A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

【ご案内】In Studies vol.1「人生処方画集」

2016-07-17 22:07:27 | お知らせ
 つくるビルにて毎月開催していたゼミ形式のアート研究夜会(茶話会)「つくるビルゼミ」は本年3月に終了しましたが、新たに共同アトリエ・inkに会場を移し、「In Studies」というタイトルのもと開講させていただくことになりました。
 毎回、さまざまなファシリテーター、テーマのもと、ともにスタディ・交流する場になればと思います。どうぞお気軽にお越しください。
今月のファシリテーターは平田です。人生に迷いや悩みを感じている方々のご参加をお待ちしております。

In Studies vol.1「人生処方画集」
https://www.facebook.com/instudiesinstudies/
2016年8月1日(月)19:00〜
ink
京都市中京区猪熊通り三条上ル姉猪熊町325番地2
http://studio-ink.tumblr.com/

内容
 孤独にたえられなくなったら、ふところがさびしかったら、結婚が破綻したら、生きるのがいやになったら、どうすればいいのでしょう。頭痛には頭痛薬、胃のもたれには胃腸薬があり、一定の効果があります。体調の不調には、漢方やビタミン剤を服用することもあるでしょう。では、心の病に効く家庭常備薬、処方薬はあるのでしょうか。
 
 そんな家庭常備薬、家庭薬局を想定して書かれたのが『ふたりのロッテ』や『飛ぶ教室』で知られるドイツの作家エーリッヒ・ケストナー(1899-1974)の『人生処方詩集』です。現代社会の苦さ、憂うつを軽妙に表現した「読むクスリ」とも言える詩集です。後には、寺山修司、まどみちおが同名のアンソロジー、詩集を刊行しています。
 東日本大震災が起きたとき、芸術は役に立つかという問いが発せられました。『人生処方詩集』は、このような問いに対する答えとも言えるでしょう。芸術が有用性や目的性とは無縁であるにもかかわらず、あえて「処方」や「効果」を謳うこと。人生に足りないのは、「クスリ」なのか「芸術」なのか。それでは、詩ではなく美術作品の場合、「人生処方詩集」は成立するのでしょうか。
 
 そこで今月の「In Studies」では、ケストナーの『人生処方詩集』にならい、『人生処方画集』と題して、人生のさまざまな状況・症状に効き目のある美術作品を参加者とともに選び、考えてみたいと思います。果たして美術は処方薬になるのでしょうか。それはときに劇薬かもしれませんし、効き目がないかもしれません。被験者はみなさんです。しばしの処方薬探しにぜひご一緒ください。

■参加要項
Q. 下記の項目から3つ以上を選択し、あなたが考えるそれぞれの症状にふさわしい美術作品を処方してください。
 
・年齢が悲しくなったら
・貧乏に出あったら
・知ったかぶりをするやつがいたら
・人生をながめたら
・結婚が破綻したら
・孤独にたえられなくなったら
・教育が必要になったら
・なまけたくなったら
・進歩が話題になったら
・他郷にこしかけていたら
・春が近づいたら
・感情が貧血したら
・ふところがさびしかったら
・幸福があまりにおそくきたら
・大都会がたまらなくいやになったら
・ホームシックにかかったら
・秋になったら
・青春時代を考えたら
・子供を見たら
・病気で苦しんだら
・芸術に理解がたりなかったら
・生きるのがいやになったら
・恋愛が決裂したら
・もし若いむすめだったら
・母親を思いだしたら
・自然をわすれたら
・問題がおこったら
・旅に出たら
・自信がぐらついたら
・睡眠によって慰められたかったら
・夢を見たら
・不正をおこなうか、こうむるかしたら
・天気がわるかったら
・冬が近づいたら
・慈善が利子をもたらすと思ったら
・同時代の人間に腹がたったら
(エーリッヒ・ケストナー『人生処方詩集』より)

■上記以外に新たな項目を設けても構いません。
■アーティストの方は、ご自分の作品から選んでも構いません(実作品の持ち込みはご遠慮ください)。
■当日、図版がわかる資料をお持ちください。例;図書、フライヤー、DMなど。
■参加申し込み:takeshirata@gmail.com(平田)

参考文献
エーリヒ・ケストナー『人生処方詩集 (岩波文庫)』小松太郎役、岩波書店、2014年
まどみちお『まど・みちお 人生処方詩集 (コロナ・ブックス)』平凡社、2012年
寺山修司『人生処方詩集』立風書房、1993年