A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記285 「FIND THE ROOT」

2009-06-30 12:45:07 | 書物
タイトル:風の旅人 vol.37 2009年6月号
編集長:佐伯剛
アートディレクション・本文デザイン:鈴木衛、岡田克己
表紙:望月通陽
営業・編集アシスタント:菊地霞、春山慶彦
印刷・製本:大日本印刷株式会社
発行:株式会社ユーラシア旅行社
発行日:2009年6月1日
内容:
人や地球を見つめる日本発の本格的グラフ文化誌 風の旅人 
FIND THE ROOT 永遠の現在 時と悠
写真
・Native Nations photo エドワード・S・カーティス
・Carry Me Home photo/text デビー・フレミング・キャフェリー
・Country Songs photo/text 奥山淳志
・NEIGHBORHOOD photo/text 鷲尾和彦
・島の時間 photo/text 山下恒夫
・あの時の未来 photo/text 西山尚紀
・金のエンジェル photo/text 有元伸也
文章
・[連載]電気の働きに満ちた宇宙? 第七回 火星の樹枝状模様 text デビッド・タルボット
・[小特集]写真の可能性 text 佐伯剛
・私たちはどこから来たか、私たちは誰か、私たちはどこへ行くのか text 田口ランディ
・冬のフランス text 菅啓次郎
・信仰は信仰である text 前田英樹
・星を観る眼 text 蛭川立
・取り返しのつかない話 text 姜信子
・標準化できない視覚のミソ text 小栗康平
・隠された知 text 森達也
・旅人の心得 photo/text 皆川充

頂いた日:2009年6月1日
頂いた場所:コニカミノルタプラザ
 東京写真月間2009の企画のひとつとして開催された<風の旅人 今、ここにある旅>展に行った際、受付の方に「アンケートの記入にご協力頂けますと、先着30名様に雑誌をプレゼントします」と言われ、無料でもらえるならばと思い、アンケートに回答して頂いた一冊。かねてより雑誌の存在は知っていたが、手に取ることはなかった。だが、あらためて誌面を見ると、写真のクオリティは高く、グラフ誌としてなかなか上質である。
 また、偶然だが敬愛する前田英樹氏も寄稿されていた。その内容が内村鑑三について書かれたもので、最近の自分の興味・関心と一致して、読むのが楽しみなテキストである。写真について述べれば、展覧会会場では西山尚紀氏の写真が印象に残った。だが、後に他の出品作家である鷲尾和彦氏の他作品を清澄白河のAKAAKAで見る機会があったのだが、今展出品作品より私の好みはAKAAKAでの作品の方がよかった。鷲尾和彦氏の作品がまとめて見てみたいものである。
 なお、雑誌を無料で頂けたのはうれしかったが、意外に重くて持ち疲れてしまった。無料だからといって何でももらうのは考えものな年頃である。

未読日記284 「十代目金原亭馬生 壱」

2009-06-27 21:10:16 | 書物
タイトル:隔週刊CDつきマガジン 落語 昭和の名人 決定版⑪ 十代目金原亭馬生 壱
編集人:宮本晃
監修:保田武宏
寄席文字:橘左近
CDリマスタリング:草柳俊一
アート・ディレクション:渡辺行雄
デザイン:片岡良子、姥谷英子
編集:小坂眞吾(小学館)、内田清子
制作企画:速水健司
資材:高橋浩子
制作:田中敏隆、南幸代
宣伝:長谷川一、山田卓司
販売:豊栖雅文、竹中敏雄
広告:林祐一
発行:株式会社小学館
発行日:2009年6月9日
金額:1,190円
内容:
真似のできない不思議な愛嬌
十代目金原亭馬生【きんげんてい・ばしょう】1928~1982 壱

CD(63分)
笠碁・・・待ったはダメよ 初出し音源
天狗裁き・・・どうしても知りたい
そば清・・・江戸の大喰い選手権 初出し音源

○名人・志ん生との葛藤 父とは違う、自分の道を
○CD鑑賞ガイド ほのぼのとした人物描写
落語をもっと面白くする連載3本立て
田中優子○蕎麦と江戸っ子
五街道雲助○煙管を吸う
山本進○落語が促した言文一致

購入日:2009年5月28日
購入店:啓文堂書店 渋谷店
購入理由:
父が五代目古今亭志ん生、弟が三代目古今亭志ん朝という家庭ではさぞやプレッシャーが強かろうと想像するが、それぞれに持ち味が違っておもしろい家庭である。当初は父・志ん生の放蕩三昧な人生、奔放な落語を反面教師に対極の繊細緻密、精巧無比な落語だったようだが、次第に破天荒な芸になっていくのだから血は争えない。とはいえ、本書収録の落語は実に丁寧で緻密、それでいてほのぼのしているのだからそのバランス感がすばらしい。「天狗裁き」の話の流れなど速すぎず遅すぎずのリズムで丁寧に噺に引き込んでいく。志ん朝のような派手さはないが、聞き込んでいくほど味がでる噺である。

レヴュー「松井沙都子展 a ghost」

2009-06-27 00:03:34 | お知らせ
アートウェブマガジン「カロンズネット」にて、ニュートロン京都にて開催された<松井沙都子展 a ghost>(2009年6月9日―6月14日)のレヴューを書かせて頂きました。お時間ございましたら、ご覧ください。ニュートロン様、ありがとうございました。
 →http://www.kalons.net/j/review/articles_777.html

追記:この展示を見る前に、大阪のPANTALOONというギャラリーで<西山裕希子展 鏡のすき間>(2009年7日―6月28日)を見たのだが、松井沙都子の絵画と共鳴する部分があると感じた。どちらも線により身体や距離感の不透明さや希薄さを表現しており、また作品に費やされる時間や技術にも共通するような精巧さがある。両者で2人展をやれば、どのような空間が立ちあがるのか1人想像して楽しんだ。

未読日記283 「English Grammar in Use」

2009-06-26 23:55:13 | 書物
タイトル:English Grammar in Use with answers and CD-ROM 
著者:Raymond Murphy
発行:Cambridge University Press
発行日:13th printing 2007(First published 2004)
内容:
English Grammar in Use
With answers and CD-ROM・Third Edition
A self-study reference and practice book for intermediate students

English Grammar in Use Third Edition is a fully updated version of the
Classic grammar title.

This new edition:
・ofers the same easy to use format : on each left-hand page a grammar point is explained and on the right-hand page there are exercises to check understanding
・is ideal for self-study. The study guide helps students identify the most useful language points to study
・has nine completely new units, including eight new units on phrasal verbs to cover this important area more thoroughly
・has a wealth of additional exercises for extra contrastive practice
・is in full colour.

The exciting new CD-ROM offers additional practice material covering all the language taught in the book. The CD-ROM includes.

・hundreds of practice exercises
・practice guides for key language areas of the book
・customised tests targeting specific language areas
・audio recordings of all main exercise
・listen, repeat and record function
・built-in dictionary with full definitions of all key vocabulary
・a link to Cambridge Dictionaries online

Software developed by Clarity Language Consultants Ltd

購入日:2009年5月26日
購入店:紀伊國屋書店 渋谷店
購入理由:
 英語の文法書でいいものはないですか?とお仕事でお付き合いのある方に訪ねたら教えてくれたのが本書である。語学というのは文系分野と思われがちだが、実は理系分野であると私は思う。英語の文法構造のメカニズムなど実に数学的で、この構築性があるから欧米人の思考の強度は強いのか、などと考えたりする。
 さて、本書はイラストもところどころ入っていて、わかりやすく解説してくれているので、下手な日本語の文法書を読むよりずっと役に立つだろう。どの点がと聞かれると、初心者なので言えないが、have been doingとhave doneの違いはなるほどと膝を打つ。また、CD-ROMがついているバージョンとないバージョンがあるが、値段的にたいした差ではないので、私はCD-ROM付を購入した。本書はイギリス英語だが、アメリカ英語編もでている。どちらでもよかったのだが、出版元がイギリスの大学なので、イギリス英語のバージョンにしたまでである。
 ところで、私は日本語の文法用語というのが苦手である。あの言葉のややこしさが文法を学ぶことの楽しさを苦痛にしていると考える。ならば原書で読めばいいというのは正解であった。わからないなりに、間違えながら問題を解いていると長文でも文法を意識しだすのでおもしろい。
 さて、次に英語のよいテキストならびに初学者が読めそうな本があったら教えて頂きたいと思います。何かありますか?

未読日記282 「八代目林家正蔵 壱」

2009-06-25 23:58:38 | 書物
タイトル:隔週刊CDつきマガジン 落語 昭和の名人 決定版⑩ 八代目林家正蔵 壱
編集人:宮本晃
監修:保田武宏
寄席文字:橘左近
CDリマスタリング:草柳俊一
アート・ディレクション:渡辺行雄
デザイン:片岡良子、姥谷英子
編集:小坂眞吾(小学館)、内田清子
制作企画:速水健司
資材:高橋浩子
制作:田中敏隆、南幸代
宣伝:長谷川一、山田卓司
販売:豊栖雅文、竹中敏雄
広告:林祐一
発行:株式会社小学館
発行日:2009年5月26日
金額:1,190円
内容:
自己を貫いた義侠の人 
八代目林家正蔵(彦六)【はやしや・しょうぞう】1895~1982 壱

CD(67分) 全席初出し音源
中村仲蔵・・・亭主を変えた、女房のひと言
鰍沢・・・雪山のサスペンス
あたま山・・・頭の上に木が生えた

○曲がったことは大嫌い 古格を重んじ、正直に
○CD鑑賞ガイド 丁寧な語りに滲む人情
落語をもっと面白くする連載3本立て
田中優子○心中とは何か
五街道雲助○歌舞伎の見立て
山本進○上方落語の黄金期

購入日:2009年5月20日
購入店:銀座 教文館
購入理由:
 勘違いしている人がいるかもしれないので断っておくが、八代目林家正蔵は現在の九代目林家正蔵の家系である海老名家の人ではない。七代目林家正蔵の遺族から一代限りで借り受けた名である。詳しくは本書を参照あれ。

 高校生の頃、八代目林家正蔵の落語をビデオで見たことがある。今では内容もよく憶えていないが晩年だったのか、声が震えていたのが印象に残っている。落語とは笑えるものと思っていた当時の私は、林家正蔵の落語が笑えずつまらなかった。それ以来、林家正蔵はなんとなく苦手なイメージがついてしまい、彼の落語を聞くことがなかった。
 だが、今回久しぶりに林家正蔵の落語を聞いて、水を飲むように染みてくるいい話なのである。心が入っていて、血が通っている。人の人情が自分のことのようにうれしくて泣けてくるような話なのである。その芸の真実さに聞き終わった後、静かに何もせず余韻を楽しんでいた。この暖かさはどこから来るのかわからないが、CDでこの余韻なのだから、実際に寄席で聴いた人はどれほどのことだろうか。ただし、林家正蔵落語は子どもにはわからないだろう。かくいう自分も30近くなって初めてこの良さがわかったのだ。それだけで生きててよかったと感謝したくなった。
 なお、『中村仲蔵』は歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」の登場人物・斧定九郎がモチーフとなっている。昨年、上演されたので見た方がいるかもしれないが、歌舞伎を落語でどう表現しているのかも聴きどころのひとつ。
 『あたま山』も近年、山村浩二監督により『頭山』としてアニメーション映画になりアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされたので知られているかもしれない。収録の一席は小ネタが多くて楽しい。

未読日記281 「アートの旅へ行こう!」

2009-06-24 23:05:07 | 書物
タイトル:美術手帖 2009年5月号 第61巻通巻921号
Editor in Chief:岩渕貞哉
Senior Editor:川出絵里、來嶋路子
Editor:斉藤哲郎、高橋実和、宮崎香菜、阿南愛、深澤友晴
Art Director:野口孝仁
Designer:宮外麻周、土井陵子、福本香織、松本健司(DynamiteBrothersSyndicate)
DTP:株式会社ゆとりある、株式会社光邦
印刷・製本:株式会社光邦
発行:株式会社美術出版社
発行日:2009年5月1日
内容:
特集:アートの旅へ行こう!
[ART TRIP 1]成宮寛貴さんと行く十和田市現代美術館の旅 平野太呂=撮影
[ART TRIP 2]麻生久美子さんと行く瀬戸内海の楽園、直島・犬島の旅 藤原江里奈=撮影
[ART TRIP 3]辛酸なめ子さんと行く「マーク・ロスコ」展 セラピーの旅 永禮賢=撮影
[PROJECT 1]日比野克彦 THE SEEDS TRIP「種は船」造船プロジェクト 種に乗って種子島へ
[PROJECT 2]遠藤一郎 別府現代芸術フェスティバル2009 別府と混浴温泉世界
[PROJECT 3]アンティエ・グメルス ブナ林を満たす“光”を求めて 越後妻有への内なる旅
[PROJECT 4]石塚元太良 Marginal Marge
[PROJECT 5]大巻伸嗣 アートな旅に持っていく本、旅に誘われる本
アートの旅の旬がわかる! 全国美術館&展覧会ガイド
アートスポット旅手帖2009 伊部玉紀=文 東ちなつ=切り絵・イラスト

[SPECIAL FEATURE]山下陽光十番勝負
WORLD NEWS
 London/Sao Paulo/Bangladesh/London/Berlin/謝慶/世界のアート注目トピックス
秋元康琉“アートのすすめ”Vol.8 ゲスト=和田秀樹
おんなのこしゃしん Vol.7 会田誠
日本の美術館100館の逸品を巡る1日 藤田千彩=文
画家たちの美術史 Vol.75 法貴伸也/中井康之=文 森田兼次=撮影
アクリリックスワールド Vol.51 苅谷昌江/石井芳征=文 石川奈都子=写真
子どもと美術 Vol.48 藤田千彩=文 佐藤兼永=撮影
愛と平和と未来のために Vol.5 遠藤一郎
コンペティション・ガイド2009
[ARTIST INTERVIEW] 椿昇 楠見清=聞き手
REVIEWS
伊庭靖子/日本の民画/京都市立芸術大学・愛知県立芸術大学 卒業・修了制作展/インシデンタル・アフェアーズ/ライト・[イン]サイト/全光榮/後藤輝/GEISAI #12
椹木野衣+清水譲+大森俊克+桂英史+鄭新永+工藤キキ+山内宏泰=文
INFORMATION
MOVIE/EXHIBITION/COMPETITION/BOOK/月刊美術史
常備店リスト+バックナンバー案内
次号予告+読者プレゼント
『美術手帖』定期購読割引サービスのご案内

BOOK IN BOOK
 ART NAVI 今月の美術館・ギャラリーガイド
 期待のアーティストに聞く!/今月のイチ押し展覧会!/
 美術館へ行こう!「ツェ・スーメイ」展/イベント情報
(本書目次より)

頂いた日:2009年5月20日
頂いた場所:なびす画廊
画廊の方より頂いたもの。いつも感謝しております。
さて、リニューアルした美術手帖を見てときどき思う。他の雑誌の真似をしてどうするのだと。今号においてもCASA BRUTUSのような特集・表紙で呆れてしまう。そもそも「手帖」サイズなのだから、せっかく遠方へロケした写真を見開きで使ってもインパクトが薄い。このような特集は情報としては助かるのだが、誌面としては難がある。ただ、美術手帖として全国の美術情報を扱うのはいいことだろう。いままで美術手帖は地方を軽視してきた感があるからだ。BOOK IN BOOKのART NAVIもほとんど東京の美術館、ギャラリーの情報しかなく、東京にいる人しか使えない代物で、地方軽視の態度が編集面から表れている。昔のように評論やインタビュー、座談会、展評といった読み物記事主体であれば、そのようなことも問題にならなかった。だが、情報誌という側面を持たせると具体的にならずを得ず、結果的に美術館、ギャラリーが集中する東京・関東圏の情報メインということになる。いまこそ、美術手帖は「手帖」を辞め、サイズ判型を変えるべきである。

未読日記280 「美術手帖60年史」

2009-06-23 22:03:01 | 書物
タイトル:美術手帖 2008年12月号 第60巻通巻916号
Editor in Chief:岩渕貞哉
Senior Editor:川出絵里、來嶋路子
Editor:斉藤哲郎、高橋実和、宮崎香菜、阿南愛
Art Director:野口孝仁
Designer:宮外麻周、吉澤俊樹、土井陵子(DynamiteBrothersSyndicate)
DTP:株式会社ゆとりある、株式会社光邦
印刷・製本:株式会社光邦
発行:株式会社美術出版社
発行日:2008年12月1日
内容:
特集:美術手帖60年史 730号の歴史がこの1冊で体感できる!!
[RETROSPECTIVE] BT COVER HISTORY From 1948 to 2008
[MAGAZINE IN MAGAZINE]美術手帖の60年が一冊の雑誌としていま蘇る
目次
巻頭:藤田嗣治氏 ニューヨークへ発つ
東京のジャスパー・ジョーンズ
附録:壮烈絵巻 日本芸術界大激戦
座談会:<もの>がひらく新しい世界
    ポスト・ホビー・アート・ジャパン
作家訪問:熊谷守一
     岡本太郎
     吉原治良
     斎藤義重
グラビア:フィッツィーニの「踊子」
     VITO ACCONCI
     絵金「芝居絵屏風」
     靉嘔「レインボー北斎」
     荒木経惟「ARAKI絵巻2007」
漫画/テキスト/プロジェクト/エッセイ/ルポルタージュ/
海外情報/展評/書評/手帖通信/広告
[EDITOR’S COMMENTARIES]
特任編集長・椹木野衣インタビュー 美術手帖のファントムを蘇らせる試み
美術手帖バックナンバー・ガイド 福住廉=文
芸術における<棲み分け>について 川崎昌平=文

第14回芸術評論募集のお知らせ
BT 60th ANNIVERSARY SPECIAL PRESENTS
WORLD NEWS
 London/Liverpool/Berlin/New York/Gwangju/Busan/ブルース・コナー/世界のアート注目トピックス
アートでブレイクする~☆File.002 イクイプメン
会田誠の<おんなのこしゃしん>第3回
秋元康琉“アートのすすめ”第3回 ゲスト=リリー・フランキー
「シェル美術賞2008」受賞作品決定/藤田千彩=文
画家たちの美術史 Vol.70 綿引展子/倉林靖=文 森田兼次=撮影
Go! Artists Go! Vol.35 柴田祐輔/編集部=文 村上圭一=撮影
アートで生きる・アートとかかわる Vol.14 キム・ヒュンジン×杉田敦/土谷真喜子=構成
子どもと美術 Vol.43 白坂ゆり=文 村上圭一=撮影
最終回 やっつけメーキング Vol.60 田中偉一郎
REVIEWS
 吉岡徳仁/ダダカン/半田真規/深瀬昌久/金沢プラットホーム/ヴィルヘルム・ハンマースホイ/引込線/ジョーン・ジョナス+泉太郎+Chim↑Pom
椹木野衣+清水譲+飯沢耕太郎+白坂ゆり+保坂健二朗+福住廉+松井みどり=文
INFORMATION
NEWS/FASHION/EVENT/PROGRAM/BOOK/月刊美術史
常備店リスト+バックナンバー案内
次号予告+読者プレゼント
『美術手帖』定期購読割引サービスのご案内

BOOK IN BOOK
 PREVIEWS 今月の美術館・ギャラリーガイド
 期待のアーティストに聞く!/今月のイチ押し展覧会!/
 エリアマップ&ガイド[神楽坂]/イベント情報
(本書目次より)

頂いた日:2009年5月20日
頂いた場所:なびす画廊
画廊の方より頂いたもの。感謝である。偶然だが、前回が「芸術新潮」で今回は「美術手帖」なのだが、目次だけ引用しても雑誌の違いが如実に出て興味深い。今号は過去の美術手帖の総集編のような内容で、過去の文献を読めるのはおもしろい。逆に毎号、過去の記事を掲載したら、それはそれでおもしろいかもしれない。アーカイヴという点では美術手帖は豊富な量があるのだから、活用如何では有効だろう。

未読日記279 「役にたたないブルーノ・ムナーリ入門」

2009-06-22 23:52:39 | 書物
タイトル:芸術新潮 2008年1月号 697号
編集+発行人:松家仁之
デザイン:日下潤一+長田年信+田中未来+浅妻健司+松下陸
ロゴタイプ・デザイン:小宮山博史
タイトル印字:飯塚隆士+デザイン・スタッフ
プリンティング・ディレクター:高野実(大日本印刷株式会社)
印刷所:大日本印刷株式会社
発行:新潮社
発行日:2008年1月1日
内容:
特集 役にたたないブルーノ・ムナーリ入門
第1章 ブルーノ・ムナーリ、彼はなにもの?
第2章 これも本、あれも本、たぶん本、きっと本
インタビュー:アルベルト・ムナーリ「好奇心にみちた自由人、それが父でした」
展覧会案内:ムナーリと出会う

みる 傾いた町 / 島の光
きく ヘイ、ガール / 判別不能の宝箱
きる タートルズの女たち / ショールを着る
たべる あんこうと文人 / 湯島のきつね
すむ 「江戸からかみ」と暮す / 段々ハウス
つかう ライターを灯す / 投げたくなる
World 
 72丁目で拾った絵画が100万ドルで落札されるまで
 ツタンカーメン王が3000年のヴェールを脱いだ理由
 ナルでエロなレアリスム画家クールベの多面相
 フェリックス・ヴァロットン 皮肉と不謹慎の写実主義者
 世界の展覧会から
次号予告
local guide 丹波路の秋 謎の寺に仰ぐ 文:森浩一
speak low 写真家・石川直樹が旅して撮ったあたらしい世界地図
art news 
 ミロスラフ・ティッシーまなざしのみなもと
 胸さわぎの画家 玉村方久斗
連載 
 川瀬敏郎 たてはな神話[第二十三回]三具足
 伊藤まさこ あの人の食器棚[第9回]憧れの棚 島るり子さんのまあるい器
stardust 
 帰ってきた沢尻娘と1トンの風船
 安楽寺えみ お爺ちゃんとわたし
 トッド・エバリーのエレキ萌え
 園家誠二の淡い山脈
 来たれ!上野霊獣学園へ
 マグダレーナ・アバカノヴィッチの麻肌星人
 川崎毅 白塔の歌
 菊地武彦の浮遊する四季
invitation 
 原田治 Osamu’s Invitation
 中村とうよう Toyo’s Invitation
 お薦めの書籍、映画、CD+DVD
 これから見られる展覧会案内
(本書目次より)

頂いた日:2009年5月20日
頂いた場所:なびす画廊
画廊の方より頂いたもの。特集のブルーノ・ムナーリは2008年冬に展覧会があったため特集に組まれたものと思われる。このあたりのセンスは芸術新潮らしく手堅くかつヴィジュアルで見せやすいから雑誌向きであろう。個人的にはムナーリがいけばなの本(絵本?)を作っていたこと、竹などで花器を制作していたことは発見であった。この感性には驚かされるが、いけばな界からの応答がないことを考えると誰かが検証・研究してほしいものである。


未読日記278 「ヴィデオを待ちながら」

2009-06-21 22:43:10 | 書物
タイトル:ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ
編集:三輪健仁、蔵屋美香(東京国立近代美術館)
編集補助:齊藤菜生子、冨山由紀子
翻訳:石岡良治、小川紀久子、木下哲夫、山本仁志、三輪健仁
編集協力:上崎千、小船井健一郎
デザイン:森大志郎+松本直樹
印刷:八紘美術
発行:東京国立近代美術館
発行日:2009年
価格:1,400円
内容:
東京国立近代美術館において開催された<ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ>展(2009年3月31日~6月7日)の展覧会カタログ。

序論
「不純なる媒体 1970年前後の映像について」三輪健仁
PART Ⅰ 図版
CHAPTER 01 鏡と反映
CHAPTER 02 芸術の非物質化
CHAPTER 03 身体/物体/媒体
CHAPTER 04 フレームの拡張
CHAPTER 05 サイト
PART Ⅱ 文献再録
解題
「ヴィデオ:ナルシシズムの美学」ロザリンド・クラウス
「リチャード・セラの作品におけるプロセス彫刻とフィルムについて」ベンジャミン・H.D.ブクロー
「ヴィデオ・プロジェクション:スクリーンの間の空間」リズ・コッツ
PART Ⅲ リファレンス
文献
作家略歴
出品リスト
Introduction
Impure Medium : Film and Video of Around 1970 Miwa Kenjin
(本書目次より)

購入日:2009年5月16日
購入店:東京国立近代美術館ミュージアムショップ
購入理由:
 おそらく本年度開催された展覧会の中で、もっともマニアックかつ意欲的な企画展のひとつだろう。これほどの規模でヴィデオアートを検証する展覧会は今後、数年数十年はないかもしれない。映画、映像の批評、評論、研究書というのがどれほどあるか知らないが、映画・映像というのはどれほど文章によって記述されようとも、見ることが叶わなければ批判や検証、再考の余地がなく、伝説として神話化されていくだけである。アンディ・ウォーホールによる映像作品などその一例で、エンパイアステートビルを8時間撮影した映像作品など本の中で語られているだけで、現在それを見たことがある人の方が少ない気がするくらいである(もっとも実際に見られるとしても体力的、時間的に叶いそうもないが)。
 さきの一例は極端だとしても、本展には見ることが叶った稀有な作品が多く、その功績は計り知れない。例えば、展示室最初に見ることになるアンディ・ウォーホールによる『Outer and Inner Space』(1965)をフィルムによる2面プロジェクションで上映するあたり、鑑賞者に何か覚悟をせまるような気迫さえ感じさせる。その後のヴィト・アコンチ、村岡三郎+河口龍夫+植松奎二、デニス・オッペンハイム、ブルース・ナウマン、ダグラス・ゴードン、リチャード・セラ、ジョアン・ジョナス、ダン・グレアム、ビル・ヴィオラ、ロバート・スミッソン・・上げていけばキリがないのでやめるが錚々たる出品作家である。これらの作家たちの作品を手際のよいVJならぬ展示構成で捌いていく手腕は映像文化に慣れた若手の企画者だからだろうか。強いて言えば、泉太郎作品は収まりが悪いし、フランシス・アリスによる2作品などは弛緩した内容で、他の作品に比べれば見劣りがするのも否めない。だが、映像の放射空間に身を投げ出された鑑賞者は、さ迷いながらも飛んで火に入る我のごとく好きな映像の蜜を吸えばいい。その光の放射に恍惚となりながら。
 今日的な問題点を指摘するならば、散々言われていることだが、ペーター・フィッシュリ+ダヴィッド・ヴァイスの『事の次第』(1986-87)はNHKのピタゴラスイッチへと転成され、ダラ・バーンバウムの『テクノロジー/トランスフォーメーション:ワンダーウーマン』(1978-79)、ポール・ファイファーの『磔刑図の断片(フランシス・ベーコンによる)』(1999)などはYouTube的な映像を示しているだろう。これら2作品など、アーティストの発想の速さに驚かされもし、人間の考えることはかくも編集と笑いなのかと思わせもする。
 また、ヴィデオアート初期の作品の方が技術的には質がよくないにも関わらず、映像の強度が強いことがことのほか印象に残った。技術的に編集ができないという制約が、結果的に質へと還元されているあたり、不自由が傑作を生むということだろうか。例えば、ナンシー・ホルト+ロバート・スミッソンの『湿地』(1971)におけるホラーなカメラの動きはなんだろうか。そこに刻まれた不穏な気配は今見ても先を見続けたい誘惑に駆られる。また、ヴィト・アコンチの『センターズ』(1971)の単純なコンセプトでありながら、画面に対峙せざるを得ないこのまなざしと指さしに、私は何かを突き付けられているような気にさせられる。
 余談だが、ミニマリズム、コンセプチュアル・アート系の映像作品が意外にも笑えたのは私だけだろうか。まじめなコンセプトも見方を変えれば、結局くだらないことをしており、そのまじめさが今見ると淡々としたボケた味を醸し出しており興味深い。

 カタログは貴重な再録文献を含んで約300ページでこのボリューム、価格は評価できるだろう。個人的には何名か知っている方の名前が記載されていたこともあり、懐かしさと今後のご活躍を祈り購入した。ただし、デザインが凝っているのはいいのだが、背の部分の糊付きが悪く気持ちスカスカして、剥がれそうなのが気になる。このような実用性を忘れたデザインの暴走は、ひどく持ちにくく使いにくい会場マップにも表れていて、マップとして使う気にもなれず、自己満足でしかないだろう。むしろ本展はさ迷うように会場をブラブラする方が向いている気がするが、会場マップは奇抜でなくていいので展覧会場内での観客の見やすさを考慮してほしいものだと思う。

未読日記277 「絵画から植物へ 植物から絵画へ」

2009-06-20 22:43:36 | 書物
タイトル:川井昭夫 絵画から植物へ 植物から絵画へ
ブックデザイン:CROSS
プリンター:SUGANO PRINTING Co., Ltd.
発行:ハート工房
発行日:2002年
価格:1,000円
内容:
図版31点
テキスト:川井昭夫
「贈られた植物」
「PLANT CIRCLE」
「草について」
「つるバラの身振り」
「神の座」
「背景の植物」
「擬態(表現)とはなにか」
「麻布の絵画」
「絵画が色を失うこと」
「表現とはなにか」
「時間―記憶」
「表現の為し事」
「生成のための無」
「1979年の「麻布ドゥローイング」についての考察―ミニマリズムとの関係のなかで―」
「交差する線の奥に」
「ミニマリズムとしてのクソリアリズム絵画」
あとがき
略歴
謝辞

購入日:2009年5月15日
購入店:ギャラリーヤマグチクンストバウ
購入理由:
川井昭夫氏の作品を初めて見たのは今年1月に神楽坂のアグネスホテルで行われたART@AGNESの時だった。草を描いた「PHOTO PAINTING」シリーズ、麻布を絵の具で均質に線描した「麻布typ」シリーズなどが展示されていた。いままで見てきた部屋のとっ散らかったような「現代美術」にげんなりしていたが、この川井の画面からは緊張感が漂い、いまどき珍しいリアリズム絵画に戦慄した。確かに緻密な細密描写というのはよくある。だが、川井がモチーフとするのは絵画の支持体であるキャンバスの麻布であり、地面に生える草なのだ。この無意味とも言える禁欲な描写姿勢からは、真摯に絵画に向かい合おうとする倫理のようなものが感じられた。もっとよく知りたいと思い、見本で置かれていた本書を購入したかったが、売っているのかよくわからずその時はやめてしまった。
 それから、約5カ月たち、大阪の地で本書を手に入れることができた。しかし、残念なのは「PHOTO PAINTING」シリーズの画質が悪いのだ。画素が足りないのか、全体がモザイク状に見える図版もある。この点さえなければいいカタログなのだが・・。