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ウォークラフト 【感想】

2016-07-14 08:00:00 | 映画


7月1日、会社の代休にて学生時代以来ぶりとなる1日3本の映画ハシゴ鑑賞を敢行。「アリス~」、「ブルックリン」ときて、ラストの「ウォークラフト」。ダンカン・ジョーンズによるSFファンタジー大作ということで、この夏一番楽しみにしていた映画だ。先に公開された北米での大コケ&酷評に心配していたが、そこまで悪くない。自分は十分に楽しめた。男子は理屈抜きにこういう映画が好きなのです。完成度うんぬんより、ハイレベルな映像化にテンションが上がった。

人間、魔法使い、エルフ、ドワーフが暮らす世界に、裏世界の住人であるオークが移民として流れてくるという話だ。同名オンラインゲームの映画化とのこと。

登場するキャラクターや世界観は、「ロード・オブ・ザ・リング」とほとんど同じだ。しかし、決定的に違うのは善と悪の構図が明確に分かれていない点だ。一応倒されるべき悪者は出てくるのだが、異なる種族間ではプロットできない。どちらの種族にも善と悪が存在するからだ。どうやら原作ゲームの世界観がそれらしい。原作ゲームのファンというダンカン・ジョーンズが、本作の映画化に魅かれた理由が何となくわかったが、同時にエンタメ作として作るには難しいテーマであったと思う。そしてその挑戦の結果は、プラマイ、ゼロといった具合。いや、ラストの収まりの悪さを考慮すればマイナスと言っても良いかもしれない。

人間とオークのそれぞれの正義を描くために、どちらも対等な立ち位置として描いている。物語の冒頭からオーク側の視点で描いているのが象徴的だ。フルCGで作られたオークの仕上がりは素晴らしく、人間と同じように個性を感じさせる。予告編を見たときは実写の人間とCGで作られたオークが並ぶ姿に違和感を覚えたが、実際に見てみると全く気にはならず、その細やかな表情やしぐさによって、自然とその存在を受け入れられた。家族愛など人間側の価値観に寄せているのも効いていて、非常に感情移入がしやすい。

オークたちの移住方法は侵略である。その方針を打ち立てているのが、オークのボスであり魔法使いだ。足を踏み入れた土地の原住民たちを捕えて、その命を自身の魔法の肥やしにしている。オーク側の主人公であるデュロタンは、そのやり方に疑問を持ち、種族に危機をもたらすものと反旗を翻し、人間側との協和を望む。現代の難民問題と重ねるには少々無理があるかもしれないが、元の住処を追われ、移民として流れ着いたオークたちの姿には悲壮感があり、単純に厄介者として捉えることはできない。和平を知る人間たちと手を組み、悪いボスキャラを叩きのめす展開を観ているこっちも望むが、コトはそう簡単に進まない。

人間界を魔法で守る「守護者」の存在がいろんな意味でネックになる。物語上、トラブルを起こすのもそうだが、守護者のモチベーションが観ていてよくわからない。圧倒的に戦闘力で上回るオークに対して、守護者が発する魔法は痛快であり、序盤は観ていて楽しかったが、彼の動向が怪しくなる中盤以降から置いてきぼりを喰らい出す。結局、守護者は何をしたかったのだろう、、、と。クライマックスでの守護者と若き魔法使いの戦いが、巨大な人形を介したグダグダ劇になったのも興冷める。あそこは、普通に魔法をバンバン打ち合う絵で見せてくれれば良かったのに。

とはいえ、劇場で楽しむ映画としては一定水準をクリアしたと思う。剣と魔法の世界の美しいディテール、個々のキャラクターのビジュアル面の作り込み、壮大なスケールのアクション絵巻など、このテの世界観が大好きな自分としては無条件に観ていて楽しくなった。人間側のキャラはどれもパッとしないのだが、高潔で誇り高いデュロタンはとてもカッコいい。オークと人間のハーフを演じたポーラ・パットンのコスプレぶりもハマった。

最終的にエンタメ作として振り切れなかった印象も強い。ラストの歯切れの悪さは続編を意識したというより、本作のカラーを貫いたのではないかと考える。個人的にはダメだった。ファンタジー映画は痛快な気持ちでラストを見送りたいものだ。
続編は微妙かな。。。少なくともダンカン・ジョーンズには他の映画を撮ってほしいと思う。

【65点】
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