大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

宇宙戦艦三笠41[宇宙戦艦グリンハーヘン・3]

2023-03-04 09:02:43 | 真夏ダイアリー

宇宙戦艦

41[宇宙戦艦グリンハーヘン・3] 修一  

 


「ええ! また偽物!?」

 樟葉が警戒心丸出しの表情で後ずさる。気づくと天音もトシも、クレアでさえ疑惑の目で俺を見て、ネコのままのネコメイドたちは「フーーーー!」って唸りながら毛を逆立てる。

「どうやら、おまえらもホログラムの偽物に会ったみたいだな……」

 そう言いながら壁を叩く。

 ドンという音がして、みんな安堵のため息をつく。ちょっと、手が痛かったけどな(^△^;)。

「こっちも体が触れ合うまでは、分からなかった」

「触れるって、どんな風に?」

「何気なく肩に手を掛けたら、素通しになった」

「修一が、あんまりグダグダ聞くんで、おかしいと思って……」

「オレといっしょだ。樟葉がくどかったから、おかしいと思った」

「いっしょだ。あたしは頭をはり倒したら、空振りになった。修一は?」

「キスしようとしたら、顔が重なってしまった」

「ええー、キスなんかしたの!?」

「だから怪しいと思ったからさ。ちょっと大きな声じゃ言えないって誘ったら、顔を寄せてきた。で、ホログラムの偽物だって分かった」

「本物だったら、どうするつもりだったのよ!?」

 樟葉がむくれた。

 他のやつらは呆れながらも笑ってる。

「しかし、なんだな……俺たちって、あんまりスキンシップしてなかったんだ」

「されてたまるか!」

「それは文化の差よ。ウレシコワさんやジェーンさんはよくボディータッチやハグしてくれてた。日本人はしないから」

 クレアがフォローした。

「しかし、なにもキスしなくてもさ!」

「とっさだよ、とっさ!」

「それより、本物の艦長かどうか確認しておきましょう!」

「そうだな、ホログラムの偽物に会ったって言うけど、油断させるための罠かもしれん」

 トシの提案に天音が同意して、四人と四匹で迫って来やがった。

「ちょ、おまえら目つきが怖い」

「いくぞ!」

「ちょ、やめ、いて! 痛い! ちょ、アハハ ギャハハ……」

 で、捻られたり、つねられたり、くすぐられたり。俺は、まるで罰ゲームのような目に遭った。

「艦内に動きがあります……三笠にかなりの人数が……」

 笑い死ぬかと思った時、クレアが警戒の顔つきになった。

「何をしに行ってるんでしょう」

「あたしたちの情報を総合して、まだ誰か残っている人間がいると思っているらしいです……」

 クレアも自分でバージョンアップしているようで、この秘匿性の高い敵艦の中でも、ある程度は読めるようだ。

「他に、人間て……」

 みんなの頭の中で、同時に一人の顔が浮かんだ……ミカさんだ。

「敵に動き。三笠から退去しようとしています!」

「……ミカさんは船霊、神さまだから、予見できない能力を恐れたんでしょう」

 クレアの分析は正しく、ミカさんの能力は、そのクレアの分析を超えていた。なんと三笠に乗り移った敵兵たちが、三笠の艦内に閉じ込められてしまったのだ。

 そして、ミカさんの力は、それだけでは無かった……。

 

☆ 主な登場人物

 修一(東郷修一)    横須賀国際高校二年 艦長
 樟葉(秋野樟葉)    横須賀国際高校二年 航海長
 天音(山本天音)    横須賀国際高校二年 砲術長
 トシ(秋山昭利)    横須賀国際高校一年 機関長
 レイマ姫        暗黒星団の王女 主計長
 ミカさん(神さま)   戦艦三笠の船霊
 メイドさんたち     シロメ クロメ チャメ ミケメ
 テキサスジェーン    戦艦テキサスの船霊
 クレア         ボイジャーが擬人化したもの
 ウレシコワ       遼寧=ワリヤーグの船霊
 こうちゃん       ろんりねすの星霊


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