今月から始まっている北米での話題作映画の公開ラッシュ。賞レースを狙える注目作が期待通りの評価を得ている。
そのラインナップは、リドリー・スコットの「オデッセイ」、ロバート・ゼメキスの「ザ・ウォーク」、ダニー・ボイルの「スティーブ・ジョブス」、スピルバーグの「ブリッジ・オブ・スパイ」といった、いわゆる名匠と言われる監督たちのタイトルばかりだ。
しかし、そんな中、先週より公開された映画で、個人的に注目していたタイトルが、それらを上回る絶賛評を浴びている。「今年最高のインディーズ映画」と言われている。
「Room」(原題)という映画だ。
「Room」という部屋に監禁され、生まれ育った母と子どもが、外の世界に脱出し、一般の社会生活に適応しようとする話らしい。
実際にあった事件を基にした同名小説の映画化らしい。シリアスなドラマだが、暗く閉塞感に陥ることなく、希望ある感動のヒューマンドラマに仕上がっているとのこと。
そのレビュー数はまだ100に達していないものの、現時点のロッテントマトのスコアは96%のフレッシュを獲得。また、先に開催されたトロント映画祭では並みいるタイトルを押しのけ、堂々の観客賞を受賞している。同賞の受賞は、過去にアカデミー賞の作品賞に多く繋がっていることから、一気にアカデミー賞の本命に名乗りを上げた格好だ 。
監督は、前作でマイケル・ファスペンダーが被り物キャラを演じた「FRANK -フランク-」を手掛けた、レニー・エイブラハムソンだ。「FRANK -フランク-」は北米での批評家からの好評とは裏腹に、観客の支持を得られなかったが(自分も全くハマらず)、本作はロッテントマトのオーディエンスのフレッシュは93%で、映画ファンが観ても楽しめる内容になっているようだ。
そして、主人公の母を演じるブリー・ラーソンと、その子どもを演じたジェイコブ・トレンブレイへの大きな賛辞が飛び交っている。トレーラーを観ると2人のエモーショナルな演技の一端が見られる。ブリー・ラーソンの演技を観ると泣きそうになるな。。。
2013年の「ショートターム」にて、ブリー・ラーソンがアカデミー賞にスルーされたことを根に持っているが、本作では、ノミネート確実どころか、受賞最有力との声が挙がっている。ファンとしては嬉しい限りだ。子ども役のジェイコブ・トレンブレイは、トレーラーを観ると、可愛らしい女の子なのだが、本人も役柄も男の子のようだ。彼の空を見上げるイノセンスな眼差しが印象的だ。
非常に気になる映画だ。
日本公開は、「ショートターム」の時と同様にまだ未定である。アカデミー賞に絡めば、近くのシネコンでも上映してくれるだろう。今後の賞レースの行方を追っていきたい。