『相棒 season 8』第7話『鶏と牛刀』(12月2日)は、“官庁組織ぐるみ悪事と、告発せんとする善意の若手官吏”の構図、ついこの間の第5話『背信の徒花』にも似ていたし、お話の語り口もひねりなく一本調子でさしたる新鮮味はありませんでしたが、久々に水戸黄門ばりの啖呵でラストを決めた小野田官房長(岸部一徳さん)を筆頭に、見事な上位下達の手のうら返しっぷり中薗参事官(小野了さん)、特命係のお隣さん組織犯罪対策5課の角田課長(山西惇さん)と大木&小松コンビ(志水正義さん久保田龍吉さん)、そしてもちろん鑑識米沢さん(六角精児さん)と、脇キャラ諸君にもれなく見せ場があって退屈しませんでした。お顔が見えなかったのは内村刑事部長(片桐竜次さん)と、なかなか神戸(及川光博さん)が連れてってもらえない花の里・たまきさん(益戸幾江さん)ぐらいか。
神戸くんに、方向音痴、死体に弱いプラス“微妙な変装”という特技(か?)がついたのはシリーズの今後効いてきそうですね。第6話『フェンスの町で』で郵便局強盗のライダー変装を再現させられたのが地味にクセになったかな。
右京さん(水谷豊さん)が角田課長に頼み込んでの、マル暴事務所へのでっち上げガサ入れに最後まで「法を逸脱してます」「ちょっとじゃなくだいぶ度が過ぎてます」「(“現場ではよくやる手”との大木のフォローに)現場で通用するかじゃなく適法かどうかを言ってるんです」「(“ブツが出れば適法”とのさらなるフォローに)順序が逆です!」といかにも優等生小役人的融通のきかなさを披露するなど、いままであまり前に出てこなかった持ち味も出てきました。
“架空年金脱退偽装”を主軸に“自殺偽装”で塗り固め、“でっち上げガサ入れ”をからませて、“微妙変装”をトッピング。「人目をあざむく」というモチーフで統一した、なかなかスマートなまとめ方です。『相棒』シリーズとしては比較的単調なエピソードだと思うのに間延び感が少ないのはそのせいか。厚生労働省を“福祉衛生省”、社会保険庁を“年金保険庁”と、意を体しつつ言い換える、フィクションとしての“偽装”もニンマリもの。
『仮面ライダー龍騎』のOREジャーナル令子さん役・久遠さやかさんが、しばらく見ないうちに身重の役もできる大人っぽい感じになっていてちょっとサプライズ。『龍騎』ではあまりそういう目で見ていなかったけれど、正統派の美人さんですね。昼帯に来てくれないかな(←月河の悪い癖)。年金事務所のカウンターで「人殺し!」とぶち切れる初登場場面は、「まぁまぁここは」と北岡弁護士を連れて来たくなりました。
福祉衛生省事務次官?年金局長?役に大門正明さん。登場場面数の少なさとクレジット順の下位さに驚きました。主犯の課長を含む年金事務所職員3人組より後順とは。今回の面子ならトメに来てもいい級の俳優さんなのに。今回これがいちばんのサプライズ、と言うより意外でした。
“すべての指示元がこの人”という意味では重い役ではあるのですが。贅沢というか、もったいない。小野田官房長に言われっぱなしじゃなく、当該省なりの、かなりヘリクツでもいいから言い分をぶちまけてほしかった。絶対あるはずですもん、言いたいこと。
次回予告はバスジャックもののようですね。『相棒』でバスというと、Season 2の『同時多発誘拐』が思い出されます。あとSeason 4『ついてない女』もある意味“バスもの”だった。
予告映像にまたまた出てきてましたな中吊り広告“週刊習慣”。年末年始合併号とかはあるのかな。
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