A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

美術回顧 2015

2015-12-31 23:46:46 | 美術
2015年の最後に今年印象に残った展覧会を挙げて、本年を締めくくります。順位はなく、鑑賞順です。どうもありがとうございました。
(私がテキスト執筆およびイベント参加した展覧会は対象外としました)

美術館編
切符をもたない旅(2015年1月23日~2月1日)ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
テンプス・フーギット――大山崎山荘とヤマガミユキヒロの視点(2015年3月21日~6月28日)アサヒビール大山崎山荘美術館
シンプルなかたち展 美はどこからくるのか(2015年4月25日~7月5日)森美術館
・サイ トゥオンブリ― : 紙の作品、50年の軌跡(2015年5月23日~8月30日)原美術館
キュッパのびじゅつかん―みつめて、あつめて、しらべて、ならべて(2015年7月18日~10月4日) 東京都美術館
開館30周年記念 舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに(2015年7月12日~9月6日)練馬区立美術館
他人の時間(2015年7月25日~9月23日)国立国際美術館
・芸術植物園(2015年8月7日~10月4日)愛知県美術館
『月映』田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎(2015年9月19日~11月3日)東京ステーションギャラリー
Re: play 1972/2015―「映像表現 '72」展、再演(2015年10月6日~12月13日)東京国立近代美術館


ギャラリー編
・ミヒャエル・テンゲス(2015年2月21日~3月28日)taguchi fine art
・伊藤隆介「All Things Considered」(2015年3月28日~4月25日)児玉画廊|京都
・山部泰司「ワーキングアクア2015」(2015年4月7日~4月19日)ギャラリーモーニング
・大畑公成「Colors on canvas」(2015年4月21日~5月10日)prinz
・谷穹「LAND e SCAPE」(2015年6月2日~6月14日)Gallery PARC
・視点の先、視線の場所 来田広大・吉本和樹(2015年6月21日~7月5日)ギャルリ・オーブ
・井浦崇/大島幸代展「THE STREAM GLIDES ON CALMLY」(2015年9月1日~9月6日)アートスペース虹
・花岡伸宏・米増初音展 -生活とかたち- (2015年9月1日~9月13日)ギャラリー揺
・星野曉「BLACK HORSE IN THE DARK――始原の知覚」(2015年10月6日~10月31日)アートコートギャラリー
・林勇気展(2015年12月4日、5日)FLOAT

番外
・PARASHOPIA: 京都国際現代芸術祭2015シネマプログラム
アレクサンダー・ザルテン「アジアを照らさないミラーボール。日本映画のアジア」(2015年4月5日~4月19日)京都府京都文化博物館フィルムシアター


ほかに、「アートコートフロンティア2015」(アートコートギャラリー)での、谷口嘉、堀川すなお、「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館)での百瀬文の作品には心打たれました。

今年見た展覧会数は709でした。年々減少傾向にあります。せっかくご案内を頂いたにも関わらず行けないことも多く、不義理を重ねた1年となってしまいました。

選外でもすばらしい展覧会、作品はたくさんありましたが、今年は多忙と精神的な不調が重なり、家で原稿に追われることが多かった気がします。ときどき気分転換に落語を聞きに行っておりました。落語は楽しいです。

番外について補足です。今年の京都は「PARASHOPIA 京都国際現代芸術祭2015」が話題となりましたが、この芸術祭にシネマプログラムがあり、実に良質な企画だったことはあまり知られていないと思われます。私は全プログラム見ましたが、作品相互の関係性や選定、アジアへの政治的、美的視点など実に興味深いプログラムでした。『あんにょん由美香』をまさか京都文化博物館で上映するなんてすばらしい批評性です。


活動報告 2015

2015-12-30 23:43:25 | 美術
恒例となりましたが、2015年の終わりに今年の仕事をまとめてみました。
本年も大変多くの方にお世話になりました。今年は展覧会「光路」を実現できたこと、大阪で仕事ができたことがとても楽しかったです。
さらに、「はならぁとアラウンド」の一企画で初めてファシリテーターを担当したことも楽しい思い出となりました。日頃は一人で言葉を書き、話している身としては、はならぁとアラウンドでご一緒したファシリテーターの方々と過ごした打ち合わせ(飲み会?)の時間はとても楽しい時間でした。

また、毎月開催&ウェブ連載のつくるビルゼミが中心となりましたが、結果的には毎月各所でお話させて頂くことができました。さらに、テキストも毎月執筆・発表する機会があり、ご依頼頂きました皆さまに心よりお礼申し上げます。(ちなみに、これだけ仕事をしているのに、まったく儲かっていません!)

今年は思い出深い仕事がたくさんありますが、映画『美術館を手玉にとった男』のフライヤーにコメントを寄稿させて頂いたことは、元シネフィルとしてはとてもうれしかったです。

あらためて展覧会やイベントにご来場頂いた皆さま、テキストをお読み頂いた皆さま、気にかけて頂いた皆さまに心よりお礼申し上げます。
2016年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
またお会いしましょう。

【企画】
2015.07 展覧会「光路 今村遼佑・大洲大作・前谷康太郎」サイギャラリー、大阪

【企画・ファシリテーター】
2015.09 はならぁとアラウンド「五條十八景はどこにある? 歩いて、探して、見つける 五條マジカルヒストリーツアー」五條新町、奈良

【展覧会】
2015.10 奈良・町家の芸術祭『はならぁと』「はならぁとアラウンド成果発表展示」旧山中家、奈良

【論文・テキストなど】
2015.01 「ニューバランス」『2kw変電所計画 バランスの取り方』DM
     つくるビルゼミコラム vol.4 「このフライヤーがすごい2014」つくるビルウェブサイト
2015.02 つくるビルゼミコラム vol.5 「DM-1グランプリ2014」つくるビルウェブサイト
    「審査員コメント」『Gallery PARC Art Competition 2015』Gallery PARCウェブサイト
2015.03 つくるビルゼミコラム vol.6 「Kyoto Art Mapの使い方」つくるビルウェブサイト
    「Visions in Time」「timelake」『timelake-時間の湖-』timelake実行委員会
    「吉田初三郎の戦時観光案内図――鳥瞰図にみる軍事施設」『民族藝術』VOL.31、民族藝術学会
2015.04 つくるビルゼミコラム vol.7 「思い出の卒制アルバム」つくるビルウェブサイト
2015.05 つくるビルゼミコラム vol.8 「わたくしこういうものです~はじめましての名刺」つくるビルウェブサイト
2015.06 つくるビルゼミコラム vol.9 「ニューアーティストヒストリー~新世代の美術史」つくるビルウェブサイト
2015.07 つくるビルゼミコラム vol.10 「美術の旅行術」つくるビルウェブサイト
    「倉谷拓朴「その森のできごと」」倉谷拓朴リーフレット、雅景錐、京都
2015.08 「光路」『光路』会場配布テキスト
     つくるビルゼミコラム vol.11 「つくるビルブックス 夏の100冊」つくるビルウェブサイト
2015.09 つくるビルゼミコラム vol.12 「解決!夏休みの宿題」つくるビルウェブサイト
2015.10 「生き延びるための革命」、筧有子・大石真由美編『うさぎと革命』うさぎと革命実行委員会
     [審査員コメント]「特集enoco [study?]」『enocoニュースレター』07号、大阪府立江之子島文化芸術創造センター
     つくるビルゼミコラム vol.13 美術夜話 第一夜「ライフ=ワーク」つくるビルウェブサイト
     [コメント]映画『美術館を手玉にとった男』フライヤー
2015.11 つくるビルゼミコラム vol.14 美術夜話 第2夜「他人の時間」つくるビルウェブサイト
2015.12 つくるビルゼミコラム vol.15 美術夜話 第3夜「琳派戦線2015――琳派400年とは何だったのか」つくるビルウェブサイト
     「あなたがここにいればよかったのに」『田中秀介個展「私はここにいて、あなたは何処かにいます。」』レビューテキスト、未発表
     「白からはじまる」『明楽和記個展「白」』レビューテキスト、未発表

【トーク、講演、シンポジウム】
2015.01.12 2kw変電所計画 -バランスの取り方-トークイベント、2kw gallery、大阪
2015.01.19 つくるビルゼミ1月「DM-1グランプリ 2014」つくるビル202号室
2015.02.16 つくるビルゼミ2月「Kyoto Art Mapの使い方」つくるビル202号室
2015.03.01 大阪17才+in youth- 関連イベント「8人の高校生によるスライドショー」あべのま、大阪
2015.03.16 つくるビルゼミ3月「思い出の卒制アルバム」つくるビル403号室、京都
2015.03.21 「もうひとつの見方」トークセッション、東大寺総合文化センター、奈良
2015.04.20 つくるビルゼミ4月「わたくしこういうものです~はじめましての名刺」つくるビル403号室、京都
2015.05.18 つくるビルゼミ5月「ニューアーティストヒストリー~新世代の美術史」つくるビル403号室、京都
2015.06.15 つくるビルゼミ6月「美術の旅行術」つくるビル403号室、京都
2015.07.11 木野智史展「夕凪」トークイベント 木野智史×野口健×平田剛志、ギャラリー恵風1F、京都
2015.07.21 つくるビルゼミ7月「つくるビルブックス 夏の100冊」つくるビル403号室、京都
2015.07.25 slideshowstudies vol.4 Next Slide...大洲大作「光路」サイギャラリー、大阪
2015.08.17 つくるビル8月「解決!夏休みの宿題」つくるビル403号室、京都
2015.09.14 つくるビルゼミ9月 美術夜話第1夜「ライフ=ワーク」つくるビル403号室、京都
2015.10.19 つくるビルゼミ10月 美術夜話第2夜「他人の時間」つくるビル403号室、京都
2015.11.17 つくるビルゼミ11月 美術夜話第3夜「琳派戦線2015――琳派400年とは何だったのか」つくるビル403号室、京都
2015.11.21 下平竜矢写真展「星霜連関」トークイベント、東塔堂、東京
2015.11.29 アーティスト・サポート・プログラムenoco[study?]#3 湯川洋康・中安恵一中間報告会&レビュー、大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco] 2Fルーム11、大阪
2015.12.21 つくるビルゼミ12月 美術夜話第4夜「ソフィ・カル――最後のとき/最初のとき」つくるビル403号室、京都

【発表】
2015.02.13 「爆心地の鳥瞰図――吉田初三郎の『HIROSHIMA』」風景のイメージ研究会、立命館大学、京都
2015.12.26 「アートを探すまち歩き――「はならぁとアラウンド」の場合」風景のイメージ研究会、立命館大学、京都

【審査員】
2015.02 「Gallery PARC Art Competition 2015」Gallery PARC、京都
入選:明楽和記、田中秀介、中尾美園
2015.9 アーティスト・サポート・プログラム enoco [study?] #3、大阪府立江之子島文化芸術創造センター、大阪
入選:湯川洋康・中安恵一

【セレクター】
2015.10 almanac14 "depositors meeting 13"、art & river bank、東京
セレクト作家:明楽和記、来田広大、田中秀介、吉本和樹、湯川洋康・中安恵一


memorandum 221 テーブルの上の胡椒入れ

2015-12-29 23:23:48 | ことば
それはいつでもきみの目のまえにある。
ベーコン・エンド・エッグスとトーストの
きみの朝食のテーブルの上にある。
ちがう、新聞の見出しのなかにじゃない。
混みあう駅の階段をのぼって
きみが急ぐ時間のなかにじゃない。
きみのとりかえしようもない一日のあとの
街角のレストランのテーブルの上にある。
ちがう、思い出やお喋りのなかにじゃない。
ここではないどこかへの
旅のきれいなパンフレットのなかにじゃない。
それは冷えた缶ビールとポテト・サラダと
音楽と灰皿のあるテーブルの上に、
ひとと一緒にいることをたのしむ
きみの何でもない時間のなかにある。
手をのばせばきみはそれを掴めただろう。
幸福はとんでもないものじゃない。
それはいつでもきみの目のまえにある。
なにげなくて、ごくありふれたもの。
誰にもみえていて誰もがみていないもの。
たとえば、
テーブルの上の胡椒入れのように。

長田弘「食卓一期一会」『長田弘全詩集』みすず書房、2015年、192頁。

しまった!我が家のテーブルの上に胡椒入れがない!



未読日記1126 『基督信徒のなぐさめ』

2015-12-28 23:37:27 | 書物
タイトル:基督信徒のなぐさめ (岩波文庫)
シリーズ名:岩波文庫, 青-119-1,青(33)-119-1
著者:内村鑑三
発行:東京 : 岩波書店
発行日:2013.7第40刷(1976.12第30刷改版)
形態:133p ; 15cm
内容:
明治24年、折からの国粋的反動主義の世情の中で、教育勅語の礼拝を拒否して教職を追われた内村鑑三(1861‐1930)は、困窮の中から処女作である本書を世に送った。逆境にあるキリスト者の見出す慰めは何かと問うた魂の自叙伝ともいうべきこの書は、著者の無教会の立場の出発点となった。

目次
自序
第二版に附する自序
改版に附する自序
回顧三十年
第1章 愛するものの失せし時
第2章 国人に捨てられし時
第3章 基督教会に捨てられし時
第4章 事業に失敗せし時
第5章 貧に迫りし時
第6章 不治の病に罹りし時

解説(鈴木俊郎)

購入日:2015年12月28日
購入店:丸善&ジュンク堂ネットストア
購入理由:
 12月7日の朝日新聞夕刊「学生のためのBOOKガイド」で美術史家・宮下規久朗氏が本書を取り上げて、興味をもち購入。もともと内村鑑三の著書は好きなのだが、本書はまだ未読であった。ところが、記事には品切れ中と書いてある。古本で買っても値段は新刊とたいして変わらないので、試みにジュンク堂のネットストアを調べたら購入まで進めた。20日ほどかかったが、無事に手に入れることができた。今年はいろいろ失うものが多い年で、来年は「貧に迫りし年」になるので、いまから心構えとして読んでおこう。
 余談だが、宮下氏がこの欄で取り上げた3冊が渡辺利夫『放哉と山頭火 死を生きる』(ちくま文庫)、若松英輔『魂にふれる 大震災と、生きている死者』(トランスビュー)と本書であった。いづれも美術書ではなかった点にとても興味と親近感をもった。


memorandum 220 散歩

2015-12-27 23:24:30 | ことば
 ただ歩く。手に何ももたない。急がない。気に入った曲り角がきたら、すっと曲がる。曲り角を曲がると、道のさきの風景がくるりと変わる。くねくねとつづいてゆく細い道もあれば、おもいがけない下り坂で膝がわらいだすこともある。広い道にでると、空が遠くからゆっくりとこちらにひろがってくる。どの道も、一つ一つの道が、それぞれにちがう。
 街にかくされた、みえないあみだ籤の折り目をするするとひろげてゆくように、曲り角をいくつも曲がって、どこかへゆくためにでなく、歩くことをたのしむために街を歩く。とても簡単なことだ。とても簡単なようなのだが、そうだろうか。どこかへ何かをしにゆくことはできても、歩くことをたのしむために歩くこと。それがなかなかにできない。この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なこと。

長田弘「深呼吸の必要」『長田弘全詩集』みすず書房、2015年、164頁。

ずい分と「歩くことをたのしむために街を歩く」ことをしていない気がする。そもそも京都は「曲り角」が単調である。「くねくねとつづいてゆく細い道」や「おもいがけない下り坂」もあまりない。東京は散歩の街だといまになって思う。

未読日記1125 『場所を消費する』

2015-12-25 23:39:05 | 書物
タイトル:場所を消費する (叢書・ウニベルシタス)
タイトル別名:Consuming places
シリーズ名:叢書・ウニベルシタス, 769
著者:ジョン・アーリ
監訳:吉原直樹、大澤善信
訳者:武田篤志、松本行真、齋藤綾美、末良哲、高橋雅也
発行:東京 : 法政大学出版局
発行日:2012.9
形態:xiv, 393, 43p ; 20cm
注記:原著(Routledge, 1995)の全訳
    参考文献: 巻末p17-35
    邦訳参考文献: 巻末p37-43
内容:

目次
序文
日本語版への序文

I 社会と空間

第1章 場所の消費における時間と空間
はじめに
時間と空間の小史
一九七〇年代の批判
時間‐空間の社会分析

第2章 寄生体としての社会学──その短所と長所
はじめに
社会学と国家
社会学的言説の編制
寄生的であることの長所

第3章 集合的行為と新マルクス主義──批判的分析
はじめに
機能と意図
オルソンと囚人のジレンマ
ゲーム理論的マルクス主義におけるテーマ
批判のためのノート
おわりに

第4章 社会、空間、ローカリティ
はじめに
空間と社会
社会的対象と空間
ローカリティ

II リストラクチュアリングとサービス

第5章 農村のリストラクチュアリング
農村社会学における諸問題
資本、労働力、「農村的」なもの
ローカルな階層構造
おわりに

第6章 資本主義的生産、科学的管理、サービス階級
はじめに
経営、サービス階級、アメリカ社会
英国と「科学的管理」運動

第7章 英国は史上初の「脱工業社会」か?

III 消費、場所、アイデンティティ

第8章 ツーリズムの消費
はじめに
ツーリズムの社会的限界
おわりに

第9章 ツーリズム、旅行、近代的主体
はじめに
旅行の社会的組織化
審美的な再帰性と「解釈者」
ポスト・フォーディズム的消費と「ツーリズムの終焉」
おわりに

第10章 地域文化の再解釈
グローバルとローカル
歴史と文化の変容
ランカシャー
おわりに

第11章 ツーリズム、ヨーロッパ、アイデンティティ

IV 自然の消費

第12章 観光のまなざしと環境
はじめに
ツーリズムと環境意識
ツーリズムと環境ダメージ
ツーリズムと環境の視覚的消費

第13章 湖水地方の形成

第14章 社会的アイデンティティ、レジャー、田園
はじめに
アイデンティティとポストモダニズム
アイデンティティと田園
おわりに

 監訳者あとがき
 邦訳参考文献
 参考文献
 索引

購入日:2015年12月24日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 はならぁとアラウンドの研究発表のための参考文献として購入。当初は同じ著者の『観光のまなざし』を参考にと考えていた。だが、遠藤英樹[ほか]編『観光メディア論』(ナカニシヤ出版、2014年)所収の中塚明子「写真と語り――写真を撮るとき、見るとき、語るとき」という論文を読んでいたら、「「まち歩き」は、地域の歴史や文化、暮らしぶりにふれながら都市を回遊する観光であり、「場所を消費する」観光の一形態である」(141頁)の一文を読み、なにか参考になればと思い本書を手にした。今回は第3部が参考になりそうだ。


未読日記1124 『THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto』

2015-12-24 23:00:14 | 書物

タイトル:THE BOX OF MEMORY : PHOTO BOOK
編集:𡌶美智子
写真・デザイン:大西正一
発行:京都 : KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
発行日:2015.10
形態:30p ; 15×21cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年10月3日〈土〉-2016年9月末, KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
    主催: KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
内容:
図版


タイトル:THE BOX OF MEMORY : TEXTS
編集:𡌶美智子
デザイン:大西正一
発行:京都 : KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
発行日:2015
形態:31p ; 9×14cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年10月3日〈土〉-2016年9月末, KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
    主催: KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
内容:
「NORMAL BRAIN」藤本由起夫
「記憶術の二つの原理――建築の論理学と寓意の修辞学」岡本源太
「music / memory box――藤本由起夫の音楽」𡌶美智子

購入日:2015年10月4日(受取日:2015年12月24日)
購入店:KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
購入理由:
 KYOTO ART HOSTEL kumagusukuにて開催されている展覧会「THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto」の内覧期間に拝見した際、後日出来るという特製カタログボックスを先行予約。そういえばまだ来てないなと思っていたら、クリスマスプレゼントのように12月24日に届いた。
 
 カタログボックスの内容は、①フォトブック②テキストブック③作品解説④制作メモ⑤藤本さんからのプレゼント⑥夢を記述する為のメモセット(先行予約分にはなし)である。④と⑤はボックスごとに中身が異なるという。(③④⑤の画像は割愛させて頂きました)
 私の購入したボックスでは、④は「something」と書かれたドアの切り込みが入ったポストカード、⑤は「violent silence」と書かれたボールペンであった。ささやかながら楽しいアーティストブックである。こんな企画は藤本由起夫だからこそ。アーティスト、主催者、企画者、デザイナーの情熱が伝わる本である。



【ご案内】Gallery PARC Art Competition 2016

2015-12-23 23:07:47 | お知らせ
2016年も展覧会企画公募「Gallery PARC Art Competition 2016」の審査員をさせて頂きます。年々充実したコンペになってきました。たくさんのご応募心よりお待ちしております。

Gallery PARC Art Competition 2016
締切:2015年1月23日(土)[必着]
http://www.galleryparc.com/competition/index.html

募集内容
ギャラリー・パルクの展示空間を活かした作品展示・展覧会プランを募集します。2週間の「展示」に耐えうる表現・内容であれば、個展やグループ展などその形式は自由です。

応募対象
作品ジャンル・性別・年齢・国籍不問。アーティスト、グループ、キュレーターからの応募も可能。入選の場合には、展覧会の実施に至るまで責任・積極性をもって遂行すること、またその内容などについてギャラリーと協議できることを条件といたします。

選考・発表
平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)、山本麻友美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた審査の上で3名(組)を選考。入選者の発表は2月下旬までに郵送による通知とともに、ギャラリー・パルクのウェブサイト上でも発表いたします。

未読日記1123 『観光のまなざし〔増補改訂版〕』

2015-12-22 23:22:29 | 書物
タイトル:観光のまなざし (叢書・ウニベルシタス)
タイトル別名:The tourist gaze 3.0
シリーズ名:叢書・ウニベルシタス, 1014
著者:ジョン・アーリ, ヨーナス・ラースン
訳者:加太宏邦
発行:東京 : 法政大学出版局
発行日:2014.9
形態:xiv, 379, 52p ; 20cm
注記:原著 (London : Sage, 2011) の全訳
    参考文献: 巻末p21-52
    索引: 巻末p1-20
内容:
〈観光〉をテクストに〈文化〉を読み解く
フーコーの〈まなざし〉の概念を手がかりに、ツーリストの視線とその対象を歴史的・経済的・文化的・視覚的なさまざまなレベルにおいて分析。グローバル化、デジタル化、景観破壊、環境問題のリスク、〈負〉の観光……現代社会の重要課題から見えてきた問題点を、最新の観光理論とともにあらためて論じ、人間の営為の変容をともなう新たな課題を提示する。

目次
まえがき(第一版)
まえがき(第二版)
まえがき(第三版)〔増補改訂版〕

第一章 観光理論
観光の意義/理論的アプローチ/移動する世界

第二章 大衆観光
はじめに/英国の海浜リゾートの発展/〈ブラッドフォード用海浜〉・海岸・海浜別荘/むすび

第三章 経済
はじめに/フォーディズムと脱フォーディズム/グローバル化/社会関係/戦略としての観光

第四章 労働とまなざし
はじめに/サーヴィスを演ずる/飲食提供と顧客/弾力性と流動性/むすび

第五章 観光文化の変容
はじめに/モダンとポストモダン/表象としての観光/むすび

第六章 場と建造物とデザイン
場/まなざしのためにデザインする/テーマ空間/遺産/新しい美術・博物館/むすび

第七章 見ることと写真
はじめに/視覚性の歴史/永続への希求と写真のはじまり/コダック化/商業写真の魅惑/写真と観光のまなざし/デジタル化とインターネット化/むすび

第八章 パフォーマンス
はじめに/〈パフォーマンス転回〉/身体化したまなざし/社会関係とまなざし/まなざしと場所/観光写真を演ずる/むすび

第九章 リスクと未来
はじめに/リスクと危険/場所と競争関係/石油/気候変動/未来/ドバイ首長国

訳者あとがき
参考文献
索引

購入日:2015年12月22日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 はならぁとアラウンドの研究発表のための参考文献として購入。いまさらではあるがツーリズムの名著を参照しようと思ったら、2014年に増補改訂版が出ていたとは知らなかった。図書館で借りて済まそうとも思ったが、今後も使うことがあるだろうと考え、思いきって購入。