ETUDE

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渡辺玲子/デ・ワールト&読売日響 R・シュトラウス:バイオリン協奏曲 他

2005-06-25 | コンサートの感想
先週はジュリーニ・ショックがあり、土曜日は一日中ジュリーニの演奏を聴いていました。
ただ、今週に入ってからは日曜日に読売日響のマチネーコンサートに行って以来、仕事が忙しかったこともあって、なかなかじっくり音楽を聴くことができませんでした。
記憶が薄れないうちに(既に少し危ないですが・・)マチネーコンサートの感想を。

<日時>6月19日(日)
<場所>東京芸術劇場
<曲目>
■R.シュトラウス: 交響詩〈ドン・ファン〉 op.20
■R.シュトラウス: ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.8
■ラフマニノフ: 交響曲第3番 イ短調 op.44
<演奏>
指揮:エド・デ・ワールト
ヴァイオリン:渡辺 玲子

意外ですが、エド・デ・ワールトは初来日なんですね。
今回のマチネーの選曲は、ちょっと渋めですが素晴らしい選曲だと思います。

まずドン・ファン。冒頭から気持ちのこもった素晴らしいサウンドでした。弦も管楽器もティンパニもいずれ劣らず充実した響きで、アンサンブルも極上です。そんななかで、オーボエを中心とする木管のメロウで繊細な音がくっきり浮かび上がります。もともとどちらかというとスロースターターである読響ですが、この日の第一曲は圧倒的な名演と言って差し支えありません。

続くR・シュトラウスのバイオリン協奏曲。決して演奏機会に恵まれた曲ではありませんが、ケンペの全集(バイオリンはヘルシャー)で聴いたときから密かに愛好している曲です。
結論からいうと、この日の白眉でした。
渡辺玲子さんのバイオリンはケンペ盤のヘルシャーを凌ぐ出来栄えで、素晴らしい演奏でした。
とくに第二楽章の深い表現が印象的。中低音の響きが本当に素晴らしく、確信をもった表現が大きな感動を与えてくれました。渡辺さんの音は、滴るような美音というわけではありませんが、どの音にも意味が込められており聴き手に強く迫ってきます。
渡辺さんの演奏を聴いたのは、3年前に日本フィル定期でブルッフのスコットランド幻想曲を聴いて以来ですが、今回のR・シュトラウスのほうが印象は強いです。感動しました。
ところで、渡辺さんはアメリカでジョセフ・フックスに師事していましたが、この日のコンサートマスターが同じフックス門下の兄弟子にあたる藤原浜雄さんだったということもあり、終始リラックスして演奏できたのではないでしょうか。2人の時折見せるアイコンタクトも楽しそうでした。

後半のラフマニノフの3番ですが、冒頭の神秘的な響きが日本の笙を思わせます。
全体にロマンティックな曲想ですが、あまりべたべたせずに見通しよく演奏されていたことに好感を持ちました。デ・ワールトは、よく歌わせながらも曲の構造を聴き手にきっちり伝えることのできる素晴らしい指揮者だと感じました。
是非もう一度聴いてみたいマエストロです。

コメント (6)
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