脱サラして一人親方になりました

脱サラして独立。我が道を行く男の独り言

盗め

2011年08月08日 | 経営
「技術は盗め!」
私が見習いの頃、よく言われた言葉です。


言葉には色々な意味もあるでしょうし、立場の違いもあるから一概には言えないかもしれませんが、職人として「盗め」というのは、どうも違うような気がしています。

役者さんなら理解できますけどね。


では、どうして「盗め」なんでしょうね。
教えてくれても良さそうなんですけどね。


私なりの見解ですけど、「盗め」という職人さんは、自分がやっている作業、技術に「根拠」「理由」を持っていないんじゃないかなぁ? と思います。

例えば、鉋の使い方は「盗め」ますか?
刃の出し方などは「教わる」ものだと思います。
が、力加減、体の使い方は「体得」するものだと思います。

また、金物のつける位置、ドアのクリアランスは、どうしますか?
色々な考えがあって当然だとは思いますけど、見習いに判断させる事じゃ無いですよね。


基本を教わり、考えながら〝工夫して〟体得する。
これが職人の技術じゃないかと考えています。

この工夫を教えるか?と言われると、ちょっと難しいと思いますけど、自分が認めた人であれば、教えると思います。

でも、工夫をしないで覚えた人は、工夫を説明できません。
「グっと力をいれて、ガっとやる」みたいな感じですよね。
天才肌の人は、こんな感じかもしれません。

工夫を考えながら覚えた人は、工夫に根拠があります。
「どうしてこうするのか?」「こうする事が何なのか?」
これが根拠です。


私が独立して先代の仕事を見たとき、自分が見習い時代にやっていた仕事との違いに驚きました。
「どうしてこうするのか?」と聞くと「こうしないと---なるだろ」と説明されました。

なるほど!!! と感心し「俺は今まで+++++していたんだけど」と言うと「*****な時はどうする?それじゃマズいんじゃねぇ??」

おっしゃるとおり!!!


見習いの頃は、しっかり教えてくれる人ももちろんいたのですが、ほとんどの職人さんが「盗め」でした。
だから現場に行ったとき、職人さんが仕上げた建具を見て、特に根拠無く「真似て」いました。
今思うと「あれじゃマズかったなぁ」と思うものでも、根拠が無いので、当時はマズいとも何とも思いませんでした。


この教える、教わる環境も、とても大切だと思います。
そこがしっかりしないと、若手がこの道を目指してくれないと思います。

そして、しっかりと『目標設定』させる事です。
「5年で一人前」とかアバウトなものは目標じゃないと思います。
「ここまで仕上げたら一人前」と、見本を示すのも親方の務めじゃないかと思います。

目標が見えないと挫折も早いんですよね。


先日、現場であった家具職人さんが「若手が続かない」と嘆いていましたけど、この教育について、どう考えていますかね?
「続かない」って事は、入門はしているワケです。興味はあった人材ですよね。
それが「続かない」のには、必ず理由があります。

家具職人さんは「根性が無い」とか言ってましたけどね。

私も根性無いですよ。でもこの道にいます。
目標があるからです。

コメント
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