A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

真夜中の弥次さん喜多さん

2005-08-13 22:27:38 | 演劇
 名古屋に行ってきた。いま話題の愛知万博に行ってきたのである。何時間も並んでマンモスを見るとは、人生においてどういうことかと考えたりした。というのは嘘で、しりあがり寿原作、少年王者館の天野天街作・演出による「百人芝居・真夜中の弥次さん喜多さん」を見に行ってきたのである。江戸から伊勢参りに旅に出る弥次さん喜多さんの生と死、夢と現実をさまよう旅ものがたりである。あの傑作漫画をどのように百人芝居にしたのだろう。
 しかし、不安は外れた。原作の持つトーンは持ちながら、切り替えの早い舞台セットみたいに、なにがリアルかを問うことを横滑りしていくのだ。ひょうひょうと馬鹿騒ぎと幻想の伊勢参りだ。天野天街という人は子どものような遊戯性を持って舞台を駆け抜けていく。どこから芝居で、どこから現実かさえかき回していく。老若男女国籍問わずの総勢161名出演による唄と舞いはリアルをかき消すのにマンモス級である。なお、このものがたりにオチなどというものは用意されていない。そんな腑に落ちる物語などリアルでないこの世の中。「百人芝居・真夜中の弥次さん喜多さん」は腑には落ちないが、心には落ちる誰も見たことのない芝居であった。

百人芝居・真夜中の弥次さん喜多さん
2005年8月10日(水)~8月13日(土)
愛知県勤労会館

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