オリジナル・ジャケット・コレクション
ワルターのマーラー&ブルックナー:交響曲集(13CD)から、第4番、第7番に続き、いよいよトラウマになっていたブルックナーの交響曲第9番を聴きました。
<曲目>
ブルックナー:交響曲第9番
<演奏>
ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
(1959年11月録音)
結論から言ってしまいます。
ワルターのブルックナーに対する私のトラウマは、今日をもって消えたと思います。いや、消えました。リマスタリングによって音質が向上していることが、ここでも大きな効果を与えています。
聴く人・聴く装置・聴く状況によって感想は違うと思いますが、私にはとても1959年の録音とは思えません。ワルターの意図するブルックナーがはっきり聴こえました。
4番・7番とも共通していますが、これだけ愛情をもった表現は他の演奏ではなかなか聴くことができません。オケの技術・パワーという点だけでみると最高水準とはいえないかもしれませんが、手造りの暖かさのようなものが曲全体を支配しており、この魅力には抗し難いものがあります。
たとえが変ですが、昔バルビローリのブラームスの交響曲を聴いたときに同じような気持ちになったことがありました。
もちろん、「愛情をもった表現=レガートで美しい演奏」というような単純な話では決してありません。時には音が割れる寸前のffを聴かせてくれますし、必要だと感じた場合は遠慮なくフレーズの終わりをぶちっと切ることもあります。
第1楽章は、テーマが移り変わるときにその直前で微妙にテンポを変えるのが少しわざとらしい感じもしますが、その分各テーマを描写する表現力はたいへんなものです。弱音で奏でられるフレーズが、弦も管も本当に美しい。きっとワルターの強い意思でしょう。コーダの壮大で破滅的な表現も見事です。
第2楽章は、トラウマの原因になった楽章です。じっくり聴きました。やはり歩みが遅い。しかし、以前LPで聴いたときの様な強い違和感は感じられませんでした。むしろこんな表現もあるんだなと思ったくらい。演奏そのものが変わるはずがないのですから、私自身の聴き方が変わったんでしょうね、きっと。でも、リマスタリング効果でティンパニが生々しく再現されていることも大きいのかもしれません。中間部は、オブリガードの木管の動きが実に良く分かります。でも、ここはもう少し早めのテンポが好きだなあ。この楽章のベストチョイスはなんと言ってもシューリヒトの演奏です。
第3楽章のアダージョは、最もワルターの素晴らしさが発揮された部分で、とりわけコーダは文字通り天国的な美しさです。ワルターのこの曲に対する深い愛情が聴き手にもよく伝わってきます。よくいわれる「魂の浄化」を体感でき、私はたいへん感動しました。
というわけで、このオリジナル・ジャケット・コレクションのおかげで、20年来遠ざかっていたワルターのブルックナーに出会え、その素晴らしさを発見できたんですから感謝感謝です。
ワルターのマーラー&ブルックナー:交響曲集(13CD)から、第4番、第7番に続き、いよいよトラウマになっていたブルックナーの交響曲第9番を聴きました。
<曲目>
ブルックナー:交響曲第9番
<演奏>
ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
(1959年11月録音)
結論から言ってしまいます。
ワルターのブルックナーに対する私のトラウマは、今日をもって消えたと思います。いや、消えました。リマスタリングによって音質が向上していることが、ここでも大きな効果を与えています。
聴く人・聴く装置・聴く状況によって感想は違うと思いますが、私にはとても1959年の録音とは思えません。ワルターの意図するブルックナーがはっきり聴こえました。
4番・7番とも共通していますが、これだけ愛情をもった表現は他の演奏ではなかなか聴くことができません。オケの技術・パワーという点だけでみると最高水準とはいえないかもしれませんが、手造りの暖かさのようなものが曲全体を支配しており、この魅力には抗し難いものがあります。
たとえが変ですが、昔バルビローリのブラームスの交響曲を聴いたときに同じような気持ちになったことがありました。
もちろん、「愛情をもった表現=レガートで美しい演奏」というような単純な話では決してありません。時には音が割れる寸前のffを聴かせてくれますし、必要だと感じた場合は遠慮なくフレーズの終わりをぶちっと切ることもあります。
第1楽章は、テーマが移り変わるときにその直前で微妙にテンポを変えるのが少しわざとらしい感じもしますが、その分各テーマを描写する表現力はたいへんなものです。弱音で奏でられるフレーズが、弦も管も本当に美しい。きっとワルターの強い意思でしょう。コーダの壮大で破滅的な表現も見事です。
第2楽章は、トラウマの原因になった楽章です。じっくり聴きました。やはり歩みが遅い。しかし、以前LPで聴いたときの様な強い違和感は感じられませんでした。むしろこんな表現もあるんだなと思ったくらい。演奏そのものが変わるはずがないのですから、私自身の聴き方が変わったんでしょうね、きっと。でも、リマスタリング効果でティンパニが生々しく再現されていることも大きいのかもしれません。中間部は、オブリガードの木管の動きが実に良く分かります。でも、ここはもう少し早めのテンポが好きだなあ。この楽章のベストチョイスはなんと言ってもシューリヒトの演奏です。
第3楽章のアダージョは、最もワルターの素晴らしさが発揮された部分で、とりわけコーダは文字通り天国的な美しさです。ワルターのこの曲に対する深い愛情が聴き手にもよく伝わってきます。よくいわれる「魂の浄化」を体感でき、私はたいへん感動しました。
というわけで、このオリジナル・ジャケット・コレクションのおかげで、20年来遠ざかっていたワルターのブルックナーに出会え、その素晴らしさを発見できたんですから感謝感謝です。