イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

女子下宿生

2017-11-19 20:14:43 | 海外ドラマ

 朝ドラ視聴の縛りから撤退して朝8時台に余裕が出来たと思ったら、また余分なものにはまってしまいました。

 BS朝日8:30~『私の心は花の雨』。韓国ドラマふたたび。どっひゃー。これは『ルビーの指輪』のように、出先で、他作品で見覚えのある俳優さんを見かけたからというわけじゃなく、うちでうっかりBSと地デジの5チャンネルを間違えて(当地の地デジ5は日テレ系です)しばらくつけていて、なんか韓国語のやりとりになってるなと思ったらコレだったのでした。

 舞台になっているセットのひとつが映画館らしく、昔、駅の周辺や沿線に立て看板であったような、最近だと『ひよっこ』で時子や川本世津子さんの回想、もしくは脳内イメージショットで出てきたような、古めかしい映画のポスターが外壁にも館内にもいっぱい飾ってあって、いつ時代のドラマなんだろコレ?と画面に引き付けられたのがきっかけ。

 この↑↑↑↑記事タイトルの通りの、漢字タイトルのポスターもあるんです。廊下や社長(ドラマ中では“代表”。時代劇で何度もお見かけしたキム・ミョンスさん)の部屋に。うーん気になる。見たとこ、なんかねエロそうなの。

 時代設定は、「ソウルが朝鮮戦争の戦火に包まれてから二十年が過ぎた」というところらしく、ヒロインのコンニムが養子となっているクッパ店一家の壁に“1971 辛亥年”のカレンダーが貼ってあります。

 しかしすごいね。初めて入って行ったのが第3話でしたが、民放BSってとにかくCMが大胆に、重厚長大に入るんですよ。CMが長いからもうドラマ終わったのかなと思ったら終わってなくて、またCM長いな本当に終わ・・いや終わってなかった、って何回か繰り返したら、コレ10:00までやってるのね。朝8時台に、90分枠ってすごくないですか。調べたら、お国での本放送時は全128話だったのを、2話ずつ編集して90分枠に入れて、全64話として放送しているようです。

 録画して合間の重厚長大CM(健康系多し。朝だけに)を編集カットすると毎回66分になります。贅沢だ。無駄が多いだけか。

 『ルビー~』もそうですけど、月河はやっぱり、ドラマは“毎日、放送があって何かしらの展開がある”リズムが合っているようです。一週間、同じ物語世界が来ないと、飽きちゃうというか萎むんでしょうね。

 NHK朝ドラを、おもしろくても、さほどでなくても追尾するようになったのが2012年頃ですが、ちょうどこの時期が長年“ドラマ視聴のベースキャンプ”だった昼帯ドラマの退潮期と重なります。調べてみたら、手元に残っている昼帯の録画で一番新しいのは2013年秋の『潔子爛漫』でした。たぶんこれ以降、録画ででも追尾したいと思える作品がなかったんでしょうね。2016年3月で枠自体が廃止になっています。いま“ひるおび”と言えばTBS系のホンジャマカ恵俊彰くんと八代英輝弁護士の“正論バラエティ”ときどき森朗予報士の“気象プレゼン美術さんバラエティ”になっちゃいました。

 『私の心は花の雨』、韓国ドラマの日本語タイトルはときたま、この内容で何でコレ?と思うものがあるのですが、とりあえず今作は、タイトルだけで長い。なんとなく松任谷由実さんの曲タイトルの様です。

 マイナー調のフォークダンスの様なOP曲に合わせて、登場人物がクレジット順に淡彩の線画で出て、カメラ目線キャストの写真動画になる、韓ドラでおなじみのOPスタイル。NHK共同制作の『赤と黒』を思い出しました。タッチは違うけどあのOPも、線画で出て写真に変わるスタイルでした。もう6年前か。このタイプのOPを見ると韓ドラだなぁという実感がある。我が日本製のドラマではもうこういう、顔出し紹介つきOPめっきり見ないですね。

 メインストーリーが1971年時制の、若者たちの甘酸っぱいラブなのでちょっと薄らくすぐったいけど、おもしろいですよ。微妙に先が気になる。たぶん、お国の本放送(2016年)でも月~金のイルイル、それも朝の時間帯で放送されていたと思うので、2話を1話に編集されてもお話や演出のリズムがオビ向きなんでしょう。

 韓ドラお得意の、「ここで泣いてください」「ここでハラハラしてください」と付箋立てるような大袈裟なBGMもあまりないし、何より70年代初期の街路を再現したオープンセットが、エキゾチックでもあり日本のプレ高度成長期を思わせるところもあって和みます。なんでもソウル郊外に、ドラマ撮影用に固定的に建設された、日本で言えば太秦みたいなセットがあるらしい。もちろん近代的なビル等はなく、市場の靴店や洋品店も狭い軒先に平台を置いて商品を並べた露店スタイル。ヒロインが壜の牛乳を自転車に積んで、お屋敷の門扉の前に置いて配達していたり、一方、地元で大手と称されるヒロインの(本当の)実家(←まだ本人は知らない。お約束の出生の秘密があるんです)が経営する製菓会社では、機械から焼きたて菓子パンがラインに乗ってスポスポ出てきて工員さんたちが手袋はめてバットに並べていたり、欧米風の喫茶店やレストラン、生バンドの演奏スペースらしき所もそなえたナイトクラブ(←こっちはむしろ日本風)もちらちら出てきたりして、戦国・王朝期の時代物韓ドラにはない興趣があります。

 1971年と言えば昭和46年、大阪万博の翌年、札幌冬季オリンピックの前年です。ドラマの中でも体制に反対する学生運動(朴正熙大統領の軍政時代ですね)やデモがちらっと出てきて、日本での東大紛争など想起させますが、映画館の看板や、発券窓口の外にモギリのおにいさんが立っていたり、街燈の柱にも家の壁にも求人ビラがべたべた貼ってあったりするところはむしろ、せいぜい昭和30年代前半じゃない?と思う、素朴というより“荒廃からやっと立ち直ったばっかり”なふしもあり。ヒロインの出生の背景にもなっていますが朝鮮戦争がソウルに残した爪痕は大きかったということなのでしょう。本放送を見た現代の韓国の視聴者の皆さんはどう思ったのかな。当時のリアルな記憶ある年代の人なら「そこは違うだろ」と思う所もあったかもしれない。

 でも、平日朝の帯ドラマが“戦後の復興期とヒロインの夢への道程を重ねる”という設計になっているのは、日本の朝ドラとそっくりですね。NHK朝ドラも「“戦争を挟んだ昭和”を材にとれば鉄板」とかなり前から言われています。毎朝見たいお話、大筋ではどこも同じなのかもしれません。  


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