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海外ドラマ ナルコス 【感想】 

2015-10-09 08:00:00 | 海外ドラマ


Netflixのオリジナルドラマ「ナルコス」の感想を残す。
全10話。

実在した伝説の麻薬王パブロ・エスコバルと、アメリカの麻薬取締捜査官の戦いを描く。
とても面白かったが、本作についてはシーズン1で終了させたほうが良いかなーと思った。

以前にアメリカ製作のパブロ・エスコバルのドキュメンタリー番組を見て以来、その人物像、当時の社会情勢に強い関心をもっていた。本作のドラマで描かれるストーリーはあくまでフィクションであるが、おおよそ史実はなぞられており、歴史ドラマとして楽しむことができる。

パブロ・エスコバルが辿った人生は、どんなフィクションよりも面白い。コロンビアを拠点に世界の麻薬流通の8割を牛耳り、巨万の富を築 く。それも年間何百億ドルという次元だ。その結果、犯罪者にも関わらず、フォーブスの世界の長者番付に名を連ねたりした。そこで儲けた金を、コロンビアの発展のために還元し民衆から絶大の支持を得る一方で、警察機関を買収し、邪魔者・裏切り者は即抹殺し、抵抗する政府要人を殺害するために国内で無差別テロを繰り返す。おそらくコロンビアで最も愛された英雄であり、最も憎まれた悪魔だった。

そんな男の生涯である。映像化するだけでも面白いに決まっているのだが、本作はそこにエスコバルに立ち向かう男たちのドラマを加える。アメリカの麻薬取締捜査官と、彼らと一緒に共闘するコロンビアの捜査官たちだ。本来、見方であるべき、政府関係者や現地の警察機関の多くが、エスコバルに買収されているため、四面楚歌の戦いを強いられる。しかも、相手は豊富な資金にモノを言わせ、強力な武器と軍隊を持っている。勝ち目のない麻薬戦争にどう打ち勝つのか、その攻防の多くにフィクションが盛り込まれているのだが、「嘘なんだけど嘘じゃない」バランスが非常に良い。愛憎、正義、信頼といった熱い人間ドラマに、メディア、政治など含んだ社会性もきちんと抑えられており非常に見応えがある。海外ドラマならではの大掛かりなアクションシーンも多く、スリルたっぷりのドラマを味わうことができる。また、エスコバルとアメリカの麻薬取締捜査官が対峙するシーンが全くないというのも印象的で、エスコバルがどれだけ強大な存在であったことを物語る。

パブロ・エスコバル演じる ヴァグネル・モウラが素晴らしい。体重を変化させる役作りにより、肥大する権力を体現する。エスコバルが持つカリスマ性や残虐性に留まらず、愛妻家、家族至上主義な男の一面も丁寧に演じる。その一方で、アメリカの麻薬取締捜査官演じる、ボイド・ホルブルックは完全な迫力不足。大人になって劣化したマコーレーカルキンによく似ていて、体型の線の細さを補う存在感もない。彼の相棒役で、GOTにも出ていたペドロ・パスカルはカッコよいのだけれど。

残念なのは、後半の「足踏み」だ。ほぼ史実に沿った形でテンポよく、ストーリーが流れていたのが、一気に淀んでしまう。エスコバルが事実上の勝利を収め、エスコバルの支配下である刑務所に収監されてからのエピソードがやたら長い。 そこで繰り広げられる攻防はおそらく完全なフィクションの世界で、シーズン2を見据えた肉付けと感じられる。中盤までのスピードを維持していれば、エスコバルの終焉まで、1シーズンで描けたはずだ。

最終話のグダグダにやや興冷めしてしまったが、シーズン2が配信されたら迷わず観てしまうと思う。

【70点】


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