イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

Kinkyなやつら

2010-03-12 19:23:45 | ニュース

JWALKというバンド名は何度か聞いたことはあるのですが、失礼ながら曲も曲タイトルも、いつ頃売れたのかもまったく知りませんでした。調べると1981年デビューで、1991年に紅白歌合戦に出場。平成に年号がかわる頃から1990年代前半って、月河がいちばん音楽、特にヒットチャート系から縁のない生活していた時代なので、知らなくてもしょうがなかったかなという気が。1995年前半から盛り返してくるんですけど、当時のNORTH WAVE、洋楽メインだったし。

 で、当然中村耕一容疑者の顔も名前も歌声も、今般のニュースが初見だったのですが、「年のせいで疲れやすくなり、疲れを取るために(覚せい剤を)やった」って、この手の事犯の中でも画期的な動機自供じゃないでしょうか。数ある有名人薬物事件史上に、いちエポックを画したと言っても過言ではない(過言か)。

59歳。around還暦。略してアラ還。略すことはないか。覚せい剤の他にも、自宅からコカインも大麻らしきものも押収されたらしいですが、もう若気のあやまちとか、社会性の未熟さとか、若くして有名になったストレスとかで薬物に手を染める時代じゃなくなったわけですよ。高齢化社会もここまで来たかの感。

これからの薬物摘発、プーな若者やポッと出の芸能人を張ってりゃいいってもんじゃないということでしょうね。団塊世代の小金持ち、リタイアしてもまだ現役に混じっていろいろブイブイ言わせたいヤツらが、ばんばん薬に手を出すよ。

逆算すると、中村さんという人、紅白出場時にはすでに40歳、デビュー時まで遡っても30歳だったことになりますが、当時からのファンの皆さんは、この犯行動機聞いてどう思ったでしょうかね。ライブやCDリリースが中止になったのもさることながら、どうせなら「もっといい曲が書きたくて薬に頼った」「薬をやるとノリのいい演奏ができる気がした」と言ってくれたほうがまだしも救われたのではないかな。

さて、11日(木)で終わってしまいました『不毛地帯』。枠拡大もない54分で、前話までの、石油出る出ない、壹岐(唐沢寿明さん)千里(小雪さん)とくっつくくっつかない、大門社長(原田芳雄さん)辞める辞めない、里井(岸部一徳さん)帰ってくるこない…と山のような二者択一、ぜんぶ○×決着できるのか?と半分あきらめて視聴したのですが、これがまた、決着できちゃったんだから世の中あなどれない。

ガス暴噴は石油層が近い予兆だから掘り進めさせてほしいという兵頭(竹野内豊さん)の熱望に、「賭けるなら(リスクの高い)水圧破砕しかない、いますぐ決断しろ、できないならうちは降りる」と、一見ヤケッパチとも思える提案をしてきたのは、共同落札したオリオンオイルのリーガン会長。兵頭はしばし黙考し「やりましょう」。壹岐副社長に了解とりつけなくて大丈夫かオイ!とつい思ってしまいましたが、どんなに大資本の裏付けがあったとしても、石油は基本“bet(=賭け)”。現場を熟知する独立系のリーガン、兵頭及び近畿商事の肝っ玉の太さを試した部分もあったのでしょう。

近畿商事は石油掘りと綿花相場しか仕事やっとらんのか?という、一部の視聴者がひそかに抱いていた(?)疑問にも、自動車篇で活躍したアメリカ近畿の八束(山崎樹範さん)と海部(梶原善さん)が千代田自動車―UMの提携をまとめてめでたくゴォォル。最終話には出番がありませんでしたが、家政婦のハル江さん(吉行和子さん)も喜んでいることでしょう。

そのハル江さんがチクチク嫌味かましていた“髪の長ぁーいかた”千里さんのほうは、いつの間にか日本にまた来ていた紅子(天海祐希さん)に「男なんてズルいんだから、ちゃんと結婚のこと言わなきゃ」とハッパかけられたりしていましたが、大門とともに近畿を辞して無職となり、今後はシベリア抑留復員者の支援活動をライフワークにしようとする壹岐に「(プロポーズや結婚の約束はなくても)私、待ってます」で一応決着。「キミには陶芸家としても女性としても限りない未来がある」(壹岐)って言っても、どう考えても千里さんも50がらみになっているはずで、戦後、遅く来た青春を壹岐に捧げたことになるのに、この恬淡たる物わかりのよさ、やはり最終話に出番がなかった比叡山の清輝お兄さん(佐々木蔵之介さん)の影響かしら。共生(ともいき)の心。

全体的には、“壹岐にもオスの本性はあるし、女性を好きになる心まで凍土になったわけではない”ことを表現する、大事な人物だったはずの千里ですが、非業の自決を遂げた上官のお嬢さんとして喪失感を分かち合い、力になってあげたい気持ちが、いつしか男としての愛に変わり…という辺りがなーんかすっきりせず、出てくるたびに「またかよ」感を伴うお邪魔キャラ化してしまったのは残念。壹岐と一緒にいるときの千里はもちろん、千里といるときの壹岐も、他のシーンに比べて色っぽく見えたことがありませんでした。

壹岐から勇退を強く求められ、一時は逆上して里井を呼び戻そうとするも断られて天運尽きたことを知り「…退陣や」と受け入れるまでの大門社長、こちらも一時は本社復帰の話に乗り気になりかけたものの、油田成功の金屏風会見でとことん社長を立て花を持たせようとする壹岐と、立てられて満更でもなさげな大門を舞台袖から眺め、“自分の出る幕ではない”と去っていく里井、この2人も最終話を盛り上げました。自動車篇では狭心症起こしまくっていた里井も「(関連会社に出されて)邪魔ものがいないところで思う通りの仕事ができて、心身ともに健康になったよ」なんて角田(篠井英介さん)にうそぶいていましたが、“衆を味方につけないと”ということを彼なりに学んだ関連会社での3年半だった様子。パステル調カーディガンがお似合いだった勝子夫人(江波杏子さん)はお元気かな。なんか、最終話に顔が見えなかった人のことばっかり気にしてるな。

自らの辞表をも懐にした壹岐と、大門が最後に対峙しともに撤退を決める場面が、東京ではなく大阪の近畿商事本社の昔ながらの社屋であり、壁面が世界地図になった昔ながらの社長室だったのも嬉しかったですね。地獄のシベリアから生還を果たし、一度死んだ人間として、しかし戦争のなくなった故国でもう一度社会の人として生き直そうとした壹岐正のすべては、ここから始まったと言っていい。

近畿を退職して、抑留者支援事業に専念することを娘の直子(多部未華子さん)と息子の誠(斉藤工さん)に告げる場面も良かった。3人、佳子(和久井映見さん)の遺影が見守る中正座して、娘は「長い間、お疲れさまでした」とねぎらいの言葉を、息子は「まだまだ、これからですよ」と前向きな励ましを。この場に佳子がいないのは壹岐としては痛恨の極みでしょうが、あの不慮の事故がなく連れ添い続けたとしたら、政治家に裏金使ったり上役の里井を追い落としたり、キーパーソンに会うために忌み嫌っていたソ連の土を踏んだり、その合い間には千里さんと秋波も送り合わなきゃなんないし、危ない橋を渡り通しの夫に心労続きでどのみち長生きできなかったような気もしますね。

戦闘機篇で好敵手ポジションだった東京商事の鮫島(遠藤憲一さん)は、その戦闘機で近畿に負け、第二次中東戦争の読みでも負け、フォーク社との自動車提携では出し抜き果たしたもののサルベスタン入札でまた負けて、最後のほうはライバルというより、一種の盛り上げ役、扇子で紙吹雪するタイコモチみたいな存在になってましたよね。「あーあー近畿商事さんタイヘンだー」とか、最後の空港での「辞めるなーー!!辞めんじゃないぞー!!」とか、結局壹岐いないと淋しいんじゃないのコイツ。ルパンⅢ世が姿見せないときの銭形警部か。ゾルダ北岡が体調すぐれないときの王蛇浅倉か(@『仮面ライダー龍騎』)。微苦笑を秘めて壹岐が機内に消えた後の搭乗口で、鉄パイプで暴れるんじゃないかと思った。こっちは奥さん(キムラ緑子さん)がきっつかったなあ。鮫島、社長になるまでまんじり家でもくつろげない。

思えば鮫島の「辞めるなよー!」と、背に聞く壹岐の微妙笑いは、“シベリア慰霊を生涯の仕事にとは言いつつも、ビジネスの生臭い世界に絶望して退職したわけではない”という余韻を含めた暗示ともとれる。視聴者としても、ラストで主人公にあんまり、骨の髄まで枯れ枯れに悟りすまされたんではちょっと冷めちゃうわけです。

谷川大佐(橋爪功さん)の遺志を継いだ舞鶴の慰霊碑も完成したことだし、この際鮫島の期待にこたえて、非常勤の、相談役のそのまた相談役“キンキマンX”として再登場ヴァージョンはないかな(ないな)。

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