年明けからは『八重の桜』を筆頭に、実写TVドラマはもっぱらNHKばかり見ている気がしますね。いつも録画で一週遅れ追尾ですが。
火曜夜は総合『書店員ミチルの身の上話』、木曜夜はBSプレミアム『グッドワイフ シーズン3』、金曜夜は同じく『火怨 北の英雄 アテルイ伝』、日曜夜は韓国製『太陽を抱く月』。日付をまたいだ深夜の『リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線』にも足踏み入れる気満々でしたが、第1話が『書店員ミチル~』の再放送とかぶって録画できなかったのであきらめました。
後ろ暗い事情を抱えたしがない小市民、頼まれて買った宝くじの思いがけない高額当せん…という設定が、『シンプル・プラン』などミステリの“ヤバい一攫千金もの”を思い出させて食いついてみた『ミチル』は“逆O・ヘンリー”みたいな苦いエッジの利き方がおもしろいし、『アテルイ伝』は何と言うか、古代東北の大地そのものの、茫漠たる、冷涼でうっすーいスケール感が不思議にそそりますな。なにしろ8世紀、奈良時代末期の、平城京基準で言えば未開の北方の古代仕様なので、セットも衣装もお金がかかってるのか、かかってないのかよくわからない。エキストラさんは豪勢な人数投入されてますが。
騎馬に弓矢とぶっとい太刀持ちで野を駆け戦う英雄というには、ヒーロー阿弖流為役の大沢たかおさんが微妙に頼りないのもいい。いまにも幕末か現代にタイムスリップして消え失せそうな危うさ(それは『JIN』)…とはいかないまでも、“この(設定の)時代に生まれ合わせたことがいまいち似合ってない”感がときどき表情に垣間見える、哀愁ある英雄像です。
BSプレミアムの大型時代劇では一昨年『塚原卜伝』、昨年は『薄桜記』と原作ものの大作をよくやってくれます。卜伝役堺雅人さん、丹下典膳役山本耕史さん、阿弖流為大沢さんに『陽だまりの樹』のダブル主演・市原隼人さんと成宮寛貴さん辺り、もう気がつけば通年の大河ドラマの単独主演でもいけるくらいのキャリアがあるわけで、民放地上波時代劇壊滅の現況を考えると、アタマひとつ出かかった級の若手俳優を一本立ちに育てるステージとしても、Bプレ時代劇はがんばっていただきたいものです。
『塚原卜伝』は先週から地上波再放送が始まっていますが、Bプレ放送中の録画のほうで先行視聴中。神に選ばれし剣聖がふにゃらか優男(堺雅人さん)で、振り回されながら付き従い稽古のお相手もつとめる臣下のほうが長身で怖い顔(平岳大さん)というギャップコンビキャスティングが返す返すもヒットでしたな。
応仁の乱から約60年後の乱世という設定のため、剣術仕合場面のケレン味以外は豪華衣装もなく、女優さんの出番が少なめで絵ヅラが地味なのは仕方がないか。唐物屋の女あるじ・美津役で有森成実さんが好演されていますが、京野ことみさん栗山千明さん江波杏子さん朝加真由美さん…とレギュラー女性人物が軒並みスレンダー系なので、ここにヴォリューミーなお色気系をキャスティングしてもよかったような。管領職大内家の家老平賀丹後守役・風間杜夫さんがベタ惚れする相手なので、『蒲田行進曲』『春の波涛』つながりで松坂慶子さん…で年齢行き過ぎなら、『スチュワーデス物語』つながりで片平なぎささんはどうだ。
………ヴォリューム問題の解決になっとらんな。『瑠璃色ジェネレーション』つながりの田中好子さんは鬼籍に入ってしまわれたしな。
『薄桜記』は『アテルイ伝』とは真逆に、尺がたっぷり(全11話)、なおかつ脚本ジェームス三木さん節(ぶし)全開のムダな(←褒め言葉)遊蕩感、泰平爛熟感が随所に漏れ出て、それもまた楽しからずやでした。営業マン並みに愛想よくネアカで弁の立つ高橋和也さんの中山(堀部)安兵衛、ヘソ曲がりなくらいのプライド高い風流人で、伝えられるような賄賂大好きヒヒジジイとは到底思えない長塚京三さんの吉良上野介、例の離婚騒動以来目覚ましく顔ヂカラの増した高嶋政伸さんの白竿屋など、脇がみな良かったですね。紀文の江守徹さんがちょっとお顔が腫れぼったくカツゼツが重そうだったのだけ気がかりでした。
『グッドワイフ シーズン3』は2までDVDで視聴済んだところから入りましたが、アリシア、なんか一気にグラマーになってませんか。特に胸周りが。OPのアイキャッチといいEDといい。真っ赤なドレスのせいかな。ウィルと一線を越えたんだよね。うひゃー。これは静観あるのみ。
そんなこんなで『八重の桜』の安定感は際立っています。『ゲゲゲの女房』の脚本山本むつみさんのオリジナル。こんなに安定していては逆に眠くなるのでは…と「心配になるくらい心配な点がない」。
ヒロイン(八重役綾瀬はるかさん)が男まさりお転婆・家族大好き(ゆえにときどき反発衝突)、ふるさと大好き、お仕事好奇心向上心負けず嫌い…と、“ド定番”の設定でこの上なく磐石なスタートですが、これってきわめて朝ドラ的ド定番、朝ドラ的磐石度なんですよね。
週6話×15分×半年25週の朝ドラと、週1×45分×1年50週の大河、計算上は“容積”ほぼ一緒。ただ大河にどうしても求められる“天下国家観”はいまのところ、西島秀俊さんの山本覚馬兄んつぁまがもっぱら担当しています。『悪魔のKISS』のまごころの家から20年。映画『藏』の若き杜氏からも18年。若い頃が老け顔だったわけでもないでしょうが、一貫して万年文学青年っぽい西島さん、気がつけば今年なんと42歳ですって。なんとなく、ひと頃の石坂浩二さんを思わせる、不思議な老けなさ加減です。
他の主力レギュラー、川﨑尚之助役長谷川博己さん、会津藩主松平容保役綾野剛さん、後半登場の新島襄役オダギリジョーさんと、何やら“痩せマッチョ”の揃い踏みで、朝ドラ的世界に天下国家のスケール感を力ずくで接合できるかどうか山本さんの脚本ともどもお手並み拝見です。2月には『獣電戦隊キョウリュウジャー』も始まるし、日曜が週一多忙な日と化しつつあります。
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