森林、海岸の風景画を得意としたという鹿子木の影響が僅かに感じられるのである。フランスのアカデミズム絵画の伝統を受け継いだ鹿子木の絵画技法が、吉田初三郎の鳥瞰図へと変転して受け継がれていると考えると、実に興味深いと思うのは私だけか。
 そして、19世紀フランス絵画における風景画とは風景をパノラマ的に描き出す「風景」の発見だったとすれば、19世紀パリにおけるパノラマ館の流行、写真の発明、ステレオ写真へと問題は派生する。3度のフランス留学を経験した鹿子木が日本にもたらしたのは、絵画技法だけでなく、19世紀フランスにおける新たな視覚経験も日本にもたらしたのかもしれない。



Recording Words 104 徳

2010-06-23 23:25:07 | ことば
失われうるものを富と呼んではならない。徳こそ本當のわれわれの財産で、それを所有する人の本當の褒美なのである。徳は失われえない、まず生命がわれわれをはなれぬかぎり、われわれを見捨てない。財貨や外面的な富はいつもこれをびくびくしながら保っているが、一旦所有財産をうしなうと、しばしばその所有者を侮辱のうちに見捨て嘲弄の的にする。
(杉浦明平訳『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1』岩波書店、1954年、p.33)

毎日びくびくしている。

未読日記419 「古地図を歩く」

2010-06-21 21:59:58 | 書物
タイトル:太陽 1976 No.160
表紙:分間懐宝御江戸絵図(部分)
編集長:中村新珠
デスク:高橋洋二
取材:吉村千穎、西田成夫、長谷川健樹、有川雄二郎、石川順一、門崎敬一、三村泰一、渡辺直樹
レイアウト:徳永勝哉、正井慧、浪江ミズホ、義江邦夫
発行:平凡社
発行日:1976年8月12日
内容:
特集「古地図を歩く」写真=廣田尚敬、土田ヒロミ、高橋昇
巻頭言
 「古地図・歴史地図・未来の地図」小松左京
古地図の美とロマン
街のなかの旅 箱館・大坂・津和野
 「北の幻想―箱館」高井有一
 「大坂の年輪 今橋筋を中心に」足立巻一
 「津和野のおとめたち」網淵謙錠
「日本都市図カタログ」解説=矢守一彦
特集グラビア「箱根七湯のぼせ旅」神吉拓郎 写真=荒木経惟
特集小説「河内の国の時間旅行」邦光史郎 絵=御正伸
特集随筆
 「日本図の歴史」織田武雄
 「古地図蒐集の思い出」南波松太郎
 「空想名所案内」種村季弘
特集ガイド「古地図入門」岩田豊樹

特別企画「北太平洋不定期航路」写真・文=石濱恒夫
「神野推理氏の華麗な冒険□第三話 コザのいざこざ」小林信彦 絵=小林泰彦
「活動写真事始□第三話 新鋭監督の頃」衣笠貞之助
「巨匠のアトリエ□3/ジャン・カルズー マヌカンと戯れる鋭い眼」写真・文=南川三治郎
「骨董夜話 唐傭」奈良本辰也 写真=本誌・市島敏男
「散歩のとき何か食べたくなって□9 横浜あちらこちら」池波正太郎 写真=本誌・脇坂進
「当世賢婦伝□9 佐藤寛子」本誌編集部 絵=斎藤融
「世界の旅□オランダ・ベルギー 絵画と現実の間」文=中井英夫 写真=斎藤秀一
太陽の眼
「今月の日本」長谷川四郎 「書評」田中日佐夫、根本順吉、平川祐弘、三神真彦 「ステージ」大笹吉雄 「美術」出口裕弘 「サウンド」片岡義男 「映像」宇佐美圭司 「ファッション」黒田征太郎 「映画」中上健次
次号予告/編集室/年ぎめ購読のお知らせ/友の会
(本誌目次より)

購入日:2010年6月6日
購入店:町家古本はんのき
購入理由:
ひょんな偶然から町家の古本屋に入った。昼過ぎのまったりした時間が流れている店内で気持ちよく物色開始。すると、自分が生まれる前に発売された太陽で「古地図特集」号を見つけた。研究上、読まなければならないものはたくさんあるのだが、京町家の古本屋で自分の興味のあるテーマを取り上げている古い雑誌を見つけことがうれしくて買ってしまった。
 余談だが、池波正太郎の連載「散歩のとき何か食べたくなって」は名タイトルだと思う。タイトルを頂いて、自分もやってみようかと思う。

未読日記418 「日本ぶらりぶらり」

2010-06-18 23:26:56 | 書物
タイトル:日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)
著者:山下清
カバー装画:山下清
カバーデザイン:田淵裕一
発行:筑摩書房/ちくま文庫
発行日:2005年11月10日第5刷(1998年4月23日第1刷)
内容:
半ズボンに坊主頭、リュックを背負って九州、山陰、東北とぶらりぶらりの珍道中。
「わしも山下清のはえたような男です」という言葉を耳にした清は、「ぼくのどこに毛がはえるとあなたになるのですか――」。
笑いを誘い、かつ考えさせられる文章とスケッチで綴る放浪記。
解説 寿岳章子
(本書カバー裏解説より)

購入日:2010年6月6日
購入店:ANEWAL Gallery
購入理由:
 築120年の京町家を改装したアニュアルギャラリーに伺った。帰り際、玄関スペースの棚に眼を向けると、古本が並べられている。吸い寄せられるように棚を見始めると、文学全集や単行本、文庫本、新書などの古本が並んでいることがわかった。ギャラリーの方によると、近所にある「町家古本はんのき」という古書店の本を、ギャラリーで販売しているのだという。その棚の中に本書はあった。
 山下清。今では知る人も少ないかもしれない。「半ズボンに坊主頭、リュックを背負って」日本各地を放浪し、朴訥な絵や貼絵を制作した。<日本のゴッホ><裸の大将>という名称でも親しまれ、映画やテレビドラマ化もされた人物である。
 なぜそのような人物が現在ほとんど評価も注目もされていないかというと、やはり理由がある。それは、山下が言語障害・知的障害を持ち、正規の美術教育も受けず、画壇にも属さなかったからだろう。

 本書を手にした時、思いだしたことがあった。今年の3月、友人の個展に行ったときである。作品は平面的彫刻とも呼べる「棚」が展示されていたが、その側にメモか詩のような文章が書かれた紙が展示されていた。その文章は、文法や文体が少しおかしく、幼い子どもが書くような文章だった。だが、私はその文章の持つ語感や感性に温かさを感じて、強く印象に残った。すると、友人はこの文章は山下清の書いたものだという。
 久しぶりに「山下清」という名前を聞いた。「裸の大将」なる微笑ましくも切ない呼称を与えられてしまった山下清の文章が、これほど純度の高いものだとは私は知らなかった。ぜひ著書を読んでみたいものだと心に留めて、その日はギャラリーを去った。その後、例によって忘れていたのだが、偶然にしてこの日、山下清の本と出会うことができた。

 というのが理由の1つだが、本当は「日本ぶらりぶらり」と放浪をしたいという願望が強くあったせいかもしれない。私は旅好きというわけではないが、放浪好きである。迷路のように都市を、街をうろつき回りたい。山下清はアカデミックな人物ではないので、旅に理屈を与えることはしないし、その旅も「放浪」というだけに目的がない。その行きあたりばったりな「放浪」をぶらりぶらりと誌上で楽しむことにしよう。


未読日記417 「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(下)」

2010-06-16 22:40:34 | 書物
タイトル:レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下  岩波文庫 青 550-2
訳者:杉浦明平
発行:岩波書店/岩波文庫 青550-2
発行日:2009年4月6日第52刷(1958年6月25日第1刷)
定価:760円+税
内容:
(下)には『科学論』『技術論』のほか、手紙、メモを収録。レオナルドのノートには、人生に対する箴言あり、寓話・笑話・文学に対する批評あり、「モナ・リザ」を生み出した陰影と遠近法の研究や『解剖学』などの記録も含まれる。天才の偉大さ、創造の秘密はすべてこの2冊の中に圧縮されている。
(本書表紙解説より)

購入日:2010年6月4日
購入店:ブックファースト 梅田店
購入理由:
私個人の興味・関心としては下巻の方が目的に適っているかもしれない。それにしても、レオナルドは芸術から天文学まで多彩な学問研究をしたと思うと自分の未熟さ、浅はかさを感じざるをえない。

未読日記416 「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)」

2010-06-14 21:38:49 | 書物
タイトル:レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1
訳者:杉浦明平
発行:岩波書店/岩波文庫 青550-1
発行日:2010年3月25日第61刷(1954年12月5日第1刷)
定価:780円+税
内容:
レオナルド(1452-1519)こそ「万能の天才」そのものである。彼は何よりも「モナ・リザ」「最後の晩餐」などの傑作を残した画家であり、彫刻家・建築家であり、また天文学・物理学の造詣も深かった。その天才が残した厖大なノートから、わかりやすい文章を選び2冊に編集する。(上)には『絵画論』『人生論』『文学論』を収める。(全2冊)
(本書表紙解説より)

購入日:2010年6月4日
購入店:ブックファースト 梅田店
購入理由:
地図と美術の関係について某所で報告したところ、ダ・ヴィンチ及びルネサンスの時代について調べるてみることを勧められた。なんにでも素直に聞いてしまう私は、言われてみるとなるほどと思い、今さらながらダ・ヴィンチの本を手に取ってみた。確かに、ダ・ヴィンチは地質学を研究していたし、鳥瞰図のようなものも描いていた。遠近法というのも、3次元の風景を科学的に2次元に描き出すための絵画技法だとすれば、地図もまた同じような表象形式の現れかもしれない。実際の内容はどうあれ、まずは手あたり次第に読むだけである。
 それにしても、わき道に逸れてばかりに私は本書収録の『人生論』が気になる。ダ・ヴィンチ先生、人生をうまく乗り切る方法を教えてください。