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ジ・エディ 【感想】

2020-05-21 08:30:15 | 海外ドラマ


あのデミアン・チャゼルがネトフリで、連続ドラマを撮る_
否が応でも期待していたが、ドラマを見終わって思うのは、チャゼルはやっぱり映画を撮りたい人なんだということ。

「ジ・エディ」というジャズクラブでの人間模様を描く。
計8話。

チャゼルが監督するということだし、ジャズを扱うので、アメリカの話かと思いきや、まさかのパリが舞台。しかし、「花の都」なんていう観光名所は一切出てこない。知られざる、治安が悪めで小汚い「裏パリ」の街並みが新鮮。また、アフリカ系、アラブ系の人たちも多く住んでいて、他民族国家の一面も垣間見れる。

物語は、クラブを経営する親友2人組のうち、グレーな組織に関わった1人が犯罪に巻き込まれる。それをきっかけに多額の借金が判明、クラブの存続危機を回避しながら、メジャーデビューを目指すクラブの専属バンドの奮闘ぶりが描かれる。

このドラマを見て改めて思うのは、海外の語学力。劇中、フランス語と英語が当たり前のように使い分けられ、同じ会話の中でも何度も入れ替わる。バイリンガルは当たり前で、移民してきた人たちは、その2つの言語の他に母国語も話す。まともに英語も話せない自分が恥ずかしい。

バンドのメンバーは国際色豊か。それぞれの国籍はしっかり明かされないが、主人公であるバンドのプロデューサー兼、クラブのオーナー「エリオット」はアフリカ系アメリカ人。悲劇に遭う、彼の相方「ファリド」はフランス人。バンドのボーカルで「エリオット」の元恋人でもある「マヤ」はポーランド人。エリオット役は「ムーンライト」に出ていたアンドレ・ホランド(名前は知らなかった)、ファリドはお馴染みのフランス人俳優タハール・ラヒム、そしてマヤ役は「コールド・ウォー」(オヨヨ~♪)のヨアンナ・クーリク。ヨアンナ・クーリクは、映画の雰囲気とかなり違って、恰幅の良いおばさんに変貌していた。但しその美声は健在だ。



本作を一言でいうと、音楽ドラマ。喜怒哀楽、様々な状況下にも常に音楽が寄り添う。音楽でいかに魅せるか、それが製作の前提にあるようで、女優&歌手のヨアンナ・クーリクをはじめ、バンドメンバーはガチの一流のミュージシャンである。本物の演奏から、本物の音楽を提供するというアプローチだ。バンドメンバーをはじめとする登場キャラごとに、エピソードが構成されており、演技未経験のミュージシャンながら、なかなかしっかり演技をしている。なかでも、女性ドラマーの「カタリナ」に注目。前髪を短く切りそろえ、長髪の後ろ髪はドレッドでまとめる、彼女のドラム演奏がめちゃくちゃカッコいい。Youtubeで彼女の普段の演奏シーンを探してしまった。



肝心のチャゼル監督はというと、1話と2話だけで、お役ご免。彼が操るのは映画と同様にフィルムカメラであり、3話目以降の監督交代と共にデジタルカメラに切り替わる。スマホで見直すと、違いはそんなにわからないけれど、テレビ画面でみると、フィルムならではの粗めの質感が、光の明暗でグッと艶やかさを増す。ジャズの演奏シーンが美しく、チャゼルの音楽に対する熱量を強く感じる。しかし、それも2話目まで。元々、脚本には干渉していないので、3話目以降で仕上がりが大きく変わることはないけれど、彼が全話撮っていたら、また印象が変わっていたかもしれない。ネトフリとしては、チャゼルに全話、監督してもらいたかったはずだが。

このドラマが難しいのは、音楽にシリアスなクライムサスペンスを掛け合わせたことだ。本作を見る限り、この2つは相性が良くない。音楽の高揚感に、犯罪のスリルが水を差してしまう。エリオットと警察のやりとりも、冗長で締まらない。もっと爆発的な音楽の盛り上がりが欲しかった。最終話まで、モヤモヤが残る。

一方、思わぬ収穫は、エリオットの娘「ジュリー」演じたアマンドラ・ステンバーグ。映画「ヘイト・ユー・ギブ」も素晴らしかったんだけど、本作では、己の感情をコントロールできない役柄を繊細に演じてみせた。笑顔が抜群に可愛いし、演技は巧いし、参ってしまう。今後の彼女の動向に目が離せない。

【65点】
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