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オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン5 【感想】

2017-06-27 08:00:00 | 海外ドラマ


今月よりNetflixから配信がスタートした「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のシーズン5を観終ったので感想を残す。このシーズンも全13話。

落胆したシーズン4から盛り返し、面白いシーズンに戻った。
マンネリから脱却するためには、もはや「破壊」しかなかったんだな。舞台となる刑務所の風景が一変し、破壊によってもたらされた変化がいろいろと新鮮だった。

前シーズンの最終話で起きた事件の直後から話がスタート。プッセーの圧死をきっかけに女囚たちの堪忍袋の尾が切れ、暴動に発展。サイコな看守が持ちこんだ1つの銃を手にしたことで、看守と女囚たちの支配関係が完全に逆転する。男子刑務所であれば、もっと血生臭い描写になるのだろうが、女子刑務所が舞台になっているので暴力描写は控えめでマイルドだ。コメディドラマとしての立ち位置は崩れない。

前シーズンのラストで銃を奪ったダヤが、本シーズンの冒頭でサイコ男に銃弾を撃ち込む。「よくやった!」と発奮するが、前シーズンのフラストレーションを維持したまま観たほうがもっと痛快だっただろう。ダヤが起こした銃撃事件の罪は、その後、彼女自身にしっかり戻ってくる。銃の存在は本作でも絶対的で、銃を持ったものが支配者になるルールが、展開を作るうえで巧く活かされている。



看守たちが女囚たちの人質となったことで、外からの圧力がかけられない状況になる。女囚たちは刑務所のなかで自由を謳歌する。そして、人質と引き換えに、刑務所内の改善に向けて外部と交渉を進めることになる。女囚たちを代表して交渉役になるのが、大柄女子のテイスティーである。本シーズンの主役は彼女といっても良いほど出番が多く、彼女の活躍が目立つ。外部との交渉における駆け引きが本シーズンの前半の見どころといえる。女囚たちをナメて大量のスナック菓子を差し入れえて解決しようとするが、それに反抗してスナック菓子を燃やすシーン(燃え方)が異様で面白かった。プッセーを想うテイスティーの涙の訴えもあって、刑務所での反乱事件が大きな社会問題として取り上げられるようになる。



看守たちから携帯電話を奪ったことで、女囚たちが外部社会と直接繋がったことも大きい変化だ。そこで持ち出されるのがSNSの存在。ある者は人気者(有名人)になるべくコンテンツ動画をアップ、ある者は刑務所で起きる状況を伝えるべく動画をアップして世論を動かす。まさに現代の流れ。SNSは日本よりもアメリカのほうが浸透していると実感する。

反乱という一見シリアスな展開ながら、刑務所内のユーモアはそのまま生き続ける。ダヤの次に銃を手にしたのが、クスリ中毒のお馬鹿なリアンコンビだ。彼女たちの発案で、人質たちのタレントショーが開催されるが、酷い扱いを受けている人質たちはなぜかノリノリだ(笑)。ジェイソン・ステイサムによく似た薄毛マッチョの看守はストリップショーを披露。案の定、女囚たちは大喜び。看守のルスチェックは勃起癖がどうしても直らない(笑)。しっかり落とし前がつくサイコ看守の悲惨な末路も、笑いに変えてしまう逞しさあり。点滴に空気入れて「どういたしまして♪」。

刑務所内の秩序はすっかりなくなったが、女囚たちは外部に対抗するため一致団結する。これまで、白人、黒人、ヒスパニック系と、人種によってコミュニティが分かれ、ときにいがみ合っていたが、本シーズンではそうした人種間の壁がなくなり、人物関係がシャッフルされる。個人的には、この点が本シーズンで一番面白かった。今まで見たことのないカップリングがそこかしこで誕生する。普段絡むことのなかったキャラクター同士が会話を交わし、意気投合し、様々なエピソードを作り出す。レッドとビアンカがコンビを組むとは。。。同じコミュニティで縛られていた前シーズンから解放され、変化に富んだドラマが展開する。

お気に入りのエピソードは、本シーズンの口火を切ったダヤが「正しいこと」を選んだ第8話の「トロッコ問題」と、本ドラマの最大のヒールとなる怪物ピスカテラの過去に迫った第8話の「やる事なす事すべて裏目」だ。第8話では、自分がずっと引きずっていたダヤの子どもの問題が救われることになってホッとする。第10話では、ピスカテラが前の勤務地で起こした事件が明らかになる。彼がゲイゆえの切ないロマンスだ(といっても事件はピスカテラに問題ありだが)。



このドラマで一番好きなキャラであるニッキーが、カッコいいキャラとして戻ってきたのも嬉しい。妊娠したローナを元気づける彼女が素敵だ。ニッキーはやっぱりこうじゃなきゃダメだ。マリッツァとフラカのメキシコ女子によって、「安いオードリーヘップバーン」(笑)な外見に変貌。ボンバーヘッドの髪はストレートヘアになり、逆さアイラインも直して、かなりの美人に変わった。一方、本ドラマの主人公であるパイパーはアレックスと新たな関係に踏み出すものの、本シーズンではほとんど目立たない。パイパーだけじゃなく、これまでの主要キャラの出番が少なくなり、その分、サブキャラ止まりだったキャラクターたちの露出が増えた。より群像劇の色が強くなったシーズンであり、自分はこの方向性が好きだ。

本シーズンの後半は、いよいよピスカテラが女囚たちの前に立ちはだかる。呑気な前半パートと打って変わって、ピスカテラから発せられる恐怖がスリルをもたらす。そのピスカテラに対抗できるのは、「仕事人」のフリーダである。本シーズンでは、彼女がサバイバルスキルを有するに至った少女時代のエピソードが紹介されていて興味深い。できれば、フリーダが起こした殺人事件の全容についても知りたかった。彼女の「吹き矢」によって、捕まえられたピスカテラの行く末はとても意外だった。

それにしても生理的嫌悪を感じさせる描写が相変わらず多い。脱糞、排尿、嘔吐が揃い踏み(笑)。刑務所長のカプートは、まったく悪くないのに肥溜め同然の野外トイレに閉じ込められて可哀そう過ぎる。この不衛生な描写が苦手で本ドラマを受け付けないという人も多いだろうと想像する。自分も「きっと実際の現場はクリーンなはず。おしっこで使われているのはレモンジュースだ」とか思いこみながら、ドラマを見続けていた。

これまでのシーズン同様、「そこで終わるんかい!」という絶妙な(最悪な)場面で終幕する。次のシーズンへの関心を煽る形だが、本シーズンに関しては、それまでのエピソードで十分楽しめたので文句なし。あと、本ドラマのかき回し役(スーザン)を演じる、ウゾ・アドゥーバがますます素晴らしい熱演で光っていた。

本シーズンを見終えたのち、Youtubeで彼女たちが普段の姿で出演しているテレビ番組を観て、そのギャップに最近萌えている。女性はメイクの力はスゴい。

【75点】

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン6 【感想】

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