1位 この世界の片隅に
歴史的傑作が2016年に誕生。日本映画としては過去10年の中で私的ベスト。2Dのアニメなのに3次元の実在感は、アニメを超えたアニメといえる。戦時下の過酷な状況のなかでも、笑いに溢れた輝ける日常が存在した事実は、平和な現代の生活と地続きであることを実感させる。この映画の普遍性はこれからも語り継がれていくに違いない。すずさん、ありがとう。あなたの物語を忘れることはないでしょう。
2位 聲の形
人と繋がることの難しさ。想いやることの尊さ。見えない声のすれ違いが、時に痛ましく時に愛おしい。いじめの残酷性を始発点として「贖罪」を自らに課し、世界と縁を切った主人公の青年。その青年の成長ドラマとして描いた製作陣の英断に拍手。これ以上ない原作漫画の映画化。音楽、編集、フレーミングも素晴らしくアニメの進化系を目撃し感動。クライマックスで涙腺決壊。
3位 アイアムアヒーロー
日本映画史に残る事件だ。万歳。ゾンビ映画として、いや、アクション映画として世界に堂々と打って出ていけるほどの見事な完成度。観客に媚びることのないゴア表現をベースに、非力男子の成長&覚醒ドラマがしっかり描かれる。最近の原作漫画よりも断然面白い。まさかこんな日本映画が作られる日が来るとは。日本映画よ、あとに続け。
4位 永い言い訳
人間の弱さ、愚かさ、哀しさ。綺麗ゴトでは収まらない人間の生態をありのままに描く、西川美和の作家性は健在。当たり前に近くにいた家族の、突然の喪失から忘却までの道のりをユーモアを交えて誠実に切り取っていく。1年という撮影期間はそのまま時間の流れとして映画に肉付けられた。西川監督と、考える俳優である本木雅弘との化学反応も抜群だった。
5位 日本で一番悪い奴ら
どこまでも堕ちていく男の痛快転落劇。ゲスでエロくて暴力的な描写は、昭和の体臭を味方につけ、その破壊力を増していく。常識や倫理がマヒした世界に充満するユーモアが堪らない。その体現者となった綾野剛のパフォーマンスがもう絶品。最高過ぎて惚れ惚れしてしまった。欲望を暴走させるような、こーいう日本映画がもっとあっていいはず。ホント好きだわ。
6位 シン・ゴジラ
「これ、ゴジラ映画?」という違和感はソッコー消え、未曽有の「ゴジラ災害」の対応に追われる政府組織の一挙手一投足を追い続ける、まさかのポリティカルムービーに釘付け。「虚構」×「現実」という離れ業を見事にやってのけた庵野秀明の完全勝利。多くの自然災害に見舞われきた日本の未来への希望と昇華させた脚本に感動。アニメキャラに寄せた石原さとみへの演出が惜しい。
7位 海よりもまだ深く
甲斐性なしのダメ男の生き様に寄り沿う家族の情景を描いた珠玉のホームドラマ。子どもの頃の思い出が染みついた団地を舞台に、訪れる嵐の一夜を通して描かれる人生の機微。なりたかった自分となれなかった自分、理想と現実、過去と現在が交錯する。その感情は共感を超えて「自分ゴト」として浸透。是枝監督が描く家族の物語にハズレなし。温みを感じる人生の応援歌。
8位 殿、利息でござる
良い意味でパッケージ詐欺(笑)。笑いもしっかり取るが、中身の本質は骨太な人情ドラマ。歴史に埋もれた名もなき庶民たちの願いは想像絶する苦難を乗り越える。その歴史秘話に胸が熱くなった。「慎みの掟」に日本人が持つ良心の原形を見たよう。現代の風景に移したラストカットが深い余韻を残す。
9位 君の名は
いろいろと欠点の多い映画だ。日本中が感動の雰囲気に惑わされて過大評価しているとすら思う。が、それでも本作の挑戦は評価されて然るべきだろう。時空を超えた運命の赤い糸を、スレ違い物語という古典的なプロットを起点とし、ディザスターの要素を盛り込み壮大なスケールで描く。とんでもない傑作になり得た映画だった。
10位 ヒメアノ~ル
常軌を逸した悪の化身は、実は平穏な日常の中に潜んでいる。青春ラブコメからサイコスリラーへ。中盤でのド肝を抜くスイッチングに鳥肌が立つ。日常の快楽と凶行の快楽を交互に見せるシーンが秀逸。危うい表裏性が恐怖と共に浮かび上がる。原作を知る身としては「森田」の描きこみに不足を感じたが、演じる森田剛の天才的な怪演には恐れ入った。
次点:「怒り」
歴史的傑作が2016年に誕生。日本映画としては過去10年の中で私的ベスト。2Dのアニメなのに3次元の実在感は、アニメを超えたアニメといえる。戦時下の過酷な状況のなかでも、笑いに溢れた輝ける日常が存在した事実は、平和な現代の生活と地続きであることを実感させる。この映画の普遍性はこれからも語り継がれていくに違いない。すずさん、ありがとう。あなたの物語を忘れることはないでしょう。
2位 聲の形
人と繋がることの難しさ。想いやることの尊さ。見えない声のすれ違いが、時に痛ましく時に愛おしい。いじめの残酷性を始発点として「贖罪」を自らに課し、世界と縁を切った主人公の青年。その青年の成長ドラマとして描いた製作陣の英断に拍手。これ以上ない原作漫画の映画化。音楽、編集、フレーミングも素晴らしくアニメの進化系を目撃し感動。クライマックスで涙腺決壊。
3位 アイアムアヒーロー
日本映画史に残る事件だ。万歳。ゾンビ映画として、いや、アクション映画として世界に堂々と打って出ていけるほどの見事な完成度。観客に媚びることのないゴア表現をベースに、非力男子の成長&覚醒ドラマがしっかり描かれる。最近の原作漫画よりも断然面白い。まさかこんな日本映画が作られる日が来るとは。日本映画よ、あとに続け。
4位 永い言い訳
人間の弱さ、愚かさ、哀しさ。綺麗ゴトでは収まらない人間の生態をありのままに描く、西川美和の作家性は健在。当たり前に近くにいた家族の、突然の喪失から忘却までの道のりをユーモアを交えて誠実に切り取っていく。1年という撮影期間はそのまま時間の流れとして映画に肉付けられた。西川監督と、考える俳優である本木雅弘との化学反応も抜群だった。
5位 日本で一番悪い奴ら
どこまでも堕ちていく男の痛快転落劇。ゲスでエロくて暴力的な描写は、昭和の体臭を味方につけ、その破壊力を増していく。常識や倫理がマヒした世界に充満するユーモアが堪らない。その体現者となった綾野剛のパフォーマンスがもう絶品。最高過ぎて惚れ惚れしてしまった。欲望を暴走させるような、こーいう日本映画がもっとあっていいはず。ホント好きだわ。
6位 シン・ゴジラ
「これ、ゴジラ映画?」という違和感はソッコー消え、未曽有の「ゴジラ災害」の対応に追われる政府組織の一挙手一投足を追い続ける、まさかのポリティカルムービーに釘付け。「虚構」×「現実」という離れ業を見事にやってのけた庵野秀明の完全勝利。多くの自然災害に見舞われきた日本の未来への希望と昇華させた脚本に感動。アニメキャラに寄せた石原さとみへの演出が惜しい。
7位 海よりもまだ深く
甲斐性なしのダメ男の生き様に寄り沿う家族の情景を描いた珠玉のホームドラマ。子どもの頃の思い出が染みついた団地を舞台に、訪れる嵐の一夜を通して描かれる人生の機微。なりたかった自分となれなかった自分、理想と現実、過去と現在が交錯する。その感情は共感を超えて「自分ゴト」として浸透。是枝監督が描く家族の物語にハズレなし。温みを感じる人生の応援歌。
8位 殿、利息でござる
良い意味でパッケージ詐欺(笑)。笑いもしっかり取るが、中身の本質は骨太な人情ドラマ。歴史に埋もれた名もなき庶民たちの願いは想像絶する苦難を乗り越える。その歴史秘話に胸が熱くなった。「慎みの掟」に日本人が持つ良心の原形を見たよう。現代の風景に移したラストカットが深い余韻を残す。
9位 君の名は
いろいろと欠点の多い映画だ。日本中が感動の雰囲気に惑わされて過大評価しているとすら思う。が、それでも本作の挑戦は評価されて然るべきだろう。時空を超えた運命の赤い糸を、スレ違い物語という古典的なプロットを起点とし、ディザスターの要素を盛り込み壮大なスケールで描く。とんでもない傑作になり得た映画だった。
10位 ヒメアノ~ル
常軌を逸した悪の化身は、実は平穏な日常の中に潜んでいる。青春ラブコメからサイコスリラーへ。中盤でのド肝を抜くスイッチングに鳥肌が立つ。日常の快楽と凶行の快楽を交互に見せるシーンが秀逸。危うい表裏性が恐怖と共に浮かび上がる。原作を知る身としては「森田」の描きこみに不足を感じたが、演じる森田剛の天才的な怪演には恐れ入った。
次点:「怒り」