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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

山下洋輔 meets S・Q

2007-06-18 04:51:08 | アート
 岐阜はサラマンカホールでのコンサートへ行って来た。
 
 前半は山下洋輔とクラシックのバイオリニスト・松原勝也とのデュオ。
 スタンダードナンバー3曲ほどの演奏のあとは、山下自身の作曲になる「ピアノとバイオリンのための<Chasin' the Phase>」。要するにいわゆるバイオリンソナタであり、「Conversation」「Dance」「Song」「Flight」という4楽章からなる曲であった。

     

 最初のスタンダードナンバーで聴いた「テイク・ファイブ」は、ピアノとバイオリンのバトルのような激しさの中に、インプロビゼーションが行き交い、これまで聴いてきた「テイク・ファイブ」とは全く違う曲のようで、驚きと新鮮さを覚えるものだった。

 「ピアノとバイオリンための・・」は、山下が、このバイオリン奏者、松原の委嘱作品として書いたものだけあって、呼吸もぴったり合っていて、充分楽しめた。
 ジャズの持つ個性的な性格からしても、この同じ曲を他の奏者で聴いたら、おそらく、全く違うだろうと思われる。それほどこのデュオにぴったりフィットした曲でありまた演奏であった。
  
     

 後半は、山下洋輔と、前出の松原勝也が率いるストリング・クァルテット(v1松原、v2鈴木理恵子、viola市坪俊彦、cello山本裕ノ介)とのコラボレーションで、クラシックの編成でいえば、ピアノ五重奏ということになる。
 なお、チェロの山本は、今は亡き山本直純の子息とのことで、その面影は確かにあった。

 曲目は、やはり山下の作曲による、「ピアノとストリング・クァルテットのための<Sudden Fiction>」で、13の小品からなる組曲であった。
 内容は、ジャズの始まりとしてのアフリカを振り出しに、アメリカでの開花、日本への上陸などをイメージしたもので、曲ごとに様々な風貌が導入され、それぞれがとても楽しいものであった。

 最初はやや端正すぎるかなと思われた演奏が、次第に広がりを持った豊かなものに展開する様は、曲自体の持つ内容もさることながら、特に、クラシック側の奏者にあった堅さがほぐれ、彼等自身が大いに乗ってきたことにあるようだった。

     


 特に、「ハプニング」と題された第10曲においては、ストリングスの奏者の一人一人が、インプロビゼーションというか、カディンツァを披露し、それぞれに拍手が湧くほど会場も乗ってきた。

 思うにこれは、山下の爆発するような演奏と、彼が発するオーラ
のようなものの効果で、各演奏者の音色が、ひとつの渦巻きのように会場を駆けめぐるという熱気に溢れた様相が実現されたためといえよう。

 いやー、楽しかった。
 久々に命の洗濯が出来た。




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