イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

餓えた狼

2017-05-03 01:22:06 | ニュース

 ”あしがら”と聞くと連想するのは、くーまにまーたがりお馬の稽古するハイシどうどう足柄山の金太郎か、『艦隊これくしょん』の女教師キャラ、妙高型三番艦の足柄さんですよね。

 アメリカ原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群を護衛。平成の日本の海上自衛隊で就役中の”あしがら”は重巡洋艦ではなく純粋な護衛艦だそうです。ちなみに今般ともに就航する”さみだれ”も護衛艦で、青髪ロングにセーラー服の白露型駆逐艦六番艦ではないとのこと。当たり前だ。でもちょっと残念だ。

 ”あしがら”の夕食はカツカレーではないのだろうか。やっぱり残念だ。

 このニュースを聞くにつけても思うのは、日本という国はアメリカ合衆国という国と同盟している限り、「武力は持たない」「事実上持っても行使しない」「威嚇しない」「戦闘地域には行かない」「行っても攻撃しない」と言い張ってもいずれ無駄ですな。

 同盟だもの。同盟国が「戦争するかもしれない前提で行動開始するからな」と言ってきたら「そうですか、どうぞ」で済まされるわけはない。彼方の大将がオバマさんのように「我が国は世界の警察ではない」「核兵器を世界から無くそう」「イエスウィキャン」とニヘラ笑ってノーベル平和賞貰っちゃうさわやか平和主義者なうちはいいけど、今度のヤッコさんみたいな挑発上等、そっちがその気ならこっちから行くゼというジャイアン系の武闘派トップに代わったら、「ウチは武力ないので」「自衛隊あるけど先に向こうが撃ってきてからじゃないと」では済まされない。「そういうわけでウチからは先制できないので、撃たれそうになったら守ってね」となると、筋が通らないどころか、同盟という名のタカリ、寄生だろうと言われても仕方のない話。

 戦争の永久放棄、武力非保持、交戦権の否定をうたった現行第九条は日本が世界に誇れる平和憲法ですが、国の武力というものは一国が幾ら胸を張って「持ちません」と言っても他の諸国に「立派な考えだね、偉いね、でもウチは持つから」「行使もするから」と言われればお手上げなわけです。

 月河は第九条の条文を読むたび、宇野千代さんの小説『おはん』を原作にした市川崑監督の映画(1984年)を思い出します。

 これは、ざっくり言ってしまうと石坂浩二さんが本妻吉永小百合さんと愛人大原麗子さんとの間でふらふらするという、故・大橋巨泉さんなら「ヘーちゃんこのヤロ―」とばっさりいって終了なような映画なのですが、最後のほうで麗子さん扮する手練れの芸者おかよが誰にともなく宣言のように言い放つ「男のいらんおひとは どこの國なと行たらええ あては男がいるのや、男が欲しいのや」という台詞があります。ほぼ一字一句原作通りです。

 最終的に正妻おはんは身を引いて何処へともなく姿を消してしまうのですが、愛人の芸者おかよは”奥さんに悪いから”なんてことはつゆほども考えません。自分には男が要るのです。武力は持つのです。持って必要とあらばいつでも空母発進するのです。ここぞと撃ち放ち殺戮し焼け野原にするのです。「要らん」「持たん」と日本がいくら言い張っても、持つ国は持ち続けるし行使し続けます。いちばん持つ国、行使したい国と日本は同盟なのです。

 足柄さんと五月雨ちゃん・・じゃなくて護衛艦”あしがら”も”さみだれ”も、ステッキガールならぬ護衛たる以上は重火器の一つや二つや三つ装備しているはずで、空母打撃群にどこからか砲弾が飛んで来たら応戦ぐらいするはずです。「飛んで来るまでは手を出さないから」でアメリカは了解してくれるでしょうか。安倍総理が「あの時OB見逃してあげたじゃない」とか言っても「オルタナティヴ・ファクトだ」って蹴られるに決まっている。

 もう認めたらどうか。現行憲法九条と、アメリカ合衆国との同盟は両立しません。両立させているように見えても、別々の方向を向いてるものを無理やり一点で、ご飯粒か何かで接着させているだけです。九条を何としても守ろうというなら、アメリカともどこの国とも同盟しない、誰も守ってくれない状態で「武力持たない」を貫く肝っ玉と気概が日本人にあるかどうか、そこを問うてからにした方がいいと思います。

 年に一回の憲法記念日なので考えました。明日から向こう一年は考えません。

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