ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

モーツァルト 弦楽五重奏曲第3番 K515

2005-06-12 | CDの試聴記
6月11日朝 ソプラノのゲーナ・ディミトローバさんが亡くなられたそうです。
つい先日、教育テレビの地上デジタル放送で、ソフィア歌劇場の2000年の来日公演から「トゥーランドット」を放送していたので、観たばかりでした。声に芯があって存在感のあるいいソプラノだったのでとても残念です。
ご冥福をお祈りします。

よっぽどディミトローバが出演しているオペラか、ヴェルディのレクィエムでも聴こうかと考えましたが、今日のところは色々考えて、とりあえずモーツァルトの室内楽をとりあげることにしました。
弦楽四重奏にもう一挺ヴィオラが加わった珍しい編成の弦楽五重奏曲を、モーツァルトは全部で6曲作曲しています。このうちこの3番と4番は古今の室内楽の傑作として知られていますが、モーツァルトのお父さんの死の前後に作曲されていることも何か象徴的です。また、3番がハ長調、4番がト短調という調性を持っており、順番は逆ですが交響曲の40番と41番「ジュピター」の組み合わせとよく比較されています。

ところで、この曲はLP時代にブダペストカルテットやスメタナカルテットで聴いていたのですが、正直に言いますとちっとも好きになれなかったのです。
それが、15年ほど前になるでしょうか、アルバンベルクカルテットの演奏を聴いてびっくり仰天。まるで別の曲です。
雄渾に開始される冒頭のテーマからして他の演奏と全く違いました。単に雄渾なだけではなく、精緻さも全く別次元の演奏で、最後まで一気に聴いてしまったことを今も鮮明に覚えています。
今日改めて聴きなおしても、印象はいささかも違いませんでした。室内楽の限界を超えるような力強さを持っていながら、完璧なバランスを保ち、微妙なニュアンスにもこと欠かないという小憎らしいほどの完成度を持った演奏です。
思えば、このK515が私とアルバンベルクカルテットとの出合いでした。以後、モーツァルト、ベートーベン、ブラームス、バルトーク、シューベルト等次々に聴き続け、その録音は常にマイ・フェイバリットの位置を占めています。

この曲のその他の演奏では、古楽器を使いながら活き活きした表情が魅力の「アンサンブル415」盤、テンポ感は私の感性に合わないけど、「ああウィーン・・・」という優雅な表現に降参したしまった「ウィーン室内合奏団(ワルター・ウェラー等ウィーンフィルのメンバーが30年前に来日したときの録音)」がお勧めです。
コメント (2)
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