から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

スター・ウォーズ エピソード1 【感想】

2015-12-19 15:30:00 | 映画


スター・ウォーズシリーズのブルーレイセットの新版が発売されたので購入。スターウォーズをエピソード1から順に見直してみることにした。ブルーレイ画質で見るのは初めて。さすがに映像が綺麗でテンションが上がる♪
通商連合に侵攻された惑星ナブーの解放と、侵攻の裏に暗躍していた「シス」とジェダイの対決を描く。
SWシリーズを劇場で見たのは本作が初めてだった。小さい頃、叔父の家でそれまでのシリーズをレーザーディスクで見せられていて世界観には馴染んでいたので、スンナリ入ることができたのを覚えている。
大衆的な人気とともに、カルト的な人気を博す、実に稀有な映画シリーズだ。旧シリーズファンからは不評な新シリーズのようだが、自分は全然アリだ。
エピソード1を見て改めて思うのは、キャストの演技がどうだの、脚本がどうだのといった、普段の映画を語る視点とは一線を画すなーと。エピソードの内容を含めて提示された世界観にハマれるかどうかという点に尽きると思う。要は「好きか嫌いか」。その意味ではエピソード1は個人的には好きなエピソード。あのダースベイダーが昔はお母さん想いの可愛い少年だったという意外性や、オビワンがまだ血気盛んなパダワンだった時代など、シリーズの時間的なスケールを感じることができる。エピソード4~6の旧シリーズと比べて明らかにメカデザインが違うものの、ここ4、5年でアニメ「クローンウォーズ」にどっぷり浸かっていたため違和感はなかった。ポッドレースでの攻防や、ナブーの原住民グンガンのアナログでユニークな戦いぶりなどは、これぞスターウォーズといった魅力に溢れて楽しい。本作で新たに登場するダースモールの二刃のライフセーバーも普通にカッコよく、クワイガンとオビワンの師弟による共闘を描くために効果的な武器だったと思えた(新作の予告で流れている十字のライフセーバーはやりすぎ!?)。歩兵ドロイドは何の脅威にもならない障害物だったり、人相の悪いクリーチャーはそのままワルモノ、といった設定の安心感も良い。個人的には名コンビとなるC-3POとR2-D2の初めての出会いや、R2-D2がその勇敢さと優秀さゆえに主要キャラとして頭角を表していく経緯に一番グッときた。シリーズの始発点としては過不足のないスタートを切れたと思う。続いてエピソード2を観ることにする。
【65点】
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ストレイン シーズン1 【感想】

2015-12-13 09:00:00 | 海外ドラマ


敬愛するギレルモ・デル・トロが手掛けていると宣伝されている、海外ドラマ「ストレイン 沈黙のエクリプス」のシーズン1をDVDで観終わった。全13話。

アメリカでの放送時から注目していて期待値は高かったが、まずまずといったところ。正直さほど面白くない。脚本も演出も平凡。肝心のデル・トロは、全エピソードの生みの親であり製作を担当しているが、ディレクションは1話のみだ。

ニューヨークを舞台に現代に生きる吸血鬼と人類の戦いを描いたSFホラードラマ。
しかし、本作で描かれる吸血鬼は非常にユニークだ。寄生虫×ゾンビ×悪魔×吸血鬼といった多くの要素をミックスしている。ミミズを細くしたぎょう虫のような寄生虫によって、人間の体内に侵入し感染し吸血鬼になる。その吸血鬼は牙ではなく、口から伸びる触手のようなもので人の首に噛みつき、血液を吸引する。
他に特徴をまとめると下記となる。

・「マスター」と呼ばれる太古から生きる吸血鬼のボスを頂点にカーストになってる
・「マスター」によって雑魚吸血鬼たちは行動を統制される
・吸血鬼になったばかりの雑魚たちは単細胞で弱い
・が、そのうち成長して知性を身につける
・寄生虫が体内に入り込むと一気に増殖して感染回避は無理
・感染すると自分の愛する人をまず襲う
・吸血鬼になると性器がなくなる
・十字架は平気
・日光というより紫外線に弱い
・銀はやっぱり苦手
・退治する方法は首チョンパ
・「マスター」は人間に不死身の肉体を与えることができる

何とも情報量が多い。。。。
その情報も「実はこんなこともあるんだ」と、後からの付け足し感が強く、その特異性を強調するばかりで吸血鬼たちの行動を見ると「そう言われるとそうかもね」程度で論理性に乏しい。多くの情報の説明によって物語の流れが淀んでしまうのも残念だ。人間から変化する凶暴な生物によって、社会が崩壊するプロットは「ウォーキング・デッド」に似ている。群れをなして襲ってくる性質もそっくりだ。思い返すと「ウォーキング・デッド」は「死ねば誰でもゾンビになる」というシンプルなプロットがあったからこそ、人間ドラマが活きて展開を引っ張ることができたのだと思う。その一方で、本作はドラマで見せようという気があまりないようで、吸血鬼と人間の戦いによるアクションに重点を置いているようだ。厳密にいうと「愛するものの命が奪われる悲劇」はちゃんと描かれているものの、キャラクターのリアクションはどこか淡泊で味気ない。アクションで魅せ切るのも多いにアリなのだが、どれも想定の範囲内のアクションで面白くない。「そうなるよね」と。アクション描写を含めて稀代のビジュアリストであるデル・トロの手腕はあまり感じられない。やはり監督までしないとダメなのだ。そもそも海外ドラマの演出でアクションで魅せるのはかなり難易度が高いと思うが。戦時中のナチスと吸血鬼を組み合わせた設定は一見ユニークだけれども、現代に繋がる要素は限定的であまり機能していないように思う。

では、何が面白いかというと「気持ち悪さ」に尽きると思う。寄生虫がとにもかくにも気持ち悪い(笑)。ウヨウヨ動く寄生虫が体内に入り込み、皮膚の直下を這うのだ。あっという間に増殖して、背中を見たら背中全体におびただしい数の寄生虫がうごめく・・・・あの画は、今思い返しても鳥肌が立つ。ほかにも様々な粘液が大量に吹き荒れる描写が多々あり、デルトロ節全開といったところだ。気持ち悪さに振り切ったビジュアルのため、次第にそれが笑いに変わってくる。それでも「生理的にムリ」という人は結構いるのではないかと思う。ただ、見た目の面白さだけでは飽きるというもの。物語は飛行機での乗客の謎の大量死から端を発するのだが、その死因となる生命体の謎が明らかになる中盤までが最も引きが強い。中盤以降で吸血鬼という正体が明らかになり、それに対抗するためのメンバーがゾクゾクとパーティに加わるのだが、そのキャラクターのシナジーによる効果が魅力的に発揮されないためワクワクしない。魅力的なキャラといえば、映画でも活躍するケビン・デュランドくらいだろうか。女ハッカーのキャラは無理があるような。。。主演は映画でもドラマでも大活躍中のコリー・ストールだ。なぜか、がっつりヅラをかぶっている。どんなキャラにも染まることができる俳優だが、本作では珍しく正義の味方を熱演している。

最終話で、吸血鬼の中でも派閥があることが発覚。人間VS吸血鬼という戦いに、新たな吸血鬼が加わる模様。シーズン2はすでにアメリカでは放送済みのようだが、日本でリリースされても準新作の100円レンタル待ちになりそう。このテのドラマはやっぱり難しいんだよな。。。

【60点】





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第88回アカデミー賞、ノミネーション予想。其の3

2015-12-06 08:00:00 | 映画


12月に入りアカデミー賞の前哨戦となる映画賞が徐々に始まってきた。第88回アカデミー賞、ノミネーション予想の3回目。
★は当確予想。

【作品賞】
★「キャロル」
★「Brooklyn」
★「レヴェナント:蘇えりし者」
★「Spotlight」
★「ブリッジ・オブ・スパイ」
 「オデッセイ」
 「Room」
 「クリード チャンプを継ぐ男」
 「ヘイトフル・エイト」
 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

当確予想の5作品は変わらず。「インサイドヘッド」と「スティーブ・ジョブス」をアウトにして、「クリード チャンプを継ぐ男」と、タランティーノの新作「ヘイトフルエイト」を予想にイン。先週より公開された「クリード チャンプを継ぐ男」の絶賛レビューが凄まじく、当確予想にしても良かったかもしれない。「ヘイトフル・エイト」は「またタランティーの西部劇じゃん」と勝手にスルーしていたが、おととい発表されたナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞で助演女優、脚本賞などのタランティーノ映画らしい部門を確実に受賞。オスカーに絡むことは間違いないだろう。「マッドマックス怒りのデス・ロード」は同賞の作品賞を見事に獲得したが、同賞の作品賞がオスカーに絡むのはおよそ半々なので、まだわからない。

【監督賞】
★トッド・ヘインズ(キャロル)
★アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(レヴェナント:蘇えりし者)
 ジョン・クローリー(Brooklyn)
 トーマス・マッカーシー(Spotlight)
 ライアン・クーグラー(クリード チャンプを継ぐ男)

上位4つは変更なし。5つ目のダニー・ボイル(スティーブ・ジョブス)をアウトにして、「クリード~」のライアン・クーグラーをイン。超えることがないと思われた不朽の名作「ロッキー」の新版として再スタートを切り、「新たなスポーツ映画の金字塔」とまで言われる映画に仕上げた手腕は評価されてしかるべきかもしれない。しかし、この部門は大御所が優遇される傾向があるので、スピルバーグ、リドリー・スコット、タランティーノあたりが入る可能性も高い。

【主演男優賞】
★レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇えりし者)
★マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)
★マイケル・ケイン(Youth)
 エディ・レッドメイン(リリーのすべて)
 マット・デイモン(オデッセイ)

前回予想からまったく変動なし。先月に公開された「リリーのすべて」(The Danish Girl)におけるエディ・レッドメインの演技はやはり称賛の的になっている。おととい発表されたナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞でマット・デイモンが見事、主演男優賞を獲得。

【主演女優賞】
★ブリー・ラーソン(Room)
★シアーシャ・ローナン(Brooklyn)
★ケイト・ブランシェット(キャロル)
 リリー・トムリン(Grandma)
 ジェニファー・ローレンス(Joy)

エミリー・ブラント(ボーダーライン)をアウトにして、「Joy」のジェニファー・ローレンスをイン。「Joy」の予告編を見る限り、ジェニファー・ローレンスの演技力が遺憾なく発揮されている模様。もはや出演作が出るたびに、賞レースに入ってくる若きメリル・ストリープだ。作品がよっぽどコケない限りはノミネートは堅いのではないか。注視すべきは「キャロル」でケイト・ブランシェットで共演しているルーニー・マーラ。彼女がケイト・ブランシェットとともに、主演女優賞としてノミネートされる可能性も高い。

【助演男優賞】
★ベニチオ・デル・トロ(ボーダーライン)
★シルヴェスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)
 マイケル・キートン(Spotlight)
 トム・ハーディ(レヴェナント:蘇えりし者)
 マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)

まず、当確予想に上げていた「Youth」のハーヴェイ・カイテルをアウト。それに代わり、いきなり当確予想に上げたのはシルヴェスター・スタローン!!出演作「クリード~」で、ロッキーの本人役として出演し、そのパフォーマンスに絶大な評価が集まっている。当確予想どころか、受賞最有力といっても良いかもしれない。また、拡大公開によって、すっかり勢いがなくなってしまった「スティーブ・ジョブス」。その影響によりコメディ俳優のセス・ローゲンをアウトにして、「ブリッジ・オブ・スパイ」で主演トム・ハンクスを喰う存在感で注目されたマーク・ライランスをイン。また、その評価を伸ばし続ける「Room」で子役を演じたジェイコブ・トレンブレイが入る可能性あり。助演部門は子役には寛容な傾向あり。

【助演女優賞】
★ルーニー・マーラ(キャロル)
★ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)
★ジュリー・ウォルターズ(Brooklyn)
★アリシア・ヴィキャンデル(The Danish Girl)
 ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)

不本意ながら「マッドマックス~」のシャーリズ・セロンをアウト。それに代わって「ヘイトフル・エイト」ジェニファー・ジェイソン・リーをイン。また、「リリーのすべて」で主人公の妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルを当確予想にアップ。

今月でいよいよすべての映画が公開される。
主要部門で最有力と予想するイニャリトゥの「レヴェナント:蘇えりし者」の反応次第で、これまでの予想が大きく変動する可能性あり。同映画は「バードマン」に続き、革新的なアプローチに挑んでいるようで、セリフがほとんどない映画になっているらしい。イニャリトゥファンとしては是非成功してほしいところだ。あと、ロン・ハワードの新作「白鯨との戦い」も今月公開。予告編を見る限り、かなりアクションの多い映画になっているが、もしかすると主要部門と絡んでくるかもしれない。
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ホームランド シーズン4 【感想】

2015-12-05 08:00:00 | 海外ドラマ


もう年の瀬ということで、今年もいろいろと観てきた海外ドラマもそろそろ総括といった段階だったが、ここに来て一気にまくってきた。

期待せず後回しにしていた「ホームランド」のシーズン4が異常に面白かったのだ。

TSUTAYAの準新作100円レンタルで、全12話分(DVD計6枚)をイッキに借りて小まめに観る予定だったが、あまりにも熱中したため、週末を使ってイッキ見してしまった。寝不足。。。

シーズン1~3で、本作の主人公ともいえたブロディがいなくなったことで「ホームランド」は完結したと勝手に思っていた。なので、そこから再スタートを切るシーズン4には全く期待していなかったのだが、見事に裏切られた。
ドラマとしての完成度は、前シーズンのほうが上かもしれないが、それを補って余りある引力と疾走感。「手に汗握る」という感覚をこれほどまでに強烈に覚えたのは久しくないことだ。個人的な好みでいうとシーズン1~3よりも、このシーズン4のほうが好きかもしれない。シリーズ史上、最もハードな仕上がりだ。そして、自分の好きなクインが大活躍してくれて大満足。

第4シーズンでは、イスラマバードの支局長になったキャリー率いるCIAと、パキスタンにいるテロリストたちとの壮絶な戦いを描く。本シーズンは「スパイ」ドラマというよりは、文字通り「戦争」ドラマに近い。戦争に慈悲はない。憎しみによる報復の連鎖がこのドラマでしっかり描きこまれている。

CIAはドローンを飛ばして、管制室からボタンひとつで爆撃してテロリストもろともその一帯を廃墟にする。民間人が巻き添えになっても「テロリストが悪い」と言い放つキャリーだ。テロリストを仕留めたはずだったのだが、この爆撃が新たな戦いの幕開けとなってしまう。元支局長の謎のリークと市民による襲撃事故から、国家レベルでの巨大な陰謀が明らかになり、物語のスケールは一気に膨らむ。脅威にも見方にもなりうるSNSの情報力など時代性を捉えながら、CIA、テロリスト、パキスタン国家、パキスタン市民という4つ巴の攻防が繰り広げられるのだ。

シーズンの前半は、テロリスト「ハッカニ」を探し出す諜報活動が描かれ、キャリーの「骨抜き」活動など、スローテンポな動きだが(そうでもないか。)、中盤以降、元CIA長官であったソールの誘拐から一気にギアチェンジしてスピードアップする。ハッカニの首をとるか、ソールの命を救うのか、全く予断を許さない駆け引きが続く。お爺さんであるソールがあそこまで身体的ダメージを食らう、受難のシーズンになるとは夢にも思わずビックリ。当然ながら、アメリカはソールの命を守ることを選択するわけだが、元CIAとしてのソールのプライドが葛藤となり、力強いドラマに転じる。ソールの一件が済んだと思いきや、テロリストたちの本来の目的が明かされ、このシリーズかつてない戦いが始まる。それはCIAの主要キャラクターが全員、戦火に投げ込まれるようなもの。そして悲劇が生まれてしまう。観ているこっちも悲嘆に暮れるほどの衝撃。テロリストへの憎悪が高まる。

で、本シーズンのベストエピソードはその後を描く、第11話の「執念」だ。
テロリストに負け、パキスタンとの国交断絶とともに、パキスタンからの国外退去を命じられるが、生き残ったクインがそれを拒否する。目的はシンプルで「復讐」である。CIAのルールから離れ、キャリーの制止すらも暴力で撥ね退け、勝てるはずのない戦いに自らの命を投じて、たったひとりでハッカニ殺害に挑む。「よくぞ決意した、クイン!!男の中の男だ!!!」とアツくなる。が、冷静に考えると、クインがとった行動が成功したとしても、それがまた新たな報復の連鎖に繋がるわけであり、手放して喜んでよい話でもない。これ以上の惨劇を生み出さないためにおとなしく帰国しようと呼び掛ける、キャリーの決断が正しいと考えるべきかもしれないのだ。そう感じさせる余白が本作にはあり、製作陣はおそらく織り込み済みなのだろう。それでも、感情による一線を越えてしまうのが人間であり、そこにドラマが生まれると賭けているのだ。そして、クインの殺し屋としての実力が発揮される。結末は意外なもので、とてもシビアだ。これが現実なのか、と。

最終話となる12話がまたよい。パキスタンという敵地で壮絶な戦いをくぐりぬけ、アメリカに帰国した、キャリー、ソール、クイン、CIA長官の4名が、穏やかな夜に酒を酌み交わす。このシーズンを通して初めて笑顔が見えた気がする。何とも感慨深いシーンだった。

アメリカ大使の夫が大使館に出入りし過ぎで、大使も夫に内情を話し過ぎだったり、キャリーがあまりにも母性がない点など、ツッコミどころも結構多いシーズンであったが、これまでのシーズンにあった、家族ドラマやラブロマンスを削ぎ落し、テロリストの攻防に集中させた結果、テンションの緩まないスリリングで重厚なドラマに仕上がった。キャリー演じるクレア・デインズは勿論のこと、すべてのキャストの熱演が目立ったシーズンでもあり、個々の人物描写に強い説得力を与えた。キャリーが骨抜きにする童貞少年が「ライフオブパイ」の主人公だったり、元支局長役が最近ドラマ・映画に活躍が目覚ましいコーリー・ストールだったり、目を引くキャスティングも印象的だった。キャリーとクインの関係は個人的にはビジネスパートナーのままが良かったかなー。

次のシーズン5は、また全く別のエピソードになるらしく、ドイツを舞台にCIAを引退したキャリーが描かれるとのこと。ホームランドへの信頼度を継続するなか、日本でのリリースを心待ちにする。

【85点】

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007 スペクター 【感想】

2015-12-04 08:00:00 | 映画


007の新作「スペクター」を観る。英米公開時から賛否が分かれていた本作だが、自分は「否」のほう。「007」ファンではなく、「クレイグ版007」ファンとしては受け入れ難い内容だ。サム・メンデスの意図は明確だが、観たかったのはコレじゃない。期待が大きかっただけに失望感も大きい。

お決まりのオープニングアクションの段階で、これまでのクレイグ版の方向性から進路を変えることを明示する。ボンドのアクションに対して、画のリアクションが過剰なまでに大きい。そして、ボンドもその流れに軽やかに乗る。その動きはまるでコメディ映画のようでもあり、命の危機を感じさせるスリルは軽薄で、ファンタジーなアクションで魅せ切る。過去作もオープニングの熱量は大きいけれど、本作はアクションの因果が不明過ぎる。これでよいのかな。。。

その後のオープニングタイトルはさすがのカッコよさ。この仕事はもはやアートだ。前作と同監督だけあって「スカイフォール」と並ぶ完成度。メタファーな映像が多用され、このあとで語られるであろうテーマを浮かび上がらせる。スペクターのマークになっている漆黒のタコがボンドに絡みつくのだ。拭うことのできないボンドの過去か、ボンドに仕掛けられた罠か、ボンドと女たちの情事か、など様々な憶測を呼ぶ。過去作に登場した主要キャラのカットが走馬燈のように流れ、本作が過去3作のストーリーと繋がりを持つとともに、クレイグ版ボンドの総括的な役割を担おうとしているのがわかる。

しかし、テンションの頂点はこのオープニングまで。

前作の「スカイフォール」から一転、オールドシリーズへの回帰に挑む。本作で描かれる回帰の光景は「スカイフォール」だけでなく、「カジノロワイヤル」から続くクレイグ版007からの流れを分断し、「刷新」に見えるほどのインパクトだった。本作は前3作までの総括ではないようで、ヨミが完全に外れた。

2006年、ダニエル・クレイグがボンドになってから、007はシリアス路線に転換した。若々しく見事に磨き上げられた肉体は、アクションにリアリティをもたし、「痛み」というこれまでのボンドにはない感覚を植え付けた。ブルーの瞳に野性味と哀愁を感じさせる眼差しは、ドラマとロマンスの両方に十分な説得力を与える。自分が最高傑作だと考える「カジノロワイヤル」では、そんな彼の魅力が遺憾なく発揮された。そして、クレイグ版007が好きになった。

アクション、ドラマ、ロマンス。
この3つから構成されるのが007であるが、本作はどれもこれまでのクレイグ版で描かれてきた筆致と異なる。荒唐無稽なアクションはどの作品にもあるにはあるが、本作においては、あえてリアリティを遠ざけるようなアクションに終始している。優先すべきは見た目の派手さだろうか。論理から解き放たれた何でもアリのアクションは、迫力こそあれ、緊張感に欠ける。自分はエクスペンダブルスを観に来たわけではない。ラストの決着シーンには、まさかと思っていた悪い予感が的中した。絶句する。「ツッコミどころも多いけど楽しんでネ」というのは、オールドシリーズへの敬意には繋がらないのでは?

ドラマパートでは、前作からの流れを引きづる。MI6の旧体制の危機や、ボンドの過去との対峙は、前作で昇華しきったのだから、中途半端に再び持ち出す必要はなかったのではないか。特に後者については、今回の宿敵「スペクター」に悪影響を及ぼしていると思う。過去3作の宿敵たちに繋がっていたというスペクターは、本シリーズの中で最大の敵ともいえるはずなのに、ボンドの過去に紐付くパーソナルな関係に落とし込んだため、その実体より妙にスケールダウンした印象だ。前者のMI6の危機については、他メンバーとの共闘という新たな副産物が得られる。M、Q、ペニーがアクションで活躍してくれるのだ。新鮮で楽しい部分も確かにあるのだが、クレイグ版ボンドは孤高であるからこそ輝くというイメージが拭えない。チームプレイという点で今夏のミッション・インポッシブルと被ってしまったのも大きい。

ラブロマンスについては、「これが本来の007なんだよ」と言われればそれまでだけど、フォーリンラブ&ベッドインまでのハイスピードに自分はやはりノレない。「カジノロワイヤル」でのヴェスパーとの濃密なラブストーリーが脳裏にあるため、ロマンスが単なるお飾りとなっていることに勿体なさを感じてしまうのだ。ボンドを含めて、優雅でゴージャスで衣装は非常に目の保養になったけれど。

全体を通じてだが、本作は、007シリーズは007シリーズファンのものでしかないという門戸の狭さを感じる作りになってしまっていると思う。 単体のアクション映画として観ても粗が目立つ大味な映画だ。

いろいろと文句が口をついて出てしまうが、大スクリーンで堪能するアクション映画としてはそれなりに楽しめたと思う。2.5億ドルという巨額の製作費を十分に実感できるほどの大迫力の映像だったし。Qのキュートなファッションに萌え、ペルシャ猫の可愛さに萌えたし。

クレイグ版007は本作で終わりでないことをあとで知り、ホッとした。次作で自分の好きなクレイグ版に戻ってくれることを祈る。

【60点】
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ザ・トライブ 【感想】

2015-12-03 08:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。ド肝を抜かれる。

不良少年たちの王国が築かれている寄宿舎で繰り広げられる仁義なき戦いを描く。登場人物たちはすべて聴覚障害者で、セリフは存在せず、キャラクター間のコミュニケーションはすべて手話で行われる。観る側は想像力を使って物語を追っかけることになる。カメラの長回しが多用され、展開に影響のない動作や取りとめのない会話(手話)もすべて拾われるうえに、その意味がわからないため、慣れない導入部分では少々面食らう。セリフがないので登場人物の名前すら最後までわからない。これで130分もつのか?と正直心配になるのだが、寄宿舎の全容が明らかになるにつれ、どんどん物語の中に引き込まれていく。

障害を持つ人たちを描いた映像作品はたくさんある。困難に打ち勝つ勇気、健常者との絆といった美談や、我々一般人と変わらぬ価値観(真実)を描いているもの、ハリウッドなんかは障害をコメディのネタにしたりもする。しかし、本作はそれらの過去作とは明らかに一線を画すものだ。誰もかれもが札付きのワルだ。「悪人」という言い方をしてしまうと不適当かもしれないが、その未熟さゆえか、他者への思いやりを感じさせる者はまったくおらず、もれなく利己に走る。少なくとも善人と呼べる人たちがいないのは確かだ。彼らを突き動かすのは欲望であり、それも金銭欲か性欲だ。暴力はリンチと強盗に使われ、セックスは売春と性欲のはけ口として使われる。本作の主人公と思われる転校生の少年は一見純朴そうだが、他者に負けず劣らずの強欲の持ち主で、その怪力も手伝い寄宿舎のヒエラルキーでメキメキと頭角を現す。その主人公の恋が物語に大きな転機をもたらすのだが、これを純愛と解釈するには抵抗感があるのも確かで、金で買ったセックスにはじまり、その後も恋した彼女の体をがむしゃらに欲する。彼女への思いやりよりも、主人公の下半身主導に映るのは自然な見え方だ。10代特有の本能として、それが「ピュア」と解釈できなくはないけれど。

本作のどの場面を切り取っても共感には繋がらない。だけども、引きつけられる。猛烈なスピードで交わされる手話による感情表現と、暴力とセックスによって摩擦される肉体の交わりが、言葉という音のない世界で鮮烈に響く。そして、そのアクションには痛みがあるから見過ごせない。強烈なのは、主人公が恋した女子の中絶シーンだ。ボロ家で麻酔なしで行われる施術の終始をカメラは映し出す。本作で唯一発せられる声が、その場面での彼女の苦痛による悶え声だ。まるで目の前で人間の肉体がナイフで裂かれるのを目撃するような感覚が残る。

言葉がないだけではなく、音が聞こえない世界だ。音が聞こえないゆえの悲劇と恐怖も同時に描かれ、ストーリーの進行に大きく作用していく。その恐怖をすくい取り、救いや希望といった概念を放り投げるようなラストが凄まじく、戦慄する。
規格外であり驚嘆した映画であったが、一部、長まわしによってすべての描写を追いかけることに必要性が感じられず、もう少し編集の手を加えれば、本作の躍動を集中力をもって感じられたと思う。あと、白ブリーフが脳裏に残った。

【65点】
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サンドラの週末 【感想】

2015-12-01 10:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。

劇場公開で観られなかった「サンドラの週末」を観る。年内に観られて良かった。1つのストーリーからいろんな情景が浮かんでくる味わい深いドラマ。

太陽光電池を製造する工場に勤めるサンドラが、自身の解雇と従業員へのボーナスのどちらかを選ぶ投票を控え、投票権を持つ16人の同僚の元に自身への支持をお願いするために週末を使って訪ね歩くという話。

一度は投票によって解雇が決定したものの、その投票に主任といった上級社員からの圧力があったとして再投票にこぎ着けたところから物語が始まる。それが金曜日で、土日を使って同僚を訪ね歩き、月曜日の投票結果までが描かれる。たった4日間の出来事であり、サンドラと同僚たちのコミュニケーションだけで綴られる内容なのに、この物語の求心力は意外だった。人のリアルな感情の機微を丁寧にすくい取る演出が大きく作用しているのだろう。それは生々しく、ときにヒリヒリ痛い。おかげで自分とは全く境遇の違うキャラクターたちにもれなく共感し、「自分が同じ立場だったらどんな選択をしていたか」などと勝手に想像を膨らませ、見入ってしまった。

サンドラは藁をもすがる思いで、同僚たちに頭を下げる。16人の同僚たちは、サンドラとの関係性もまちまちで、仲が良い同僚もいれば、挨拶を交わす程度の同僚もいる。ただし、前者のサンドラと親交がある同僚であっても、それぞれに金銭的な問題を抱えていて「君には申し訳ないがボーナスが必要なんだ」と言う。しごく当たり前のリアクションであり、サンドラも自身の思いを伝えるものの無理強いすることは決してしない。サンドラも逆の立場であったら、ボーナスを選んでいたかもしれないのだ。なので、直接会って話すことはサンドラにとってダメ元である。

しかし、対面で会うことは実は大きな意味を持っていた。サンドラに対する隠れた感情や、元々抱いていた良心の呵責が呼び覚まされ、それぞれにとって「本当に正しいこと」を導き出そうとするのだ。サンドラの葛藤だけではなく、こうした職場の同僚たちの葛藤が描かれている点が本作を特別なドラマにしている。前段にあるべき背景説明を排除し、彼女と家族、同僚とのコミュニケーションが進行するなかで、彼女の知られざる人物像が明らかになっていく脚本も秀逸だ。

サンドラを演じるのはマリオン・コティヤールだ。昨年のオスカーで本作による彼女の主演ノミネートを当てたのが自分の密かな自慢であるが、それも納得の素晴らしい演技をみせてくれる。サンドラという女性がまさにいまそこで生活をしているという圧倒的な実在感。泣き虫で病気を煩っているという、演じなければならないキャラクターなのに、そのフリを微塵も感じさせない。演技をしない演技。女優とはこういう人のことをいうのだと感動した。

サンドラに待ち受ける結末は意外なものだった。そして、それ以上の意外だったのは彼女のリアクションである。彼女が微笑みながら最後に放った言葉に、この週末で彼女が得た別のモノが浮かび上がる。その瞬間、彼女を追いかけ続けていたカメラがようやく立ち止まり、歩き去る彼女の後ろ姿を見送る。その後ろ姿から、彼女の晴れやかな表情が確かに見えた。

【70点】
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ラブ&ピース 【感想】

2015-12-01 08:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。よくわからない映画。
ロックシンガーとして成功を夢見る冴えないサラリーマンが、ペットにしたミドリガメの力を借りて成功していくという話。
ダメ男のチャレンジ物語から、まさかの「トイストーリー」&「ベイブ」な話となり、その後はサンタクロースの話へと遷移し、最後は特撮を使った怪獣映画でフィニッシュ。。。。物語の内容はカオスで、何が言いたいのか何を描きたいのかさっぱりわからい。主人公がロックシンガーとして成功するも、持ち歌はたったの2曲というファンタジー。2時間という尺を引っ張るだけの面白味もない。この映画をみて「ラブ&ピース」を感じる人はどんだけいるのか。。。
全編を通じてチープな作りに徹しているのは意図ではなく、おそらくシンプルに製作費の問題だろう。とはいえ、出資者がちゃんと付いている商業映画だ。自主製作映画でもないのに、これほど自由に映画が撮れてしまう監督は園子温以外にいないと思われ、ある意味関心してしまう。「いろいろな可能性を試している最中」ということで、今年に入って映画を量産している園子温だが、どの作品もまるで引っかかっていない。「鬼才」の看板も剥げてきた。そろそろ回帰しても良い頃ではないか。「冷たい熱帯魚」の疾走感が懐かしい。
【50点】
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