から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン4 【感想】

2016-08-04 08:00:00 | 海外ドラマ


どうしたんだ!?「オレンジ・イズ・ニューブラック」。
最新シーズンとなるシーズン4を見終わったが、これまでのシーズンの中で、ダントツにつまらない。シーズン3でチラついたマンネリがいよいよ表面化。惰性なエピソード。シーズン4の終わり方にも大クレームだ。そりゃないよ~。

シーズン3に続き、アレックスを殺しにやってきたヒットマンを女囚の仲間たちが殺害するところからエピソードが始まる。その遺体処理と隠蔽した遺体の行く末が本作の大きなポイントになる。

刑務所内のトピックスとしては、今まで女囚たちがテレビでしか見たことのないセレブ料理研究家のジュディー・キングが同じ刑務所に収監される。VIP扱いをされる彼女が受刑者たちと触れ合い、刑務所内をかき回す様子が本シーズンのコメディパートになる。ジュディー・キングの個性はよく練られていると思うが、彼女がもたらすユーモアは腹を抱えるほどのインパクトはない。

逆にシリアスパートは、刑務所を運営する親会社がさらなる営利目的によって収容者を増員することに端を発する。多くの受刑者たちが流入し、刑務所内の人口密度がアップ。その結果、白人、黒人、ラテンの人種間の壁がさらに強固になる。そしてこれまで以上に対立が深まっていく。これが本シーズンをつまらないものにしている。人種間をクロスオーバーして、いろんな表情を見せていた前作までの人間関係が固定化される。このコミュニティではこのエピソードでしか話が展開しないといった具合だ。それは単調であり、個性豊かなキャラたちの動きを束縛しているみたいで窮屈にも見える。

刑務官たちの人事も一新される。新たに登場する髭面の大男ゲイが刑務所を支配。そして刑務官の中からサイコ男が出現。登場人物のプロットとして全然アリなのだが、サイコ男による「ネズミとハエ」のクダリは生理的にマジで無理だった。ほかにも、本シーズンでは気持ち悪い描写が目立つ。全体的に汚物絡みの描写が多くてイヤになった。笑いよりも寒気がよぎる。

主人公のチャップマンが本シーズンではパッとしない。群像劇なので彼女だけ目立つ必要もないが、これまでのシリーズでは彼女が物語全体を動かす役割を担っていた。本シーズンではその役割が希薄になり、自分ゴトで手一杯になる。彼女は自身の自業自得によりイタすぎる洗礼を受ける。これがなかなか衝撃的だった。しかし、その事件によって何かが変わるわけではなく、彼女が反省しただけで終わったのが勿体ない。

自分の大好きなキャラであるニッキーがようやく復活。風を切るように颯爽としていた男前キャラが、前シーズンで起きた事件によって変貌。アイラインもキツすぎて、何だか気持ち悪いキャラになってしまった。相変わらず彼女の毛髪量はすごい(笑)。彼女と正反対に頭髪が寂しい刑務所のボス、カプートは相変わらず奮闘している。劣悪な環境を強いられる女囚たちの人権を守ろうとする姿がカッコいい。しかし、お気に入りのキャラがカプートだけでは物足りない。

本シーズンの見所は最終話に集約される。
最終話の直前に起きたプッセイの不幸。「圧死」という死因が微妙だ。非常に重要なシーンなのでハッキリ描いてほしかった。彼女に捧げる最終話でようやく「オレンジ・イズ・ニューブラック」らしい、余韻の残るエピソードが待ち受ける。ニューヨークでのかけがえのない一夜を切り取った美しいエピソードだった。但し、これまでのシーズンではもっと頻繁に感動エピソードが現れていた。

そして、抑圧された刑務所のフラストレーションが、すっかり観る側にも伝染しているにも関わらず、その決着を完全に次のシーズンに持ち越したのには驚いた。次の展開への興味よりも、シンプルに腹が立った。

高い完成度を誇っていたコメディドラマだったのに、このシーズンでは個人的な好き嫌いも含めて、ドラマの仕上がりが著しく低下。脚本家が変わったのだろうか。それともシーズン3以上の長尺を描くことがそもそも無理があったのだろうか。毎年常連であったエミー賞では、今年は初の候補落ちとのこと。納得。

NETFLIXの日米同時のリリースは実にありがたく、本作も楽しみにしていたんだけど残念だった。

【55点】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロスト・バケーション 【感想】 | トップ | シン・ゴジラ 【感想】 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外ドラマ」カテゴリの最新記事