タイトル:REAR 芸術批評誌【リア】 25
編集・制作:馬場駿吉、高橋綾子、井上昇治、増田千恵、堀尾美紀、筒井宏樹
協力:越後谷卓司、水野みか子、立松由美子、浜辺由美、山本さつき、武藤陸、林清英、平野恵美
デザイン:夫馬孝
印刷:
竹田印刷株式会社
発行:
リア制作室
発行日:2011年2月28日
価格:450円
内容:
A5判、117p
【特集】「橋本平八に就て」
〈トーク・セッション〉小谷元彦×戸谷成雄「日本、彫刻の可能性」
〈インタビュー〉舟越 桂「独自性と精神性~不思議なかたちが立ち上がる時~」
「橋本平八と現代の彫刻(家)」金井 直
「《石に就て》について」北澤憲昭
「橋本平八の台座と彫刻」石崎 尚
「木という素材に対する態度―橋本平八を起点に、仏像から現代の作家まで」中村麗子
「日本近代彫刻史における橋本平八」毛利伊知郎
【第2特集】「あいちトリエンナーレ2010について」
藤川哲/小西信之/市原研太郎/高橋森彦/安住恭子/亀田恵子/海上宏美/高橋宏幸/長木誠司/尾辻里音/亀田恵子/井上隆生
【批評】
「バッタもん」事件―「ルイ・ヴィトンvs.神戸ファッション美術館 お粗末な顛末の備忘録」鷲見 麿
「「写真」への/という欲望 ジェフリー・バッチェン「時の宙づり―生と死のあわいで」展と「写真のアルケオロジー」をめぐって」門林岳史
「「肉アナ」礼賛 黒ダライ児著『肉体のアナーキズム』における中部前衛美術の挑戦と忘却」高橋綾子
「「属性」は誰のものか? 「“これも自分と認めざるをえない”展」をめぐって」橋本一径
「2010年、愛知県で起きたこと 白土舎閉廊と、あいちトリエンナーレ」井上昇治
ほか
購入日:2011年4月22日
購入店:
GALLERY CAPTION
購入理由:
岐阜・ギャラリーキャプションにて開催された現代美術のグループ展「通奏低音――伊藤正人 寺田就子 水野勝規 吉田知古 feat.藤本由紀夫」(2011年4月1日~4月23日)を見に行った際に購入。
内田百の小説『阿房列車』シリーズで百先生とともに旅をするヒマラヤ山系という人物がいる。彼はとにかく雨男で、阿房列車として出かけるときはほとんど雨が降る。
そんなヒマラヤ山系氏だが、私は笑うことができない。なぜなら私もまた雨男だからである。岐阜には4回来ているが、2回雨に降られている。今回も雨である。
だが、雨が悪いかというと、そうでもない。とくに今回のような展覧会の場合はそうである。通奏低音と題されたそれぞれの作品は雨音に耳をすますように、互いが響き合う作品であったからだ。とくに、水野勝規の滝の水が落ちるさまを撮影した映像作品は、無音でありながら、外の雨音が美しいサウンドトラックとして響いていた。
伊藤正人による壁に書かれた万年筆の青いことばも美しかった。だが、彼の場合はポートフォリオで見た過去の作品/ことばがどれも清々しく、久々に胸に残ったことばだった。どの作品だったかは失念してしまったが、朝の青山で見たものをことばにしていこうと決意するというような内容の詩(作品)がよかった。詩集か作品集があればほしい。
さて、毎回すばらしい内容を低価格で提供してくれるREARだが、今回の特集は私が敬愛する橋本平八である。それもあってほしかったが、買うタイミングがなく、買い逃していた。それも理由の1つではあるが、それだけではない。その日たまたまギャラリーの方にご紹介された作家の方が、ギャラリーを去るときに今回のREARのレビュー欄で取り上げられていますと教えてくれたのである。そこでせっかくの出会いのご縁を忘れないためにと思い購入した。