六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

六文銭の愉快な仲間を紹介します。

2012-05-28 02:01:43 | 写真とおしゃべり
 これはは梅雨時の話題かもしれません。
 
 そういえば、4月28日に沖縄の梅雨入りが発表されて以来、梅雨の話題がとんと出てきませんね。ちょっと調べてみたら、去年の今頃は九州から東海地方まですでに梅雨に入っていました。
 ところが今年ときたら、昨日など雲ひとつないような晴天でした。これはやはり庭の草木に水をやらねばなりません。

 そこで水を撒いていたらどこかから嬉しそうな声が聞こえます。
 「ん?どこかな?」と手を止めて探したらいました。
 さすがアマガエルというだけあって水には敏感なようです。

       

 いま水を撒いたばかりの葉蘭の上にすまし顔で鎮座しています。
 さっそく携帯を取り出して、「はい、ポーズ」です。
 このカエルじつに人懐っこくて、接写機能を使って10センチぐらいのところから撮ったのですが、全く逃げようとしません。

 ですから容易に捕まえることができます。
 今日はしませんでしたが、前なんか捕まえて手のひらに乗せても、しばらくはそのままじっとしています。そのひんやりとした感触はじつに気持ちがいいのです。
 よくこれで外敵から身が守れるものだと感心するやら少し不安に思うやらです。

       

 このカエル、小さい上にその容姿がなんとなくユーモラスですから結構人に愛されるようです。俳句にもけっこう登場するのですが、この場合は「青蛙」として出てくる場合が多いようです。

 正直にいって、私はアマガエルと青蛙は一緒だと思っていましたが、生物学上の分類は違い、その容姿もかなり違います。ここに載せた写真はアマガエルで、青蛙に比べてこちらのほうがうんと可愛いようです(青蛙さん、ごめんね)。

 で俳句の方ですが、ここで詠まれている「青蛙」は、ほとんどが「アマガエル」のことだそうです。
  
     梢から立小便や青がへる        一茶
     恐る恐る芭蕉に乗って雨蛙       夏目漱石
     青蛙ぱつちり金の瞼かな        川端茅舎 
     雨蛙飲まず食はずの顔をして      右城暮石


 などなど、どれをとってもいささか川柳的ですね。俳諧の諧は諧謔の諧だとはいえ、やはり対象が愛らしくてユーモラスだからだと思います。

       
 
 極めつけは芥川龍之介のものですね。

     青蛙おのれもペンキぬりたてか     龍之介    

 確かに艶のある鮮やかで明るい緑は「ペンキ塗りたて」を思わせますね。観察と比喩の面白さですね。

 さて、このカエルは人懐っこいといいましたが、こんな映像があります。
 まずはその鳴き声ですが、どうもひとの鳴きまねに反応するようで、この動画ではとりわけ子供のやや高い声に反応しているようです。
  
 http://www.youtube.com/watch?v=7h9pK6ArrAk

 続いては、ひとが猫じゃらしよろしく毛髪状のようなものを動かすと餌と誤認して飛びつく様子が伺えます。
 そればかりではありません。その指や爪に対してもパクリパクリと食らい付くのです。

 http://www.youtube.com/watch?v=hpU2uxjnyZc

 面白いですね。

       

 さて、私も一句とひねってみました。
   
     孤老慰めてひと鳴き雨蛙    六文銭
 
 だめだなぁ、私のは川柳のつもりなのに、上の俳句よりも硬いですね。だいたい、孤老なんて漢語を持ってくるのが失敗のもとでしょう。
 さあ、諦めて、遊んでもらったお礼にもうひと撒き水をくれてやるか。

     雨蛙水進ぜよう鳴くがよい   六文銭
 

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3 コメント

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Unknown (只今)
2012-05-28 10:15:46
 「…飲まず食わずの顔をして」の右城暮石は
 戦後、西東三鬼と友人になりましたが、
 その西東三鬼の「鉄板に息やはらかに青蛙」 
 という俳句があります。
 この句に対して、特高警察はこう脅しました。
 「鉄板のような資本主義社会にあっても、
  我々はすやすやと寝ることできんだよ、
  と言いたいのだろう。そうだろう」
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Unknown (六文錢)
2012-05-28 22:55:55
>只今さん
 特高の言い分は言いがかりとしても、しかしこの句、単なる写生句ではないと思いますが、「鉄板」と「息やはらか」、固いイメーじと柔らかとの対比の辺がミソでしょうか。
返信する
Unknown (只今)
2012-05-29 09:02:44
 1940年西東三鬼に手錠をかけた高田警部補は、
 「昇降機しずかに雷の夜を昇る」
 という句についてこう解釈しました。
 『「〈雷の夜〉すなわち国情不安な時、〈昇降機〉すなわち共産主義思想が昂揚する」というのです。』(三鬼著俳愚伝より)
 これが、いわゆる「京大俳句」弾圧のとっかかりのようです。
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