A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記810 『ユーモアと飛躍 : VISUAL BOOK』

2013-10-31 23:13:52 | 書物
タイトル:ユーモアと飛躍 : そこにふれる : VISUAL BOOK
並列書名:Humor and Leap of Thought: Far beyond our recognizable world: Visual Book
編集:千葉真智子
翻訳:飯田陽子、ブライアン・ハート
デザイン・装丁:大西正一
印刷・製本:株式会社大伸社
発行:岡崎市美術博物館
発行日:2013.10
形態:91p ; 23cm ; 303g
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2013年8月17日-10月20日:岡崎市美術博物館
   出品作家:池田晶紀、泉太郎、小林耕平、D.D.(今村哲+染谷亜里可)、長谷川繁、花岡伸宏、八木良太
   主催: 岡崎市美術博物館、中日新聞社
内容:
ごあいさつ
図版
Episode 01 池田昌紀
Episode 02 八木良太
Episode 03 小林耕平
Episode 04 D.D.
Episode 05 泉太郎
Episode 06 花岡伸宏
Episode 07 長谷川繁
図版・作品リスト

頂いた日:2013年10月31日
 未読日記706にて紹介した『ユーモアと飛躍』展図録のVISUAL BOOK(図版)編。現代美術の展覧会では会期後に図録を制作するケースもあるが、今展はテキスト編と図版編を2分冊に分けて制作している。それら2冊は、サイズも装丁も異なる2分冊・箱入りという手の込みようはすごい。
 だが、肝心の内容は残念な結果であった。八木良太、小林耕平、泉太郎、花岡伸宏の作品写真は、展示を見た者からすれば、作品のよさを削いでいるし、資料としてもほとんど役に立たないと言わざるをえない。冒頭のインスタレーションビューも凝ったレイアウトのおかげで、全体像がつかめずである。これでは作家はつらいだろうなと思う。もう少しなんとかならなかったのだろうか。いい展覧会、テキストだっただけに残念。


ブックケースにConcept BookとVisual Book2冊を収めた状態。

未読日記809 『空間の日本文化』

2013-10-23 23:04:55 | 書物
タイトル:空間の日本文化 (ちくま学芸文庫)
タイトル別名:Vivre l'espace au Japon
著者:オギュスタン・ベルク
訳者:宮原信
カバーデザイン:間村俊一
カバー写真:林朋彦
発行:筑摩書房
発行日:1994.3
形態:335p ; 15cm
注記:底本: 「空間の日本文化」(筑摩書房 , 1985年6月刊).
内容:
フランス日本学の若き第一人者による画期的な日本論。日本語の構造、心のありよう、家族・企業などの組織原理、都市空間、土地利用など、日本文化特有の有機的な空間性を多面的に検証し、統一的な視座を提出する。外部からの光により浮き彫りにされる日本的空間の全体像。 解説 隅研吾

まえがき――日本語版にあてて
1 環境に置かれた主体 空間の精神的組織化
 1主体は適応可能である
  音の知覚=角田理論
  知覚されたものの言語化=擬声語、擬態語
  主語=言語上の主体
  人称=人格の表明
  自然の出現
  自我の他者への共感
 2象徴は有効である
  空間にリズムを与える「間」
  共存状態の設定=「縁」
  簡略化し、コード化する=真行草
  慣習が実質に先んじる
  比喩の実践
2 わがものとなった列島 空間の技術的組織化
 1広がりは集中しうる
  外へ向かって伸びる力の欠如
  深い森と魑魅魍魎
  耕地のふちで
  水田耕作の至上命令
  居住域の集中化
  構築されたものと野生のもの=領土のメタファー
 2空間は面的である
  遠近法の拒否
  街路は住民のものである
  内側を包む
  前、後、日常、大いなる日
  「おく」に向かって進む
  場所の発生と境界域性
3 国土の一体化 空間の社会的組織化
 1決定的に重要なのは細胞
  内界と外界
  家細胞
  農村共同体
  町内会
  家族風の仕事場
  日本という大血縁集団
 2隣が標準である
  他者が相手となる時
  公は私の中にある
  隣人が良心をとりしきる
  仲介体は細胞内にある
  コンセンサスのレールに
  モデルの骨組み
結論 日本的範列

訳者あとがき
文庫版解説(隅研吾)

購入日:2013年10月19日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 町家展示について考えていたら、日本文化における空間について調べる必要があると考え、まずは定番の本書を購入。第2章部分がとても参考になった。

未読日記808 『シーシュポスの神話』

2013-10-22 23:29:47 | 書物
タイトル:シーシュポスの神話 (新潮文庫)
タイトル別名:Le mythe de Sisyphe
著者:アルベール・カミュ
訳者:清水徹
装画:ワタナベケンイチ
発行:東京 : 新潮社
発行日:2013.2第66刷(2006.9第60刷改版、1969.7初版)
形態:257p ; 15cm
注記:60刷改版
内容:
神々がシーシュポスに科した刑罰は大岩を山頂に押しあげる仕事だった。だが、やっと難所を越したと思うと大岩は突然はね返り、まっさかさまに転がり落ちてしまう。――本書はこのギリシア神話に寓してその根本思想である“不条理の哲学”を理論的に展開追究したもので、カミュの他の作品ならびに彼の自由の証人としてのさまざまな発言を根底的に支えている立場が明らかにされている。

目次
不条理な論証
 不条理と自殺
 不条理な壁
 哲学上の自殺
 不条理な自由
不条理な人間
 ドン・ファンの生き方
 劇
 征服
不条理な創造
 哲学と小説
 キリーロフ
 明日をもたぬ創造
シーシュポスの神話
《付録》フランツ・カフカの作品における希望と不条理

訳注
あとがき

購入日:2013年10月19日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 不条理についての参考文献として購入。当初、本書を図書館にあった古い文庫本で読んでいたのだが、ポストイットを貼ったら紙が破けてしまった。恐れをなして、文庫本を買うことにした。そこで、続きを読もうとしたら、改版でだいぶ訳が改まり、文字も大きくなったことで、つづきのページを探すのに苦労した。やれやれ。
 

Collection 23 《南と東》

2013-10-20 23:59:21 | 美術
品名:南と東
アーティスト:常本若菜
購入日:2013年10月19日
購入店:Calo Bookshop & Cafe
購入理由:
 大阪・Caloにて開催された「身につけるアート/持ち運ぶアート vol.2」(8月27日(火)~9月14日(土))にて購入した作品をようやく受け取る。
 常本さんの作品は初めて見たが、思わぬ日常的素材を用いて小さくも美しい作品へと結晶化しており、一目惚れして購入。梱包もすばらしい。もっと作品が見たいです。
 ちなみに、タイトルは失念してしまい、Caloのウェブサイトを参考に表記した。違っていたらごめんなさい。


こちらは箱です。

未読日記807 『HOME PARTY』

2013-10-18 23:12:42 | 書物
タイトル:HOME PARTY
撮影:田邊真理
ブックデザイン:加瀬部敏志[YOJOHAN DESIGN]
印刷:株式会社ユニティー
発行:亀岡 : みずのき美術館
形態:39p ; 21cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2013年3月23日(土)-3月24日(日):みずのき美術館・やまざき商店2階
   主催:松花苑・みずのき美術館
内容:
「HOME PARTY」を終えて
会場準備
河合晋平/森川大輔
ワークショップ オルブミメシス・ヨーブの創り方
今村遼佑/吉川敏明
森太三/丸毛浩嗣
砂連尾理ダンス公演 たままゆ
アーティストトーク
宮川佑理子/平野智之
作家紹介
作品リスト/イベント概要

頂いた日:2013年10月16日
場所:Gallery PARC
 出品作家の方よりご恵贈頂いた1冊。どうもありがとうございます。
みずのき美術館はかねてから行きたい場所なのだが、いまだに時間が取れずに行かれていない。次回こそは行きたい。


【ご案内】ABEND vol.2 暮色の家

2013-10-16 23:34:25 | お知らせ
 企画協力・アドバイザーとして参加いたしました展示交流イベント「ABEND vol.2 暮色の家」が今週末開催されます。楽しいイベントの多い秋ですが、お時間ございましたらご高覧頂けると幸いです。
以下、概要と補足です。

【展覧会名】ABEND vol.2 暮色の家
【出品作家】ABEND:田中加織 寺脇扶美 眞鍋沙智 藤田薫
      ゲスト作家:加藤浩史 家原恵太
【期間】2013年11月2日(水)~11月4日(月・祝)
【料金】1500円(ABENDオリジナルサブレ付き※数に限りあり。先着順。)
    町家スタジオ会場の展覧会及びアートツアーと第2会場のイベントの3日間フリーパス券
【展示会場】京都リサーチパーク町家スタジオ
      10:00~17:00
      http://www.krp.co.jp/machiya/
      京都市上京区福大明神町128
【イベント会場】堀川会議室「堀川common」
        18:00~21:00
        https://www.facebook.com/horikawa.common
        京都市上京区西堀川通下長者町下ル
【企画】ABEND実行委員会
【企画協力 アドバイザー】平田剛志
【協賛】ARATA、画箋堂、後素堂、株式会社中里、gallery kunst arzt、gallery near、ギャラリー知、地域文化れんけい機構、つくるビル、フジタ精米人(五十音順)
【協力】Curry shop LUE、HAPS(五十音順)

【ホームページ】http://abendproject.com
【facebookページ】https://www.facebook.com/ABEND  

【概要】
ABEND(ドイツ語で夕方、晩餐の意)とは、作家と鑑賞者、及びアートと社会との相互理解を目指した、新しいかたちの展示交流イベントです。数名の作家たちによる自主企画運営で進められているプロジェクトで、昨年に続き今回が二度目の開催となります。

「アートはよくわからない」「自分には縁遠い」「アーティストは変わり者」そのような声を耳にすることは少なくありません。また作家からは「社会との接点がない」「自分のやっていることをどう生かすか」などの声を聞くことがあります。これらの現状は、アート業界が閉じられた世界であるからかもしれません。

ABENDvol.2では、業界独自の限られた領域から一歩外に出て、作品展示とともに作家と鑑賞者が交流することのできる場をつくります。そこでの対話を通し、アートの魅力を感じてもらうことはもちろん、社会での役割、有用性、可能性を互いに考察するきっかけになればと願っています。

ABEND vol.2 の3つの特徴

1. 町家を会場とする展覧会 『暮色の家』
 築100年以上の町家の1階を展示スペースに主に手作業で制作している作家たちの作品を展示します。
 この展覧会では、通常のキュレーターが作家を選ぶという構造ではなく、作家から共に展示をつくりあげていくパートナーを選出するというかたちをとり、コンセプトメイキングを平田剛志氏(キュレーター)にお願いしました。

展示コンセプト
 暮色とは「夕方の薄暗い色。夕方の景色」を意味します。 夕暮れの光は、世界を薄暗く染めていくと同時に、昼から夜へと色彩の濃淡が移行していきます。その光のうつろいは、多くの芸術家を魅了してきました。それは、暮色のなかに時間や季節、色彩や陰影、風土や風景の記憶を伴うからなのかもしれません。
 展示作家達は主に手仕事による技法、感覚性を大切にしています。若手アーティストの感性によって生れた作品は、町家の空間をどのように設えるのでしょうか。作品を巡りながらアーティストとの対話や交流を通じて、町家/美術が生み出す「暮色」に触れてください。

2. 町家でのガイドツアーや飲食ブースを通しての交流
 町家を歴史的文化財および伝統的建造物といった建築的側面のみだけでなく、「町家」を「家」と捉え、「家」が有する交流機能である対話や食を展覧会に組み込みます。

・アーティストによるアートツアー
 作家自らがガイド役となり、作品の解説ツアーを行います。会期中毎日15:00より開催。

ガイド作家日程
11月2日(土) 田中加織、寺脇扶美 
11月3日(日) 眞鍋沙智、藤田薫
11月4日(月・祝) 加藤浩史、家原恵太

・飲食ブースの設置
 飲食をしながら、気軽に作家や鑑賞者が交流を持てる場をつくります。
  ※食事提供 Curry shop LUE(カレーショップ ルー) 

3. トークイベントの開催
会期中の18時以降は、堀川commonにてゲストを招いてのトークイベントを開催します。
トークイベント終了後はアフターパーティーも行います。
開催予定内容
「アートを伝える -SNIFF OUT 2013の記録から-」
日時:11月2日(土) 18:00開場 18:30開始
コーディネート:田中加織、寺脇扶美
ゲスト:杉本裕一(SNIFF OUT実行委員会事務局長)
登壇者:田中加織、寺脇扶美

「地域とアートの関わり -アートの社会性をめぐって-」
日時:11月3日(日) 18:00開場 18:30開始
コーディネート:田中加織、寺脇扶美
ゲスト:原智治(京都市文化芸術企画課)
登壇者:田中加織、田中裕也(京都リサーチパーク町家スタジオ館長)

クロージング・ミーティング「つくることと見せること」
日時:11月4日(月・祝) 18:00開場 18:30開始
企画:ABENDvol.2実行委員
ゲスト:平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)
登壇者:ABENDvol.2参加作家 田中加織、寺脇扶美、眞鍋沙智、藤田薫、家原恵太、加藤浩史

[補足]入場料について
 本イベントでは、大変恐縮ですがご来場時に1500円というやや高めの入場料が必要となっています。その理由は、アーティスト支援と入場料制アートイベントの普及・提案があります。
 映画や演劇、ライブやコンサートには有名無名問わずにお金を払うのに対して、アートイベントにお金を支払うことに抵抗はないでしょうか。美術館ならともかくギャラリーやアートプロジェクトは入場無料が中心なため、入場料が必要と知るとお金を取るのかと思うことがあります。
 本イベントは、このような通念に対しての提案およびアーティスト支援のため入場料が必要となっております。通常であれば、作品販売で入場料を賄うのでしょうが、作品はそうそう動きません。また、大学や行政が主催であれば入場無料が一般的ですが、そのような公的機関の支援を本イベントは受けておりません。これらの点をご理解いただき、皆さまのご協力・ご支援をお願い申し上げます。
 なお、1500円という価格設定については、主催者による決定事項のため、私は関わっておりません。あしからずご了承ください。
 本イベントのクロージング・ミーティングでは、このような企画について、および入場料制の問題点などについても皆さまと議論できればと考えております。

[補足2]企画について
 本イベントの企画はABENDというアーティストグループが作家や会場の選定、運営等を行っており、私はこれらの点には関わっておりません。通常、キュレーターといえば、作家や会場の選定を含めて行うのですが、今回は通常とは異なるかたちでの参加となります。音楽に例えるとプロデューサー? スポーツに例えるとコーチ? 映画に例えるとプロデューサーから脚本や出演者が決定済みの映画の監督依頼を打診されたような感じでしょうか。とはいえ、それが不満かというと、そんなことはありません。どのようなボールが来ても、打つのがバッターです。仕事であれば、どのようなアーティストや会場であろうと、その魅力を引き出すのがキュレーターではないかと考えるからです。約1年の準備期間はあたかも劇団のように紆余曲折、悲喜こもごもな出来事がありました。それでも辞めなかったのは、複数の人々と協働することで生れるものがあると信じていたからかもしれません。その結果は、皆さんの目でお確かめください。
 それでは、短い会期、遠方の会場ではございますが、ごゆっくりお楽しみください。運がよければ、会場でお会いしましょう。