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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

『BIRDER』のキジバトと「うちの」キジバト

2010-04-27 15:38:09 | よしなしごと
 前回は、『BIRDER』という観鳥用の雑誌について書きました。
 この書には赤 勘兵衛(せき・かんべい)さんの精緻で端正な見開きのイラストのページがあって、「Bird Tracking]」(「鳥の追跡」でしょうか)と名付けられています。
 5月号のそれは、榎の古木にキジバトの雄が泰然と佇んでいるもので、その古木との取り合わせがとても素敵で両者の味わいを引き立たせているかのようです。ちなみにここに転載したのは、その見開きの半分に相当する部分をスキャンしたものです。残念ながら古木の幹の部分は載っていません。そこまで全体を載せると、肝心のキジバトが小さくなってしまうからです。
 全体のダイナミックな描写を観たい方は、是非本誌に当たって下さい。

        
          赤 勘兵衛さんのイラストによるキジバト

 このキジバトがのんびりとした陽気なものだとしたら、うちのキジバトは今、シリアスで厳しい条件に立ち向っています。
 うちのキジバトというのはこの記事の前の前で紹介しました、私の家の柾木の枝に巣をかけ抱卵をはじめたキジバトのことです。その場所というのが、私たちが居間から庭に降りる際必ず通る箇所から2メートルも離れていませんから、一日に何度もそのキジバトと目が合います。
 「やあ、元気か?今年こそ無事に孵るといいなぁ」、これが私の暗黙の挨拶です。

 ところが今日、このキジバト君はかなり厳しい状況に耐えています。朝から春雨とは思えない冷たい雨の降りしきる中、身じろぎもせずに卵を抱え込んでいるのです。昨日の予報では、午後からは強風を伴う雨とのことでしたが、幸いそれは弱雨の継続に終わりそうで、明日の午前には天候は回復しそうです。
 それでも雨の中ジッとしているキジバトを観ているのは哀れを催します。二階のベランダから傘を差し掛けたり、その木に固定することは可能なのですが、急に環境が変わると驚いて巣を放棄する危険もあります。それに、彼らがこれから生きて行くためには数々のより厳しい状況と遭遇することでしょうから、ここで過保護にすることがいいことなのかどうかという逡巡もあります。

        
        一日中雨から巣を守っている「うちの」キジバト

 結局の所私は、「おおい、がんばれよ、おまえのこと全国のみんなに報告しておくからな」というのが精一杯なのです。
 でも、何度も覗きに行くといわれそうですね。
 「あんたがいくら気にしてくれても何の役にもたたないんだよ。このうっとおしい雨の中、外敵の襲来をも気にしながらこうして耐えているときに、うろちょろされるとかえってこっちの神経が高ぶるんだよ。
 あんたは勝手に<うちの>などといっていい気になっているけど、こっちはあんたが考えているほどあんたに気を許してるわけじゃないんだからね」
 「はいはい、わかりました。わかったから元気な雛が孵るよう専念して下さいね」


 
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