61年前の今日、広島が地獄絵図と化しました。
どうも新型爆弾が投下されたらしいというニュースは、疎開先の母の実家がある片田舎にも伝わってきました。
そしてある日のこと、大人たちの間で大論争が起きたのです。それは、防空壕まで逃げる間、白い布を被って行くべきかどうかの論争でした。
白い布派は、新型爆弾は光線爆弾らしいから、それを反射するのだといいます。反対派は、白い布は敵機に見つかりやすく、標的になるから駄目だといいます。
今から見ると滑稽かも知れませんね。原爆の前では白い布であろうが赤い布であろうが、抗うべき余地がないことを私たちは知り尽くしているからです。しかし、当時としてはまさに命がけの論争だったのです。
公の報道は詳しいことは全く伝えませんでした。大本営はなお、「当方の損害は軽微なり」を連呼し続けていたのです。
一般国民が、この戦争が実はぼろぼろに敗けていたのだと知ったのは、8月15日になってからでした。それ以前に、それを疑おうものなら、非国民として投獄されていたでしょう。
今、当時の商工相でありA級戦犯であった人の孫が総理大臣になろうとしています。この人ひょっとして、かつての大日本帝国のリベンジを夢見ているのではないかという言動が目立ちます。
原爆の犠牲者たちは、「安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから」という墓碑銘にもかかわらず、本当に安らかに眠れるかどうかが心配です。
<今週の川柳もどき> 06.8.06
原爆忌不戦の誓い遠くなる
(軍隊派遣、靖国公然化、先制攻撃)
青空の果てに望みを託してる
*安倍氏のスローガン
再チャレンジ造反組へ誘いかけ
(帰ってこいよ~)
蹴落として再チャレンジをせよという
(格差社会の負け組へ)
ほおかむりしても行きたい九段坂
靖国も摂理も妖し怪我のもと
(信仰にはそれなりの覚悟が・・)
入り乱れ紙切り虫がせめぎ合う
(製紙業界の乱)
金利より高い振り込み手数料
(やっと改善?)
*亀田君王座に
チャンピオンベルトに値札付いている
札束の分採点が高くなる
金ずくめ勝者虚しく幕となる
若者を踊らせ稼ぐテレビ局
*ああ、わが郷土岐阜!
かがり火に札束燃やす長良川
鵜呑みには出来ず吐き出すご乱行
民の汗沁みた税金よく燃える
(裏金!発覚して燃やす!)
ご短命は多分そのせいでしょう。
でも心ない人がいる者ですね。私も子供の頃、「原爆症は伝染するらしい」というアホなことをいってるのを聞いたことがあります。
先ほどまで、NHKのBSで、爆心地付近をコンピュータ・グラフィックで再現し、往時を偲ぶという番組をやっていて、それに見入っていました。
かなり詳細に、それぞれの建物の内部まで映像化されていて、動くものといえば雀や蝶ぐらいで、人間は出てこないのですが、それがかえって、やがてとてつもない死が訪れる瞬間の予兆となって、実写以上にリアルに迫ってきました。
お父上と、あの原爆で亡くなられたすべての人に、改めて哀悼の意を捧げます。
私の入っている小グループの、「しりとり川柳」があり、先の人がこの熱さで「水銀柱が天を突く」とあったのを受けて、私が継いだ句です。
天を突く慟哭偲ぶ原爆忌
父の体には無数の硝子が刺さり、全身に痕が残っていました。それから29年後、48歳で亡くなりました。ガンの原因が原爆か否かは分かりません。多くを語らなかった父は、原爆ドームの存続には反対していました。心に突き刺さるものがあったのでしょう。多くを語らなかった理由は、「被爆者は医療費が無料ですってね、うらやましい・・・」と言われたからです。敵は身中にあるのです。