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バッハ記念博物館とオルガン演奏会  八五歳ヨーロッパ一人旅

2024-08-07 16:57:27 | 旅行

 ライプチヒ最終日、午後三時からのバッハゆかりの聖トーマス教会でのオルガンコンサートでK氏と出会うことを約してそれまでは自由行動。
 ざっと何があるかを確認したのみで通り過ぎてしまったところなどを今一度詳しく見直したりしたあと、とりわけ聖トオマス教会前の「バッハ記念博物館」はこの街へ来た以上必須の場所だと考え入場する。

          

      
 やはり日本人もよく来ると見えて、日本語のヘッドホンも用意されていたのでそれを身に付ける。確かにバッハ関連の様々な資料が保管されている。あの複雑な家系図等はう~んと眺めているものの特に覚えようとはしない。その他バッハの時代の楽器や演奏の組み合わせ、楽譜などなどが展示されている。

          
         
 それら残されたもののうちで これはと思ったのは当時のオルガンの基体である。聖トーマス教会のオルガンそのものはもはや当時のものではない。当時のものは解体されて新しいものが設置されている。しかしこのバッハ記念博物館に残されている オルガンの演奏基体は当時のもので、まさにバッハが日常的にこれに触れていた代物であるという。

          
 その他にも様々な資料を見た。いささか欲求不満だったのは、肝心のバッハの音楽の変化や変遷やについての当時の様子を伝える資料があまりなかったことである。まあ、音楽という抽象性の高いものを歴史的に伝えるという事はなかなか大変なことだからないものねだりだろうとは思う。

 なんやかんやしている間に、K氏との約束の時間がやってくる。教会の周りはやはりこのコンサート目当てのかなりの人数が集まっていてやがて入場が始まる。満席とまではいかないがかなりの入場数だ。館内に入っている人たちはどんな人たちなのだろう。観光客、あるいは音楽愛好家、はたまた信者の方々。比較的高齢者が多いがまあ、これはクラシックコンサートの通例か。

 何やらドイツ語の説明があって演奏が始まる。手元にあるプログラムを見る限りでは、演奏曲目はバロックの宗教曲を中心に数曲でそのうちバッハものは2曲である。
 演奏が進む。こうした教会等での演奏は コンサートホールとは違い音の乱反射などがあり、それがまさに教会と言う場で教会音楽が演奏されているというアウラを演出するのだが、ここの教会は結構複雑な作りをしているにもかかわらず、演奏自体はまるでコンサートホールでのそれのようにクリアに聞こえる。
      
 演奏会を聞いていていまひとつ不審に思ったのは、明らかに1つの曲目が終わっても拍手が起きないことである。 これは客層のせいなんだろうか、あるいはこうした宗教音楽は、拍手をしないもんなんだろうか。わかりかねて私も拍手しない。
  やがて最後に演奏されたのは、明らかに今までのバロックとは違う近代風のオルガンのための曲で、その演奏法も自由闊達でとても面白い。今までの清廉とも思えた宗教曲とは明らかな 相違がある。 これはおそらく演奏者が最後に行ったアンコール曲であろうと思う。曲は盛り上がリを見せて終了した。
 さすがにこの曲には拍手が起こり、私もまたその演奏を称える拍手をした。演奏者は立ち上がりそれらに向かって深々と頭を下げている。これだけの聴衆の盛り上がりがあったのだからもう1曲 位アンコールがあってもと思ったがそれはなく、意外とあっさり終了した。

 演奏会はともかく、バッハがオルガンを弾いていた教会で、オルガンを聴くというのはやはりある種の感慨が残るものである。

               
 なお、後で調べたのだが、この日の演奏者はセバスチャン・キュヒラー・ブレッシング( Sebastian Küchler Blessing)という1987年生まれのオルガニストで、各地で活躍している他、デュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学で教鞭をとり、各種オルガンコンクールの審査員なども努めてるという。

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