イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

だって返事遅いんだもーん

2007-11-29 21:49:00 | アート・文化

TVドラマのサウンドトラックCDも、ジャケットが主要キャストが顔を揃えた番宣ポスターほぼまんまの場合と、OP映像やタイトルロゴにイラストなどでアレンジした“カオナシ”タイプの場合があります。

アイドルドラマだから顔出しとか、大人のおしゃれな、あるいは知的なドラマだからイメージとかいう区別は、特にないみたい。CD店頭の視聴コーナーなどで探すときにはおなじみ出演者の顔が目印になって見つけやすい、売る側からすれば買ってもらいやすいという利点はありますが、レジへ持っていくときタイトルと顔ぶれによっては若干恥ずかしいこともあります。

←←左柱の月河愛聴シリーズのうち、『美しい罠』『愛のソレア』『金色の翼』は昼ドラのサントラですが、やっぱり『美罠』『金翼』はあからさまに甘い主役男女の2ショットで若干恥ずかしいものはあります(綺麗な合成ですけどね)。恥ずかしい恥ずかしくない以前に、ドラマ自体がベタなメロじゃなく、人間の尊厳とか“かけがえのないものとは何か?”など痛切な問いかけを謎解きのコロモにくるんだ“文芸”に近い作風だったので、番宣ポスターからもうひとひねりアレンジあってもよかったんじゃないかな。

『愛ソレ』のピカソ風な、表現主義風な黒地に赤×青×紫の女性の顔のイラストは、ドラマ本編やOP映像からはかけはなれていますが、逆に店頭で見つけたときのインパクトはありました。

99年の『ラビリンス』は全曲アストル・ピアソラで、フィーチャーされている楽器バンドネオンのアップに、本編のキイワードともなった“パピヨン”=モルフォ蝶のイメージショットで、色調が暗いのですが、ケース裏にはしっかり主役お2人(渡部篤郎さん桜井幸子さん)の顔アップが載っていて、店頭での識別しやすさとイメージ・主知性とを両立させた変化球デザイン。

映像はアップできませんでしたが、95年の『沙粧妙子 最後の事件』サントラも、ドラマのテーマのひとつである“プロファイリング”をイメージし、案件タイトル風のロゴを捺した図柄になっていて、浅野温子さん以下主役3人は、IDカードを模したシルエットのみの“顔出し”。これも技ありです。

そして最近入手したのが03『共犯者』のサントラ。思いっきり顔アップ。しかもモノクロ画面にそこだけ天然色で血しぶきつき(怯)。三上博史さんも浅野温子さんも役柄に合わせてかなりテンパった目つきでカメラ目線で、これまたちょっとレジに持っていくのに勇気が要るかも。

内容は、『沙粧』や『ラビリンス』同様“サスペンス・ホラー調ドラマのサントラ曲は単体で聴くとむしろ静かで癒し寄り”の公式に漏れず、夜、家族が寝静まった後のデスクワークのお供に、あるいは就眠前のスリープモード再生にぴったり。

ドラマで浅野さん扮する、殺人の時効を密かに待つ女・美咲と、三上さん扮する謎の男・マサトが、互いにある意味探り合いながら心の暗部を開襟して行く、ミステリ仕立てのダーク・ファンタジーとも言える展開にお似合いの曲調が揃いながら、なぜか恐怖や不安より“鎮静”や“癒し”を感じてしまうのは、描かれた暗部と聴く月河の暗部が音を通して“地続き”になっていくからかもしれない。

20曲のセンターに位置する10Sunny Afternoon の解放感、疲れた日の身体を受け止めるリクライニング・チェアーのような柔らかい揺らぎ感が、この曲をこの曲順に入れたセレクトとともに格別です。

初っ端から死体また死体、殺される人物のアタマ数の多いドラマだったけど、不思議に『沙粧』以上に陰惨さが少なかった。決して結ばれることのない、美咲とマサトのイビツながら純粋なラブストーリーとも読み解き得たからでしょう。

…ただ、夜、ひとりでデスクスタンドだけ点けた部屋でふとジャケに目が行くと……やっぱりちょっと怖いか(脆)。

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蚊ですよ、蚊

2007-08-21 17:59:44 | アート・文化

 元祖・カリスマモデルの山口小夜子さん、亡くなりましたね。

 訃報と一緒に出たプロフィールによれば、71年にモデルデビュー、72年にパリコレ進出して、77年にニューズウィーク誌“世界のトップモデル6人”に選ばれています。

 月河が実家母の読む『ミセス』『マダム』『家庭画報』などの雑誌のグラビア・広告ページで見かけ始めたのもちょうどその頃だったと思います。

 いま考えれば信じがたいことですが、70年代初頭の当時は、広告であれ、服やインテリアといった実用情報であれ、ちょっとでも“お洒落”“リッチ”“先進性”の味付けのあるページのモデルさんは白人か、白人系のハーフが当たり前でした。

 特に広告に関しては、化粧品やクルマなどのゼイタク品はもちろん、バス・トイレタリー、家電製品、チョコレートやキャンデーなどのお菓子から、今で言う企業イメージ広告に至るまで、ひたすら白人白人。

 やはり敗戦後20数年ですからねぇ。大げさに言えば、連合国軍の占領政策によるメディア操作が、独立回復後も尾を曳いていたんでしょうね。

 そんな中、プロポーションは模範的八頭身瓜実顔のモデル体型ながら、引き目鉤鼻の平安朝風顔パーツとストレート黒髪の山口小夜子さんは強烈な異彩を放っていました。

 パリコレやオートクチュールには縁のない地方の中学生だった月河としては、やはり、資生堂の雑誌広告、ときどき薬局のカウンターでパラ見するPR誌『花椿』の表紙がいちばん印象的だった。

 「そうか、日本人なんだから、日本風でいいんだな」ということに多くの広告主や代理店も気がついたのか、小夜子さんの台頭以後の70年代後半から、地滑り的に日本人モデル起用の広告が増えたと思います。

 57歳。亡くなる3日前には事務所と電話で仕事の打ち合わせもし、特に持病もなかったそうです。もったいない、惜しいと傍目からは思いますが“美しくあること”“カッコよくファッショナブルであること”そのものが生業だという人生には、57年でも長すぎるくらいの重圧だったかもしれない。

 同じ“存在が生業”組でも、女優や小説家なら、老醜したり家族や異性関係のドロドロで磨り減っていくさまをも商品化し、それによって自浄し延命する道もあったでしょうが、小夜子さんはそう言うタイプのディーバではなかった。

 十二分に生き、完全燃焼された57年だったと思いたい。

 「日本人が日本人らしくあることによって美しくカッコよく世界に見せる」という至難の命題は未解決のまま、平成に時は移りました。

 ご冥福をお祈りします。

 『金色の翼』第37話。

 玻留が隠した迫田ファイルをひそかに奪回すべく島のホテルを再訪した修子の大冒険より何より、今日は石野料理長(田中聡元さん)の槙へのひと言「理生さんを泣かせたら、オレも黙ってないから」が圧巻。

 理生にひそかに好意を寄せているという、極限まで抑制的な描写以外、誰の味方にもならず敵対もせず寡黙な勤勉を貫いてきた石野が、初めて自分の感情をあらわにしたという意味よりも、ドラマ展開上大きいのは“こんな(温和で協力的な立場の)人まで敵に回してしまった”槙の四面楚歌ターボ。

 今日のひと言で槙をガツンと追いつめた料理長、ドラマ的にグッジョブ。観るほうもガッツポーズのシンクロでした。

 すでに槙は、良き上司であり職場仲間であったはずの杉浦支配人夫妻とも、30話以降兄の消息をめぐって微妙な関係になっています。

 何度も繰り返しになりますが“宿命の女”ものにおいては、女(=今作では修子)の正体や真意や過去の謎探りがサスペンスの主軸になる必要はまったくないのです(なっても悪いことはないのですが)。

 主軸はあくまでも“女”の存在や言動によって、善良、廉潔、勤勉だった人間が自分でも気がついていなかった潜在的な欲望に火を点けられ油を注がれ、本来あるべき道を踏み外し、協調すべき人・大切にすべき人を敵に回し、信奉してきた価値観を突き崩されて、失ってはならないものを失い、やってはいけないことに次々手を染めて、自縄自縛で人生が狂って行く過程にこそあるのです。

 槙は修子を陥れる力を持つ迫田ファイルを先んじて手に入れ、戦いのイニシアチヴを取った気でいるようですが、自分で優勢を自覚して得意なときほど、足元の陥穽が深いということに気がついていません。

 しかも今作の“宿命の女”修子は、本気で槙を愛しています。何とか彼を自分から遠ざけ、イノセントな状態に保ち、自滅をまぬがれさせたい。その切なる思いがますます槙を惹きつけ、巻き込んで行く。

 斥けることで惹き込んで行き、敵対することで深入りして行く「あぁダメだよダメだよ…でもくっついて欲しい!」という二律背反な気分で観られれば最高なのですが、理生のキャラがなぁ。

 「言ってることは間違っていないし、世間的な幸せならこっちとくっついたほうが簡単で安泰だけど、でもくっついてほしくない」と視聴者を焦れさせるアクの強さが、『美しい罠』の澪、『危険な関係』の美佐緒辺りに比べて、理生には薄い。薄すぎる。

 “中途半端にかわいそう”“中途半端にズルく生臭い”

 今日の槙の台詞に「人に利用されるより、必要とされて生きるほうが、どんな財産より豊かな気持ちになれる」という言葉が出ました。

 まさに、理生がそういう、無難で堅実に満ち足りた人生を体現する存在であれば、修子と槙の関係の弓を、もっとキリキリ引き絞れたはず。

 槙‐修子の“お似合い感“危ない、ヤバい、滅びの予感がするけどくっついてほしい感”がいまだ切々と迫って来ないのは、この理生という恋敵キャラの造形の甘さによるもののような気がします

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ダンだ檀

2007-07-05 00:11:53 | アート・文化

 地元の近代美術館で現代画家の生誕記念展を鑑賞。モギリのおねえさんに「音声ガイダンス無料でお貸しします」と言われ、無料か、それならとi‐pod初体験

 いやぁ音質が良い、しかも小さい、軽い。

 携帯オーディオと言えばカセットテープのウォークマンしか知らなかったので、これは画期的なモノだなと思いました。テープにつきものの緩み、たるみによる音質ブレ、フタのガタつきが全然心配なし。

 ドーナツ型のタッチダイヤル(?)をパソコンみたいにクリックして液晶プログラム画面を出したり、進行中のプログラムを中止したりする操作も簡単だし、「時計回りになぞると音量が上がって、反時計回りだとダウンか」とか、入館してしばらくは展覧作品よりi‐podのほうに夢中になってしまいました。

 液晶画面も鮮明。最初、借りたときは「こんなちっこい画面、照明絞った展示室で見えなくね?」と思ったのですが、予想外に見やすく、画質が明晰だと、小さくてもあまりストレスにならないものなんだな、と気がつきました。いま噂の携帯電話ワンセグも、そうしてみると、小さいからと言ってバカにしてはいけないのかもなぁ。

 世は名実ともにデジタル時代。80年代に初めてレーザーディスクで映画を観たとき画質の優秀さに驚いてから、はや20年近く経過しています。

 すでに地方の公立美術館でも、デジタルツールを使ったこれくらいのサービスは無料で当たり前に行われているということがわかりました。

 どう見ても月河より高齢な入館客も、老眼鏡をかけてすいすいダイヤルを回し、i‐pod解説に耳を傾けている。

 こりゃ、せめて早いトコ、音漏れのないヘッドホンだけでも新調しないとまずいか(…そっちかい)。

 PM4:30頃PCで見たエンタメ検索ワードランキングでは第3話にして8位か9位ぐらいでした『金色の翼』(…また出先のPC無断借用してしまった)。順調にファンは増え定着しているかな。

 修子(国分佐智子さん)の相続した遺産狙いが当面のお話の心棒になることは間違いないのですが、いまのところ「お金さえあれば自由に島を出て飛べるわ、お金お金」言ってるのが理生(肘井美佳さん)だけで、恋人の槙(高杉瑞穂さん)はあまり露骨に金銭執着を見せないため、もっぱら理生ひとりがセコさ卑しさ担当なので、のっけから軽くウザキャラになっている。

 序盤ぐらい、「槙は修子なんかに惹かれないで、この娘と普通に一緒になったほうが幸せになれるよね」と視聴者が思えるようなキャラにしたほうがいいような気もします。

 まぁ理生にはもうひとり、子連れのキザ社長・奥寺(黒田アーサーさん)という“一緒になっても幸せになれないオーラ”出しまくりな求婚者がからみますから、ウザとカワイソはバランスとれているのかも。

 『危険な関係』の美佐緒、『美しい罠』の澪と、どうもこの“背徳サスペンス”シリーズは、“ヒロインの恋敵役が、一見清純で善良そうだが、根が腹黒か陰険で、かつ粘着”傾向にあります。んで、ヒロインはその真逆“したたかで狡猾、打算上等な女に見えるけど、根は純で一途”。

 このシリーズは、女の二面性を鏡のように映し出す、この構図を楽しんでこそ。

 槙がセツ(剣幸さん)のもと、島で働かざるを得ない理由については、2話で理生の父も軽く触れていましたが、槙の兄が友人の婚約者を横恋慕から絞殺、逃亡して行方不明なため、槙も表社会での就職ができなくなったという事情があるらしい。

 演じているのが高杉瑞穂さんで、昨年の『美罠』中盤でのスタッフの遊び心があっただけに、思わず兄って双子?」と思ってしまいますが。

 今後、絞殺事件の真相究明とともに、回想としてでも画面に登場することがあるのかな、槙兄。その際はまた“アノ人”が扮するのか。

 槙が寝台の下に隠していた当時の新聞切り抜きのアップ場面を静止画にしてよく見ると、兄の名前が「吉岡檀容疑者」と読めました。

 檀。ダン?マユミ?男名前にマユミはないか。でもメジャーリーグで頑張ってる桑田マスミ投手なんかも居るからなぁ。

 しかし、ふと気づけば“”の兄が“檀”。演じるのは高“”さん。昨年は“”。

 一昨年は“”崎律に、佐倉(さくら)“”子。

 背徳シリーズは木材シリーズでもあったのでした。

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硝子とダイヤモンド

2007-04-17 20:42:43 | アート・文化

『暖流』第2話は、アメリカ留学仕込みのユートピア的地域医療論を一席ぶつ啓子/裏でリベート取ってるコソ泥事務長に帳簿出させて院長室で負債洗い出しをする日疋/のカットバックで、キャラと立ち位置を際立たせるなど、結構演出上の工夫がありました。

それにしても啓子=さとうやすえさんの、何か言い始めるたびに首に角度つけて切り出し、フレーズごとにクリクリ斜め左右に振る演技はちょっとどうにかしてほしいな。16世紀イタリア・マニエリスムの画家パルミジアニーノ『長い首の聖母』並みのプロポーションなので、言ってる内容以上にウルサく感じられ、つい「少し黙ってろ!」って言いたくなっちゃいます。

対して吟花=小西美帆さんは、小さな輪郭の顔に小さめの目、感情表現においては不利な容貌なのに、細かな情感の表出が上手ですね。志摩家での啓子帰国祝いの手土産にケーキを買って行こうとして、結局いちばん安いシュークリームを選び、手渡した志摩夫人が無造作に置いたテーブルにもっと高価そうなホールサイズのケーキがあるのを見て軽くショボン…の場面は吟花のキャラがよく表れていました。吟花の父は理想家肌の町医者だったのに、新築した診療所の経営に失敗し妻子を残して自殺したんですね。ここまでのところ、視聴者の大半が吟花に肩入れしてるんじゃないかな。

志摩院長(近藤正臣さん)はすでに健康がすぐれない様子。自分の先短いのを悟って日疋を招き、啓子と次男・泰則(村杉蝉之介さん)の身が立ち行くように病院再建を望んでいるのでしょうか。10年以上前の東海昼ドラ『炎の旅路』の山口崇さんを思い出します。昼ドラの“院長先生”キャラって、悪辣やゴウツク張りでなければ、なぜか短命なことが多ような気がします。近藤さんには最終話まで出て欲しいのですが。

キャストクレジットにかつての松竹大船の清純派スター・雪代敬子さんのお名前があるなと思ったら、1話で空港で倒れ啓子に蘇生処置ほどこされる洋装の老婦人だった様子。

そう言えばナレーター・三島ゆり子さんも雪代さんよりちょっと後の、こちらは東映京都撮影所の時代劇で活躍したお姫さま女優。先般NHK朝ドラ『芋たこなんきん』ではすっかり貫禄なお姿で健在アピールされていましたね“昭和映画テイスト”がこのドラマの浮沈を握っているかもしれません。

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