から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

モーツァルト・イン・ザ・ジャングル シーズン1 【感想】

2015-12-30 09:00:00 | 海外ドラマ


先日発表された第73回ゴールデン・グローブ賞(GG)のテレビの部のノミネート作品。
その顔ぶれを見て目を引いたのが、動画配信サービス会社のオリジナルコンテンツが多く含まれていた点だった。

ネットフリックスの作品は認識済みであったが、amazonプライムの作品も多く「これはチェックせねば」と海外ドラマを目当てに30日のトライアルに加入することにした。

で、まずは自分が好きな俳優、ガエル・ガルシア・ベルナルがGGの主演男優賞にノミネートされたコメディドラマ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」を観ることにした。

1話30分の計10話。
かなり小粒なドラマだったが、意外なほど面白かった。

物語は、ニューヨーク交響楽団を舞台に、楽団の刷新のために迎えた若き天才指揮者が巻き起こす騒動(?)を描く。

ニューヨーク交響楽団が低迷する楽団を盛り返すために、飛ぶ鳥を落とす勢いでクラッシック界を席巻する若き天才指揮者を楽団に迎える。その指揮者はアルゼンチン出身の「ロドリコ」。型にハマることを嫌う破天荒な男であるが、本物の音楽を追求することに人生を捧げる本物の音楽家だ。自己中心的な側面は思いのほか薄く、彼の入団によって追い出された大御所の元指揮者への敬意や、楽団員たちへの思いやりも忘れない。ロドリコのやり方に最初は戸惑う楽団員たちだが、彼の音楽に次第に魅了されていく。「音楽の魅力っていったい何?」という本質な問いに対する答えの一端が、ロドリコのスタイルから見えてくる。これが何とも痛快で、時に感動的なのだ。

本作の主人公はもう1人いる。ニューヨーク交響楽団への入団を目指すオーボエ奏者の女子「ヘイリー」だ。プロ並みの腕を持つ演奏家であるが、ニューヨーク交響楽団は一流の中の一流でソリストたちの集団みたいな超ハイレベル。長く在籍するベテラン奏者も多く、入団するのは至難の技だったが、オーディションでの偶然がロドリコと彼女を引き合わせ、彼女が奏でる音楽から情熱を見出したロドリコは、彼女を楽団予備員という名の小間使い役にする。スペイン語訛りのため、「ヘイリー」とは呼べず「ハイライ」と呼び(笑)、ロドリコに振り回されるヘイリーが可笑しい。ニューヨークで懸命に夢を追うヘイリーの姿は、ニューヨークの象徴的な姿にも映る。高い家賃、高い物価の中で、その日暮らしを何とか真っ当するために懸命に働く。そんなヘイリーみたいな夢追い人たちがたくさんいるのがニューヨークなのだ。

描かれるのは楽団の知られざる内幕だ。それは楽団員たちの私生活に及ぶが、やはり音楽から離れられない。音楽とセックスを密着したものと捉えた解釈が面白く、下世話なエピソードも多く盛り込まれている。チェロ奏者であり、楽団員の代表となる妖艶な女性「シンシア」が物語の良いスパイスとなっており、「情婦のごとく」(笑)、男たちを手玉にとる魔女っぷりがエロくて堪らない。

ロドリコ演じるガエル・ガルシア・ベルナルがまさかのハマり役。作品を追うごと縮んでいくように見える低身長が残念であるが、文字通りの天才音楽家をカリスマ性たっぷりに演じて見せる。そして、本作で初めて見たヘイリー演じるローラ・カークが最高に可愛い。彼女を観るために視聴を続けるといっても過言ではない。綺麗なルックスなので黙っていれば冷淡に映りがちなのだが、「はい、マエストロ(ロドリコ)!」と、無理難題を押し付けるロドリコに必死に食らいつき、自らの夢のために奔走する彼女が健気で愛おしくなる。

「使い倒してこそ楽器」など、お高く止まった印象しかなかったオーケストラも、実はずっと身近な音楽であることに気付かされる。多少なりともデフォルメされていると思われるが、オーケストラという設定を使って、ここまで軽快で上質なコメディドラマに仕上げたのは凄い。来年のリリースのシーズン2に向けてamazonプライムを継続しようか迷い中である。

【70点】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする