
ついに、あの「ライオン・キング」が実写リメイクを果たした。これまでの実写リメイクとはワケが違う。何せ、全キャラクターが動物だ。オリジナルはそれぞれに人間同様の表情をもたせ、ミュージカルまで奏でる。アニメだから成せる業。再現と表現、その両面で、おそらく映画史上最も難易度の高い実写化だったと思われる。そしてディズニーがやったことは”超実写化”。驚愕の映像を目の当たりにする。
のっけから高精細カメラによる動物ドキュメンタリーを見ているよう。冒頭の昆虫のシークエンスから自然の営みが描かれる。自然をCGで再現した映画は沢山あるけれど、本作は自然そのものを映し出すレベルに到達している。大自然の息吹をしっかり感じとれる。凄い。アニメで描かれていた光景が、実在していたらという世界が目の前に広がる。一方で、動物たちの動きは完全に人間の手によりコントロールされている。とても不思議な感覚だが、違和感はない。
「ハクナマタタ」、改めて思うのは魔性の言葉だ。「前向きに生きろ」は「後ろを振り返るな」。自分にとって都合の悪い過ちも忘却することを許す。子シンバが偉大なる父親との別れ、後悔や絶望も「ハクナマタタ~♪」で消し去り、リセットされた人生に逃げる。前半、あれだけ父と子の絆を描いておきながら、かなりの変わり様だ。しかし、この振れ幅があるからこそ、後半のシンバの帰還がドラマチックに映る。アニメ版に続き、父親役として大和田伸也をキャスティングさせたのが英断。
ミュージカルもドラマも、実写の動物たちで表現される。あくまでリアルな動物たちを描くことが優先され、無表情のなかに喜怒哀楽をにじませる表情描写のバランスが素晴らしい。製作は本当に難しかったと想像する。アニメでないと成立しないと思われた実写化だったが、あらゆる難題を軽々と越えていくディズニーに脱帽する。
映像に圧倒される一方で、前評判で聞いたとおり、本作はアニメ版のオリジナルを実写版に変換するに留まっている。それだけでも十分ともいえるが、実写化ならではのアレンジがほしかったところ(ちょいちょい補完シーンはある)。1か月ほど前にアニメ版を再見していたが、シーンの構図もほぼ一緒だったように思う。言い換えると映像以外で言及するポイントが乏しい。実写化でリメイクする意味はどこにあったのか。
にしても、赤ちゃんシンバ、子シンバの可愛さったらない。猫好きには堪らない映画でもあった。
【65点】
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