【20日】
久々に農協の野菜売り場へ。相変わらずお値打ち。
花売り場で、ピンクのコブシと、やはりピンクのユキヤナギを見る。
白のユキヤナギはうちにもあるが、ピンクは初めて見た。
うちへ帰ったら、二、三日前から黄色が目立ち始めたレンギョウがその色をいや増しに増していた。ほとんど満開に近い。
もう20年近く前、Niftyのパソコン通信で知り合った仲間と岐阜でランチ。
一人は名古屋から、一人は大垣から。
会場は戦争で焼けずに残った町家造りを改装してできた和風の飲食店だが、悪口になるといけないので店名も書かないし、撮ってきた写真も載せない。
さて、雁首が揃ったところで、積もる話をということになるはずであった。
そこへ亭主が挨拶に。
初顔と見て(一人は二度目)挨拶とはなかなかやるなあと思っていたが、亭主、話し好きと見えてなかなか引き下がろうとしない。
料理が出たら、「それじゃ、ごゆっくり」といって引き下がるかと思ったがそれもしない。彼のご高説を承りながらの食事で、何をどう食べたのかも記憶に残らない。
ところで話の内容だが、自分がこの街へ来てもう何年にもなるが、町内の人たちに挨拶をしても返事すらしないという話に始まり、ついには、自分が巻き込まれている訴訟沙汰の話になり、その訴状やそれに関する自分の反論をタイピングしたものを持ちだして私たちに見せるという事態に。
もうこのへんから、私たち三人が何のために集まったのかよくわからない始末に。
私も飲食業をかなり長くやって来て、自己顕示欲が旺盛でくせのある店主であったと思うが、呼ばれもしないのに客席に長々と侍り、話題を独占し、自己中な話を一方的に展開したことはないと思う。
ここまで来ると、この町の人たちが彼を容易に受け入れないのは、古くからの城下町の閉鎖性によるのみではなく、彼の方にも何がしかの問題があると思わざるを得なくなってきた。
食事を終えて、お茶でもという段になり、車の移動も面倒なので同じ敷地内にある茶房でコーヒーを頂いたが、ここにも彼が現れ、いろいろ話をしなければならない展開に。
かれこれ、三時間近くここにいたのだが、そのうちの半分以上が彼のご高説を承る展開であった。
せっかく会ったのに、何か消化不良で、中途半端な感じで別れた。
【21日】
今日も好天で温かい。
鹿児島、熊本、名古屋で桜の開花宣言があったようだ。
昨夜はいろいろな細かい処理があり、明け方まで起きていたので朝はゆっくりと。
午后から県立図書館へ。
借りていた6冊を返す。
来月、人前でまとまった話をする機会があるので、そのための予習の書物をどっさり借りる。
図書館と美術館の間にコブシの並木があるのだが、開花時期の差がとても大きいようだ。満開に近い樹が二本あったが、ほかは白いものがチラホラといった程度。
その内の一本をカメラに収めていたら、もう一本の樹の小枝が揺れていて何やら騒がしい。
近づいてみると、その樹には二羽のヒヨドリがいて、花を食べている最中であった。コブシはよほど美味しいのか、すぐ下まで寄っても逃げようとはしない。
図書館に戻り中庭を散策。ヒイラギナンテンの花が可憐に咲いていた。
私はこの花が好きだ。
前方に黄色を散らした樹が。
サンシュウの花だ。
早春に黄色い花をつけるので「ハルコガネバナ(春黄金花)」と呼ばれたり、秋には真っ赤な実をつけるので、「アキサンゴ(秋珊瑚)」とか呼ばれているようだ。
私などの年代になると、この花は、「庭のサンシュウの木」で始まる「稗つき節」を連想するのだが、そして、この花こそそこで歌われているものだと思いこんでいたのだが、どうもあそこで歌われているのは「サンシュウ」ではなく「サンショ」の木だとのことである。
理由はすごくそっけない。
要するにこの歌は、平氏追討に派遣された那須大八郎(弓の名手として知られた那須与一の弟)と平家の落人集落の鶴富姫との悲恋を歌った歌で、舞台背景は鎌倉時代なのだが、サンシュウの木が中国から日本へ渡来したのは江戸時代に入ってからだというのだ。あの赤い実が、漢方薬の材料になるかららしい。
あの可憐なサンシュウの花を見るたびに、大八郎と鶴富姫の日本版「ロミオとジュリエット」や「蝶々夫人」の恋物語を夢見ていた私のこの感傷を一体どうしてくれるのだといいたくなるほど、まさに「合理的」な史実ではある。
ほかにも寄るところがあり、数時間振りに帰宅したら、出かける前に膨らみ始めていたラッパ水仙の花がほぼ開いていた。私が怠惰にいろいろ夢想をしている時間にも、自然界は着実に自分を実現しているようだ。
久々に農協の野菜売り場へ。相変わらずお値打ち。
花売り場で、ピンクのコブシと、やはりピンクのユキヤナギを見る。
白のユキヤナギはうちにもあるが、ピンクは初めて見た。
うちへ帰ったら、二、三日前から黄色が目立ち始めたレンギョウがその色をいや増しに増していた。ほとんど満開に近い。
もう20年近く前、Niftyのパソコン通信で知り合った仲間と岐阜でランチ。
一人は名古屋から、一人は大垣から。
会場は戦争で焼けずに残った町家造りを改装してできた和風の飲食店だが、悪口になるといけないので店名も書かないし、撮ってきた写真も載せない。
さて、雁首が揃ったところで、積もる話をということになるはずであった。
そこへ亭主が挨拶に。
初顔と見て(一人は二度目)挨拶とはなかなかやるなあと思っていたが、亭主、話し好きと見えてなかなか引き下がろうとしない。
料理が出たら、「それじゃ、ごゆっくり」といって引き下がるかと思ったがそれもしない。彼のご高説を承りながらの食事で、何をどう食べたのかも記憶に残らない。
ところで話の内容だが、自分がこの街へ来てもう何年にもなるが、町内の人たちに挨拶をしても返事すらしないという話に始まり、ついには、自分が巻き込まれている訴訟沙汰の話になり、その訴状やそれに関する自分の反論をタイピングしたものを持ちだして私たちに見せるという事態に。
もうこのへんから、私たち三人が何のために集まったのかよくわからない始末に。
私も飲食業をかなり長くやって来て、自己顕示欲が旺盛でくせのある店主であったと思うが、呼ばれもしないのに客席に長々と侍り、話題を独占し、自己中な話を一方的に展開したことはないと思う。
ここまで来ると、この町の人たちが彼を容易に受け入れないのは、古くからの城下町の閉鎖性によるのみではなく、彼の方にも何がしかの問題があると思わざるを得なくなってきた。
食事を終えて、お茶でもという段になり、車の移動も面倒なので同じ敷地内にある茶房でコーヒーを頂いたが、ここにも彼が現れ、いろいろ話をしなければならない展開に。
かれこれ、三時間近くここにいたのだが、そのうちの半分以上が彼のご高説を承る展開であった。
せっかく会ったのに、何か消化不良で、中途半端な感じで別れた。
【21日】
今日も好天で温かい。
鹿児島、熊本、名古屋で桜の開花宣言があったようだ。
昨夜はいろいろな細かい処理があり、明け方まで起きていたので朝はゆっくりと。
午后から県立図書館へ。
借りていた6冊を返す。
来月、人前でまとまった話をする機会があるので、そのための予習の書物をどっさり借りる。
図書館と美術館の間にコブシの並木があるのだが、開花時期の差がとても大きいようだ。満開に近い樹が二本あったが、ほかは白いものがチラホラといった程度。
その内の一本をカメラに収めていたら、もう一本の樹の小枝が揺れていて何やら騒がしい。
近づいてみると、その樹には二羽のヒヨドリがいて、花を食べている最中であった。コブシはよほど美味しいのか、すぐ下まで寄っても逃げようとはしない。
図書館に戻り中庭を散策。ヒイラギナンテンの花が可憐に咲いていた。
私はこの花が好きだ。
前方に黄色を散らした樹が。
サンシュウの花だ。
早春に黄色い花をつけるので「ハルコガネバナ(春黄金花)」と呼ばれたり、秋には真っ赤な実をつけるので、「アキサンゴ(秋珊瑚)」とか呼ばれているようだ。
私などの年代になると、この花は、「庭のサンシュウの木」で始まる「稗つき節」を連想するのだが、そして、この花こそそこで歌われているものだと思いこんでいたのだが、どうもあそこで歌われているのは「サンシュウ」ではなく「サンショ」の木だとのことである。
理由はすごくそっけない。
要するにこの歌は、平氏追討に派遣された那須大八郎(弓の名手として知られた那須与一の弟)と平家の落人集落の鶴富姫との悲恋を歌った歌で、舞台背景は鎌倉時代なのだが、サンシュウの木が中国から日本へ渡来したのは江戸時代に入ってからだというのだ。あの赤い実が、漢方薬の材料になるかららしい。
あの可憐なサンシュウの花を見るたびに、大八郎と鶴富姫の日本版「ロミオとジュリエット」や「蝶々夫人」の恋物語を夢見ていた私のこの感傷を一体どうしてくれるのだといいたくなるほど、まさに「合理的」な史実ではある。
ほかにも寄るところがあり、数時間振りに帰宅したら、出かける前に膨らみ始めていたラッパ水仙の花がほぼ開いていた。私が怠惰にいろいろ夢想をしている時間にも、自然界は着実に自分を実現しているようだ。
相変わらず達者でいらっしゃいますね。
作品の方は高校生の頃に読んだっきりで、冒頭部分と、猫を擬人化した面白い内容なのに最後がいささか切ないことぐらいしか憶えていませんが、こうして改めて、しかも音声を通じてお聞かせいただくと、こんな楽しい会話があったのだと、漱石の諧謔精神を目の当たりにする思いがします。
いやあ、面白いですね。
西川の「ふとん」は花てぼさんのギャグですね。
コメントをつけていらっしゃる皆さんもそこにはお気づきでないようですね。もっともギャグを改めて説明するのもなんか変ですものね。
私が、コメント欄で少し触れておきました。
私の方に朗読をアップしています。よろしかったらお聞きください。