川柳は少しかじって、新聞投稿などで入選したり、ミニコミ誌の川柳欄の評者までしたことがある。もう20年ほど前だが。
それに対し、同じ定型文でも、俳句や短歌の世界にきちんと向き合ったことはなかった。まあ、それでも読む方は好きで、「朝日」の日曜日の「朝日俳壇」や「朝日歌壇」は常連投稿者の名前も多少知っているほどに読んでいる。
鶴舞公園内 鶴々亭
そんな私が、いきなり句会に、しかも、当日の散策から即興で詠む吟行に誘われたのだからさあ大変。しかし、八十路を回ってからの経験も、閻魔様への土産話になり、その分、地獄に落とされるのを遅延させることができるのではなかと参加することとした。ちょっと旧聞になったが11月5日のことである。
場所は名古屋の鶴舞公園(つるまこうえん)で、兼題は薔薇。ようするに秋の薔薇に関した句ということだ。公園の読みをわざわざカッコで示したのは、この「鶴舞」という地名、公園は「つるま」、JR中央線の駅名は「つるまい」など、町名、図書館名、小学校名などなどよほど詳しい人でなければわからないぐらい二つの読みが混在しているのからだ。川柳ならそれだけで一句できてしまう。
つるまでもつるまいもよし薔薇は咲く
しかし、俳句となればそんなノリではだめだろう。
奏楽堂 これは復元されたものだが初代は1910年の建造
公園内の鶴々亭という由緒ある木造建築へ集合。総員10名。ただし、そのうち一人は遅れて参加のため、選のみの参加。
見渡したところ、女性陣4名はそれぞれこの道に造詣がありそうだが、男性陣はそれほどでもなさそうだ。まあ、私とちょぼちょぼかなという感じ。
ひと通りルールなどの説明があった後、公園内の薔薇園へ。薔薇の最盛期は5月頃で、さすがにその頃ほどの隆盛さはないが、それでもさまざまな薔薇が精一杯咲いている。
そして、感動したのは、その薔薇園のなかで何かゴソゴソしている気配を感じてよく見ると、10名近い人たちがあちこちで地を這うようにその手入れに余念がないのだ。
そこで早速それを句に詠むことにした。
この噴水塔が市公会堂の真正面に位置することに初めて気づいた
約一時間半の散策で、乏しい詩情を絞り出してなんとか三句を揃えた。これは句会ではなく苦界ではなどとダジャレをつぶやいたりした。
再び鶴々亭に戻り、なんとかひねり出したそれを短冊に清書して提出。
書家のSさん(男性)がそれを一覧に書き込んで、若いのがコンビニへコピーに走る。
参加者のうち一番俳句に詳しそうなTさん(女性)のお連れ合いがケータリングで作った弁当が届き、それを味わう。美味しい。
びっしり実をつけたクロガネモチとその実
飲み物は各自持参ということで、私は持ち込んだ冷酒でおかずの方を肴に飲む。季節の味ご飯は夕餉にと持ち帰る。
そうこうするうちにコピーが届き選評。天、地、人(これは二句)を選び提出。
天、地、人それぞれが3点、2点、1点での集計。集計にはいろいろ手待っどったようだが、やがて結果発表。
恥ずかしながら、私の提出した句は以下の三句。
秋薔薇の棘心なし柔らかき
這い回る手入れに応う秋の薔薇
遅出しのジャンケン秋の薔薇が笑む
最後の句なんてやはり川柳風だなぁと自分でも思う。
で、結果の発表。
ジャジャ~ン!
私の句はなんと「地」に入選。しかも「天」とは一点違い。
どの句かというと、真ん中の「這い回る・・・・」。
句としてはけっしていい出来ではないが、一行のすべてが菊の間を這い回って手入れをしている人たちの作業を見ていたので、そういう状況そのものに(句ではなく)同意をしてくれたのだろうと思う。
「天」は女性が詠んだ以下の句。
秋の薔薇白きをひとつ母の手に
中央線鶴舞駅 金山で東海道線に乗り換え岐阜へ
とまあ、そんなことで初めての経験を終えたわけである。
当日は気温といい風の具合といい、まことに爽快な日和のなか、花を見詰めて句を詠むという面白い体験をさせてもらった。
少しだけ飲んだ昼の酒が残るなか、夜の街へ繰り出すことはやめて、薄暮の頃には岐阜のわが家にたどり着いた。
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