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ダークナイト ライジング 【感想】

2012-07-28 00:48:26 | 映画
この日を3年間待っていた。

「ダークナイト ライジング」を観終わって感じたのは、
その充足感よりも、「もう一回観たい」という欲求だった。

 別格。
 バットマンの最終章は至高だった。
 
「絶対に面白いはず!」「つまらなかったらどうしよう・・・」といった、
期待値の高い映画につい抱いてしまう、余計な思考は、
上映開始直後のベインの圧巻の登場シーンでブっ飛ばされ、
自覚のないまま、本作「ダークナイト ライジング」の虜になった。

 正義とは何か。悪とは何か。

 希望とは何か。絶望とは何か。

 ヒーローとは何か。

前作「バットマンビギンズ」「ダークナイト」でも一貫して描かれてきたメッセージ。
本作「ダークナイト ライジング」においては
3部作の完結編として一つの答えが出ており、それが見事にキマっていた。

前作の「ダークナイト」と比べても、何ら遜色はなく、
スリリングなストーリーテリング、複雑になってもなお深い人物描写、
他の追随を許さない破壊的アクションは、前作をむしろ凌駕していると思う。

前作に登場した(大好きな)高速の戦車「バットポット」に加えて、本作で新たに登場した、
軽快でスピーディーなホバリングと、攻撃力抜群な飛行マシーン「ザ・バット」が
カッコ良すぎて最高である。

前作でのヒース・レジャー演じるジョーカーを通して描かれた、
純度の高い「狂気」と「悪」が、物語の世界観をより深めていたと思うが、
本作でのトム・ハーディー演じる悪役ベインも、モノ凄い存在感。
完結編という大舞台においても、不足なしだ。

そんなベインがバットマン、ひいてはゴッサムシティにもたらしたものは、
「絶望」と「恐怖」。

それが本作「ライジング」を覆う世界観の源泉となっていることは間違いないが、
同時に、物語のクライマックスに向けて、バットマン(だけじゃないけど)の
「ライジング」へのモチベーションにつながるあたりが、何とも堪らない。

そのベインを演じたトム・ハーディ。
ステロイドよろしくな異常なマッチョぶりと、
着用しているマスクのせいで顔が半分見えない中、
眼光一つで感情を表現する巧さに唸った。ホント素晴らしい。

他キャスティングも全くズレがなく、作品世界に密着している。
当初、「ダークナイト」と「インセプション」を足したようなキャスティングに、
「勝手知ったる俳優だから、ノーランが単純にやりやすいのだろう」と思っていたが、大違い。
皆それぞれにキャスティングした理由がわかるほどの、ハマリ具合。
特に印象的だったのが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの存在感。これは結構意外だった。
ゴッサムシティの希望の象徴のような刑事役を、味わいたっぷりに演じて魅せた。
あと、個人的にはキリアン・マーフィ演じるスケアクロウが出ていたのも嬉しかった。

映画で流れる音楽はいずれも重低音甚だしく、強めのボディーブローのようで
聞いているだけで腹筋が鍛えられそうだ。

何かとCG描写に頼る昨今の映画製作において、現物撮影を優先するノーランのこだわりは、
その質感にリアリティをもたせ、観る側に迫ってくる。

「迫力」という言葉では不十分なほど、
映し出されるシーンの数々は桁違いにスケールが大きく、
カメラワーク、空間の作り方、光の作り方など、
ノーランの演出手腕はもはや神がかっている。

こんな映画、向こう10年は作れないだろうな。。。

「己を超えるものは己のみ」って言葉がありそうだが、、

本作で描かれるバットマンの姿であると同時に
「ダークナイト」という傑作の後に、
本作という新たな伝説を生み出したノーランそのものにも重なる。

「もう一回観たい」は、本作があらゆる意味で巨大なため
十分に咀嚼して味わえた自信がなく、リピートして観ることで、
本作をさらに好きになる確証みたいなものがあったから。

オスカー作品賞候補が3年前から10作品に増えたのは、
まだ5作品枠だった前年に「ダークナイト」が候補に選ばれなかったことに起因してる。

本作で次のオスカー、待望の作品賞とってくれないかな~

【96点】





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